リーンスタートアップに関連する論文を読んでいて、「良く使われているフレームワーク」の中に『市場機会ナビゲーター (Market Opportunity Navigator)』という、日本ではあまり紹介されていなかったものがあったので紹介しておきます。
『市場機会ナビゲーター』は、ビジネスモデルキャンバスなどで各事業にズームインする前に、もう少し広く市場機会を見るためのツールとして Where to Play という書籍で提唱されているものです。
この市場機会ナビゲーターは三つのプロセスで成り立っており、(1) 市場の候補を選び、(2) 市場の魅力度を考えて、(3) 戦略を考える、となっています。手順などは Slideshare などでも公開されています。
Market Opportunity Navigator, Lesson 1: Overview (slideshare.net)
もともとは「Look Before You Leap: Market Opportunity Identification in Emerging Technology Firms」という論文で、シリアルアントレプレナーの思考様式(参入の前に市場特定を多く行う)を指摘しており、それを実務に結びつけるために作られたようです。ちなみに書籍と上記に挙げた論文にはすべて同じ著者が入っています。
使う順番
- 市場機会ナビゲーター (Market Opportunity Navigator)
- ビジネスモデルキャンバス
- 顧客開発 / アジャイルな製品開発
という順番で使うことが示唆されています。同じく『市場機会ナビゲーター』を紹介している Steve Blank の記事でも同様のようです。
一方、『市場機会ナビゲーター』の手順書だと
- 市場機会ナビゲーター (Market Opportunity Navigator)
- ビジネスモデルキャンバス
- 共感マップ
の順がお勧めされているようですね。
個人的には、
- 市場機会ナビゲーター (Market Opportunity Navigator)
- ビジネスモデルキャンバス
- 共感マップ
- 顧客開発/製品開発(仮説検証)
のほうが座りがいいかなと思いますし、順番というよりはそれぞれを行ったり来たりしながらビジネスを検討していくんだろうなという印象です。
個人の感想
かつてに比べると、スタートアップの市場機会の選定とエントリーポイントの重要度は相対的に上がっているように思いますし、連続起業家は市場選定を結構注意深く行っているなという印象があるので、初回の起業家も少し詰まったときはこういうツールを使ってみるのも一案かなと思いました。
// 「連続起業家、フィンテックに挑む 規制緩和が呼び水」という記事も最近出ていましたね。