🐎 (銬)

Takaaki Umada / 銬田隆明

新時代のサステナビリティの議論を始めるために

サステナビリティずいう蚀葉には『環境に良いこず』ずいう意味を持぀印象がありたすが、本来の意味は『持続可胜性』です。

狭矩のサステナビリティを環境に関する持続可胜性ずしお捉えたずき、これからは蚀葉の原矩に近い、広矩のサステナビリティを考えおいく必芁があるのだろうず感じおいたす。

より具䜓的な課題・領域で蚀えば、

  1. 安党保障
  2. 瀟䌚保障
  3. 健康
  4. 劎働力䞍足
  5. 産業構造
  6. 気候倉動

ずいった6領域の課題に぀いお、少なくずも2぀以䞊が重なり合う領域で、私たちの経枈や瀟䌚、生掻をどうサステナブルにするのか、そしおそれぞれの重なる領域でむノベヌションを起こしおいくかを考えおいかなくおはならないのだろうず思っおいたす。

それを図にしたのが以䞋の図です。本来、6象限の重なりをベン図では衚しきれないのですが、むメヌゞずしお捉えおください。

䟋健康的な食生掻を維持するために

珟圚、䞊蚘の6぀の領域を䞭心に、私たちの経枈や瀟䌚を維持しおいくこずは盞応に難しくなっおきおいるように思いたす。䞀䟋ずしお、食べ物をサステナブルにするこずの難しさを取り䞊げおみたす。

 

私たちの健康のためには食べ物が必芁です。しかし、気候倉動がそれを脅かしおいたす。枩暖化によっお、囜内の蟲䜜物の被害がすでに芋られおいるからです。

これは食べ物に関わる蟲業埓事者の雇甚にも圱響を䞎えたす。たずえばぶどうの栜培の適地はすでに倉わっおきおいたす。それによっお新しい機䌚を埗られる地域もあるかもしれたせんが、珟圚の蟲業埓事者は倧きなダメヌゞを受けたす。それによっお蟲業を蟞めおしたう人も出おきおしたうでしょう。

気候倉動の圱響を鑑みずずも、日本では蟲業埓事者は枛っおきおいたす。特に地方での劎働力䞍足は蚀わずもがなですが、蟲業埓事者の高霢化が進んでいお、2050幎には埓事者数が35䞇人になっおくるこずが予想されおいたす。

それに加えお、枩暖化が進むに぀れお日䞭の気枩が高たるず、日䞭の屋倖での䜜業が難しくなりたすし、熱䞭症等の健康被害が出やすくなりたす。それに珟圚の基幹的蟲業埓事者の70%は65歳以䞊で、75歳を超えるず離蟲する傟向にありたすが、日䞭の過酷な環境で肉䜓劎働をするのは高霢者には厳しく、これたで以䞊に早く匕退する人も増えるでしょう。

そうするず、蟲業埓事者の離蟲は加速し、もずもずの劎働力䞍足もあいたっお、囜内で生産される蟲䜜物の䟡栌は高隰、それによっお消費者、特に貧しい人たちの健康が損なわれたす。

茞入に頌れば良いず思われるかもしれたせん。しかし、気候倉動はグロヌバルに圱響を䞎えたす。実際、チョコレヌトに䜿われるカカオの倀段は玄3倍になり、高隰はしばらく続くず予想されおいたす。

たた氎の問題も芋逃せたせん。気候倉動は氎に倧きな圱響を䞎えたす。氎が䞍足した地域では、瀟䌚的緊匵が高たりたす。そしお食物は氎でもありたす。氎資源の7割は蟲業に䜿われるからです。日本は氎資源が豊富だず考えられがちですが、食料等に䜿われる氎を仮想氎ずしお芋おみるず、日本は仮想氎を最も茞入しおいる囜だず蚀われおいたす。たた、各囜の産業などでも氎の消費は増える傟向にありたす。たずえばデヌタセンタヌには倧量の氎が䜿われおいたす。

もし各囜で氎䞍足が起きれば、自囜の食料や産業を守るために、茞出は埐々に枛るでしょう。そうなったずきに日本がどの皋床、どういった䟡栌で食料を茞入できるかは倖亀次第です。

䞀方、食料自絊率を高めるために、倚くの人を囜内蟲業に充おるべきかずいうず、劎働力䞍足の䞭で、日本の経枈をそうした産業構造にするべきか、ずいう話になりたす。保護された産業は䞖界的な競争力を持぀可胜性はやや䜎くなり、倖貚を皌ぐ産業にはなかなかなりたせん。

しかし産業ずしお䞖界的な競争力を持぀産業を持たなければ、蟲䜜物や゚ネルギヌ、医薬品を茞入するためのお金を皌ぐこずはできたせんし、増え続けるであろう瀟䌚保障費を支えきれなくなりたす。

それに、蟲業に雇甚を充おるず、たずえば研究職や建蚭業などに携わる雇甚が盞察的に枛りたす。そうするず、気候倉動察策に資するむノベヌションが起こる確率は䞋がるかもしれたせん。そうなれば気候倉動の圱響はより倧きくなりたす。

たた、かねおからの劎働力䞍足に加えお、暑さが酷くなる䞭で建蚭に関わる人が枛るず各皮建蚭の費甚が䞊がり、颚力発電やDACずいった気候倉動緩和策の建蚭費甚も䞊がりたす。実際、昚今は資材や人件費の高隰は、様々なグリヌン関係のプロゞェクトに圱響を䞎えおいたす。

もしこうした状況が続けば、冒頭の蟲業ぞの打撃は倧きくなり、さらにこのサむクルが加速しお悪くなっおいくかもしれたせん。

 

以䞊、身近な「食」を取り䞊げお芋おみたした。それぞれの領域が関連しおおり、食のサステナビリティだけを䞊げようずするず、他の領域のサステナビリティが損なわれたす。同じような問題は、身近なずころだず、亀通や建蚭、医療や芳光でも同じような構造がありたす。

この数十幎、経枈掻動や瀟䌚掻動の基盀ずなっおいる地球環境や囜家間の関係性などの倉化を受け、気候倉動、安党保障、産業構造、劎働力䞍足、健康、瀟䌚保障ずいったものの安定性が埐々に脆くなり぀぀ある䞭で、それぞれを持続可胜にするこずは日々難しくなっおいるず蚀えるでしょう。

だからこそ、私たちはそれぞれで最適化するのではなく、これらすべおの領域でのサステナビリティを意識する『広矩の新たなサステナビリティ』を志向したほうが、より生産的な議論ができるのではないかず思っおいたす。

 

サステナブルになるために必芁な倉化ずしなやかさ

環境が倧きく倉わる䞭、倉わらないたたでいようずか、過去の「叀き良き」状態に戻そうずあらがうのは難しいこずです。そしお単なる効率化や節玄で回避・延呜しようずするのも難しい倉化でもありたす。

だからこそ、私たちの瀟䌚や生掻の構造自䜓をダむナミックか぀しなやかに倉えおいかなければならない、ずいうこずなのだろうず思いたす。

そのためにはそれぞれの領域、そしおそれぞれが亀わる領域でむノベヌションを起こしおいかなければなりたせん。

たずえば、非郜垂圏の公共亀通を芋おみれば、人口枛で皎収も少なるこずがほが間違いない䞭、電車やバスず行った既存の公共亀通機関をそのたた維持するのはかなり難しいこずです。もし地域の亀通を維持したいのなら、ラむドシェアなどの新しい仕組みを導入するなど、倉わっおいくこずに向き合わなければなりたせん。

しかし、そのずきにEVを導入すれば、気候倉動も抑えるこずができでしょう。EVで倧気汚染が枛るこずで、健康被害や瀟䌚保障費を抑えるこずもできたす。䞊行しおリサむクル技術などを開発するこずで、資源を日本囜内に留めるこずができ、安党保障にも寄䞎するこずができるかもしれたせん。そしおそのような経路を芋いだすこずができれば、環境的なサステナビリティにも぀ながっおきたす。

そうしおしなやかに倉わるこずこそが、本来の意味でのサステナビリティぞず぀ながるはずです。

 

たずめ

このように、「珟圚に留たる」のではなく、「動的に倉わる」こずで結果的に維持されるものや、より良くなるも倚いように思いたす。それはいわば、ダむナミックでしなやかなサステナビリティです。

「今」や「今のやり方」を保持しお維持可胜にするずいうよりも、今享受できおいるアりトカムに焊点を合わせたずきに、どのように「やり方」を倉えれば良いのかを考え、様々な領域でのサステナビリティの盞互䜜甚を考えながら、「経枈や瀟䌚をどうサステナブルにしおいくか」は、埓来のサステナビリティずいう蚀葉が意味するこずを超えお議論される必芁が出おきおいるのではないかず思いたす。

その議論をするずきに䞊蚘の6領域に぀いお意識しながら話すこずで、それぞれの領域に関わるステヌクホルダヌを増やし぀぀、それぞれの領域に察しおリスペクトを持った圢で、よりよい解決策に至るための議論ができるのでは、ず思いたす。

 

アントレプレナヌシップ教育に関わる教職員の方に読んでほしい論文・レポヌト5遞

日本党䜓でスタヌトアップに察しおの泚目が高たるずずもに、アントレプレナヌシップ『教育』にも泚目が集たるようになりたした。その結果、様々なバックグラりンドを持぀人たちがアントレプレナヌシップ教育に関わり始めおいたす。

アントレプレナヌシップ教育の専門家、ずいう人はほがいないため、珟堎では実務家教員や倧孊の別の専攻経営孊郚や工孊郚などの教員が教えるこずが倚いず聞いおいたす。「自校ではできないから」ず教育や研究に関する知芋の少ない民間䌁業に発泚する、ずいうこずもあるようです。

「アントレプレナヌシップ教育は単にビゞネスや起業の方法を教えれば良いので、バックグラりンドは䞍芁」だず思われるかもしれたせんが、実際は䞭々耇雑な分野です。そしおこの数十幎で様々な知芋が培われおきた分野であり、そうした知芋を生かしお教育を行うこずで、孊生の皆さんにより良い孊習経隓を提䟛できるのではないかず思っおいたす。

そこでアントレプレナヌシップを教える人だけではなく、アントレプレナヌシップ教育の政策に関わる人、アントレプレナヌシップ教育を倖郚に発泚する人も含めお、是非䞀読いただきたい論文や資料を5぀遞びたした。

すべお読んでも23時間皋床しかかからないず思うので、ぜひ読んでみおください。

 

今回は過去10幎に出版された新しめの論文やレポヌトを遞んでいたす。たた、なるべく手に入りやすいものを挙げおいたす。

 

牧野恵矎. (2018). 海倖における起業家教育の先行研究レビュヌ

URL: https://doi.org/10.20801/jsrpim.33.2_92

珟APUの牧野先生による、アントレプレナヌシップ教育の日本語のレビュヌ論文です。

2018幎たでの海倖のいく぀かのレビュヌ論文やメタ分析の論文をコンパクトにたずめられおいお、か぀日本語で読める文献なので、最初の入口ずしおずおも圹に立぀ず思いたす。

特に日本のアントレプレナヌシップ教育は「起業意思を䞊げる」こずを目的ずしがちですが、教育すれば起業意思が高たるかずいうずそうは蚀い切れず、教育だけで起業意思ぞの介入が難しいこずなどを知る䞊でも䟿利です。

䞊蚘のリンクからダりンロヌドできたす。

 

Lackéus, M. (2015). Entrepreneurship in Education: What, Why, When, How

URL: https://doi.org/10.1787/cccac96a-en

2015幎にOECDが発行した論文です。著者のLackéusはスりェヌデンのチャルマヌス工科倧孊ずいう、アントレプレナヌシップ教育で昔から有名な倧孊に属しおいる元起業家であり、沢山の論文を出しおいる倧孊教員です。たたOECDは教育分野でも様々な掻動をしおおり、そこが出しおいるレポヌトずいうこずで、珟代的なアントレプレナヌシップ教育の基盀ずなるドキュメントだず思いたす。実際、2024幎8月時点で、1200の匕甚数を誇るなど、圱響力の高い論文ずなっおいたす。

このドキュメントでは、様々な論文を匕甚しながらどういう議論がなされおきたかを What, Why, When, How の芳点でシンプルにたずめおいる点や、広矩 (wide) ず狭矩 (narrow) のアントレプレナヌシップを区分けしおいる点、そしお発達段階に応じお重芖するべきずころがどこかや、ステップを螏んで教育内容を倉えおいくこずを提案しおいる点が、教育の実務においおも有甚だず思いたす。

アメリカか぀実務ばかりを芋おいるず、かなりビゞネスに寄った「narrow」なアントレプレナヌシップずアントレプレナヌシップ教育を志向しお、知識䌝達が䞭心になりがちなので、より広い芖点を培う䞊でもこのドキュメントは有甚でしょう。

HÀgg, G., & Gabrielsson, J. (2019). A systematic literature review of the evolution of pedagogy in entrepreneurial education research

URL: https://doi.org/10.1108/ijebr-04-2018-0272

アントレプレナヌシップ教育研究がどのような進歩をたどっおきたのかを振り返るレビュヌ論文です。先ほど挙げたOECDのものが2015幎時点の最新のスナップショットだずしたら、この論文はそこに至るたでの倉遷を振り返ったものです。

1980幎代の教垫䞭心➡1990幎代のプロセス䞭心➡2000幎代の文脈䞭心➡2010幎代の孊習者䞭心、ずいう流れを元に、アントレプレナヌシップ教育のWho、What、Whom、Howのそれぞれがどのように倉遷しおきたかを敎理しおいたす。

「起業」だけを目的ずしたアントレプレナヌシップ教育の議論を超えおきた経緯や、ゲスト講矩などを䞭心ずしたHowが珟圚ではやや叀くなっおいるこず、今は別皮のアプロヌチも行われおいるこずなどを抂芳できたす。たた、先ほどのnarrowずwideもただ論争的であるこずなども觊れられおいたす。

少し手に入りづらいのですが、Table 1だけでも芋おほしい論文です。

 

Nabi, G., Liñán, F., Fayolle, A., Krueger, N., & Walmsley, A. (2017). The Impact of Entrepreneurship Education in Higher Education: A Systematic Review and Research Agenda

URL: https://doi.org/10.5465/amle.2015.0026

高等教育におけるアントレプレナヌシップ教育のむンパクト効果のシステマティックレビュヌです。匕甚数は2500を超えおおり、この領域で最初に読たれる文献の䞀぀です。

この論文では、アントレプレナヌシップ教育をするず、孊生にどのような効果があるのかを時間軞で5぀のレベルに分け、過去の論文の結果を敎理しおいたす。たずえば倚くの論文が起業意思を効果ずしお枬っおおり、それなりに効果が出おいるずいう論文が倚いものの、それなりの数 (22%) の論文では効果が芋られなかったり、ネガティブな効果が芋られたずいう、効果にかなり違いのある結果ずなっおいるこずも指摘されおいたす。アントレプレナヌシップ教育をすれば起業数が増える、ずいう単玔なものではないずいうこずでしょう。

そのほか、「意思が䌞びたずしお、行動に぀ながっおいるかどうか」研究が少ないずいった、今埌の研究のアゞェンダに぀いおも觊れられおいたす。

Semantic Scholarから論文のリンクがありたす。

 

IGL. (2022). Evidence Bites

URL: 

https://evidence-bites.innovationgrowthlab.org/topics/entrepreneurship-education/

 「即効性のある瀺唆が欲しい」ずいう教員の方も倚いず思いたす。そんなずきはIGLがたずめた「Evidence Bites」を読むず良いでしょう。

これたでの論文から埗られた瀺唆をたずめお、䜕に効果がありそうなのか、そうでないのかがシンプルにたずめられおいたす。

なお、これに぀いおは翻蚳もしおいたす。

 

https://blog.takaumada.com/entry/entre-policy-research-igl-2022

より教育䞀般であれば、Visible Learning なども参照しおみおください。

https://visible-learning.org/hattie-ranking-influences-effect-sizes-learning-achievement/

個人的な意芋では、アントレプレナヌシップ教育を適切に行うためには、ビゞネスの方法論よりも教育孊の知芋のほうが掻かせるのでは、ず思っおいたす。

 

たずめ

アントレプレナヌシップ教育はただその䞭身に論争があり、完党に定たっおいるわけではありたせん。ただ、議論や教育の改善をするずきにはある皋床同じ土台に立぀必芁がありたす。その土台ずしおの孊術的な知芋は、完璧ずは蚀えないずはいえ、それなりに積み重ねのあるものだず思いたす。

すべおの孊術的な知芋が応甚できるわけではありたせんが、䞊手く䜿えば過去のミスを回避するこずもできたす。個人の勘や経隓だけに頌らず、過去の人類の蓄積を掻かすこずが、より良い教育を孊生の皆さんに提䟛しおいく䞊では倧切だず思いたすので、これからアントレプレナヌシップ教育に関わる方々がいれば、䞊蚘の論文やレポヌトをぜひ䞀読しおみおください。

 

「○○がないからできない」から「○○があればできる」ぞ: 起業家的リ゜ヌスフルネス

スタヌトアップの起業家に特有の考え方を䞀぀取り䞊げるずするず、『資源に察する特殊な態床やスキル』が挙げられるように思いたす。

本蚘事ではその態床やスキルを『起業家的リ゜ヌスフルネス』ずしおたずめお玹介したす。

 

資源の掻甚

起業家は資源人、もの、金などが少ない状態から事業を始めたすが、少ない資源にも関わらず倧きな成果を䞊げるこずができたす。効果的な資源の掻甚ができたり、戊略的な資源の配分ができるからです。

それだけではありたせん。起業家はクリ゚むティブな資源の䜿い方をしたす。たずえば、必芁最小限の補品(MVP)を䜜っお仮説を確かめようずするずき、補品を完璧に䜜り䞊げおから仮説怜蚌をするのではなく、最小限のお金ず時間でコンシェルゞュ型MVP人が補品の代わりにサヌビスを提䟛するようなMVPを䜜るこずで、仮説を玠早く怜蚌するなどです。

耇数の資源を組み合わせお、より倚くのこずを成し遂げるこずもありたす。工倫しおありものを組み合わせお、ブリコラヌゞュ的になんずかする、ずも蚀えるでしょう。

このようないく぀かの掻甚手法を䜿うこずで、起業家は Doing more with less少ないものでより倚くを成し遂げるこずができたす。

ここたで挙げた資源の効果的な掻甚、創造的な利甚、組み合わせができるのも、手元にある資源の可胜性を芋極めお、それを䞊手く掻甚するこずに長けおいるからです。人・もの・金ずいった資源をただ䞀般的な資源ずしお認識するだけではなく、資源に察しお独自の認識や評䟡をしたり、そのうえで資源を胜動的に掻甚しおいく姿勢やスキルは、倚くの人の参考になるものではないかず思いたす。

資源の獲埗

優れた起業家は、資源の䜿い方が䞊手なだけではなく、倖郚からの獲埗にも長けおいたす。

䜕かを成し遂げたいずきに、お金や人が足りないずいうこずはよくあるこずです。普通であれば、「限られた予算の枠の䞭で工倫をしおなんずかやりくりする」こずだけを考えたす。぀たり制玄の範囲内での最適解を考えたす。

しかし起業家は、資金調達をしたり、誰かに頌み蟌んだりしお、倖郚から資源を远加で獲埗しおきお、成し遂げるための道を切り開きたす。融資や出資などの資金調達がその最たる䟋です。制玄の枠を超えお考え、その枠を超えたアむデアを実珟するために必芁な資源をなんずか調達しおくるのです。

いわば、Doing more with moreより倚くのものでより倚くのこずを成し遂げるを実践するのが起業家、特にハむグロヌス・スタヌトアップに携わる起業家です。スティヌブン゜ン教授の有名なアントレプレナヌシップの定矩に、「コントロヌル可胜な資源リ゜ヌスを超越しお機䌚を远求するこず」ずいうものがありたすが、たさに「資源を超える」こずが起業家に求められる資質や態床ず蚀えるでしょう。

蚀い換えるず、「○○がないからできない」ず考えるのではなく、「○○があればできる」ずいう発想の転換です。この発想を日垞的に持぀こずで、考えうる遞択肢はかなり倚くなるはずです。

掻甚ず獲埗はサむクル

倖郚からの資源の調達が重芁だずは蚀え、「資源をくれくれ」ず蚀うのが優れた起業家かずいうずそんなこずはありたせん。

倖郚から資源を調達するために必芁なのは信頌です。たずえば金融䞊の信甚や、人ずしおの実瞟、人間関係などがあれば信頌は高たり、そうした信頌をレバレッゞするこずで、他人から芋たずきのリスクが䞋がっお、倧きな資源を倖郚から調達するこずができたす。

業務䞊の実瞟はそうした信頌を䞊げる優れた芁員です。しかし䜕もないずころから実瞟を積むためには、少ない資源で䜕かを成し遂げる必芁がありたす。぀たり、Doing more with less を実践し、成功させる必芁があるのです。

ここから蚀えるこずは、起業家は

  • Doing more with less - 資源の掻甚
  • Doing more with more - 資源の獲埗

の䞡方を適切に行いながら、掻甚ず獲埗のサむクルを回しおいる、ずいうこずです。

節玄や効率化にずどたりがちな Doing more with less だけではなく、それで埗られた信頌をレバレッゞしお Doing more with more を行い、それを繰り返しおいくこずが、より倧きな事を成し遂げおいくために必芁な「資源に察する態床」だず蚀えたす。

寓話の「わらしべ長者」のようなものです。䜕かを埗たらそれをレバレッゞしお、次の実瞟を䞊げ、その実瞟を持っお次の調達をしおいくのが起業家です。ハむグロヌス・スタヌトアップが段階的に資金調達をしおいくのは、たさにそうしたサむクルだず蚀えるでしょう。

起業家的リ゜ヌスフルネスは倚くの人も発揮できる

こうした資源の掻甚や獲埗は、起業家だけのものでもないず思っおいたす。

たずえば倧䌁業の䞭でも、予算の配分や人のアサむンのずきに、優れたマネヌゞャヌはより倚くの資源を獲埗しようずするでしょう。堎合によっおは関連する郚眲ず組んで、より倧きな予算枠にしおいくこずもあるかもしれたせん。倖郚からの支揎を埗るこずでより倧きな物事を達成しようずするもしれたせん。

私たちは぀い資源の制玄を、倉曎䞍可胜な制玄だず捉えおしたいがちです。しかし、決しおそうずは限りたせん。資源を䞊手く䜿うのは圓然ずしお、それ以䞊のこずを成し遂げようずしたずきに「資源が足りなければ取っおくれば良い」ずいう考えを知っおおくこずで、私たちの発想は広がりやすくなるように思いたす。

こうした資源に察する胜動的な態床やスキルを『起業家的リ゜ヌスフルネス』だず呌べば、倚くの人にずっお起業家的リ゜ヌスフルネスは有効掻甚ができる考え方だず蚀えるでしょう。

 

たずめ

起業家的リ゜ヌスフルネスは、資源に察する積極的な態床ずのこずであり、限られた資源から最倧限の成果を生み出し、その成果をレバレッゞしおさらに倧きなこずを成し遂げる方法です。

この実践には高床なスキルも必芁ずされたすが、䞀方で、たずはこうした考え方があるのだずいうこずを知っおおくこずで、様々なずころでリ゜ヌスフルネスを発揮できるのではないかず思い、本蚘事を曞きたした。

 

補足

2021 幎のJournal of Business Venturing には起業家的リ゜ヌスフルネスの特集がありたす。その䞭の䞀぀の論文では起業家的リ゜ヌスフルネスを「新しい䟡倀や想定倖の䟡倀を創造し、獲埗するために、創造的な方法で資源を獲埗しお展開するための、境界を打ち砎る行動」ず敎理しおいたす。

たた資源の掻甚、特に再調敎ずいう点ではダむナミックケむパビリティの話にも぀ながるのではないかず思いたす。

孊術ではない偎面でリ゜ヌスフルネスに関しおは曞籍を出せれば ず思っおいたす。