アントレプレナーシップに関する研究は様々な大学で行われています。 起業家個人の特性、どういった起業家が成功しやすいのか、スタートアップがもたらす経済効果など、経営学や経済学、あるいは心理学や社会的ネットワークといった分野から、アントレプレナ…
「教授パラダイムから学習パラダイムへ」と言われて約30年ほど経ちました。 この二つを簡潔に説明している文章を以下に引用してみます。 教授パラダイムは「教員から生徒へ」「知識は教員から伝達されるもの」を特徴とし、学習パラダイムは、「学習は生徒中…
「授業で人生が変わった」「授業を受けたからキャリアを変えた」という人はそう多くいません。 たとえば起業に限って言えば、あのスタンフォード大学のアントレプレナーシップの授業ですら、起業家を増やす効果は確認されていません。 それに授業を受けるだ…
起業家の不足がスタートアップエコシステムの課題である、という記事 を以前書きました。 この「起業家の数」に関連してしばしば指摘される点として、 「日本は起業予備軍の起業活動の水準は高いが、そもそもの起業予備軍が少ない」 というものがあります。 …
「ロールモデルとしての起業家が学校に行けば、起業を目指す人が劇的に増える」 というと正しいようにも聞こえますが、 「ロールモデルとしての伝統芸能の人が学校に行けば、伝統芸能を目指す人が劇的に増える」 というと、正しいようには聞こえません。 し…
「起業家のロールモデルを提示することで、起業家が増える」 そう考えている人はそれなりの数いるようです。その結果、 「起業家を増やすために、起業家を学校で講演させる」 という政策が提案されるようです。 しかし実際には、単にロールモデルを提示すれ…
様々な研究で指摘されていることとして、起業家のキャリアを選ぶかどうかの影響が大きな一つの要素は、親が起業家かどうかです。親が起業家であると、子供が起業家になる確率が 1.3 から 3.0 倍高まると言われています(下記研究の冒頭を参照)。 興味深い研…
アントレプレナーシップ教育には「狭義」と「広義」のアントレプレナーシップ教育があります。 端的に言えば、狭義は起業のための教育、広義は起業以外を含む起業家的な資質・能力を涵養するための教育です。 OECD のアントレプレナーシップ教育に関するレポ…
アントレプレナーシップは、起業家精神や企業家精神と訳されることが多い言葉です。 その「精神」という語感から、アントレプレナーシップ教育とは「起業家の持っているような精神やマインドセットを育てる教育」なのだと思われる人もいるようです。そのため…
2022年現在、日本のスタートアップエコシステムにはたくさんの改善点があるとされています。たとえば経団連が2022年にまとめたスタートアップ躍進ビジョンには、2022年時点での課題がいくつも挙げられています。 ただ、この5年を見てみると様々な制度や環境…
「〇〇起業家」と呼ばれる人たち、英語だと「〇〇 entrepreneur」という言葉が増えてきています。 例えば以下のような「〇〇起業家」という言葉があります。 (商業)起業家 ―― 商売としての事業を起業する人たちです。一般的に起業家といえば、この人たちを…
筆者はこれまで数年間、東京大学でアントレプレナーシップ教育に携わってきました。そんな中、特にこの 1, 2 年で、アントレプレナーシップ教育に関する注目度は急激に増してきていると感じています。 現在の岸田政権がスタートアップを一つの重点投資分野に…
スタートアップが経済成長の要の一つだと目されている中、起業家を増やすことについても注目が集まっているように思います。そうした文脈の中で、特に教育機関からの観点で意見を聞かれることも増えました。 そこで今、起業家を増やすために教育や教育機関が…
起業家教育やアントレプレナーシップ教育について日本でも注目が集まってきています。 アントレプレナーシップ教育については、この十年様々な研究が蓄積されてきており、効果なども定量的に示され始めています。注目が集まっているのは良いことですが、そう…
2022年4月27日に開催された経済諮問会議で、小中高でのアントレプレナーシップ教育の拡大方策に言及されていました。 産業の振興を目的に、起業家を増やしたいと思うのであれば、若年層へのアントレプレナーシップ教育は一定の効果があるように思います。 た…
異なる大学間でアントレプレナーシップ教育や起業家向け教育(研修)、起業支援について語るとき、それぞれの大学での支援対象や目的が異なっているため、互いの活動を整理してから議論した方が良さそうだなと感じています。 そのときに、以下のような二つの…
『未来を実装する』の「おわりに」にこのようなことを書きました。 こうした「社会実装」や「未来を実装する」というコンセプトを社会実装するには、情報を伝えるだけではうまくいきません。本書ではインパクトとそこに至る道筋を少し示しただけであり、これ…
スタートアップが注目を浴び、日本全国でオープンイノベーションの取り組みが広まるにつれて、スタートアップが他企業と共同で何かを行うことが増えました。また各産業の深い課題に取り組むスタートアップも増え、初期の段階から顧客企業との間でNDAなどの契…
東京大学アントレプレナー道場の一部を、全国の大学生向けにオンラインで提供できることになりました。 全国アントレプレナーシップ人材育成プログラム 全国の大学生であればどなたでもご参加可能です。登録は上記のサイトから無料で可能で、登録締切は 11 …
Product Manager Conference 2021 での講演の資料をアップデートして公開しました。 IT を活用するプロダクトを作っていくうえで、政治や規制の話は避けて通れなくなりつつあるように思います。 遵守するのは当然のことながら、もし時代に合わないルールや変…
総裁選での「日本の成長産業は?」という質問に対し、岸田首相はフリップで「スタートアップ」という回答をしました。「新しい資本主義」の中でもスタートアップへの期待がかかっているのではと思うので、個人的な意見を書いておきます。 私個人は再分配を意…
科学の助成金をランダムに配分する(不確実性への投資) 課題 解決策 実行性 社会実装の助成金をランダムに配分する(不確実性への投資) ビジネスにランダム性を活かす その他の議論:民主主義でランダムな市民に参加してもらう(公正性) まとめ 皆さんが…
「スタートアップを目指すにしては市場が小さいように見える」と投資家から指摘されたことのある起業志望者の方も多いのではないかと思います。こうしたコメントの背景には単純な計算があります。そのロジックを知っておくことで、自分自身でスタートアップ…
起業家教育といってもその内実は様々です。いくつかの文献[1][2]では、起業家教育 (Entrepreneurial Education) と起業家トレーニング/研修 (Entrepreneurial Training) を峻別しています。 起業家トレーニング/研修は特定の活動のパフォーマンスを上げるも…
起業家教育に注目が集まっていますが、起業と言ってもどのような事業を指すのかは様々です。最低限生きていくための事業をするためのやむを得ない起業もあれば、リスクを取って急成長をするようなスタートアップ的な事業のための起業もあるでしょう。 しかし…
これまで各種のスライドやプログラムを通して、リーンスタートアップ的な手法をお勧めしてきました。その中でリーンスタートアップ的な手法の限界もまた見えてきたように思います。 リーンスタートアップはMVPを作ったり、顧客インタビューなどを行いながら…
リーンスタートアップに関連する論文を読んでいて、「良く使われているフレームワーク」の中に『市場機会ナビゲーター (Market Opportunity Navigator)』という、日本ではあまり紹介されていなかったものがあったので紹介しておきます。 『市場機会ナビゲー…
コロナ禍からの経済のリカバリープランの中で、各国が挙げているのは「デジタル」と「グリーン」です。特にグリーンの文脈では、2050年に向けたカーボンニュートラルが世界的なアジェンダとして広く受け入れられつつあります。 気候変動対策が社会の変化を促…
読書の目的読書の目的 プロダクトマネジメントの概念を関連付けてマッピングすること 献本をいただいたので書評を書くこと 一言で言うと5W1Hでお勧めの人 プロダクトマネージャーに新しくアサインされた人が全体像をつかみたいと思ったときに通読する プロダ…
2030年ごろにどのような能力が必要であるか(そしてそれに向けてどのような教育をするべきか)をまとめている OECD の Education 2030、そのコンセプトノートではキーとなる三つのコンピテンシーとして「新たな価値を創造する力」「対立やジレンマを克服する…