🐎 (銬)

Takaaki Umada / 銬田隆明

GovOps: DevOps ずガバナンス

これからのパブリックガバナンスや䞀郚の領域のガバナンスにおいお、DevOps ならぬ GovOps ずいうものが考えられるのかなず思っおいたす。

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デゞタル庁の蚭立や行政機関のDX、䌁業のDXなど、デゞタル技術がいよいよ瀟䌚の䞭に本栌的に組み蟌たれようずしおいたす。DXずいう名の゜フトりェア導入に留たる論もあれば、DXによるサヌビスや UX の改善、DXによる業界党䜓の倉化を瀺唆する論などなど様々な論がありたす。

ただ個人的には、DXは「仕組み」の転換こそが本䞞であり、より具䜓的には制床やシステムなどの『補完的むノベヌション』ブリニョルフ゜ンらが重芁ではないかず考えおいたす。このあたりは最近出した『未来を実装する』を参照しおいただくずしお、なぜ GovOps なのかに぀いお今回はお話ししたす。

Governance as Code

珟圚、デゞタル技術によっお Ops (Operations) が単に効率化されるだけではなく、法埋やルヌルのDev (Development) 自䜓が倉わっおき぀぀ありたす。

ガバナンスむノベヌションやアゞャむルガバナンスなどで指摘されるように、デゞタル技術はルヌルの運甚を効率化するだけではなく、ルヌルの䜜り方自䜓を倉えるこずができたす。

たずえば囜がドロヌンのプラットフォヌムを管理するようになった堎合、ドロヌンの航空可胜地域をリアルタむムに倉えるこずができるようになりたす。その結果、法埋で事现かに制限区域などを決める必芁はなくなるかもしれたせん。たた工堎や゚レベヌタヌ等でこれたで人が行っおいたような点怜を、センサヌを䜿ったリアルタむムのモニタリングに倉えるこずができれば、人による定期的な点怜はの点怜期間をもう少し長くできる可胜性もありたす。これたで1幎おきだった点怜を3幎ず぀ぐらいにできるかもしれたせん。最近だず、eKYC はデゞタル技術によっお、これたでず異なる本人確認ができるようになった䟋でしょう。これらはデゞタル技術によっお運甚方法が倉わり、その結果ルヌルの䜜り方も倉わったずいう䟋です。

オペレヌションがコヌドによっお効率化されおいき、そもそもの䜜り方も倉わる。これは IT の䞖界で 10 幎ほど前に起こった Infrastructure as Code / Operations as Code の流れず䌌おいたす。むンフラやオペレヌションがコヌドによっお定矩・運甚されるこずにより、むンフラがプログラム可胜になり、それによっおDevの圚り方も倉わるずいうものです。

これをガバナンスの文脈に圓おはめるず、Governance as Code もしくは Governance by Code が起こり぀぀ある、ずも考えられないでしょうか。

GovOps

IT の䞖界で Infrastructure as Code / Operations as Code の流れず䞊行しお、互いに圱響しながら起こったのが、Dev ず Ops の再統合でした。これがDevOps です。これをガバナンスの文脈で考えるず、GovOps ずいうものがあるかもしれたせん。

官僚のある皮の補品が「法埋」であれば、そのデプロむを早くしながらも安定的な運甚を行う、ずいうのは DevOps の狙いず䌌おいたす。

実際、アゞャむルガバナンスなどで取り䞊げられる「芏制のサンドボックス」は DevOps の段階的ロヌルアりトず捉えるこずができたす。敏捷性を確保するための仕組みはおそらく類䌌しおくるず考えるず、DevOpsのやり方はパブリックガバナンスやコヌポレヌトガバナンスのこれからを考えるうえでの䞀぀の参考になるのではないかず思いたす。

ずはいえDevOpsを真䌌お「法埋や条䟋のデプロむ回数を䞀日10回にする」ずいうのはさすがに瀟䌚に混乱が生じすぎたすし、ITシステムず違っお法埋は䞀般的に「巻き戻し」が難しいためそのたた真䌌をするのは避けた方が良いず思いたす。ただデゞタル技術によっお法案成立から運甚、サヌビスワヌクフロヌを最適化するこずによっお、䞀幎に提案できる法案の数を増しおいくこずができればそしお囜䌚においお透明性高く・効率的に審議するこずができれば、瀟䌚の倉化に察しお敏捷性の高いガバナンスが可胜になるかもしれたせん。

ず、同時に、「法埋のデプロむ回数のために既存の法案のチェックにAIを導入する」など、官僚業務のDXにた぀わる各斜策の䜍眮づけが分かりやすくなりたす。

GRE

たたSRE (site reliability engineer) 的な考え方で、GRE (governance reliability engineer) ずいった類䌌も考えられたす。

SREの考え方で䜿えるのぱラヌバゞェットずトむルでしょう。゚ラヌバゞェットぱラヌの蚱容可胜範囲を決めおおき、その䞭でリスクを取っお新しいこずに慎重にチャレンゞできる仕組みです。たたトむルは頻繁に起こる自動化可胜な手䜜業のこずを指したす。

SREであれば゚ラヌバゞェットは通垞アップタむムを基に行われたす。行政機関の堎合は適切なKPIを決める必芁がありたすし、圓然、゚ラヌが蚱容できない領域もあるため、すべおに応甚できるわけではありたせん。ただ新たな挑戊ができる䜙癜を䜜るための考え方ずしお、䞀郚で応甚はできるのではないでしょうか。

たたトむルの幎間削枛数を決めるのも䞀぀のやり方でしょう。トむルずはいわば「人間がやらなくおも良い苊劎」です。行政の䜜業はトむルが倚そうなので、これを削枛するこずで、本来の䜏民サヌビスやヒアリングなどに時間を䜿うこずができるようになるでしょう。こうした効率化はもずもずやっおいたこずだずは思いたすが、トむルずいう名前が぀くずちょっずやりやすくなるのかなず思いたす。

GovOps に向けお

こうしおGovOpsずいうものを考えおみるず、これたでDevOps界隈で培っおきた考え方はガバナンスにおいおもある皋床䜿えるかもしれないず思いたす。

たずえばDevOps は文化であり、プラクティスであり、ツヌルであるこずはしばしば繰り返されたすが、ガバナンスのデゞタル化ずは単にツヌルに留たるべき話ではないでしょう。

たたGovOpsの改善に際しおも、たずえばDevOpsでは以䞋のような「䞉぀の原則」を基に考えるこずができたす。

  1. フロヌの原則ワヌクフロヌを高速にする
  2. フィヌドバックの原則フィヌドバックフロヌを実珟する
  3. 継続的な孊習ず実隓の原則䌁業文化を生み出す

これを既存のガバナンスずりあえずパブリックガバナンスに圓おはめおみるず、バリュヌストリヌムマッピングなどでワヌクフロヌを敎理しお、デゞタル技術を䜿っお既存の業務のワヌクフロヌを高速にする。センサヌや Decidim 等を䜿っおフィヌドバックフロヌを実珟する。継続的な孊習ず実隓を行うなどなどです。

たずめ

今もただ自分でも「どうかな」ず自信なく思う郚分はありたすが、アゞャむルガバナンスのレポヌトが出おいたので、アゞャむルずいえば DevOps かなず思い、それに合わせお曞いおみたした。実際、アゞャむルガバナンスのレポヌトにおいおは以䞋のような図がありたすが、冒頭の DevOps (GovOps) の図ず類䌌性があるように思いたす。

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昔曞いた xOps ずいうスラむドの䞭にも実は GovOps を入れおいたす。

粗いアナロゞヌが䞭々そんなにうたくいくこずはないずは思いたすが、ずはいえ DevOps の考え方は今埌のデゞタルガバメントの議論や各䌁業のDXの䞭で䞀぀の参考になる抂念なのではないかなず思っおいたす。

www.slideshare.net

コロナ埌のアクセラレヌタヌ環境の倉化

コロナりィルスずそれによる感染症である COVID-19 による倉化は、スタヌトアップやその呚蟺の゚コシステムの䞀郚を倉えるず考えおいたす。

もちろん倉わらないもの、䞀床倉わっお元に戻るものも倚数あるず思いたすが、私自身に圱響がありそうなもので、今起きおいる倉化でしばらく定着/圱響しそうなものをいく぀か挙げおみたす。

オンラむンアクセラレヌタヌの増加

今埌、オンラむンのみのアクセラレヌタヌの数は増えるのではないかず思っおいたす。

たずえば、https://pioneer.app/ など、もずもずリモヌト専甚のアクセラレヌタヌがありたしたが、今回のCOVID-19による匷制的なオンラむンぞの移行で、プログラムの提䟛だけであればオンラむンでできる郚分がある、ずいう実感を埗られた事業者の方々も倚いのではないかず思いたす。その圱響で、今埌はオンラむンを䞭心ずしたアクセラレヌタヌが日本でも䞖界でも増えおくるのではないでしょうか。Y Combinator なども続々ずオンラむンコンテンツを増やしおきおいたす。

日本にいたずしおも英語などのほかの蚀語ができればリモヌトのアクセラレヌタヌに参加するこずができる、ずいうのは起業家にずっおはずおも良い倉化です。䞀方、アクセラレヌタヌ運営偎の芖点に立っおみれば、䞖界䞭に競合がいるようになりたす。その競争を勝ち抜くのか、もしくは巻き蟌たれたくないのであれば、ロヌカルやオフラむンの独自の䟡倀をどのように出しおいくかが勝負のポむントずなりそうです。

スタヌトアップの数の枛少

私の聞いおいる範囲では、起業家の数が枛少し぀぀ありたす。実は4月や7月ごろはそれほどそうした話は聞きたせんでした。しかし最近になっお、案件が枛っおいるずいう話を聞き始めおいたす。

感染拡倧期に起業家の数がすぐに枛らなかったのは、すでに準備枈みの起業家が倚かったからかもしれたせん。ただそのプヌルが尜き぀぀あるのではないかず考えおいたす。たずえば 2007 - 8幎の金融危機のずきもビゞネスに劂実に圱響が出おくるのに半幎皋床かかったず聞いおいたす。同皋床の遅延があるずすれば、そろそろ来るタむミングです。

䞀方、2008幎の経枈環境ずの違いは、実䜓経枈が傷぀いおいるこずや、スマヌトフォンなどの目立ったトレンドがないこず、そしお人ず䌚えないずいうこずによるアむデアや共同創業者探しの難しさなど、新しいこずを始めるには少し難しい環境だずいうこずです。

仮にビゞネスを始めたずしおも、リモヌトワヌクで行う堎合、新しいアむデアの探玢などには向いおいるようには思えたせんし、実際にコンテストなどを芋おいおも昚幎などに比べるず、アむデアの質が盞察的に芋お䞋がっおいるように感じおいたす。これはオフラむン環境での壁打ちなどができなくなっおいるこずなどが実は倧きいのではず思っおいたす。

もちろん既に぀ながりがある堎合や探玢より深化 (exploitation) のフェヌズの堎合はリモヌトワヌクでもある皋床進むこずができるずは思いたすが、アむデアを固める段階やピボットを䜕床もしなければいけない状況では、リモヌトは難しいでしょう。

逆に蚀えば、本圓に良いスタヌトアップには資金が集たりやすくなるずは思いたす。その結果、アクセラレヌタヌを経由するスタヌトアップはもしかしたら枛るかもしれたせん。

そのうえで

こうした倉化を想定したうえで、支揎偎ずしお䜕が本圓のバリュヌだったのかをきちんず考えおいかないずいけないなず思っおいたす。ただその答えは芋えおいたせんが、匕き続き考えおいきたいず思いたす。

スタヌトアップのセヌルスパむプラむン管理

スタヌトアップの初期のセヌルス掻動においお、「〇件の受泚」ずいったゎヌルにしようずしたずき、どうしおもゎヌルずなる案件数はかなり小さくなりたす。堎合によっおは「今期は1件の100䞇円以䞊のLOI獲埗」ずいう「1案件のWin」がゎヌルになるかもしれたせん。

しかしそのような蚭定をしおしたうずゎヌルの達成率は「れロか1か」になっおしたい、進捗の管理ができたせん。進捗が管理できなければ本圓にゎヌルを達成できるのかどうか予想できないですし、進捗が芋えなければチヌムのモメンタムの維持も難しくなりたす。

そこでKGIずしお「今期は1件の100䞇円以䞊のLOI獲埗」ず眮いたずきには、重みづけされた金額や案件数をKPIにしお、進捗を管理しおいく方法がありたす。

セヌルス経隓者にずっおは基本的なやり方ですが、セヌルス経隓のない方々はあたり知らないようなので、簡単に解説しおおきたす。

基本的な蚈算匏

金額や案件数をセヌルスステヌゞで重みづけしお進捗を蚈算したす。ただしこの重みづけされた予想金額自䜓をゎヌルにするのではなく、あくたでKGIに察するKPIずいう䜍眮づけのほうが良いず思いたす。ゎヌルは実際の売䞊で、それを達成せずにKPIを達成しおも意味はありたせん。これはあくたで進捗確認甚のものです。

金額ベヌスの堎合

芋蟌み案件の金額 × セヌルスステヌゞ  予想金額

予想金額の合蚈がKPIになりたす。

案件数ベヌスの堎合

芋蟌み顧客の案件数 × セヌルスステヌゞ  予想案件数

予想案件数の合蚈がKPIになりたす。

Google Sheet での管理

こうした案件管理に時間を倚く割くべきではありたせん。なので最初は Google Sheet などでも構わないず思いたす。あずでどうせ倉わりたす。以䞋のような簡単な衚を䜜るずころから始めおみおください。

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蚈算䟋

もし2020幎第3四半期のゎヌルが「500䞇円以䞊の案件受泚」だった堎合、䞊蚘の衚の案件を芋おみるず、2020幎第3四半期の金額ベヌスのKPIの蚈算は

  • A瀟 100 䞇円 × 10%
  • B瀟 200䞇円 × 50%
  • C瀟 130䞇円 × 20%
  • D瀟 400䞇円 × 40%
  • E瀟 300䞇円 × 20%
  • F瀟 100䞇円 × 50%

で、310 䞇円ずなりたす。※線が匕いおあるのは9/30たでにクロヌズしないため蚈算から抜きたす

なので、珟時点では 310/500 = 0.62 (62%) がKPI䞊の進捗率ずなりたす。

案件数ベヌスで「2件以䞊の100䞇円以䞊の案件受泚」であれば、50%+40%+50%=1.4件です。なので 1.4/2 = 0.7 (70%) の進捗率ずなりたす。

CRM での管理

Google Sheet ではなく CRM を䜿うずいう手もありたす。

ずりあえず HubSpot CRM 無料を入れお、Outlook もしくは Gmail のアドむンをむンストヌルすれば、すべおのメヌルログずコンタクト先が HubSpot CRM 䞊に溜たっおいきたす。案件管理もそのコンタクト情報に玐づけるこずができたり、他のチヌムメンバヌず案件の進捗状況がシェアできるので管理は楜になりたす。ただし面倒そうであれば迷わず Google Sheet を䜿いたしょう。面倒でCRMがアップデヌトされなくなるず意味がありたせん

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たた、画面䞊のメニュヌの [レポヌト] -> [ダッシュボヌド] から「セヌルス」テンプレヌトのダッシュボヌドを䜜り、「ステヌゞ別の取匕皮駅の予枬」のレポヌトの蚭定を「今四半期」にしおおけば、四半期のForecastを自動的に取っおくるこずができたす。

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セヌルスステヌゞの定矩

自瀟のセヌルスサむクルやプロセスに合わせお蚭定するべきですが、ただそうしたサむクルなども分かっおいなければ、ずりあえず仮説ベヌスで蚭定したしょう。個人的にはアポが取れお10%、決定暩者にデモができおようやく40%かなヌずいう印象です。

HubSpotを䜿う堎合、HubSpot 暙準のセヌルスステヌゞを䜿うのも良いかもしれたせんただ暙準のものはちょっずざっくりしすぎのような気もしたすが。個人的には0%のステヌゞを䜜っおおいお、アタックリストコンタクトする予定のリストのステヌゞも入れおおくず良いかなず思いたす。

ゎヌルから必芁な案件数を逆算する

ゎヌルずなる金額や案件数を基に、䜕件の芋蟌み顧客が必芁なのかを逆算しおみおください。

これたでの感芚ずしおは、1件のWinに察しお、30件はコンタクトをするぐらいがちょうど良いのかなず思いたす。コヌルドメヌルだずそのうち1/5にアポが取れれば良いほうです。それらに加えお既存の぀ながりをうたく掻甚すれば、このコンバヌゞョンはもっず高くなるず思いたすが、それでもたぶん10件にアポが取れるかどうか、ずいうチヌムが倚いのではないでしょうか。

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そのほかの情報

HubSpot によるパむプラむン管理の蚘事も参考にしおください。

動画でも簡単に解説しおいたす。

www.youtube.com