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Takaaki Umada / 馬田隆明

スタートアップのセールスパイプライン管理

スタートアップの初期のセールス活動において、「〇件の受注」といったゴールにしようとしたとき、どうしてもゴールとなる案件数はかなり小さくなります。場合によっては「今期は1件の100万円以上のLOI獲得」という「1案件のWin」がゴールになるかもしれません。

しかしそのような設定をしてしまうとゴールの達成率は「ゼロか1か」になってしまい、進捗の管理ができません。進捗が管理できなければ本当にゴールを達成できるのかどうか予想できないですし、進捗が見えなければチームのモメンタムの維持も難しくなります。

そこでKGIとして「今期は1件の100万円以上のLOI獲得」と置いたときには、重みづけされた金額や案件数をKPIにして、進捗を管理していく方法があります。

セールス経験者にとっては基本的なやり方ですが、セールス経験のない方々はあまり知らないようなので、簡単に解説しておきます。

基本的な計算式

金額や案件数をセールスステージで重みづけして進捗を計算します。ただしこの重みづけされた予想金額自体をゴールにするのではなく、あくまでKGIに対するKPIという位置づけのほうが良いと思います。ゴールは実際の売上で、それを達成せずにKPIを達成しても意味はありません。これはあくまで進捗確認用のものです。

金額ベースの場合

見込み案件の金額 × セールスステージ = 予想金額

予想金額の合計がKPIになります。

案件数ベースの場合

見込み顧客の案件数 × セールスステージ = 予想案件数

予想案件数の合計がKPIになります。

Google Sheet での管理

こうした案件管理に時間を多く割くべきではありません。なので最初は Google Sheet などでも構わないと思います。あとでどうせ変わります。以下のような簡単な表を作るところから始めてみてください。

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計算例

もし2020年第3四半期のゴールが「500万円以上の案件受注」だった場合、上記の表の案件を見てみると、2020年第3四半期の金額ベースのKPIの計算は

  • A社 100 万円 × 10%
  • B社 200万円 × 50%
  • C社 130万円 × 20%
  • D社 400万円 × 40%
  • E社 300万円 × 20%
  • F社 100万円 × 50%

で、310 万円となります。(※線が引いてあるのは9/30までにクローズしないため計算から抜きます)

なので、現時点では 310/500 = 0.62 (62%) がKPI上の進捗率となります。

案件数ベースで「2件以上の100万円以上の案件受注」であれば、50%+40%+50%=1.4件です。なので 1.4/2 = 0.7 (70%) の進捗率となります。

CRM での管理

Google Sheet ではなく CRM を使うという手もあります。

とりあえず HubSpot CRM (無料)を入れて、Outlook もしくは Gmail のアドインをインストールすれば、すべてのメールログとコンタクト先が HubSpot CRM 上に溜まっていきます。案件管理もそのコンタクト情報に紐づけることができたり、他のチームメンバーと案件の進捗状況がシェアできるので管理は楽になります。(ただし面倒そうであれば迷わず Google Sheet を使いましょう。面倒でCRMがアップデートされなくなると意味がありません)

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また、画面上のメニューの [レポート] -> [ダッシュボード] から「セールス」テンプレートのダッシュボードを作り、「ステージ別の取引種駅の予測」のレポートの設定を「今四半期」にしておけば、四半期のForecastを自動的に取ってくることができます。

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セールスステージの定義

自社のセールスサイクルやプロセスに合わせて設定するべきですが、まだそうしたサイクルなども分かっていなければ、とりあえず仮説ベースで設定しましょう。個人的にはアポが取れて10%、決定権者にデモができてようやく40%かなーという印象です。

HubSpotを使う場合、HubSpot 標準のセールスステージを使うのも良いかもしれません(ただ標準のものはちょっとざっくりしすぎのような気もしますが)。個人的には0%のステージを作っておいて、アタックリスト(コンタクトする予定のリスト)のステージも入れておくと良いかなと思います。

ゴールから必要な案件数を逆算する

ゴールとなる金額や案件数を基に、何件の見込み顧客が必要なのかを逆算してみてください。

これまでの感覚としては、1件のWinに対して、30件はコンタクトをするぐらいがちょうど良いのかなと思います。コールドメールだとそのうち1/5にアポが取れれば良いほうです。それらに加えて既存のつながりをうまく活用すれば、このコンバージョンはもっと高くなると思いますが、それでもたぶん10件にアポが取れるかどうか、というチームが多いのではないでしょうか。

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そのほかの情報

HubSpot によるパイプライン管理の記事も参考にしてください。

動画でも簡単に解説しています。

www.youtube.com