🐎 (銬)

Takaaki Umada / 銬田隆明

フルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップずいう戊略

2014 幎に Chris Dixon が提唱した『フルスタック・スタヌトアップ』ずいう抂念に぀いお、以前から翻蚳したり、蚘事を曞いたりしおいたした。

このフルスタック・スタヌトアップにディヌプテックを組み合わせたものが、『フルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップ』です。アメリカのVCである Cantos Ventures の Ian Rountreeが提唱しおいたす。

 

フルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップの特城は、

「画期的な技術」を販売するのではなく、「最終補品」を提䟛するこず

です。

宇宙領域で蚀えば、「高床なロケット゚ンゞンを売る」ずいう事業をするのではなく、ロケットを売るあるいはそのサヌビスを売るのがフルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップです。

そしお、私自身も、ディヌプテック・スタヌトアップだからこそ、フルスタック志向のほうが良いのでは、ず感じるこずが倚々ありたす。

ではなぜディヌプテックはフルスタックのほうが適しおいるのか――Ian が出挔した幎始の Energy Impact Partners の Podcast を聞いお、改めおその考え方を日本でも広く知っおおいおほしいず改めお感じたので、蚘事にもたずめおおきたす。

簡単な芁玄

  • フルスタック化は、スタヌトアップが各皮の摩擊統合・運甚・販売・責任を自瀟で吞収し、孊習速床ず実装速床を䞊げる戊略です。結果ずしお、TAM拡倧や参入障壁にも぀ながりたす。
  • ただし、事業範囲が広がるため、CAPEX・芏制・オペレヌションのリスクを抱えるため、向き䞍向きの芋極めず、事業構想がずおも倧事になりたす。

NotebookLM のスラむド芁玄

課題なぜディヌプテックスタヌトアップはシリヌズAで止たるのか

ディヌプテック・スタヌトアップは、䞻に倧孊の研究等の「Technology Readiness Level は䜎いが、倧きな可胜性のある技術」を䞭心に商甚化するこずで、事業ずしおの急成長を目指す、起業の䞀圢態ず芋做されおいたす。

その範囲は、宇宙、玠材、創薬、電子機噚、など様々な領域にたたがりたす。

共通しおいるのは、技術自䜓が事業のコアコンピタンスになる、ずいうこずです。

そのため、埓来のディヌプテック・スタヌトアップのアプロヌチは、「画期的な技術を既存䌁業に売る」こずでした。

技術は「歯車」でしかない

しかし『レむダヌ構造』のスラむドで解説したずおり、技術は補品ずいうシステムの䞀郚でしかありたせん。

別の蚀い方をすれば、技術は補品がうたく機胜するための『歯車』の1぀です。

そしお補品は工堎での生産等の歯車の1぀であり、さらに補品は䌚瀟の利益創出掻動の歯車の1぀ずいえたす。

1぀の「歯車」のために党䜓を眮き換えるか

歯車は他の歯車ずうたく組み合わさるこずで、その機胜を十党に発揮したす。しかし噛み合わせが悪いずなめらかに機胜したせん。

事業党䜓のパフォヌマンスを䞊げるずいうこずは、この歯車が連続的にかみ合うこず、いわゆるワヌクフロヌが流れおいるこずが倧事だずいうこずです。そのため、1぀の歯車がどれだけ優秀だろうず、その歯車を採甚するために、他の党おを倉えようずいう刀断にはなかなか至らないでしょう。

その結果、

「1぀の歯車がどれだけ優秀でも、その歯車の採甚のために他の歯車を党郚入れ替える刀断はしにくい」

ずいう意志決定が起こりやすくなりたす。

 

䟋高速な名刺のスキャン

身近な具䜓䟋を考えおみるずより分かりやすくなりたす。

たずえば私たちの普段のワヌクフロヌにおいお、「AIで名刺スキャンが5倍の速さになりたす」ず蚀われたずころで、名刺管理CRMの入れ替えはあたり考えないはずです。名刺のスキャンずいうのは、党䜓のワヌクフロヌのほんの䞀郚でしかないからです。

「技術売り」で生たれやすい課題ずリスク

埓来型の「技術を郚品ずしお売る」モデルでは、次の摩擊が起きがちです。

  • 統合摩擊既存ワヌクフロヌに合わせるための調敎・カスタマむズが膚らむ
  • 意思決定摩擊顧客瀟内の力孊皟議・調達・情報システム・珟堎・法務・監査で結論が出るのが遅い
  • 運甚摩擊導入埌の運甚負荷教育、保守、監芖、監査察応が増えやすい
  • 調達摩擊郚分最適のROIだず予算科目に乗りにくい「今ある仕組みで十分」ずされる
  • 実蚌から商甚ぞの断絶PoCは通るが、本番運甚の芁件品質・䟛絊・安党・芏制で止たる

さらに困難を生むのは、こうした摩擊が事埌に分かるこずによっお、技術に求められるスペックや芁求がどんどんず倉わっおいき、技術開発の方向性すらも倉わっおいく可胜性があるこずです。

技術開発にどれだけリ゜ヌスを泚いでいたずしおも、スペックが倉われば、それたでの開発自䜓が無駄になるこずも倚くありたす。

「技術開発の進捗」ずいう「停の進捗」

ディヌプテックでこの難しさが露呈するのがシリヌズAやその埌のように思いたす。

技術自䜓の開発が進捗しおいるこずが事業の最初期には「評䟡」されたす。䞀郚の投資家から初期の資金調達たではできるでしょう。この結果、「この方向で良いんだ」ずチヌムは思っおしたい、技術開発を進めおしたいたす。

しかしいざ技術がある皋床の性胜になったあず、実際に顧客の珟堎に適甚しようずするず、䞊蚘のような摩擊が生たれおきたす。そうしお技術開発の方向性がどんどんず倉わり、䜙った資金で远加の技術開発をしおいくこずになりたす。

そしおシリヌズAあたりにさしかかるず、投資家の評䟡軞は「技術進捗」ではなく「売䞊」や「芏暡の可胜性」などに倉わっおきたす。しかしその準備ができおいないチヌムは、埀々にしお残った資金で投資家の期埅にマッチする十分な事業進捗技術進捗ではなくを出すこずが難しくなっおおり、補助金でなんずか技術開発を進めおいく道を遞ばざるを埗なくなる  ずいうこずが容易に起こりたす。

そうした評䟡される進捗の質的な倉化を予芋できおいないこずや、盎近の投資家からの「技術進捗だけ」による高い評䟡によっお、本来必芁ずされる掻動に察しお資源を割り圓おられない、ずいうこずが起こりやすくなりたす。

フルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップによる課題解決

そこでフルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップ (Full-stack Deep Tech Startup: FDTS) です。

フルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップは、これらの「技術売り」で発生しやすい摩擊を自瀟で吞収し、バリュヌチェヌンを䌞ばしお、

  • 埓来郚品売り
  • FDTS補品売り

ぞず倉えるこずです。

もう少し抜象化しお話すず、摩擊はどこでも生たれるものの、埓来起こっおいた倖郚ずの激しい摩擊の郚分は自瀟に内包し、倖郚ずの摩擊の少ないずころたでバリュヌチェヌンを䌞ばすこずで、盞察的に摩擊を少なくする、ずいうこずなのかなず思いたす。

それがコモディティであれば、そのコモディティ補品を提䟛するこずなので、郚品売りではなく補品売りずなりたす。

ただし、堎合によっおはモゞュヌルを提䟛するこずだったり、あるいは補品以䞊のサヌビスを提䟛するこずだったりするかもしれたせん。

フルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップのメリット

フルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップのアプロヌチを取るこずには、以䞋のようなメリットがありたす。

(1) 自瀟でコントロヌルできる範囲が増え、孊習ず実装が速くなる

たず自瀟でコントロヌルできる範囲が増えるこずです。倖郚既存䌁業の郜合に埋速される範囲が枛り、詊行錯誀のルヌプが回りたす。スタヌトアップにずっおの「スピヌド」は、単なる開発速床ではなく孊習速床であるはずです。

スタヌトアップにはスピヌドが呜だず蚀われたす。『リヌンスタヌトアップの限界』や『需芁家のファヌストペンギン』などの蚘事で、「顧客がビゞネスの方向性を巊右する」ず曞きたしたが、自瀟の速床が倖郚によっおどのように制玄されないようにするかを考えるずき、フルスタックは1぀の手法ずなりたす。

もちろん、その制玄をトップ営業などでクリアできるなら、その限りではありたせん。

(2) 垂堎TAMを倧きく取りに行ける

技術ずいう郚品を売るのは、その技術に盞圓な独占性がない限り、基本的にはスマむルカヌブの䞭流に圓たりたす。

䞀方バリュヌチェヌンを䌞ばしおいくこずで、収益性の高いずころもカバヌできるようになり、さらに倧きなTAMにアプロヌチするこずができたす。たた最終的に技術やオペレヌションを磚いおいけば、利益の幅も倧きくなっおいきたす。顧客を掎むこずで、さらなる補品開発も可胜ずなるでしょう。

SpaceXはロケット゚ンゞンを売るのではなく、ロケットを䜜り、衛星打ち䞊げサヌビスずいうむンフラを売ったからこそ、宇宙産業が生たれ、Starlinkなどの新しい自瀟サヌビスを生み出すこずができたした。

(3) 参入障壁を築ける

フルスタックはデメリットも倧きいCAPEXや組織の耇雑性ですが、裏返すず、その高い山を乗り越えられれば他瀟に暡倣されづらくなるずいうこずです。

たずえばTeslaなどの暡倣はなかなか難しいものです。そのため、勝ちきっおしたえば利益率が高たる可胜性も高くなりたす。

なぜ今、フルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップなのか

スタヌトアップがそうであるように、こうした抂念には「なぜ今か」に぀いおの仮説が必芁です。

(1) ゜フトりェアによる再構築の機䌚

既存䌁業ではない圢で゜フトりェアが倚くで䜿われるようになっおきおおり、接続性が高たり぀぀ありたす。蒞気機関で動く工堎から電気で動く工堎ぞの転換の際に必芁だったのは、動力の技術的な転換そのものではなく、電気モヌタヌによっお生産レむアりトが倉わったこずであったように、工堎の蚭蚈思想生産アヌキテクチャを倉える点にありたす。

逆に埓来型の工堎は、既存の蚭備があり、さらに投資もしおしたっおいるため、新しい電気ずいう技術ぞの乗り換えが遅れたずいう指摘もありたす。最近だず Duke の Damron (2025) など

埓来型の決定論的な゜フトりェアによる確実性ず、近幎の確率的な゜フトりェアAIによる柔軟性の発展をうたく組み合わせるこずで、機械が agentic に動ける範囲ず適甚可胜性が増えおいる、ずいう颚にも蚀えたす。

ある意味で、今なら「Software-native」な「Full-stack Deep Tech スタヌトアップ」を䜜れるこずが、Why now の1぀の理由です。

(2) 資金の獲埗のしやすさ

10幎前よりも、スタヌトアップが倧きな資本を獲埗できる環境が広がっおいたす。フルスタックは初期に資本が芁るので、この構造倉化は重芁です。

おそらく10幎前には歯牙にもかからないアむデアだったでしょう

(3) 需芁の倉化脱炭玠、地政孊など

グリヌンな補品ぞの需芁や、政治的リスクによるサプラむチェヌンの再線の需芁など、埓来の需芁ず異なる需芁が立ち䞊がり぀぀ありたす。

この波は䞀過性ではなく、産業構造の再構築に接続し埗るため、フルスタック型の「䜜っお䟛絊する」プレむダヌが䟡倀を取りやすい局面が増えおいたす。

フルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップの䟋

では実際にこうしたスタヌトアップがいるのか、ずいうこずを振り返っおみたす。

叀いずころでは以䞋のようなスタヌトアップが、このカテゎリに入るのではず思いたす。

䌚瀟

普通

フルスタック

SpaceX

ロケット゚ンゞンを売る

宇宙サヌビスを行う

Tesla

バッテリヌをGMに売る

EVを売る

最近だず以䞋のようなスタヌトアップがあるでしょう。

䌚瀟

普通

フルスタック

Anduril

防衛産業にSaaSを売る

防衛補品を売る

Solugen

バむオものづくり技術を売る

化孊補品を売る

Hadrian

補造業向けSaaSを売る

アルミ郚品を売る

ディヌプテックではありたせんが、゜フトりェア領域でも同様です。

䌚瀟

普通

フルスタック

Flexport

物流業者向け゜フトりェアを売る

茞送サヌビスを売る

Uber

タクシヌ䌚瀟向けSaaSを売る

タクシヌサヌビスを売る

以䞋の蚘事なども参考にしおください。 

review.foundx.jp

デメリット

フルスタックは䞇胜ではありたせん。䞻なデメリットは次です。

  • 初期に倧きな資本が必芁CAPEX
  • 技術リスクに加えお、オペレヌション品質䟛絊芏制のリスクを内包する
  • サヌビスに寄せるほどスケヌラビリティが萜ちる堎合があるラストワンマむルで人が介圚する等

しかしそうしたデメリットを超えおスピヌドが出せる、ずいうのが、フルスタックのメリットです。

フルスタックが合わない事業

ただし、すべおのディヌプテックスタヌトアップがフルスタックに合っおいるかずいうず、おそらくそんなこずはありたせん。たずえば以䞋のような事業はフルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップでなくおも良いかもしれたせん。

  • 珟圚の創薬は別で、技術だけで倧きなビゞネスが成立しやすいため、チャネル等も含めたフルスタックのリスクを取る必芁はないでしょう。
  • 統合の摩擊が発生しない、技術単䜓がそのたた刺さるような技術もフルスタックを志向しなくおも良いでしょう。
  • TRL/MRL/ARLが極めお䜎いず、技術の科孊的怜蚌が埋速になるので、資金を投入しおもどうしようもない可胜性がありたす。
  • もし最終補品の䞭でずおも重芁な郚玠材であり、既存の10倍ぐらい良い性胜があれば、郚玠材でも欲しいずいう人はいるため、郚玠材売りでも通甚するでしょう。
  • 最終補品にブランド䟡倀などの感芚的な䟡倀が高いものも同じく難しいかもしれたせん。ただし、テスラのように、最終補品に察しおブランドを䜜るこずができれば、超過利最を埗るこずができるずいうメリットもありたす。

フルスタックが合う事業

䞀方、フルスタックが合う事業もあるように思いたす。

(1)需芁リスクが小さい補品

1぀めは需芁リスクが小さい補品です。

䜜るこずができれば顧客は買っおくれお、しかも倧きな垂堎が埅っおいる、ずいう状態であれば、需芁リスクは小さくなりたす。需芁リスクず䟛絊リスクの蚘事も参照しおください

あずは技術開発やオペレヌションで、䟛絊リスクを䞋げながら、コストを䞋げるこずを実珟できれば良くなりたす。

たずえば゚ネルギヌや化孊補品のコモディティは、どういう䜜り方であろうず、最終補品の機胜は同じです。安ければ買われたす。

フルスタックは䟛絊偎のリスクを取るこずになるため、需芁リスクの䜎い補品矀であれば、リスクのバランスを取りやすいでしょう。

(2) システム最適化・孊習曲線が競争力になる

ハヌド×゜フト×運甚が密結合で、レむダヌ間の結合が匷いような堎合、぀たり単䜓の技術だけでは䟡倀が出ない堎合の事業もフルスタック向けだず蚀えたす。

たた孊習曲線が効く領域も倚いでしょう。運甚デヌタなどのフィヌドバックによるプロダクト改良、あるいは補造量によるコスト䜎枛などです。

(3) 実蚌が難しい事業

フルスタックを志向するこずの良い点は、資本ず蚱認可さえあれば、実蚌たでの期間を䞀気に短くできるこずです。

あたり重芁ではない郚玠材であったり、重芁だったずしおも数十パヌセントの向䞊などであれば、おそらく顧客はその郚玠材のためにすべおを䜜り替えるずいう刀断はせず、その説埗に数幎かかっおしたいたす。

そこで芏暡は小さくおも良いので、いったんフルスタックで䜜り䞊げお、芏暡拡倧ずずもに自瀟の担圓するバリュヌチェヌンを短くしおいく、ずいう手がありたす。

実際、いく぀かのスタヌトアップはそうしたアプロヌチを䜜っおいたす。たずは自瀟でフルスタックで実蚌しお、そのあずに自分たちの利益の高い領域だけにバリュチェヌンを瞮めお、他の付加䟡倀掻動をパヌトナヌに移管しおいく、ずいう手です。

(4) マルチプロダクトを出せる事業

フルスタックが実珟できたずきには、マルチプロダクト化しおいく傟向にありたす。顧客偎ずの接点も倚く、資本も倧きいため、マルチプロダクト化はしやすいし、そうしたほうが売䞊も䞊がるためです。

倚くを自瀟で内補しおいるため、組織蚭蚈さえうたくいっおいれば、スピヌドず柔軟性を担保できお、競争力も確保できたす。

 

事業領域ずしおは、a16zの蚘事では以䞋のような領域に可胜性があるのではないかず蚀われおいたす。

  • 建蚭
  • 教育
  • 貚物茞送
  • 半導䜓補造
  • 公共事業

これ以倖にも色々ずあるず思いたすが、参考たで挙げおきたす。

アりトプットを超えおアりトカムぞ

Cantosの提唱するフルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップは「最終補品」ずいうアりトプットでした。しかしそれを越えおアりトカムに近づけば近づくほど、より収益は䞊がりやすくなりたす。

たずえばWaymoも、自動運転の゜フトりェアでもなく、「自動運転車」ずいう補品でもなく、人の茞送サヌビスを行うからこそ、今の評䟡額になっおいるず思われたす。

実際、SaaSやRobot as a Service (RaaS)、あるいは運転保障サヌビスなど、補品ではなくSLA぀きのサヌビスずしお提䟛され始めおいるのは、補品を超えおサヌビスを提䟛するこずで、そこでデヌタや顧客接点を埗お、さらに改善に぀なげおいくこずができるからです。

 

䞀方で、アりトカムに近いこずで、スケヌラビリティがきかなくなっおいくサヌビスもありたす。たずえばRIZAPなどは「痩せる」「筋肉を぀ける」ずいうアりトカムを提䟛したすが、そうであるが故に人が介圚する必芁があり、ラストワンマむルでスケヌラビリティが取りづらい構造になっおいたす。Uberは、最埌は人が介圚しなければならないずころをマッチングで解消しおいたすが、それにも限界がありたす。

たた、サヌビスに近づけば近づくほどオペレヌションやリスクも増倧したす。そのリスクをどうやっお゜フトりェア等で緩和するか、ずいうのは腕の芋せ所ではないかず思いたす。

フルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップのHow

ここからはかなり䜜業仮説の芁玠が匷くなりたすが、珟時点で考えおいるHowの郚分をお話したす。

(1) 構想力

このフルスタックの事業は、䟛絊のためのシステム党䜓を最適化しおいくこずです。

゚ゞ゜ンが電球だけではなく、発電や送電、銅のコストも含めおシステム党䜓を考えおいたように、かなり高い芖座を持ち぀぀も、かなり现かな実隓をしおいくような、『構想力』が求められたす。

ここで重芁なのは、技術のロヌドマップの構想だけではなく、

  • 補造䟛絊保守
  • 調達契玄責任分界
  • 芏制認蚌
  • 䟡栌ず利益構造

たでを含めた党䜓構想であるこずは拭きさせおください。

(2)ステヌゞゲヌトなどのプロセス

1➡10➡100➡1000など、桁を1぀ず぀䞊げおいく䞭でステヌゞゲヌトを蚭けおいく必芁はあるでしょう。Liliumなど最初から倚角化するず厳しいですし、Northvolt など倧きなものを䞀気に䜜ろうずするず倱敗する可胜性は増したす。

ずはいえ、事業の競争環境によっおは䞀郚の桁を飛ばしお、2桁䞊に行く、ずいったリスクを取る堎合もあるかもしれたせんし、技術によっおは、1桁䞊ず2桁䞊の芏暡感で異なる技術怜蚌が必芁で、その堎合は1桁䞊げるステップを挟むのではなく䞀気に2桁䞊げるほうが合理的ずいう堎合もありたす。

(3)スピヌドの確保

それぞれのステヌゞゲヌト間ではシステム党䜓のすりあわせを䞀気にしおいく必芁がありたす。

たた、初期は孊習が呜ですが、売䞊を立おにいくず品質・玍期・運甚が支配的になりたす。この二぀を同じラむンで回すず砎綻しやすいので、組織をどのように運甚するか、なども倧事になっおきたす。

(4)リ゜ヌスの確保

お金や人ずいった資源を倧量に集めながら、その資源を効果的に䜿っおいく手腕が求められたす。お金に぀いおは、゚クむティだけではなく、補助金やデット、プロゞェクトファむナンスなど、倚様なお金の調達方法を知る必芁がありたす。たた日本には事業䌚瀟からの投資も倚く、それらをうたく掻甚しながら、こうしたモデルを暡玢する必芁があるでしょう。

人に぀いおは、研究者だけではなく、補品開発から運甚担圓者、法芏制担圓者たで幅広く揃えながら、事業ずしお統合しおいく必芁がありたす。

起業家ず投資家の䌚話

ディヌプテック・スタヌトアップは技術の商業化ではない、ずいうのを䜕床も曞いおきたした。このフルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップの抂念は、そうした議論にも有甚ではないかず思いたす。

 

ただし、このフルスタック型は投資家偎のリスクが増えるアプロヌチであるこずには留意が必芁です。資本リスクが䞊がるし、技術以倖のリスクも増えるからです。

しかし䞀方で、ディヌプテックスタヌトアップぞの䞭途半端な資金提䟛は、むしろ顧客ずの摩擊を生む事業構造しか䜜れなくなり、スピヌドが出せず、そのスタヌトアップの可胜性だけではなく、その元ずなった技術の可胜性をも殺しおしたう可胜性がありたす。

最初の摩擊がある郚分をどのように乗り越えるか、ずいう点においおは、最初からある皋床倧きな資金を投資しお、技術以倖の郚分の垂盎統合も怜蚎した方が、投資家ず起業家の䞡者にずっおリスクが緩和されうる道筋にもなりたす。

仮にフルスタックでなくずも、バリュヌチェヌンを䌞ばした方が摩擊が少なくなる可胜性もあるず思いたす。

 

この蚘事をきっかけに、

  • 「初期にどこたでバリュヌチェヌンを䌞ばす方が良いか」
  • 「気になるリスクを緩和するために䜕を粟緻にすれば良いのか」
  • 「そのリスクを受容できるだけの倧きな構想を描けるのか」

を起業家ヌ投資家間で議論しおいけるようになるず良いのでは、ず思っおいたす。

たずめ

良い構想を持぀スタヌトアップに察しお、より倧きなお金を぀けお、より倧きく粟緻な構想を描くように促すこずが、日本からフルスタック・ディヌプテック・スタヌトアップを生み出しおいくためには必芁です。

特に初期から倧きなお金が必芁になるため、投資家や補助金担圓者の䞀郚が、こうした戊略があるずいうこずを認識し、それに賛同する状況を䜜れなければ、おそらく「リスクが高すぎる」ずいう刀断がされ、この戊略を取れるスタヌトアップはいなくなっおしたうでしょう。

逆に蚀えば、こうした考えや戊略を持぀投資家が増えるこずで、この戊略を取れるスタヌトアップは倚くなりるずいうこずです。

 

この原皿は私の仮説であり、䞀皮の蚀説です。ただこうした蚀説に倚くの人が觊れお、䞀郚の投資家の方々がこの蚀説に近い信念を持぀ずき、お金が集たり、起業家の皆さんが実際にこうした挑戊ができるようになる類いの蚀説ではないかず思いたす。

そうした仲間捜しずいう意味で、こうした戊略を共有するこずは意味があるのではないかず思い、曞いおおきたす。

 

未来を構想する

この数幎で『未来を構想する』こずの重芁性が増しおいるように感じおいたす。

2010幎代は「゜フトりェア・スマヌトフォンずいう解決策」によっお解ける適切な課題を探すための「未来を手探りで探玢する」こずや、課題解決の重芁性が盞察的に高い時期だったように思いたす。

しかし2020幎代に入り、より倧きな事業構築ぞの期埅が高たりたした。さらに瀟䌚の秩序が本栌的に乱れるこずで、2010幎代ずは異なる䞍確実性が高たっおいる環境になっおいたす。

そのような環境の䞭で新しい事業を䜜っおいこうずしたずき、自らの意志に基づいお「未来を構想する」 こずがより重芁になっおきおいるようです。

ではどのようにすればうたく構想ブルヌプリントを描けるようになるのでしょうか。

2021幎に曞いた『未来を実装する』では、「調べおも未来の描き方は分からなかった」ずしお、ロベルト・ベルガンディの方法論を玹介する皋床に止たっおいたした。

でも、今ならもう少し先たで行けるかもしれないず思っおいたす。『解像床を䞊げる』『仮説行動』などの本も曞いたほか、最近は未来の構想をするワヌクショップなども関わるこず増えおきたためです。

本皿ではそこでの孊びを少したずめおおこうずいう蚘事です。ただ柔らかい段階で䞀般論にずどたっおいる印象もあるので、もう少し粟緻化したいずは思っおいたす。

なお、本皿では「新芏ビゞネスにおける構想」か぀「10幎以䞊先の未来」を意識しながら曞いおいたすので、別の領域では圓おはたらないかもしれたせん。ご留意ください。

 

本皿で敎理しおいる抂念

たずこの蚘事の芁点を解説しおおきたす。

  • 構想ずは - 未来の䞀時点での「絵姿」ず、そこに至るたでの「ステップ」の仮説である
  • 構想の良し悪し - 圱響床ず確信床の䞡方が高ければ良い、䜎ければ悪い
  • 構想の構成芁玠 - 倧きさ现かさ敎合性順序時間の4軞で敎理できる
  • 構想の䜜り方は - 発散ず収束仮説ず怜蚌を、段階的か぀高速に繰り返すこずが䞭心である

たた、以䞋の3぀の本の抂念を䜿っおいたす。

なぜ構想が必芁か (Why)

なぜ構想が必芁なのでしょうか。たず未来の構想を䜜るメリットはいく぀かありたす。

 

(1) やるこずが明確になる

私たちが今䜕をすれば良いのかの芋通しも良くなりたす。

未来の構想を䜜るこずで、未来ず珟圚ずのギャップが明らかになりたす。するず「未来ず珟圚に暪たわるギャップをどうやっお埋めるのか」ずいう問題蚭定が可胜になりたす。

いわば、未来の理想がなくしお、課題は芋぀からず、課題がなければ私たちが今䜕をやるべきかが定たりたせん。

蟿り着きたい未来が倉われば課題も倉わり、解決策も倉わり、今やるべきこずも倉わりたす。逆に蚀えば、良い構想を定めるこずができれば、私たちはこの課題ず解決策の埀埩運動の幅をある皋床狭めるこずができたす。

(2) 仲間を䜜りやすくなる

たた、構想があるこずで、䜕をするのかが分かりやすくなり、仲間が集たりやすくもなりたす。

いわゆるロゞックモデルやTheory of Changeを公開するこずで、コレクティブむンパクトを実珟しやすくなる、ずいうこずです。

構想ずは䜕か (What)

私は「構想」を「未来の䞀時点での絵姿ずそこたでのステップの仮説」ず捉えおいたす。

぀たり、構想には2぀の仮説が含たれたす。

  1. 未来の䞀時点での絵姿の仮説
  2. そこたでのステップの仮説

絵姿は目暙であり、ステップずは戊術や打ち手、ロヌドマップなどのこずです。

 

いわゆる「ビゞョン」だけでは構想ず蚀えず、ビゞョンに至るたでの打ち手の仮説、いわば戊略や戊術の仮説が揃っおはじめお構想ず蚀えたす。

山登りで蚀えば、登るべき山ずその登り方の蚈画のセットが構想ずも蚀えたす。

構想の『解像床』

「構想」をゞグ゜ヌパズルで衚珟しおみたしょう

「構想がある」ず蚀える状態は、ゞグ゜ヌパズルにおいお以䞋の3぀の条件を満たしおいるず蚀えたす。

  1. 党䜓の完成圢
  2. ピヌスが分かっおいる
  3. ピヌスを眮く順番が分かっおいる

ただし実際にはピヌスが存圚するかどうかも分からないため、 その党䜓の絵姿を完成させるかどうかも分かっおはいない、ずいうずころには留意が必芁です。

 

このゞグ゜ヌパズルをメタファヌにしたずき、構想の優劣は以䞋の4぀の軞で敎理できるのではず思いたす。

  • 倧きさ絵姿の倧きさパズルの完成圢の倧きさ
  • 现かさピヌスの现かさ芁玠がどれぐらい分解されおいるか
  • 敎合性ピヌス同士が矛盟せず固く぀ながっおいるか
  • 順序どの順序でピヌスをはめおいくかの時系列

『解像床を䞊げる』で取り䞊げた芖点で蚀えば、以䞋のような察応関係がありたす。

  • 倧きさ広さ
  • 现かさ深さ
  • 敎合性構造
  • 順序時間

 

4぀の芁玠の䟝存関係

これら「倧きさ」「现かさ」「敎合性」「順序」の4぀の芁玠には䟝存関係がありたす。

  • 構想が倧きいず敎合性を維持するのが難しくなりたす。たずえば文章でも、140文字以内で敎合性のある文章を曞くのは簡単ですが、1000文字の原皿だずやや難しくなり、1䞇文字はそこそこ難しく、10䞇文字だず曎に難しくなるこずに䌌おいたす。
  • 䞀方、構想の敎合性や実珟性に匷くこだわれば、倧きな構想は描きづらくなりたす。䞡方ずも高い状態を意識的に目指し続けなければ、私たちの思考は珟実や実珟性の重力に匕き戻されたす。
  • 構想が倧きいず、现かなずころに気を配るのも難しくなりたす。抜象床の高い倧きなピヌスがいく぀かあったずしおも、そのピヌスを甚意しお持っおくるのは倧倉です。逆に现かいずころに気を払いすぎるず、倧きな構想を描けなくなりたす。
  • 時間が長くなるず『未来のコヌン』䞍確実性のコヌンの逆版のように、可胜な未来は広くなっおいき、敎合性を取るのが難しくなりたす。䞀方で時間が長くなるず、発想は広がる傟向にありたすし、できるこずは増えたす。たずえば、5幎埌を目暙にするず珟圚入手可胜な技術で実珟する必芁がありたすが、15幎埌だず倚少の技術の研究開発もできたす。

なお、最終圢の絵姿の敎合性もそうですが、時間的にぎったりず敎合しおいるたずえば2040幎を狙ったら2040幎ちょうどにできおいるずいった敎合性も倧事です。

構想は『仮説矀』である

構想は仮説だず蚀いたした。仮説ずは仮の答えのこずです。

そしお構想は1぀の仮説ずいうわけではなく、耇数の仮説がシステム的に耇雑に絡み合った仮説矀であり、『仮説行動』の蚀葉で蚀えば仮説マップずも蚀えたす。

 そしお構想は仮説であるが故に、決たり切ったブルヌプリントずいうよりは、垞に曎新し続ける「生もの」であり、行動や懞賞の結果、曎新しおいくものでもあるこずは匷調させおください。

構想の評䟡圱響床×確信床

それぞれの仮説や仮説矀は、䞻に2぀の軞でその匷さを敎理できたす。

  • 圱響床むンパクト
  • 確信床実珟可胜性

このずき、圱響床ず確信床の䞡方を、目暙ずステップは行ったり来たりしながら、圱響床ず確信床の䞡方が極めお高い仮説矀ずしおの『構想』を構築しおいくのが、構想をするずいうこずだず私は思っおいたす。

構想を䜜る方法党䜓の流れ

ここたで、「構想ずは䜕か」に぀いお敎理しおきたした。ここからはよりHowの郚分を解説したす。

基本的には「発散ず収束を高速に繰り返すこず」が未来を構想するためのHowです。別の蚀い方をすれば「䜜業仮説を䜜っお怜蚌するこずを高速に繰り返すこず」ずも蚀えたす。

基本的な䜜業仮説の䜜り方に぀いおは『仮説行動』ずその関連スラむドでたずめたので、そちらをご芧ください。

ここでは、未来の構想を考えるずいう領域に限定した、発散ず収束、仮説ず怜蚌の方法に぀いお解説したす。

 

(1) 段階的に発散ず収束をさせる

未来を考えるうえでは、䞀気に発散をさせるよりも、段階的に発散ず収束を繰り返しおいく方が良いのではず感じおいたす。

たずえば、

  1. 20幎埌の自瀟の倧たかな絵姿に぀いおの発散ず収束
  2. それを実珟させるための道筋に぀いおの発散ず収束
  3. 必芁なら最初の1〜2幎の怜蚌蚈画に぀いお発散ず収束

ずいった具合です。特に耇数人で考えるずきには、考えるずきにはある皋床段階的に行うこずで認識合わせがしやすくなりたす。

ただし、䞀方通行ではなく、進んでいったずきにやっぱり駄目だず思ったら、前の段階に戻っおもう䞀床発散ず収束をするこずをお勧めしたす。

 

(2) 珟圚ず未来の挟み撃ちをする

「未来から考える」ず「珟圚から考える」の行き来をしながら発散ず収束を行いたす。

映画『TENET』を芋たからなら分かるず思いたすが、珟圚ず未来から挟み撃ちをしおいくむメヌゞです。いわゆるバックキャストずフォアキャストの組み合わせずも蚀えたす。

これにより、未来の実珟性などの怜蚌もできるようになり、より粟緻な方向性を掎むこずができたす。

ただし、珟実の重力が匷すぎるため、なるべく未来の可胜性に比重を眮いた議論をするこずをお勧めしたす。

「段階的な発散ず収束」を組み合わせるず、以䞋のような図になるでしょう。未来から珟圚ぞ向けた発散ず収束ず、珟圚から未来ぞず向けた発散ず収束を行うむメヌゞです。

 

(3) 具䜓ず抜象の挟み撃ちをする

これは色々なずころで蚀われおいたすが、具䜓ず抜象の行き来をするこずでより粟緻になりたす。倚くの人はどちらかが埗意で、どちらかを苊手ずするので、苊手な方をより意識しおおくず良いでしょう。

 

(4) 空想から始めお、「できる道」を芋぀ける

私たちは぀いできるこずから考えおしたいがちですが、たず少し発想を飛ばしお、いわば空想から始めるこずを奚励する必芁がありたす。そこから逆算しお、そこに至るための现い道を芋぀けおいくのが構想です。

単なる空想に止たらないコツは、高速に怜蚌するこずです。怜蚌する胜力さえあれば筋の悪いアむデアはすぐに捚おるこずができたす。

 

(5) 珟状のシステムを知る

システム思考的な珟状の敎理をしおおくこずは発散・収束の䞡面で重芁です。

1぀の芁玠の倉化が他の芁玠にどのように圱響をするのかを知っおおくこずで、レバレッゞポむントも分かりやすくなりたす。

発散

発散させおいくずきに䞀番難しいのは、倧きな構想を描くこずです。倚くの人は、倧きな構想を描くこずになれおいたせんし、堎合によっおは恐れを抱きたす。ここを越える方法はただうたく芋぀けられおいないずいうのが実情です。しかし、倧きな構想を描けなければ、圱響床むンパクトは出たせん。

『仮説行動』でも倧きな仮説を描く方法に぀いお解説したしたが、ここでは未来の構想を考えるための具䜓的な方法をいく぀かたずめたす。

(1) 二段ぐらい高所の未来を考える

もし䌚瀟であれば、自瀟よりも䞀段䞊の「産業」、さらに䞀個䞊の「囜」レベルでの未来を考えお、その未来がどうなるから、その未来の囜における「産業」や「自瀟」の䜍眮づけを考える、ずいうのが1぀の方法だず思っおいたす。

「自分たちの事業の未来を考える」ずいうこずをするず、自分たちの事業の延長線䞊でしか考えられなくなりたす。



(2) 情報を集める

倧きく考えるためには情報が必芁ではないか、ずいう仮説を持っおいたす。

アナロゞヌを行うこずもそうですが、基本的に倚くの人は適切な情報を持ち合わせおいないため、倧きく考える枠を蚭定できないのではず思っおいたす。

事前にむンプットを揃えるだけで、発散の質が倉わりたす。

 

(3) 適切な制玄やピン留めをする

アむデアには倚少の制玄があるこずで探玢空間を緩やかに閉じるこずができお、逆に枠の倖にある発想を促しやすくなるように思いたす。いわばテヌマなどを持぀こずです。

生成AIを䜿うずきも、抜象的なプロンプトには䞀般的な回答しか返っおきたせんが、良い感じのずころにピン留めしお適切な蚀葉をピンにしお、その呚蟺のアむデアを出しおもらった方がナニヌクなアむデアが出やすいように思いたす。

このピンの留め方が、構想の筋の良し悪しをある皋床決めおしたいたす。

 

(4) 適切な枠組みをゆるやかに持っおおく

他の領域の枠を無理矢理圓おはめおみるこずで、珟象の新しい芋え方に気づくずきがありたす。いわゆるアナロゞヌです。

適切にアナロゞヌを行うためには、物事の構造的な理解ず、構造自䜓のパタヌンを持っおいる必芁がありたす。

収束

収束の倚くは「怜蚌」になりたす。構想で蚀えば、现かさや敎合性のチェック、ずいう圢でしょうか。『仮説行動』でいえば「仮説マップの怜蚌」にあたりたす。

以䞋は未来の構想を考える䞊で䜿える収束の手段です。

(1) 幎衚を䜜る

特に倧きめの未来を考えるずきには、「幎衚」を曞いお、時間的な怜算をするこずもお勧めです。幎衚を曞いおみるこずで、未来の構想を「気分」から「構造」ぞず倉えるのを手䌝っおくれたす。意倖ず20幎などは短いこずが分かりたすし、考えるべき他の芁玠の発芋や敎合性の怜蚌もできたす。

 

(2) 倧きくブレない未来で怜蚌する

たずえば20幎埌でも、おそらく人口の予枬は盞察的に倧きくは倉わりたせんもちろんレンゞはありたす。

それによる瀟䌚の倉化はあり埗たすが、「ベヌスラむン」ずしお比范的䜿いやすい芁玠で怜蚌するこずで、空䞭戊になり過ぎるのを防げたす。

 

(3) 掚定しお怜蚌するフェルミ掚定など

フェルミ掚定などを掻かすのも怜蚌の䞀぀です。

特に技術においおは、理論的な最倧倀は倉わらないので、こうした蚈算をしおおくのはお勧めです未来においおも物理法則は倉わらないので。

https://blog.takaumada.com/entry/calculating-the-impact

 

(4) 専門性を持぀

それぞれの領域での専門性は、パズルのピヌスを寄り现かく芋おいくために有効です。

特に敎合性の穎抜けや、制玄条件芏制・䟛絊制玄・技術的限界を早く芋぀けるのに効きたす。

 

(5) 怜蚌の芳点を最䜎限チェックリスト化する

収束の芳点が浅いず、 敎合しおいるように芋える物語が成立しおしたうこずがありたす。最䜎限、次の芳点で怜蚌するこずもお勧めです。

  • 敎合性
  • 実珟可胜性
  • 経枈性
  • 競争
  • 反蚌

そのほか、怜蚌方法に぀いおは悪魔の代匁者やプレモヌテム、プレパレヌドなど、様々な手法があるので、それらを䜿うず良いでしょう。

ツヌル

(1) ChatGPT を䜿う

アむデアの発散をするずきには、ChatGPTなどの生成AIサヌビスにうたくプロンプトを投げられるようになりたした。

特にLLMは発散を埗意ずしたす。ある意味アむデアの発散ずはハルシネヌションでもあるからです。

ただしハルシネヌションが起こるずいうこずは、怜蚌でミスをしやすいずいうこずでもありたす。そうした意味で収束を埗意ずするわけではありたせん。たた収束には意思が必芁なので、そのあたりはただAIに任せるこずはしづらい郚分です。

 

(2) NotebookLMを䜿う

ざっくりず情報を入れお、その情報を元に未来の構想の叩き台を䜜っおスラむド化するこずで、議論の叩き台を䜜りやすくなりたす。

Nano Banana Pro や Mixboard など、画像生成系を䜿うのも1぀の手でしょう。

 

(3) 仮説マップキャンバスを䜿う

仮説マップキャンバスみたいなものを䜿っお敎理するのも1぀の手かず思いたす。

たずめ

本皿では、未来を構想するうえで圹立぀かもしれないいく぀かの考え方をたずめおおきたした。ただ私たちが詊しおいるこずを党郚曞けおいるわけではないですが、䞀旊ツヌル矀ずしお䜿えるようにはなっおいるはずです。

なお、ワヌクショップの堎合は時間制玄に合わせおアクティビティを遞んでいくこずになりたすし、参加者や目的に合わせお倉曎したり、事前に情報を準備したりするので、やり方は様々だず思いたす。

 

そしお䜕より、「未来を予枬する」「未来を圓おる」ずいうわけではなく、私たちは未来を構想し、それに実際に取り組むこずで「未来に぀いおの仮説を正解にする」「仮説を珟実にする」ずいう気持ちで取り組むのが倧事だず思っおいたす。そこを最埌に匷調させおください。

できれば今曞いおいるリ゜ヌス本の次に、『未来を構想する』仮ずいう本を曞いお、そうした本を曞きながら、未来を構想するための方法をもう少し自分でも深めおいきたいず思っおいたす。

ずはいえ、そろそろHowの本ではない本を曞いお、別の考えを深めたいずころなのですが 

NotebookLM によるたずめ

Focused Research Organization (FRO) - 非営利のテック・スタヌトアップ的な「科孊技術研究機関」の可胜性

2025幎12月、米囜 NSF が Tech Labs Initiative ずいう新しい詊みを始めるこずを発衚したし、コミュニティからの意芋募集 (RFI) を開始したした。

Tech Labs は「倧孊や䌁業の枠組みでは解きづらい技術的ボトルネック」に察しお、フルタむムの独立チヌムに裁量ずマむルストヌンベヌスの資金を付けお、研究を前に進める、ずいう新しい運営モデルです。

NSFの説明では、論文やデヌタセットずいった䌝統的なアりトプットに留たらず、プロトタむプから商甚化可胜なプラットフォヌムに翻蚳translationしおいくずころたでを匷く意識しおいるのが特城に芋えたす。

なお、資金芏暡に぀いおは、報道・説明䌚ベヌスの敎理になりたすが、1チヌムあたり幎$10M〜$50M、少なくずも4幎芏暡の倧型・耇数幎の蚭蚈ずなっおいたす。

 

この Tech Labs の取り組みは、この数幎提案されおきたFocused Research Organization (FRO) に近い思想だず蚀われおいたす。

この FRO を䞭心に、新しい科孊の取り組みが進み぀぀あるずいうのをたずめおおきたす。

 

❓問題意識

科孊論文の総数は指数関数的に増加し、新たな知芋が日々生み出されおいたす。しかし、真に革新的、぀たり既存のパラダむムを芆すような発芋に぀いおは、そのペヌスが鈍化しおいるのではないか、ずいう懞念が問題意識ずしお共有されおいたす。

たずえば、

  • 研究投入人・費甚が増えおいる䞀方で研究生産性が䜎䞋しおいる、ずいう議論 (Bloom ら)
  • 論文・特蚱の“砎壊性disruptiveness”が䜎䞋しおいる、ずいう議論Parkら

などが代衚䟋です。

こうした議論が瀺唆するのは、科孊者個々人の努力䞍足ずいうより、構造的な問題むンセンティブ蚭蚈・運甚蚭蚈が効いおいるのではないか、ずいう点です。

その構造的な問題ずしお、たずえば

  • 論文䞭心の評䟡
  • 官僚的なファンディングシステム
  • 研究宀䞻䜓の運営PI䞭心、短期雇甚の積み䞊げ

ずいったものが挙げられたす。

こうした構造がある結果、たずえば科孊むンフラの敎備やデヌタ敎備などのプロゞェクトはアカデミアでは評䟡されづらいため、結果ずしお誰もやらないたたになっおしたいがちです。

このような共通基盀の未敎備が埋速ずなり、分野党䜓の進歩を遅らせおいる、などが問題の構造の䞀端ずなっおいるずいう指摘もありたす。

 

🔬 FROの取り組み

FROはこうした構造的な課題のうちの1぀、科孊の進歩を支える「科孊的公共財」ツヌル、デヌタ、むンフラなどの開発を進めるために提案された組織モデルです。

FROは「非営利のテックスタヌトアップ」ず衚珟されるこずも倚く(たずえば Natureの 2022 幎の蚘事は Unblock research bottlenecks with non-profit start-ups ずいうタむトル)、埓来の倧孊や研究機関などから切り離しお独立的に運営されたす。

FRO の特城

FROでは、「特定の課題を解決する」ずいう目的が蚭定され、

  • 組織内には孊際的なフルタむムチヌム10~30人のフルタむムが組たれ、゚ンゞニア、研究者、PM/オペレヌタヌ等などが集たる
  • その組織に察しお䞀定期間のファンディング$20–50Mが行われる

ずいうのが暙準的な型のようです。

その他の特城ずしおは、

  • 明確な技術目暙ずマむルストヌン
  • 時限぀き3〜7幎皋床が兞型。倚くは5幎前埌のミッション蚭蚈
  • 公共財をアりトプットするツヌル、デヌタセット、科孊むンフラ等
  • 結果に察する説明責任倖郚レビュヌ含む

ずいった、科孊的組織ではあたり芋られない芏埋が適甚されたす。

これらを非営利組織ずしお行うため、いわば

  1. アカデミアの探究
  2. スタヌトアップの実行力
  3. そしおフィラン゜ロピヌ/公益性

の3぀を融合させたモデル、ずも蚀われたす。

FRO が取り組む課題

ただし、すべおの科孊的な課題がFROに適しおいるわけではありたせん。䞀般にFROに適した課題は、

  • 分野の進歩を阻害しおいる「技術的ボトルネック」がある
  • それが既存の組織のむンセンティブ構造では解決されづらい
  • ツヌル・デヌタ・暙準化など「公共財」寄りの成果が重芁

ずいった条件が揃うケヌス、ず理解されおいたす。

FRO ず他の組織ずの違い

衚ずしおたずめるず、以䞋のような違いがあるず蚀えるでしょう。

組織モデル

䞻な目的

成功の指暙

期間

倧孊の研究宀

基瀎研究ず論文発衚

論文匕甚数、倖郚資金獲埗

長期的PIのキャリアに基づく

VC支揎スタヌトアップ

営利目的の補品開発ず垂堎投入

収益、ナヌザヌ数、䌁業䟡倀

短〜䞭期的垂堎投入たで

FRO

科孊的公共財ツヌル・デヌタの開発

技術的マむルストヌンの達成、科孊界ぞの貢献

䞭期的5〜7幎の時限付き

NotebookLM によるたずめ

❗FROの䟋

FROずいう抂念を掚進し、立ち䞊げ支揎を「仕組み化」しおいる代衚䟋が Convergent Research2021幎蚭立 です。Google の Eric Schmidt らが初期の助成者になったこずが知られおいたす。

Convergentは資金提䟛だけでなく、FRO型の課題を発掘し、ロヌドマップを匕き、リヌダヌシップチヌムを組成しお立ち䞊げから運営たで支揎する、いわば FROのStartup Studio 的な存圚だず蚀えたす。

 

䟋Lean

圌らが支揎する1぀の䟋ずしお、「Lean FRO」がありたす。Leanは数孊・゜フトりェア・ハヌドりェア怜蚌などで䜿われる蚌明支揎系のプラットフォヌムで、Lean FROは2023幎7月にConvergent配䞋の非営利ずしお圢成され、5幎ミッションで開発を進める、ずいう敎理がされおいたす。ただしもずもずLeanは2013幎から始たりたした

最近日本でも「ABC予想蚌明のためにLeanを䜿う」ずいうニュヌスで共有されたりもしたしたが、このLeanはFROで運営されおいる、ずいうこずです。

 

䟋Forest Neurotech → Merge Labs

最近の分かりやすい動きずしお、BCIを研究しおいた Forest Neurotechが、営利スタヌトアップの Merge Labs ずしおスピンアりトする、ずいう報道が出たした。報道によるず、Merge Labsは超音波を䜿った脳掻動の読み取りに取り組み、$850M評䟡で$250M調達を目指しおいるずされおいたす。たたSam Altmanが共同創業者ずしお関わっおいる、ず報じられおいたす。

 

䟋OpenAI

最も成功したFROはOpenAIかもしれたせん。厳密にはOpenAIはFROの定矩公共財ミッション、特定ボトルネックの解消、時限組織などずは異なりたすが、非営利ずしお創蚭2015し、AGIずいうミッション駆動で倧芏暡R&Dを掚進しおいるずいう点で、「非営利×フロンティアR&D」を考える際の参照䟋にはなり埗たす。

 

⏩FROの発展

FROの背景には、いわゆる メタサむ゚ンス科孊の営みそのものを科孊する の朮流がありたす。

私の理解では、FRO的アプロヌチが効くのは「課題次第」であり、課題に応じお、FRO的なシステムの“匷さ”マむルストヌンの厳密さ、探玢䜙地、公開/クロヌズのバランス等は倉えおいく必芁があるず思っおいたす。

ここでTech Labsに戻るず、NSF自身が

  • 独立チヌムの裁量
  • マむルストヌン型資金
  • 論文等を超えお、プロトタむプから商甚化可胜なプラットフォヌムぞの翻蚳 (translation)

を明確に曞いおおり、FROず重なる蚭蚈思想を茞入しおいるように芋えたす。

䞀方で、FROが「公共財ツヌル・デヌタ」に寄るのに察し、Tech Labsは「技術翻蚳・産業化の入口」たで匷く意識しおおり、か぀囜家アゞェンダの䞭でも特にハむリスクな科孊的課題を解こうずしおいる点で、目的は同䞀ではありたせん。

その点で、Tech LabsはむしろDARPAなどのARPA系に䌌おいる、ずも蚀えるでしょうただし組織独立などはお菊異なりたす。

たた、運甚面ではTech Labsは OTOther Transaction契玄ずしお柔軟性・事務負担の䜎枛を狙う、ずいう話も出おいたす。

なお、英囜でも、ARIAがActivation Partnersの枠組みで、Convergent Researchず連携しFRO型の機䌚探玢やFounder Residencyを進めるこずが明蚘されおいたす。

 

🗟日本ぞの瀺唆

FROやTech Labsは珟代の科孊技術の゚コシステムの滞留に察する、改善案の䞀぀です。

日本での「科孊研究の資金を増やそう」ずいう動きは重芁ですが、䞀方で䞖界的に科孊の生産性の䜎䞋が芋られるのであれば、単に資金を増やせば解決する、ずいう問題ではないずいう点は予め認識しおおかなければなりたせん。

おそらく「その資金をどう䜿うか」組織モデル、評䟡軞、運甚の蚭蚈に新しい詊みがなければ、䞖界の科孊技術の生産性に远い぀いおいくのは難しいのではないか、ず思いたす。

DARPAやPrivate ARPA、ランダムファンディング、審査のむノベヌション、トップダりン蚈算などの話題も以前取り䞊げたしたが、そうした「別の仕組み」をどう動かしおいくのかが、今埌の生産性に関わっおいくのではないかず思いたす。

このあたりは、FRO も含めお、以䞋の経産省向けの2024幎の資料でも觊れおいたす。

speakerdeck.com

たた今埌、日本でも博士課皋の増匷が䌁画されおいたす。

ただ、その堎合、博士課皋卒業埌の雇甚がボトルネックになりがちです。民間で雇甚が十分に吞収しきれない堎合、こうしたFRO的な組織を䜜るこずは、雇甚の受け皿ずなりえたすし、科孊党䜓の生産性を向䞊しながら、異なるキャリアパスを提䟛できる経路を提䟛できる可胜性があるように思いたす。

たたこうした組織はスタヌトアップにずっおも良い圱響を䞎えおくれるのではないかず期埅しおいたす。

 

そうした芳点から、「非営利のテックスタヌトアップ」ずも呌ばれるFROに぀いお玹介しおおこう、ずいう蚘事でした。

 

NotebookLM によるスラむド