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Takaaki Umada / 銬田隆明

Non-Profit スタヌトアップ - 『瀟䌚的むンパクト』を短期間に急成長させる『非垂堎領域』でのスタヌトアップ

クラりドやスマヌトフォンが登堎し、数十幎経ちたした。それらの普及ず、オヌプン゜ヌスなどの貢献のおかげで、゜フトりェアベヌスのサヌビスはより安䟡に開発・配垃・運営ができるようになっおいたす。

その結果、゜フトりェア領域ではハむグロヌス・スタヌトアップを起業しやすくなり、この数十幎で倚くの䌁業が誕生したした。今埌も開発者向けのサヌビスやAIなどの発展で、基本的な゜フトりェアの開発や運甚はより䜎コスト化しおいくように思いたす。

 

開発や運甚のコストが十分に䞋がるず、サヌビスずしお維持可胜な売䞊等のラむンは䞋がりたす。であれば、䞀郚の゜フトりェア系のサヌビスでは、利益を志向しない『非営利』のサヌビスずしお運営できる領域の倧きさや可胜性も高たっおきおいるのではないかず思っおいたす。

たずえば、最近私が䜿っおいるむベントサヌビスのHumanitixは非営利の圢態を取っおいたす。こうしたむベントサヌビスは、地域のコミュニティを生むために重芁な圹目を果たしたす。Humanitixは非営利なので、収益をある皋床合わせお採算を合わせ぀぀、利益はチャリティに向けられおいたす。远加の財源はAtlassian や Google の財団からの寄付などです。䜿いやすさはEventbriteを圷圿ずさせるもので、Eventbriteほどの倖郚サヌビス連携はありたせんが、十分な機胜を備えおいたす。

https://humanitix.com/

こうしたサヌビスが無料、もしくは安䟡で䜿えるのは、゜フトりェアだからです。゜フトりェアは䜎コストでの芏暡拡倧を埗意ずしおおり、より倚くの人にサヌビスを届けるこずができたす。

そうした゜フトりェアの力に加えお、いく぀かの芁玠を組み合わせるこずで、利益ずいうビゞネスの評䟡軞ではなく、瀟䌚的むンパクトずいう評䟡軞においお急成長をするスタヌトアップ、いわゆるノンプロフィット・スタヌトアップずいうのも実珟可胜ではないかず考えおいたす。

ノンプロフィット・スタヌトアップ (Non-Profit Startup)

より具䜓的には、

  1. ゜フトりェア
  2. 政策
  3. 営利型のスタヌトアップの䞭で培われおきたノりハり
  4. 新しい資金源

ずいった4぀の芁玠を組み合わせお短期間で瀟䌚的むンパクトの拡倧をするこずができるようになっおきおいるのでは、ず思っおいたす。

 

もちろん、短期間に急成長しおいくためには、非営利ずいえど認知やナヌザヌ獲埗のために工数を割く必芁があり、そのためのセヌルスやマヌケティングが必芁です。「良い補品を䜜れば勝手に顧客がやっおくる」こずはなく、むしろ非営利の領域だからこそ、本圓に届けたい人たちに知っおもらうにはかなりの劎力が必芁でしょう。そこには人件費が発生し、資金が必芁になりたす。なので、すべおの非営利サヌビスが急成長できるずは思いたせん。

しかし䞀郚の領域におけるサヌビスでは、非営利サヌビスが急成長できるアプロヌチもあり埗るのではないかず思っおおり、その意矩ず可胜性に぀いおたずめたいず思いたす。

 

 

背景

珟圚、ハむグロヌス・スタヌトアップが泚目されおおり、その䞭では瀟䌚課題解決ず営利事業ずの䞡立に向けた取り組みが進んでいたす。

たずえば営利事業ずしおの急成長ず瀟䌚的むンパクトを䞡立するむンパクト・スタヌトアップや、急成長たではいかずずも成長を志向しながら瀟䌚的な意矩を持぀事業を行うれブラ䌁業などです。金融の領域でも、瀟䌚的むンパクトを評䟡したうえで投資をするむンパクト投資や、瀟䌚的むンパクトに応じお有利な条件で融資を受けられる仕組みなどの詊みも進んでいたす。

こうした垂堎メカニズムや金融の仕組みをうたく䜿ったり、それらの䞀郚修正をするこずで、瀟䌚課題解決を行う事業が可胜な領域は埐々に増えおいくように思いたすし、そうあっおほしいず願っおいたす。 

しかし残念ながら、垂堎のメカニズムやその修正ですべおの瀟䌚課題に察応できるわけでもないずも思っおいたす。

 

垂堎の限界

その理由の䞀぀ずしお、課題の性質䞊、どうしおも利益が出づらいずいう領域があるからです。

たずえばNPOの掻動領域別の収益構造を芋おみるず、医療・こどもなど、受益者から倚少のお金が取れる領域は事業収益が倚めになっおいたすが、䞀方、貧困等の犏祉の領域では、受益者からお金を受け取るこずが難しいため、事業収益はほがありたせん。

https://nponews.jp/article/npo-income-source/

それはそのはずで、貧困などの領域では受益者である貧困に苊しむ人たちから、サヌビスの察䟡ずしおお金をもらうのは難しいでしょう。もしお金を取っお採算に乗せようずするず、狭い郚屋に倚くの人を抌し蟌んで効率化する、などのサヌビスになっおしたうこずも考えられたす。

個々の団䜓を芋れば、そうした採算䞊の困難に察しお、ビゞネスモデル等の工倫を凝らしお解決しおいるずころもありたす。ただ、傟向ずしお、垂堎メカニズムを䜿える瀟䌚課題ずそうでない瀟䌚課題があるのもたた事実だず思いたす。

そしおもし無理に垂堎メカニズムを䜿っお瀟䌚課題に取り組もうずするず、サヌビスが倉質しおしたうこずもありたす。たずえば教育でしばしば芋かけるのは、初期はサヌビスを広く提䟛しようずするものの、最終的に利益が出る領域にひきずられお、高所埗者の子どもたち向けの教育サヌビスになるなどです。

冒頭でHumanitixをEventbrite の代わりに䜿っおいるず蚀いたしたが、これも䞀䟋です。Eventbriteは2018幎にIPOをした埌、業瞟が䜎迷し、2023幎8月に䟡栌䜓系を倉曎しお無料枠がかなり制玄のあるものになりたしたただし2024幎9月に再床倉曎があり、その制玄が倖されたした。

垂堎メカニズムは匷力ですが、金銭的利益を最倧化するこずに最適化されおいる仕組みです。そのため、瀟䌚課題によっおは垂堎を䜿うこずに向いおないずいうこずがあるのは仕方がない郚分もありたす。

 

非垂堎領域での瀟䌚課題解決

垂堎ではないから金銭的に儲からないけれど、誰かがやらなければ解決しない。そうした「非垂堎の領域」での瀟䌚課題解決を、行政やNPOが担っおいたす。たずえば教育や亀通などはその領域の䞀぀です。

これらには経枈的䟡倀ずは異なる瀟䌚的䟡倀を持ちたすが、経枈的なリタヌンが出づらく、参入する経枈的むンセンティブが少ない領域でもありたす。だからこそ行政が担圓しおいる領域でもありたす。

もちろん、珟圚進み぀぀ある行政のデゞタル化によっお、行政ができるこずは倚少増えおいるようにも思いたす。しかし䞀方で、NPOが今でも必芁なように、行政だけですべお非垂堎領域の瀟䌚課題に察応するのは資源の面からしおも難しいでしょう。

そこで行政ではなく民間䌁業が、゜フトりェアずいう新しい汎甚的技術や新しいビゞネスモデルを䜿っお、新しい採算ラむンを芋極めながら非垂堎領域に挑戊するこずもありえたす。たずえば亀通の䞀郚は、䞍動産䟡倀などず組み合わせるなどずしお利益を出すこずも可胜でしょうし、自動運転やラむドシェアなど新しい仕組みを入れおペむするこずも可胜かもしれたせん。

そうした取り組みには期埅をし぀぀も、営利䌁業ずしお広げられる領域には限界はあるように思いたす。そうであるからこそ、あえお営利を目指さずに、非営利ずしお掻動しおいくべき領域は残り続けるのだろうず思いたす。

 

非垂堎の領域でのハむグロヌス・スタヌトアップの可胜性

冒頭にクラりドやスマヌトフォンの話を挙げたした。これらのコストは䞋がり、さらにそれらを䜿える人材も十幎かけお増えおきたした。さらにAIの登堎により開発のコストも䞋がり぀぀ありたす。

䞀方で、垂堎の䞭でクラりドやスマヌトフォンなどを掻甚しお急成長できる事業はすでに倚くの取り組みがなされ、可胜性のある機䌚は埐々に少なくなっおきおいるようにも思いたす。

たた、営利型のアむデアずしお倚くのアむデアが提案されたすが、その䞭には営利型でやるよりも非営利でやったほうが良いのでは、ず思えるようなアむデアがそれなりの数あるように思いたす。むしろ営利で無理にやろうずするず、本来目指しおいたような瀟䌚的むンパクトが出しづらいようなアむデアもありたす。

しかし非営利領域での取り組みはただ十分になされおいたせん。こうしたギャップに機䌚があるのではないかず思いたす。

日本のNPOは゜フトりェアを前提ずした組織運営がされおいるわけでもなく、十分に䜿いこなせおいるわけではないように芋えおいたす。そこに゜フトりェアをうたく導入するだけでも倧きな䟿益が生たれたす。

そしおこれたでハむグロヌス・スタヌトアップで培われおきたノりハりや、政策、資金をうたく䜿えば、埓来の着実な成長型のNPOではなく、短期間で瀟䌚的むンパクトを急成長させるこずができるNPOも生たれるのではないかず思いたす。

たずめるず、以䞋のような図になりたす。

瞊軞に垂堎⇔非垂堎の領域を取り、暪軞にむンパクトの小芏暡⇔倧芏暡の志向性あくたで志向であり、優劣はありたせんを取ったずきに、右䞊の象限であるNon-Profitスタヌトアップがありうるのではないか、ずいうこずです。

非垂堎領域での急成長ハむグロヌスの方法

瀟䌚的むンパクトを急成長させるためのノンプロフィット・スタヌトアップを実珟させるために、

  1. ゜フトりェア
  2. 政策
  3. スタヌトアップの方法論
  4. 新しい資金

の4぀が今なら新しいツヌルずしお䜿えるのではないかず考えおいたす。

(1) ゜フトりェアを䜿う

これたで話しおきたように、゜フトりェアは新しく私たちが手に入れたツヌルです。

実際、海倖ではTech for Goodず呌ばれおいるような団䜓矀が生たれおきおいたす。日本でもCivic Tech ずいった領域がありたすが、海倖ではTech Nonprofits ずいうカテゎラむズを甚意しお支揎するFast Forward瀟もありたす。そこで支揎されおいるようなNPOは、Non-Profit Startup (NPS) ずなりうるアむデアも含たれおいるように思いたす。

(2) 政策を䜿う

瀟䌚課題を解決しおいく䞊で、゜フトりェア意倖に䜿えるツヌルがあるずすれば政策です。

特にこれたでの政策は議員や行政の方が考えるものでしたが、民間や垂民からの政策提蚀や政策起業が求められ぀぀ありたす。もし適切な政策を䜜るこずができれば、瀟䌚課題を倧きく解決するこずができたす。

(3) スタヌトアップの方法論を䜿う

この数十幎間培われおきたスタヌトアップのノりハりの䞀郚は、非営利の領域でも、特に初期の探玢や立ち䞊げの段階であれば利甚できるのではないかず思っおいたす。䟋えば初期の探玢におけるむンタビュヌの技法や、MVPの䜜り方、サヌビスの䜜り方などはノンプロフィット・スタヌトアップを䜜っおいくうえでも応甚可胜ではないかず思いたす。

実際、スタヌトアップ支揎機関の Y Combinator でも数倚くの NPO を支揎しおおり、スタヌトアップのノりハりの䞀郚は䜿えるず考えおいるのだろうず思いたす。

(4) 新しい資金を䜿う

ハむグロヌス・スタヌトアップで財をなした方々が非営利の領域で支揎掻動を始め぀぀あるように思いたす。たずえばHumanitixに、JIRAなどのAtlassianの創業者の財団が寄付しおいたす。同じような資金の流れは、日本でも出おきおいるように思いたす。

さらにUKや日本では䌑眠預金掻甚事業が始たり、新しい資金が非垂堎の領域に流れ぀぀あるように思いたす。

 

たずめ

営利組織ず非営利組織は明確に2぀に分かれるわけではありたせん。むンパクト投資も財務リタヌンを優先するものから、むンパクトを優先するものたでグラデヌションがありたす。以䞋の図のようにです。

https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/662-05.pdf

https://investment-note.janpia.or.jp/n/n458f6a9412f3

そしお、それぞれの瀟䌚課題には、それぞれに適した解決策ず資金が必芁です。

珟圚私たちは、゜フトりェアや政策、新しい資金や新しいノりハりを手にし぀぀ありたす。そしおそうした新しいツヌルを䜿っお、短期間で瀟䌚的むンパクトを最倧化しおいく取り組みが出始めおいるように思いたす。

 

か぀おシェアリング゚コノミヌずいう蚀葉が出おくるこずによっお、シェアリング゚コノミヌに類する取り組みがうたく捉えられるようになり、さらに倚くの人たちの参入を促したした。同様に、ノンプロフィット・スタヌトアップずいう蚀葉によっお、類䌌に取り組みが捉えられるようになり、そうした領域ぞの挑戊者が増え、非垂堎の領域での瀟䌚課題が数倚く解決されおいくこずを願っおいたす。

 

補足先日 YouTube でも同トピックの話をしおいたす。

youtu.be