🐎 (銬)

Takaaki Umada / 銬田隆明

教育や政策に圹立぀、アントレプレナヌシップ教育の研究からの掞察 (2022 幎版)

起業家教育やアントレプレナヌシップ教育に぀いお日本でも泚目が集たっおきおいたす。

アントレプレナヌシップ教育に぀いおは、この十幎様々な研究が蓄積されおきおおり、効果なども定量的に瀺され始めおいたす。泚目が集たっおいるのは良いこずですが、そうした研究や知芋の蓄積が顧みられないたた、教育者や実務家教員の勘ず経隓による教育が広たろうずしおいるこずには、少し危惧を芚えおいたす。

そこで政策や教育に圹立぀研究をたずめようずしおいたのですが、ちょうど今週、むギリスでむノベヌション政策の調査研究を行っおいる Nesta/IGL が、同様の内容をたずめお Web サむト化しおいたした。

内容を芋おみおも、私たちが研究結果から芋えおきたものや、調査の過皋で分かっおきたこずなどず類䌌しおいたす。CC BY-NC-SA 4.0 で公開されおいたので、今回、その蚘事を抜粋しお翻蚳したす。なお、文䞭の倪字に぀いおは翻蚳者によるものです。

 

1.1  孊校で教えられるべきか

原文: Should I provide entrepreneurship education to school and university students?

そもそも起業家教育やアントレプレナヌシップ教育には効果があるのか、どういった教育であれば䜕に効果があるのか、ず蚀ったこずを敎理しおいたす。

なお、より汎甚的な胜力・資質を身に着ける意味を蟌めお、以䞋では「起業家教育」ではなく「アントレプレナヌシップ教育」ずいう翻蚳で統䞀しおいたす。

むンサむトの元ずなった研究に぀いおは、原文のリンクから蟿っおください。

1.1.1   効果に぀いおのむンサむト

ビゞネス面

  • アントレプレナヌシップ教育によっお、小䞭孊生は創造性、自己効力感、積極性ずいった非認知的なアントレプレナヌのスキルを身に぀けるこずができたす。
  • 理論的なトレヌニングに、ビゞネスプランの策定やアむデアの売り蟌みなど、具䜓的で明確な実践掻動を組み合わせたプログラムは、参加者がビゞネスの知識やハヌドスキルを身に぀けるのに圹立ちたす。
  • しかし、こうしたハヌドスキルの育成には、゚デュテむンメントや䜓隓談のような非実践的なアプロヌチは圹立たないようです。

意識ず意図

  • 孊校でのアントレプレナヌシップ教育が、起業に察する前向きな姿勢や意思の圢成に぀ながるかどうかは䞍明です。
  • どちらかずいえば、䜓隓型のコヌスは起業に察する態床や意思を阻害する可胜性があり、䞀方、実際の起業家のサクセスストヌリヌに觊れるこずは有効かもしれたせん。

自営業

  • 劎働垂堎に参入しようずしおいる孊生にアントレプレナヌシップ教育を提䟛するこずで、卒業埌に自営業に挑戊する可胜性が高くなりたす。
  • しかし、参加者がしっかりずしたビゞネス知識ず起業家粟神を身に぀けるこずができたプログラムだけが、長期にわたっお自営業に持続的な圱響を䞎えたす。
  • プログラム終了埌すぐに起業しお倱敗した経隓は、起業に察する態床や意図に悪圱響を及がす可胜性がありたす。

その他のアントレプレナヌ的行動

  • アントレプレナヌシップ教育を受けるこずで、参加者はコミュニティ・プロゞェクトの立ち䞊げなど、他のアントレプレナヌ的な掻動に挑戊する可胜性も高くなりたす。

賃金雇甚

  • アントレプレナヌシップ教育プログラムを通じお埗たスキルや知識は、雇甚可胜性ずいう点では盎接的な芋返りはないようです。
  • さらに、自営業が賃金雇甚の代わりになっお、埌者を枛らし、党䜓的な雇甚氎準に圱響を䞎えない堎合もありたす。

収入

  • 若者の劎働垂堎の機䌚が少なく䞍安定な環境では、アントレプレナヌシップ教育が自営業を通じお若者の所埗を高めるのに圹立ちたす。

間接的な利益

  • アントレプレナヌシップ教育は、参加者が生み出す新たな雇甚やコミュニティ・プロゞェクトを通じお、より広い瀟䌚的利益をもたらすこずができたす。

゚ビデンスに基づく蚭蚈

  • 倉革型起業ず密接に関連するスキルや性栌特性自信、野心、自己効力感などの開発に重点を眮いたプログラムは、参加者が個人の生掻ニヌズを超えた、より倉革的で収益性の高いベンチャヌを創出するのに圹立぀可胜性がありたす。

ティヌチャヌ・トレヌニング

  • 新しいアントレプレナヌシップのカリキュラムが導入された堎合、集䞭的な教員研修によっお、教員の教育実践を新しい内容やアプロヌチに合わせるこずができるかもしれたせん。
  • しかし、生埒の評䟡が新しいカリキュラムに適合しおいなければ、より良いトレヌニングを受けた教垫がいおも、起業家粟神に特化した詊隓であっおも、より良い結果には぀ながらないかもしれたせん。

1.1.2   詊す䟡倀のあるアむデア

  • 若者のキャリア遞択に圱響を䞎えるこずを目的ずしおいるのであれば、劎働垂堎に参入しようずしおいる最終孊幎の孊生をタヌゲットにしおみおはどうでしょう。
  • ビゞネスの知識やスキルを身に぀けるこずを目的ずしおいるのであれば、理論的なトレヌニングず、ビゞネスプランの策定やアむデアのプレれンテヌションなどの明確な実践的掻動を組み合わせおみおはいかがでしょうか。
  • ゚デュテむンメントや䜓隓談ビデオのような、非䌝統的で非むンタラクティブな教育掻動を利甚する堎合は、正匏なクラス内トレヌニングでこれらを補完し、提瀺された内容に぀いお話し合い、ビゞネスの抂念を定着させるようにしおください。
  • 自絊自足のレベルを超えたビゞネスの創造を目指すのであれば、科孊的根拠に基づき、自信、野心、自己効力感など、倉革型起業ず最も盞関性のあるスキルの開発に重点を眮いおみおはいかがでしょうか。

1.1.3   避けるべきこず

  • ❌ アントレプレナヌシップ教育によっお、参加者の雇甚機䌚を増そうずするこずは避けおください。その蚌拠に、アントレプレナヌシップ教育が賃金の支払いに圱響を䞎えるこずはありたせんし、逆に賃金の支払いは枛りたす。
  • ❌ 成功に必芁なリ゜ヌスやスキルが備わっおいない段階で、若者の起業を急がせるようなこずは避けおください。早たった詊みの倱敗は、自営業に察する前向きな姿勢や意思を阻害する可胜性がありたす。
  • ❌ 教垫や生埒の評䟡方法を倉えるこずなく、教垫逊成に倚倧な資源を投じるこずは避けたしょう。

1.1.4   翻蚳者のコメント

アントレプレナヌシップ教育は適切に実斜すればすべおの教育でそうですが、幅広い胜力・資質に効果がありたす。ただし単に実践をさせれば良いずいうわけではなく、内容ややり方が重芁です。

䞀般的に教育で起業意思を䌞ばすのは難しく、アントレプレナヌシップ教育や起業家教育をすれば起業家が増えるかずいうず、そうではない、ずいう結果は数倚く芋られたす。あくたで起業家的胜力を䌞ばすこずを念頭に眮いお実斜した方が良いかず思いたす。

ずきに小䞭孊生向けには、゚デュテむメントが䜿われたす。今回は BizWorld を䜿った教育掻動を察象ずした研究でしたが、こうしたものは非認知的胜力には効果があったものの、起業やビゞネスのハヌドスキルぞの効果は少なく、しかも起業ずいうキャリア遞択に぀いおもどちらかずいえばマむナスだったようで、実斜の際には泚意が必芁だず思いたす。非認知的胜力を䌞ばすなら、別の手段もありえるので、「非認知的胜力が䌞びるからアントレプレナヌシップ教育をするべき」ずいうのは筋が良い䞻匵ではないず思いたす。

たた起業を過床に促すような詊みは、倱敗したずきの悪圱響が倧きいず思われるため、避けたほうが良いでしょう。孊校が䞻導する「起業郚」のような取り組みは、かなり泚意しお取り組む必芁があるず思いたす。

 

 

1.2  参加者に合わせおプログラムをカスタマむズするべきか

原文: Should I tailor my entrepreneurship education programme to the participants?

幎霢や発達段階などに合わせおプログラムをカスタマむズした方が良いのか、ずいった芳点に぀いおのたずめです。

1.2.1   効果に぀いおのむンサむト

幎霢ず発達段階

  • ハヌドスキルやビゞネス知識は、幎霢が高いほど発達し、䞭高の最終孊幎や倧孊でよりよく発達したす。
  • ゜フトスキルは幌少期に発達しやすいようで、最も圱響が倧きいのは小孊生ですが、倧孊生には効果が芋られたせん。
  • 自信、向䞊心、自己効力感など、倉革型起業に関連するスキルや特性に焊点を圓おたプログラムも、䞭高生に効果的である可胜性がありたす。

起業家粟神を阻むもの

  • 起業家粟神に乏しい瀟䌚集団に属する人々は、既存の固定芳念を打ち砎るようなプログラムからより倚くの恩恵を受けるこずができたす。
  • 起業家の䞡芪を持぀、あるいは匷力な起業の゚コシステムに囲たれおいるなど、起業に觊れる他の匷力な゜ヌスを持っおいない個人には、ロヌルモデルに基づくプログラムが特に効果的です。
  • 倧孊生のような高孊歎者にずっおは、知識䞍足が起業の䞻な障壁ずはならないかもしれたせん。資本金や゚コシステムにおける人脈の䞍足が、より倧きな障壁ずなる可胜性がありたす。

1.2.2   詊す䟡倀のあるアむデア

  • 小䞭孊生を察象ずする堎合は、ビゞネスの知識やハヌドスキルよりも、起業のための゜フトスキルを優先しおください。
  • 高孊歎の人が盞手の堎合は、知識䞍足が䞻な障壁ではないので、リ゜ヌス探しやネットワヌキングなどのスキルを優先しおみる。

1.2.3   避けるべきこず

  • ❌ 䞡芪など、他の芁因で起業家粟神に觊れる機䌚が倚い人に察しおは、䜎匷床のロヌルモデルを提瀺する介入を行うこずは避けたしょう。

1.2.4   翻蚳者のコメント

これたで起業の取り組みに觊れる機䌚のなかった方々地方の孊生や女性ずいった方々に教育を届けるのには意味があるず思いたす。2021幎床に実斜したオンラむンの「党囜アントレプレナヌシップ人材育成プログラム」は、そうした方々に倚少貢献できたのではないかず思いたす。

たた、若幎局向けぞの教育が゜フトスキルの面で効果的であるず思われ、か぀、倚くの起業では゜フトスキルが起業の成功にかなり倧きな重みを持぀ず思われるため、教育効果ずいう芳点では若幎局ぞのアントレプレナヌシップ教育が盞察的に重芁ではないかず考えおいたす。キャリア芳が圢成されるのも、倧孊より前のはずです。

倧孊生以降にはハヌドスキルの䌝達が䞭心になるこずになりたすが、䞀方で倧孊を出たような高孊歎局はハヌドスキルが障害になっおいるわけではないようです。ただ珟状、倧孊のアントレプレナヌシップの授業の䞀郚では、他の工孊系の授業などず同様に、知識䌝達型が䞭心になっおいる堎合もあるず聞いおおり、知識䌝達型の授業ではない実践型の授業が必芁ではないかず思いたす。

かずいっお、実践型の授業も色々ず泚意が必芁なので、実践型をすればよいずいうわけではありたせん。倚くの実践型授業は真正性の䜎いものであったり、単にビゞネスプランニングだけだったりするので、そうしたものも効果は䜎い傟向にあるように思いたす。

 

 

1.3  ロヌルモデルの効果は

原文: Should I include role models in my entrepreneurship education programme?

授業でのロヌルモデルの提瀺の効果や、その方法に぀いおたずめおいたす。

1.3.1   効果に぀いおのむンサむト

ビゞネス知識

  • 実際の起業家の話を聞くこずで、個人は起業に関する䞀般的な知識が増えたず錯芚するかもしれたせん。
  • しかし、ロヌルモデルに觊れるこずは、実際の起業に関する知識やハヌドスキルの構築には圹立たないようです。

信念ず態床

  • 起業家ず接するこずで、䞭高生は䞀時的に自分のビゞネスを立ち䞊げる胜力に自信を持぀こずができたすが、その信念が長期にわたっお匷化されないず、このような圱響は消えおしたうかもしれたせん。
  • 成功した起業家に接するこずで、䞭高生の自営業に察する態床が改善されるこずがありたす。
  • 成功した女性に接するこずは、女性自身や女性に察する差別的な考えを持぀グルヌプの間で、女性が起業の分野で成功するための胜力に関する信念に圱響を䞎えるこずができたす。
  • ロヌルモデルずの接觊は、それほど匷床の高いものである必芁はありたせん。小さな亀流や亀流がなくおも、起業家粟神に察する信念、態床、意図など、関連する成果のいく぀かに圱響を䞎えるこずができたす。

キャリアの遞択

  • 若者の経枈的機䌚が少ない囜では、資金䞍足、スキル䞍足、耇雑な芏制など、起業の障壁ずなるものの重芁性を認識させるためには、非むンタラクティブな圢匏で、実圚の起業家に觊れるだけでは十分でない堎合がありたす。
  • 起業の゚コシステムが盛んな地域では、起業に関心のある倧孊生を実際の起業家ず結び぀けるこずで、圌らがアヌリヌステヌゞのベンチャヌ䌁業に参加しお起業のキャリアを远求する確率を高めるこずはできたすが、圌らが自分で資金調達する可胜性を高めるこずはできたせん。

誰が䞀番埗をするのか

  • 起業家のロヌルモデルは、ステレオタむプによっおネガティブな圱響を受けおいる女性などの個人には特に適しおいたす。
  • たた、起業家の䞡芪を持぀など、他の圱響源からアントレプレナヌシップに集䞭的に觊れおこなかった孊生も、より倧きな恩恵を受けるこずができたす。

ロヌルモデルの遞択

  • ロヌルモデルは、特にネガティブなステレオタむプの圱響を受けおいる瀟䌚的地䜍の䜎い人々にずっお、共感しやすいものであればあるほど効果的です。
  • 教育制床が敎っおいない状況で、孊校を䞭退した起業家の成功䟋を玹介するず、起業を志す若い孊生の教育投資にマむナスの圱響を䞎える可胜性がありたす。
  • 特に、起業においお代衚的でないグルヌプに属する人物の、䞀般的でないサクセスストヌリヌを䜿甚するず、起業家ずしお成功するこずの難しさや、特定のグルヌプが盎面する差別に぀いお、歪んだむメヌゞを䞎えおしたう可胜性がありたす。
  • たた、実圚の起業家ぞのアクセスが困難な堎合は、クラスメヌトをロヌルモデルずしお掻甚するこずも可胜です。

1.3.2   詊しおみる䟡倀のあるアむデア

  • 実際の起業家に講挔をしおもらい、メンタヌやアドバむザヌずしおプログラムに参加しおもらっおはどうでしょうか。
  • ロヌルモデルを遞ぶ際には、起業家粟神に乏しいグルヌプから遞ぶようにしたしょう。
  • 参加者ず同性のロヌルモデルをペアにしおみおください。
  • 簡単に拡匵できる介入を垌望する堎合は、実際の起業家ずの録音むンタビュヌなど、非むンタラクティブな圢匏を䜿っお参加者がロヌルモデルに觊れるようにするこずを怜蚎したす。

1.3.3   避けるべきこず

  • ❌ 起業家になるずはどういうこずなのかに぀いお、歪んだむメヌゞを提瀺するこずは避けおください。そのようなむメヌゞは、自営業に察する実際の障壁に぀いお、非珟実的な信念や期埅に぀ながる可胜性がありたす。
  • ❌ プログラムの䞻な目的が、参加者の起業家ずしおのスキルやビゞネス知識を高めるこずである堎合は、ロヌルモデルを䜿甚するこずは避けおください。
  • ❌ 孊霢期の生埒を察象にロヌルモデルを遞ぶ堎合は、孊校を䞭退しお成功した起業家を含めるのは避けたしょう。

1.3.4   翻蚳者のコメント

ゲスト講挔を聞くだけでは胜力が䌞びないこずは、蚀われおみれば圓たり前なのですが、意倖ず倚くの授業がゲスト講挔だけで終わっおしたっおいる話も聞きたす。

たたゲスト講挔などでのロヌルモデルの提瀺は、誰を呌ぶかが非垞に倧事で、私たちも東倧の授業では基本的には卒業生の起業家をお呌びしおいたす。有名な起業家を呌ぶこずは集客には぀ながりたすが、効果はそこたで高くないのではず思いたす。

なお、ロヌルモデルに぀いおは、その関䞎の深さも重芁ではないかず思っおいたす。単なるゲスト講挔のような浅いロヌルモデルの提瀺の堎合、これたで起業家に觊れおこなかった局には効果がありたすが、そうではない局にはおそらく様々な面であたり効果はありたせん。

起業家による個別メンタリングなどは、䞭皋床の関䞎に分類されるず思いたすが、これはスタヌトアップぞの就職は促進するものの、起業ぞの効果は芋られなかった、ずいう研究もありたすただし悪い圢での起業を避けさせ、成功率を䞊げる可胜性は指摘されおいたすし、䞀床スタヌトアップに就職するこずで長期的に芋れば起業の可胜性は高たるず思いたす[1]。䞀方、近芪者に起業家がいる堎合は顕著にその人の起業率は高たりたすし、起業家の近くで働いたような深いロヌルモデルを継続的に提瀺できた堎合、効果はかなり高く出るのではないかず思いたす。

぀いおは、ゲスト講挔などをしお、䜎い亀流床のものを提䟛した埌に、スタヌトアップぞのむンタヌン※ただし起業家のすぐそばで働けるむンタヌンや、物凄く少人数のスタヌトアップぞのむンタヌンに限るなどを提䟛するこずで、孊生の起業家ぞの関䞎を段階的に高めおいく仕組みなどが必芁なのではないかず思いたす。

 

 

1.4  チヌムの倚様性をどれだけ考慮するべきか

Should I encourage team diversity in my entrepreneurship course?

教育の堎で、倚様性を考慮しながらチヌムを䜜るこずに぀いおのむンサむトです。

1.4.1   効果に぀いおのむンサむト

倚様性の倧きさ

  • アントレプレナヌシップコヌスでは、䞭皋床の倚様性を持぀チヌムが、非垞に同質なチヌムや非垞に異質なチヌムよりも優れたパフォヌマンスを発揮する傟向がありたす。

倚様性のタむプ

  • チヌムは、胜力的に倚様なメンバヌを持぀こずで恩恵を受け、アントレプレナヌシップコヌスでより良いパフォヌマンスを発揮するようです。
  • しかし、孊歎や民族の面で高いレベルの倚様性を課すこずは、チヌムのパフォヌマンスに悪圱響を及がす可胜性がありたす。
  • 性別の倚様性が倧きいず、チヌムのパフォヌマンスにどのような圱響を䞎えるかは䞍明です。

チヌムサむズ

  • 倚様性は、より倧きなチヌムの方がうたくいくかもしれたせん。なぜなら、チヌム内に同じような人がいるこずによるポゞティブなピア効果を攟棄するこずなく、問題解決ぞのさたざたなアプロヌチ、スキル、性栌的特城の恩恵を受けるこずが可胜になるからです。

奚励か匷制か

  • 倚様なチヌムが自発的に圢成される堎合、抌し぀けられた倚様性の有害な圱響のいく぀かは再珟されたせん。

1.4.2   詊す䟡倀のあるアむデア

  • コヌスのチヌムの倚様性を高める堎合、参加者が共感しやすいチヌムメむトを持぀こずの利点を損なわないよう、より倧きなチヌムを線成しおみおください。
  • 完党に均質なチヌムから逞脱するこずの朜圚的な利点を参加者ず共有し、孊生がより倚様なチヌムを自発的に結成するように促したしょう

1.4.3   避けるべきこず

  • ❌ コヌスで極端に倚様なチヌムを䜜るこずは避けおください。チヌム内で効果的なコミュニケヌションを構築するためのコストは、より倚様なスキルを集めるこずの利点を䞊回りたす。

1.4.4   翻蚳者のコメント

様々なずころで指摘されるこずですが、倚様性が高すぎるずなかなかうたくいかず、䜎すぎるずチヌムずしおの創造性が発揮されないので、䞭皋床の倚様性を持ったチヌムを䜜っおもらうこずが良いず思いたす。その際に自発的になるような仕組みもあれば良いず思いたす。

 

 

1.5  たずめ

こうした様々な知芋を掻甚しながら、より効果の高いアントレプレナヌシップ教育が日本党䜓で実斜されお行けば良いなず思いたす。

たた、䞊行しおこうした効果研究が日本でもどんどんず行われお、教育効果を継続的に高めおいくこずも行っおいければず思っおいたす。

 

本コンテンツは Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 4.0 International License に基づき、Entrepreneurship education - IGL Evidence Bites で掲茉されおいる蚘事をもずに翻蚳したものを利甚しおいたす。Nesta ならびに Innovation Growth Lab の掻動に感謝申し䞊げたす。

 

[1] Eesley, C., & Wang, Y. (2017). Social influence in career choice: Evidence from a randomized field experiment on entrepreneurial mentorship. Research Policy, 46(3), 636–650. doi: 10.1016/j.respol.2017.01.010

2022 幎 4 月の経枈諮問䌚議での小䞭高等ぞのアントレプレナヌシップ教育の拡倧方策に぀いお

2022幎4月27日に開催された経枈諮問䌚議で、小䞭高でのアントレプレナヌシップ教育の拡倧方策に蚀及されおいたした。

産業の振興を目的に、起業家を増やしたいず思うのであれば、若幎局ぞのアントレプレナヌシップ教育は䞀定の効果があるように思いたす。

ただ、これたでいく぀かの起業家教育・アントレプレナヌシップ教育に぀いおの蚘事を曞いおきた通り、アントレプレナヌシップ教育は䞭々捉えづらいものであり、今埌日本でアントレプレナヌシップ教育を拡倧しおいくうえでは、いく぀か泚意点を螏たえお拡倧を怜蚎しおいくがあるように思いたす。

ずいうのも、こうした教育があたり考えず、効果が少ない圢で実斜されおしたうず、「やっぱり効果がなかった」「意味がなかった」ずいう印象になっおしたう可胜性もそれなりに高いからです。そこで、アントレプレナヌシップ教育の実践者ならびに研究に関わる立堎から、いく぀か意芋を述べおおきたいず思いたす。

1.1  ビゞネス教育ずの分離

文科省でも起業䜓隓掚進事業が行われおいるようですし、他の地域でも起業家教育ずしおのカリキュラムを芋るこずがありたす。そうした起業家教育の䞭身を拝芋するず、䞭には単なるビゞネス教育になっおいるカリキュラムを芋るこずがありたす。

たずえば先生方が地域の関係者ず話を付けお、孊生が䜕かを䌁画し、マヌケティングをしお、収支を報告する、ずいったものです。これはビゞネス掻動の䜓隓ではありたすが、䞍確実性の高い䞭で「業を起こす」掻動ずは蚀いづらいものです。

ビゞネスぞの興味関心を匕き起こす掻動ず、起業家的な掻動ずは同じ郚分もあれば、異なる郚分もありたす。単なるビゞネス教育を実斜するだけであれば、経営孊郚や経枈孊郚に行く人は増えども、起業家はさほど増えないのではないかず思いたす。

それに埓来から暡擬店など、ビゞネス的な掻動を総合的な孊習の時間などで行っおいるずころも、それなりにあったず聞いおいたす。そうした掻動では起業家がさほど増えなかったからこそ、珟圚起業家の数が問題になっおいるのであり、埓来の掻動を拡倧するだけでは、囜内の起業環境はさほど倉わらないのではないかず思いたす。

※ただし教育ですべおの人や環境が倉わるわけではないので、教育だけが悪いずいうわけではありたせん

もちろん、ビゞネスを通しおアントレプレナヌシップが䌞びるこずもありたす。ただ、効果的に行いたいず考えたずきには、アントレプレナヌシップ的な胜力を䌞ばすこずや、起業家的なキャリア芳の圢成を支揎するこずは、ビゞネス教育ずはある皋床分けお考える必芁があるように思いたす。

たずえばビゞネスずアントレプレナヌシップの違いは、たずえばKuratkoらが以䞋のようにたずめおいたす[1]。

 

1.2  䌞ばすべき胜力を考えるこず

若幎局ぞの教育ずいう芳点では、知識よりも非認知胜力に近い胜力を䌞ばすこずに力を傟けるべきであるず思いたす。

ビゞネスに関する知識に぀いおは埌からでも身に着けるこずができたす。それよりは、プロアクティブ行動やコミュニケヌション胜力など、若幎局だからこそ䌞ばせる青幎期以降は䌞ばしづらい胜力ず、キャリア芳を䞭心に、アントレプレナヌシップ教育を構成しおいくほうが良いず思いたす。

類䌌しおいるこずを OECDのアントレプレナヌシップ教育に関するレポヌトは指摘しおおり、発達段階に合わせおアントレプレナヌシップ教育の内容を倉えおいくこずが提案されおいたす。

ではどのような効果を芋蟌むかず蚀うず、たずえば胜力に぀いおはEUのEntreCompなどを参考にしお、そのカリキュラムがどの胜力を䌞ばすために蚭蚈・開発されおいるのかを考えるこずが䞀案です。

「どのような効果を芋蟌むか」を考えずに実斜しおしたうず、「䌁業家の話を聞いお、生埒たちが楜しかったず蚀っおくれたから、この授業は良かったけれど胜力は䌞びおいない」ずいうこずになりかねたせん。



EntreCompは以䞋のような15のコンピテンシヌず、それぞれのコンピテンシヌに8段階のレベル分けがなされおいたす。

  1. 機䌚の発芋
  2. 創造性
  3. ビゞョン
  4. アむデアの評䟡
  5. 倫理的で持続可胜な思考
  6. 自己意識ず自己効力感
  7. モチベヌションず忍耐
  8. リ゜ヌスの動員
  9. 財務的経枈的胜力
  10. 他のステヌクホルダヌの動員
  11. むニシアチブを取る
  12. 蚈画し運営する
  13. 䞍確実性やリスクに察凊する
  14. チヌムで行動する
  15. 経隓から孊ぶ

なお、それぞれの項目はあくたで「起業家的」なものであるこずに泚意しおください。たずえば機䌚の発芋はビゞネスでも行いたすが、その質が起業家ず蚀う文脈では少し異なりたす。

EntreComp はあくたで䞀䟋ですが、たずはこうした既存の仕組みを掻甚するのが手っ取り早いず思いたす。

1.3  起業家による授業

起業家による授業に぀いおは、䜿い方を間違えなければ効果的でしょうが、そうでなければあたり効果が芋蟌めないこずにもなりかねたせん。

たずえばロヌルモデルの提瀺の効果に぀いおは、今のずころ効果のあるなし䞡方の結果がありたす。芪のような近芪者に起業家がいたずきに、その人が起業しやすくなる傟向は明らかに芋お取れたすが、ゲスト講挔のようなちょっずした関りだけのロヌルモデルは効果が芋えない、ずいう報告もそれなりの数ありたす。

振り返っおみれば、私たちも䌝統芞胜に関わる方の出匵授業などを受けた蚘憶があるのではないかず思いたす。その䌝統芞胜を芋お、実際にその道を螏み出そうずした人は、もちろん䞭にはいるものの、さほど倚くはないのではないかず思いたす。そうした確率で良ければ出匵授業でも良いず思うのですが、そうでなければやり方を考えるべきでしょう。

䞀般論ずしお、熟達者からの孊びは珟堎での経隓や芳察が必芁です。熟達者が教えるのはうたいずは限りたせん。教育の際には足堎架けなども必芁です。先茩起業家は熟達者にあたりたすが、起業家が資金調達の話を小䞭孊生にしたずころで、恐らくちんぷんかんぷんでしょう。先茩起業家による教瀺は起業埌にはそれなりに有効のようですが、初等䞭等教育に属する孊生の皆さんにずっお、それが有効であるずは蚀いづらい郚分もあるのではないかず思いたす。

実務家教員の方の話を聞いおいるず、それなりの数の方が「教育ずは知識を提䟛するこず」ず考える傟向にあるようです。ただ、アントレプレナヌシップ教育は、そうした知識教授型の教育ずは少し異なるように感じおいたす。

起業家を増やすなどの芳点からいえば、そうしたある皮の欠劂モデルでの授業はうたく機胜しないように思うため、どういった圢で起業家に教育に参画しおもらうかは、カリキュラム党䜓を考える教育者が必芁であるように思いたす。

1.4  たずめ

効果的な授業を構築しおいくためのいく぀かの芳点を玹介したした。私の意芋もただ発展途䞊の郚分がありたす。

ただ、折角やるならより良いものを䜜っおいったほうがよいず思いたすし、そのための土台䜜りには、私たちのような研究・教育実践を行っおいる人たちが貢献できるこずも倧きいのではないかず思いたす。個人的には貢献したいずも考えおいたす。

たた、今埌こうしたアントレプレナヌシップ教育を囜内で拡倧しおいくのであれば、そうした教育に関する、研究・開発・実践を行う組織も必芁であるず思いたす。

たずえば、アントレプレナヌシップ教育に関わる教員・実務家教員ぞの Faculty Development を実斜したり、党囜区での授業実践の効果枬定を行い、授業内容の改善を行っおいくような機胜をどこかが持たなければ、「それっぜい」ような思い付きの授業が繰り返されおいくだけになりたす。

そうした授業は効果がなかったり、逆効果であるずいう瀺唆も出おきおいる珟状、産業政策の䞭で起業家がもっず必芁なのであれば、アントレプレナヌシップ教育に関する知芋を溜めおいきながら拡倧しおいくこずがより求められおいるのではないかず思いたす。

 

[1] Kuratko, D. F., & Morris, M. H. (2017). Examining the Future Trajectory of Entrepreneurship. Journal of Small Business Management, 56(1), 11–23. doi: 10.1111/jsbm.12364

起業支揎掻動のマッピング

異なる倧孊間でアントレプレナヌシップ教育や起業家向け教育研修、起業支揎に぀いお語るずき、それぞれの倧孊での支揎察象や目的が異なっおいるため、互いの掻動を敎理しおから議論した方が良さそうだなず感じおいたす。

そのずきに、以䞋のような二぀のマップを甚意しお、自分たちが䜕をやっおいるのかを䜍眮付けおから䌚話するのはどうかず考えおいたす。

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① 起業の分類

支揎機関が起業の支揎をしたずきに、成果ずしおどういった起業の皮類を目指しおいるのかに぀いお分類しおいたす。以䞋の二぀の軞で考えおいたす。

  1. 「瀟䌚 ⇔ 経枈」軞
  2. 「小芏暡 ⇔ 倧芏暡」軞

たず「瀟䌚 ⇔ 経枈」軞に぀いおです。もちろん、瀟䌚ず経枈は盞反するものではありたせん。ただ、Alterによる瀟䌚的䌁業の非営利ず営利のスペクトラムのように、そこにはグラデヌションがあり、どちらに重点を眮くかずいう点では分類しやすいのかず思いたす。

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たた「小芏暡 ⇔ 倧芏暡」軞に぀いおは、䌁業ずしお「目指す」芏暡の軞です。

珟状のステヌタスではなく、そもそもどこを目指しおいるのか、ずいう芳点で敎理した方が良いのかなず思いたす。たずえば地域で小さく始めお、需芁があったから小芏暡から埐々に倧芏暡に拡倧しおいく、ずいうこずもありたすが、そのように意図しお䜜ったのか、たたたたそうなったのかによっお、この軞でどこに䜍眮するかは倉わりたす。

なお、倧芏暡ずいったずきには、圱響する人の数は億単䜍、売䞊でいっおも数千億円、ずいう芏暡を想定しおいたす。

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この䌁業の分類をしたずきに、起業の皮類をざっくりず以䞋のようにマッピングできるのではないかず思っおいたす。

たずえばグロヌバルスタヌトアップは右䞊に䜍眮し、村おこしなどの取り組みは、小芏暡か぀瀟䌚貢献に近い郚分があるので巊䞋に䜍眮する、ずいう颚にしおいたす。なお、FoundX が支揎しおいるのは、右䞊に近いずころですなんでも儲かれば良いずは思っおいないので、瀟䌚的なずころも意識し぀぀ですが。

② 支揎掻動の目的

倧孊は研究開発された技術を持っおおり、さらに経枈成長にも寄䞎するよう求められおいたす。それでいおたた教育機関であり、教育をし぀぀、教育を受けた人材もいたす。そうした色んな偎面を持っおいるので、支揎掻動も察象や目的が広くなりがちです。

甚意したのは以䞋の二぀の軞です。

  1. 「成果 ⇔ 教育」軞
  2. 「技術掻甚 ⇔ 経枈成長」軞

たず、「成果 ⇔ 教育」軞ですが、その支揎掻動が、先ほど分類した成果スタヌトアップずしおのいずれかの起業を求めおいるのか、それずも倧孊に関わる人の教育を目的にしおいるのかで軞を分けおいたす。䞀぀の支揎や授業で䞡方できるかもしれたせんが、私にはやり方は分かりたせん谷に突き萜ずしお這い䞊がっおこい、ずいう方法が蚱されるのであれば、䞡方できるかもしれたせんが 。

「技術掻甚 ⇔ 経枈成長」軞は銎染みがないかもしれたせん。なぜ技術掻甚ずいう極を甚意したかずいうず、倧孊は技術シヌズを持っおいるため、そちらに寄せお考えおしたうずころがありたす。その結果、「技術シヌズが瀟䌚に還元できれば、経枈的なむンパクトはそこたで問わない倧きくなればより良いけれど」ずいう支揎もあるように思うからです。

䞀方で、倧孊からは経枈成長を牜匕するようなスタヌトアップを、研究者や卒業生が生み出しおいくこずも求められおいるため、そちらが䞻県になる堎合もありたす。

私が関わる支揎掻動の䞭だずこのような分類になるのかなず思っおいたす。灰色のずころは以前やっおいお、今はやめたものです。

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私は基本的に、経枈成長を牜匕するような、急激に成長するように蚭蚈されたスタヌトアップを生み出すための、成果に近い郚分ず教育に近い郚分をやっおいる、ずいう認識です。

なお、FoundX では技術系のスタヌトアップを倚く採択しおいたすが、それは成長をするために倚くのビゞネスで必須ず考えおいるからですが、必ずしもテックトランスファヌ的な技術ではありたせん。

※巊䞊の方が抜けおいるように芋えたすが、東京倧孊産孊協創掚進本郚ずしおはそのあたりも倚数やっおいるずいう認識です。

具䜓䟋を蚀う

マッピングだけではなく、これたでの支揎した䞭で最も支揎掻動が効果的だったチヌムや、思ったようにうたくいかなかった支揎談など、具䜓的な話を亀えるず、より詳しく分かるようになりたす。

具䜓段を聞くずマップ䞊のどこのこずをやろうずしおいるのかも分かりたすし、それぞれの支揎掻動のメむンタヌゲットも分かるのではないかず思いたす。

たずめ

党おを包括ずした䞀぀の支揎などもありうるのかもしれたせんが、そうした幅広いものよりももう少し的を絞っお、「どういった成果を生み出すために」「どういった目的の支揎掻動をしおいるのか」をはっきりさせたうえで、支揎掻動をしおいくほうが良いのかなず思っおいたすし、支揎者同士がお互いに情報亀換をするずきも「マップのどこを䞭心的に話しおいるのか」を明確にしたうえで、議論をするこずで、実りある情報亀換ができればいいなず思いたす。

 

[1] http://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/662-05.pdf から匕甚