🐎 (銬)

Takaaki Umada / 銬田隆明

キャリア教育ずしおのアントレプレナヌシップ教育

様々な研究で指摘されおいるこずずしお、起業家のキャリアを遞ぶかどうかの圱響が倧きな䞀぀の芁玠は、芪が起業家かどうかです。芪が起業家であるず、子䟛が起業家になる確率が 1.3 から 3.0 倍高たるず蚀われおいたす䞋蚘研究の冒頭を参照。

興味深い研究ずしお、スりェヌデンの逊子を調べた研究がありたす。

逊子の方がどのようなキャリアを歩むのかに぀いお、育おの芪ず生みの芪のどちらが圱響が倧きいかの調査をしたずころ、起業家になるかどうかに぀いおは、生みの芪よりも育おの芪の圱響のほうが玄2倍ほど倧きかった、ずいう結果になりたした。どうやら、起業家のキャリアに぀いおは遺䌝よりも育ちの環境が倧きいようですただし生みの芪からの圱響も確認されおいたす。

若いころから起業家のロヌルモデルが傍にいれば、「そうしたキャリアもある」ずいうのは自然ず認識できるのかもしれたせん。起業家に限らず、二䞖政治家が倚いのも、単に支持基盀があるからずいうだけではなく、芪が政治家でそうしたキャリアのこずを早くから知っおいお、それを傍で芋おいた、ずいう芁因も倧きいのではないでしょうか。

そしおこの結果は、起業家は育おるこずができる、ずいうこずも瀺唆しおいるように思いたす。そのような環境を䜜るこずができれば、起業家になる人を増やしうるかもしれないからです。

若幎局ぞのキャリア教育ずしおのアントレプレナヌシップ教育

キャリア教育は小䞭高ずいった若幎局に察しお行われるこずが倚いものです。これはキャリアに぀いおは早期の段階での教育が効果的だず考えられおいるからでしょう。 確かに、倧孊のような高等教育段階では、その人のキャリアに察しお圱響を䞎えづらくなっおいる可胜性は高そうです。

もし起業家を増やしたいのであれば、発達の早期の段階でキャリア教育的なアントレプレナヌシップ教育を受けおもらうほうが効果は高いず考えられるでしょう。

しかし、いく぀かの泚意点がありたす。

(1) アントレプレナヌシップ教育を受けたからずいっお、党員が起業家になるべき、ずいうわけではない

たず、党おの人が起業家になった方が良いずいうわけではありたせん。個々人の適性もありたす。たた、既存の仕組みの維持も重芁であり、既存の業に携わる人も必芁です。

なので、アントレプレナヌシップ教育を広めるずきに、「党員が起業家になろう」ずいうメッセヌゞを出すのは良くないのではないかず思いたす同様のこずがしばしば議論されおいたす。あくたで、キャリアの䞀぀の遞択肢ずしお、起業家ずいう道があるこずを認識しおもらう、ずいう皋床にずどめおおくほうが良いのではないでしょうか。

仮にそうしたキャリアを提瀺したずしおも、あくたで向き䞍向きを自分で知っおもらうためのものずしお提䟛した方が良いのではないかず思いたす。向いおいる人は突き詰めれば良いし、向いおいないず思えばやめおもいい。あくたでそうした遞択肢を瀺しながら、適性を刀断するための機䌚を提䟛するべきではないかず思いたす。

そもそも、起業家になれる人はそれなりのリスクが取れる人です。そしおすべおの人が、そうしたリスクを取れるわけではありたせん。そうしたこずを留意したうえで、キャリアずしおの起業家ず蚀う遞択肢を瀺すべきではないかず思いたす。

(2) 商業だけではなく、〇〇起業家も含めおキャリアを提瀺する

たた商業的な起業家に留たらず、瀟䌚起業家、政策起業家、垂民起業家ずいった、様々な起業家の遞択肢を認識しおもらうこずも倧事だず考えたす。

なぜなら珟圚の瀟䌚においおは、様々な領域で「起業家的人材」が求められおいるからです。

起業家教育ずいうずビゞネスの話が出おきおしたいがちですが、これからのアントレプレナヌシップ教育は、ビゞネス的な起業家を増やすためずいう䜍眮づけよりも、より広い意味での起業家的人材を育おるものでもあった方が、幅広い人たちが受講する意味は生たれるように思いたす。

(3) プログラムを増やせば良いずいうわけでもない

たた、〇〇起業に関するキャリア教育のプログラムを増やせばよいずいうわけではありたせん。

株匏䌚瀟応甚瀟䌚心理孊研究所のキャリア実態調査によるず、キャリア教育プログラムを受けた個数が増えおも、しごず芳は倉化しないこずが瀺唆されおいたす。

高校生から芋たキャリア教育実態調査 (2018幎) https://value-senmon.com/archives/news/1456

この結果をそのたた圓おはめるこずはできたせんが、おそらくアントレプレナヌシップに関するキャリア教育を増やしおも効果は薄そうだなずいうのは感じおいたす。

発達段階に合わせた課題で、真正性の高い経隓を提䟛する

ではどうすればよいのでしょうか。

たずきっかけずしお、起業家ずいうキャリアの遞択肢を知っおもらうこずは倧事だず思いたす。きっかけを䜜るのはゲスト講挔などでも良いかもしれたせんが、メンタリング等でもそこたで効果がなかったこずを考えるず、それだけでは効果は期埅できないように思いたす。なので、肝ずなっおくるのは、きっかけを提䟛した埌に続く教育機䌚を連続的に蚭蚈できるかどうかです。

どういうキャリア教育に効果があるのか、に぀いおは、私もただ調べおいる途䞭で、ぜひ教えおほしいずころです。ただ䞀぀のヒントずしお、䞊蚘に匕甚した「高校生から芋たキャリア教育実態調査」では、キャリア教育に積極的な姿勢で取り組み、埗られた䜓隓や経隓が優れおいれば、しごず芳が倉わるこずも指摘されおいたす。

実際、アントレプレナヌシップ教育には座孊ではなく実践で行った方が効果的だず感じる人は倚いのではないでしょうか。

なので、今のずころの仮説ずしおは、きっかけを提䟛した埌に、起業家的な䜓隓・経隓を真正性の高い圢で提䟛しお、経隓を通じお自己効力感や胜力などを逊っおいき、同時に向き䞍向きを知っおいく、そうした機䌚を提䟛するこずが良いのではないかず思っおいたす。

しかしその経隓を提䟛するために、ビゞネス起業の䜓隓を提䟛しようずするず、初等䞭等教育の孊生だず、ビゞネスで䟡倀を生むこずはかなり難しい、ずいう壁にぶ぀かりたす。しかも起業的な䜓隓ずいうず、単に売買をすれば良いずいうわけではなく、新しいビゞネスを起こすこずになっおきたす。倧人ですら新芏事業はうたくいかないのに、その幎ごろの子䟛が新しい事業を成功させるこずはかなり難しいものです。

䞀方で、できるこずをベヌスに考えおしたうず、暡擬店やビゞネスプランだけになり、真正性が䜎い経隓になっおしたいたす。それは優れた䜓隓や経隓ず蚀えるのかずいうず、少し疑問です。

であれば、発達段階に応じお、ビゞネス起業以倖の起業の領域を遞べるようにするのはどうでしょうか。

䟋えばそれは、小孊校であれば、孊校の課題に぀いお取り組み、校則を倉えるなどのルヌルメむキングによる解決を行っお、政策起業家ずいうキャリアを提瀺しながら自己効力感を育おるこずができるかもしれたせん。䞭孊校であれば地域の課題解決を、孊生が埗意ずする IT などを掻甚しお行えるのかもしれたせん。

このように初等䞭等でアントレプレナヌシップ教育を実斜する堎合は、ビゞネスでの課題解決をする取り組みよりも、孊校や地域の地域の瀟䌚課題を解決するような取り組みを掚奚する方が、より真正性の高い経隓になるのではないかず思いたす。

そうした発達段階に応じた、真正性の高い暡擬的ではない起業家的経隓をビゞネスに限らず考えお、その機䌚を提䟛するこずが、起業家的なキャリアを瀺す方法であり、たた資質・胜力を涵逊するために必芁なアントレプレナヌシップ教育なのではないかず考えおいたす。

そしおそうした課題解決の経隓を提䟛するこずは、ロヌルモデルになるような人ずの出䌚いを提䟛するこずにも぀ながりたす。その人の元で䞀緒に働いおみるきっかけを䜜るこずにもなるでしょう。

あるいは同じような課題解決をしおいる〇〇起業家の友達ず出䌚えるきっかけを䜜るこずもできたす。

教育や授業の䞭でできるこずは限られおいたすが、授業だからこそ孊生の皆さんには新しい䞖界を芋せ、぀ながりを぀くるきっかけを䜜るこずもできたす。実際の経隓を通しお、ロヌルモデルや仲間ず぀ながる機䌚を提䟛するこずが、アントレプレナヌシップ教育の䞭のキャリア教育ず蚀える郚分なのではないかず個人的には思っおいたす。

「狭矩」ず「広矩」のアントレプレナヌシップ教育

アントレプレナヌシップ教育には「狭矩」ず「広矩」のアントレプレナヌシップ教育がありたす。

端的に蚀えば、狭矩は起業のための教育、広矩は起業以倖を含む起業家的な資質・胜力を涵逊するための教育です。

OECD のアントレプレナヌシップ教育に関するレポヌトでも、アントレプレナヌシップ教育を広矩ず狭矩に分けお議論されおいたす。その䞭では、

  • 狭矩のアントレプレナヌシップ教育 - ビゞネスを始めるための教育
  • 広矩のアントレプレナヌシップ教育 - 創造性や機䌚志向、積極性など

ず䜍眮付けられおいたす。

狭矩ず広矩のアントレプレナヌシップ教育

日本では狭矩の教育をするこずがアントレプレナヌシップ教育や起業家教育だず考える向きが匷いようです。しかし、䞖界のアントレプレナヌシップ教育の朮流を芋おみるず、広矩の教育を重芖するほうに向かっおいるように思いたす。

もちろん、ビゞネス教育を通しお、広矩のアントレプレナヌシップを涵逊するこずはも可胜だず思いたすし、䞀぀の有効な手段であるず思いたす。実際に私たちの授業でもビゞネスを題材にお話しをしおいたす。

ただ、狭矩のアントレプレナヌシップ教育ず異なるのは、狭矩で扱う題材を通しながらも、いかにしお広矩のアントレプレナヌシップを身に着けおもらうか、を匷く意識しながら蚭蚈しおいる点です。

たずえば、以䞋の図は私たちの授業の蚭蚈の時に意識しおいるこずです。授業で䌝えたり、䜓隓をするのは赀色で瀺されるビゞネス的な掻動です。しかしそこからオレンゞ色で瀺されおいる、䞭矩に圓たるような資質・胜力やその他の資源を獲埗できるよう、かなり匷く意識しながら、最終的に広矩のアントレプレナヌシップに蟿り着いおもらおうずしおいるのが、私たちの授業の蚭蚈です。

こうした狭矩ず広矩の分類を考えずに、狭矩の教育だけを行っおしたうず、単なる起業家向けの研修になっおしたい、起業を垌望しおいない人達にたでその研修を広める意味はそこたで芋いだせないように思いたす。

狭矩の教育からの脱华

もし日本でアントレプレナヌシップ教育をもっず展開しおいくのであれば、狭矩から広矩ぞのアントレプレナヌシップ教育の移行を進める必芁があるでしょう。

そうでなければ、ビゞネス起業家以倖の〇〇起業家を育おるこずもできたせん。たたアントレプレナヌシップ教育をより広く、若幎局に展開しおいくこずに぀いおも、瀟䌚からの承認は䞭々埗られないでしょう。起業する人はほんの䞀郚だからです。

なるべく「起業家教育」ずいう蚀葉を極力䜿わず、「アントレプレナヌシップ教育」ずいう蚀葉を䜿っおいるのも、この狭矩ず広矩を意識しおのものです。「起業家教育」ずいうず、どうしおもビゞネス起業家向けの教育、぀たり狭矩のものを想起しおしたうからです。

様々な「〇〇起業家」が求められおいる今、商業以倖の分野でも起業家をより倚く生み出し、そのための汎甚的な起業家的胜力を涵逊するための教育を目指すべきだず考え、アントレプレナヌシップ教育ずいう蚀葉を積極的に䜿っおいたす。

研修ではなく教育ぞ

さらに狭矩ず広矩を考える際には、研修ず教育ずを分けお考えたほうが良いように思いたす。これに぀いおは以前別の蚘事で曞きたした。

blog.takaumada.com

筆者の関係する掻動で蚀えば、東京倧孊 FoundX は起業家や起業志望者向けずなっおいるので、狭矩のアントレプレナヌシップ教育であり、研修に近いものですが、倧孊の授業で行っおいる内容は、より広矩のアントレプレナヌシップ教育であり、教育を意識しお行っおいたす。

珟圚、倧孊で行われおいる「起業家教育」の倚くは、ファむナンスや組織蚭蚈、ビゞネスモデルなどを教えるような内容の、「ビゞネス教育の起業版」であり、「起業家向けの研修」に近いものが倚いようです。

起業家になるず決めた人には有効であっおも、そうでない倧倚数の人たちにずっおはそれほど圹には立ちたせん。それに倧孊生や䞭高生に察しお行うようなものではないように思いたす。

ビゞネス系の専門職倧孊院やMBAなどで行うのは「狭矩の起業家教育」で良いず思いたす。既に起業意思が高い人たちだからです。しかしより広い受講者がいる孊校の授業で行うべきなのは、広矩のアントレプレナヌシップ教育であるず考えおいたす。

そしお個人的には、狭矩のアントレプレナヌシップ教育を、MBA 以倖の孊校教育の䞭で積極的に展開するのは反察の立堎です。任意参加であればただ良いず思いたすが

あくたで様々な〇〇起業家を生むための教育であり、そのための汎甚的な資質・胜力を涵逊するための教育である、ずいう芳点でアントレプレナヌシップ教育を䜍眮付けたほうが、日本瀟䌚党䜓に良い圱響を䞎えるのではず思いたす。

アントレプレナヌシップず『起業家性』、アントレプレナヌシップ教育で涵逊するべき資質・胜力

アントレプレナヌシップは、起業家粟神や䌁業家粟神ず蚳されるこずが倚い蚀葉です。

その「粟神」ずいう語感から、アントレプレナヌシップ教育ずは「起業家の持っおいるような粟神やマむンドセットを育おる教育」なのだず思われる人もいるようです。そのため「本圓に教えられるのか」「粟神に介入するのは良いこずなのか」ずいった疑問も招きがちです。

しかし、元々の英語にある〇〇シップ(-ship)ずは状態や胜力を瀺す蚀葉です。英語でのアントレプレナヌシップずいう蚀葉のニュアンスは、決しお粟神論やマむンドセットだけの話ではありたせん。資質・胜力人間性等だけではない、知識や技胜、思考力や衚珟力等ずいった、獲埗できる胜力の面も含んでいるのがアントレプレナヌシップずいう蚀葉です。

たずえば、他の〇〇シップで有名なものには、リヌダヌシップがありたす。そしおリヌダヌシップを教えるずきには、単に粟神論に終始するのではなく、スキルや知識に぀いおも語られるこずが普通でしょう。スキルや知識であれば、埌からでも獲埗可胜なものも倚くありたす。

぀たり、アントレプレナヌシップ教育を考えるずきには粟神的な郚分だけを考えるのではなく、獲埗できる・教えられる郚分もある、ず捉えたほうが良いでしょうし、そのほうが建蚭的な議論が可胜になりたす。

もし粟神論に拘泥しおいるようだず、アントレプレナヌシップ教育は「起業家や瀟䌚起業家を呌んできお、圌ら圌女らの情熱を䌝えれば粟神が倉わる」ずいった、逆効果の可胜性のある教育が広たっおしたうのでしょう。

そうした粟神論の教育からは脱华し、どのように効果的に胜力や資質を䌞ばしおいくのか、ずいった議論をより積極的にしおいくべきのように思いたす。そしお実際に、こうした起業家性にた぀わる胜力や、その結果ずしおの起業パフォヌマンスは、教育で䌞ばしうるこずがいく぀もの研究で瀺唆されおいたす。

そうした背景やアントレプレナヌシップの原矩を鑑みお、アントレプレナヌシップは「起業家粟神」「䌁業家粟神」ではなく、「起業家性」ず蚳されるべきでは、ずいった論もありたす。私も個人的には、アントレプレナヌシップを起業家性ずしお捉えたほうが、誀解を招くこずが少ないのではず思いたす。

もちろん、マむンドセットや態床がアントレプレナヌシップの構成芁玠ずしおあるずは思っおいたす。それにこうした態床などは特定の発達段階を過ぎるず倉わりづらくなっおくるからこそ、アントレプレナヌシップ教育をするのであれば若幎局での教育が重芁であるず考えおいたす。

資質・胜力ずは

では起業家性を構成する資質・胜力、぀たりアントレプレナヌシップ教育の䞭で育むべき資質・胜力ずは䜕でしょうか。

それを考える䞊では、たず資質・胜力に぀いお考える必芁がありたす。

日本で䜿われる資質・胜力ずいう蚀葉は、英語で語られるコンピテンシヌ (competency) ずほが同矩のものずしお扱われおいるようです。コンピテンシヌは䞀般的に「特定の物事をより良く行うための、知識、スキル、態床 (Knowledge, Skill, Attitude で KSA)」ず理解されるこずが倚いように思いたす。

アントレプレナヌシップ教育の領域でも、コンピテンシヌずいう蚀葉はよく出おきたすし、教育の成果ずしおコンピテンシヌを䌞ばすこずは䞀぀の目的ずなっおいたす。するず、アントレプレナヌシップ教育をどのように行うかずは、「アントレプレナヌシップに関するどのような知識、スキル、態床をどのように身に着けるべきか」ずいう問いずなりたす。

アントレプレナヌシップずは

次にアントレプレナヌシップずはそもそも䜕か、ずいうこずを考える必芁がありたす。

これは論者によっお異なるのが珟状です。Gedeon のレポヌトでは、本圓に様々な皮類の定矩が集められ、掲茉されおいたす。この䞭で頻出する単語ずしおは「機䌚」「リスク」「資源」などがありたす。

文郚科孊省は2016幎に起業家粟神を「チャレンゞ粟神、創造性、探究心等」ずし、起業家的資質・胜力を「情報収集・分析力、刀断力、実行力、リヌダヌシップ、コミュニケヌション力等」ずしおいたす。ただ、あたり海倖の文献を芋おいおも出おこない単語が倚く、独自性の高い定矩のように芋えたす。

EUは2016幎にアントレプレナヌシップのコンピテンシヌである、European Entrepreneurship Competence Framework、略しおEntreCompをたずめおいたす。

EntreComp では起業家的なコンピテンシヌを「機䌚やアむデアに基づいお行動し、他人のために経枈的、文化的、瀟䌚的䟡倀に倉換する胜力」ず定め、现かく15個の胜力ず8぀のレベルに分けおいたす。15個を倧別するず、「アむデアず機䌚」「資源」「行動ぞ」の3぀ずなっおいたす。これらを図で瀺すず以䞋のようなものになりたす。

こうした EntreComp は過去のアントレプレナヌシップに関する研究で頻出する、「機䌚」「資源」などの抂念を含んでいたす。たた昚今、熟達した起業家に぀いおの研究の䞭でも泚目される゚フェクチュ゚ヌションに関連する「行動」も含たれおいたすし、さらに、狭矩のアントレプレナヌシップではなく、広矩のアントレプレナヌシップに基づいお構成されおおり、考えるベヌスずしお良いのでは、ず思いたす。

アントレプレナヌシップ教育で涵逊するべき四぀の資質・胜力

そのうえで、私が今考える、「アントレプレナヌシップ教育」で涵逊するべき資質・胜力は、以䞋の四぀ではないかず思っおいたすただし、今埌の怜蚎や議論を経お倉わるかもしれたせん。あくたで珟時点のものです。

  1. 機䌚の発芋ず創造
  2. 資源の掻甚ず獲埗
  3. 詊行錯誀による孊習
  4. リスクの管理ず遞択

1.  機䌚の発芋ず創造

䞀぀目は機䌚に関する知識・スキル・態床です。

様々な倉化や䞍確実性を芋぀け、それを評䟡しお、機䌚ずしお認識できるこずは、起業家性の䞀぀の芁玠ずしお取り䞊げおも良いのではず思いたす。機䌚ずいう蚀葉はしばしばアントレプレナヌシップの研究の䞭でも出おくる単語です。

ただし、客芳的に存圚する機䌚を芋぀けるだけではなく、行動するこずで新たな機䌚を創造する、ずいう偎面もあるため、発芋 (discovery) ず創造 (creation) の䞡方を入れおいたす。

これたでのアントレプレナヌシップ教育や起業家教育では、垂堎や環境の分析をしお、ビゞネスプランを蚈画をする教育が䞻でした。そうした掻動は機䌚を発芋するこずが䞭心に眮かれおいるように芋えたす。しかし実際には、詊行錯誀をしお自ら環境に働きかけるこずで、機䌚を創造するこずも重芁です。おそらく発芋ず創造はサむクルで回っおいくものでしょう。発芋ず創造の䞡方を意識しながら胜力を䌞ばす必芁がありたす。

2.資源の掻甚ず獲埗

二぀目は、人・もの・金・時間ずいった資源を䞊手に掻甚する知識・スキル・態床ず、そうした資源を獲埗する知識・スキル・態床です。

䞀般的にビゞネススクヌルで教えられるのは、䞎えられた資源を最倧限掻かすための知識やスキルですが、起業家は資源が䞍足しおいる䞭で事業を䜜らねばならないため、自分の持っおいる資源を超えお、倖郚にある資源を獲埗しにいきたす。

たずえば、スタヌトアップの起業家で蚀えば資金調達や採甚は資源の獲埗ですし、瀟䌚起業家でも資金調達は必芁です。自分が持぀資源の範囲内で行うのではなく、機䌚を远求するためなら、倖郚の資源をも掻甚するし、掻甚できる、ずいう態床を涵逊するこずが起業家性ずいう芳点では重芁ではないかず思いたす。

゚フェクチュ゚ヌションの領域ででも、Effectual Ask の熟達の研究が進んでいたすが、Askもたさに倖郚の資源の獲埗のためのスキルず蚀えたす。

この考え方を端的に衚した、もっずも有名なアントレプレナヌシップの定矩の䞀぀は、ハヌバヌド倧孊のスティヌブン゜ン教授による「コントロヌル可胜な資源を超越しお機䌚を远求するこず」でしょう。

ただし獲埗だけでもダメで、埗られた資源を掻甚できなければなりたせん。呚りに資源があるのに掻甚できない人もたくさんいたす。それに手持ちの少ない資源を掻甚しお成果をあげたような人でなければ、远加で資源を埗るこずもできたせん。

スタヌトアップでいえば、わずかな資源であっおも事業進捗を生んで、その成果をもっお投資家を説埗したすが、そのためには資源の掻甚のためのスキルが必芁です。぀たり掻甚ず獲埗のサむクルを回しおいくためにも、䞡方が必芁だずいうこずです。

3. 詊行錯誀による孊習

孊習は、知識䌝達を含んだ様々な圢で行われたす。しかしアントレプレナヌシップずいう芳点では、行動によっお埗られた経隓ず、経隓を通した孊習を行うための知識・スキル・態床が重芁になっおくるず思っおいたす。

特に仮説生成ず仮説怜蚌を通した、行動を䌎う孊習が重芁だず考えおおり、さらに単に行動を䞀床起こせば良いのではなく、行動をした埌に、その結果を螏たえお反省し、さらに行動をするずいうニュアンスを含めるために詊行錯誀ずいう蚀葉を䜿っおいたす。

珟圚の起業家教育の倚くは、蚈画しただけで実践せずに終わりのこずも倚く、それは詊行錯誀ずは蚀えたせん。仮に屋台の出店などで䞀床実践したずしおも、それで終わっおしたうず詊行錯誀ではありたせん。

蚈画だけではなく、さらに䞀床だけの実践だけでもなく、実践した埌に振り返りを行っお、䜕床も実践を積み重ねお孊び続けるこずが本来の起業家的プロセスで行われおいるこずのはずで、そのプロセスを教育にも組み蟌んで孊習を促す必芁があるように思いたす。

より具䜓的には、詊行錯誀のプロセスを早めるための知識やスキルず、経隓から孊ぶ態床ず内省のスキルを涵逊しおいくこずが重芁ではないかず思いたす。

4. リスクの管理ず遞択

最埌にリスクに関する知識・スキル・態床です。倉化によっお生たれるリスクを機䌚ずしお捉え、そのリスクを胜動的に取る態床は、起業家性の倧きな䞀぀の偎面のように思いたす。いく぀もあるアントレプレナヌシップの定矩を芋おいおも、リスクに着目した定矩はそれなりの数がありたす。

ただ、無謀なリスクを取るのは決しお起業家的ずは蚀えないでしょう。自ら取れるリスクや、自ら背負える損倱の範囲をきちんず蚈算したうえで、確実性は倚少小さいずしおも倧きなリタヌンが埗られそうであれば、十分にリスクを緩和する策を講じおそのリスクを取るずいった、リスクを「管理する」ずいう偎面、そのための知識やスキルも起業家には倧いに必芁ずなりたす。

そうしたリスクを取るこずによっお、真正性の高い経隓が埗られ、倧きな孊びを埗られるずいう面もありたす。それに恐らくアントレプレナヌシップ教育を孊校で行うこず自䜓、教育の堎が孊校の倖界に開かれ、その結果リスクをはらむものずなりたす。そのリスクをうたく管理ず遞択できおいるかどうかを教育者偎も意識する必芁があるず考え、リスクの項目を入れたほうが良いのではず考えたした。

四぀の構成芁玠の扱いず他の孊習抂念ずの接続

これらはすべおの「〇〇起業家」の掻動においおも、共通しお掻甚できる胜力ではないかず考えおいたす。たた、起業家に限らず、䞍確実性の高い状況においお䞖界に圱響しお新たな䟡倀を生み出しおいく、ずいう面で汎甚的な胜力ではないかず思いたす。

たずえば研究者を䟋に挙げおみたしょう。ここでの機䌚はビゞネス機䌚だけではなく、最先端の䞍確実な状況䞋で科孊的発芋の機䌚を特定するこずです。たた研究費ずいう資源を獲埗しなければなりたせん。実隓はたさに行動を通した詊行錯誀であり、そこから孊んでいくこずです。新しい発芋をするために、適切な範囲でリスクを取るこずもあるでしょう。これらの胜力を身に着けおおくこずは、研究者でも掻甚可胜です。

加えお、これらの胜力を涵逊するこずは、OECDの Education 2030 で提唱される『生埒゚ヌゞェンシヌ』の定矩である、「生埒が目的意識を働かせ、自分自身の責任を果たしながら、呚囲の人々、事象、状況をより良くするために孊んでいくための力。自分の人生および呚りの䞖界に察しお良い方向に圱響を䞎える胜力や意志をも぀こず」にも沿うのではないかず思っおいたす。

これらの四぀の構成芁玠は、起業家的コンピテンシヌの尺床の項目ずも察応させながら考えおいたす。

なお、私がただ考えおいる途䞭のものずしお、倧志をどう持っおもらうか、ずいう悩みもありたす。これをアントレプレナヌシップの䞭に含めるかどうかは議論が必芁で、むしろリベラルアヌツ教育のほうに任せたほうが良いのではずも思いたすが、考えるべき宿題ずしお曞いおおきたす。

教育の実践に向けお

ここたで抂念の敎理をしおきたしたが、教育を実際に行っおいくためにはもう䞀歩具䜓的なものに螏み蟌む必芁がありたす。

そこで、四぀の構成芁玠を知識・スキル・態床の芁玠に分けお、さらにそれを段階に分けお成長させおいくこずが、アントレプレナヌシップ教育を蚭蚈するずきに考えるべきではないかず思いたす。

より具䜓的には、以䞋のような衚を埋めおいきながら、それぞれのアントレプレナヌシップ教育のカリキュラムの到達目暙を定め、それぞれの知識・スキル・態床をどのように涵逊しおいけるかを考えるのが、アントレプレナヌシップ教育で行うべきこずではないでしょうか。

なお、到達するべきレベルは発達段階によっお異なるため、すべおの発達段階で同じ教育を行うべきではないず思っおいたす。発達段階に合わせた教育の重芁性に぀いおは、別の蚘事で指摘しおいたすので、こちらなどもご芧ください。

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これたで経隓や勘で行われおきたように芋えるアントレプレナヌシップ教育ですが、研究を参照し぀぀、このように抂念を敎理しながら進めるこずで、より効果的なカリキュラムを蚭蚈できるのではないかず思っおいたす。たた、それがないたた挠然ずしたアントレプレナヌシップ教育を進めおも、その効果はほずんど芋蟌めないのではないかず懞念しおいたす。