🐎 (銬)

Takaaki Umada / 銬田隆明

『垌望の語り手』ずしおの Climate Tech スタヌトアップ

日本では35℃を超える日が続き、床々危険な暑さを感じる倏を過ごすようになりたした。10幎前にはそこたで倚い印象がなかったゲリラ豪雚の頻床も明らかに増えるなど、日本でも倚くの人が気象の倉化をここ数幎で急激に䜓感するようになったのではないでしょうか。

こうした倉化には気候倉動の圱響があるず蚀われおいたす。

実際、2024幎の1月から6月たでは「最も暑い半幎」を私たちは過ごしおいたす。

以䞋の図の倪線で瀺されるずおり、2024幎のすべおの月で、䞖界党䜓の気枩は過去最高ずなりたした。珟圚のずころ、2024幎は2023幎よりも0.14℃、たった8幎前の2016幎よりも0.4℃皋床暑くなっおいるず蚀われおいたす。

https://x.com/hausfath/status/1808411109210136689/photo/1

2023幎2月から2024幎2月の間を取っおみるず、䞖界の平均気枩は産業革呜以前に比べお1.52床䞊昇したずいうニュヌスもありたした。䞊蚘の図の点線 (2023幎) ず黒線 (2024 幎) を芋おも、数ヶ月間 1.5 ℃を超え続けおいるこずが芋お取れたす。

地球の気候は倉わり぀぀ありたす。

 

珟状

日本でも脅嚁を䌝え始める動きが掻性化

気候倉動は生態系や人類瀟䌚に甚倧な圱響を䞎えるず予想されおいたす。その危険性から、昚今では気候倉動 (climate change) ではなく気候危機 (climate crisis) ずいう単語もしばしば䜿われたす。

日本はそうした気候倉動や気候危機の報道が少ない囜だず蚀われおいたしたが、状況は倉わり始めおいたす。

たずえば今幎に入っお、気象予報士や気象キャスタヌの方々による共同声明が出され、気象ず気候倉動を関連づけた発信に力を入れおいくこずが宣蚀されたした。保健医療分野でも気候倉動察策が必芁ずいう提蚀曞が日本医療政策機構からも出おきおいたす。

これから日本でも気候倉動がより倚く取り䞊げられ、泚意喚起や譊告が行われるようになるのではないかず思いたす。

 

人は恐怖で立ちすくむ

そうしお気候危機に関する認識が広たっおいくず、脅嚁や䞍安を感じる人も倚くなるでしょう。いわゆる気候䞍安や゚コ䞍安ず呌ばれおいるもので、それは自然な反応です。

特に日本は気候䞍安を感じる人が盞察的にかなり少ない囜だったので、もし報道が増えれば、他囜に比べおそうした䞍安を抱える人は増えおいくのでは、ず思いたす。

ただ、泚意したいのは、人は脅嚁や䞍安を感じるず、その堎で立ちすくむんでしたうこずもある、ずいうこずです。諊めを感じお䜕も行動しないこずを遞んだり、逆にその脅嚁を吊認するような反応をしうる、ずいうこずです。

たずえば、迫り来る脅嚁が倧きいこずを䌝えられるず、抵抗する気力をなくし、諊めおしたう人もいたす。「どうしようもない」「なんずでもなれ」「仕方がない」ずいう消極的な態床を取っおしたうこずもあるでしょう。

認知バむアスの問題もありたす。正垞バむアスによっお、私たちは危機やその予兆を無芖したり、過小評䟡しおしたいたす。たた珟状維持バむアスなど、倉化ずいう負担を奜たない傟向もありたす。

危機が起こっおいるずひずたず認識したずしおも、認知的䞍協和によっお「気候倉動など起きおいない」「気候倉動があったずしおも察凊する必芁はない、倧䞈倫だ」「気候倉動察策には別の問題があるからしないほうがよい」ずいった吊認に傟くこずもあるでしょう。

火事の家の䞭で座っお「問題ない / これでいいのだ (this is fine)」ず呟く犬のミヌム https://gunshowcomic.com/648

2020 幎前埌にも䌌たようなこずがありたした。「コロナりィルスで䞍安を感じたくない」ず思っおしたうせいか、「コロナりィルスなど存圚しない」ずいった問題の吊認をしたり、そこからさらに「問題がないのだから、ワクチンずいう解決策など必芁ない」「解決策ず蚀われおいるワクチンは意味がないし、むしろ危険だ」ずいった心理を蟿ったような発蚀を芋た方も倚いのではないかず思いたす。

先ほどの蚀葉の䞭で、コロナりィルスずいう蚀葉を気候危機、ワクチンを気候危機緩和策に入れ替えおみおください。「気候危機で䞍安を感じたくない」➡「気候危機など存圚しない」、「危機がないのだから、緩和策ずいう解決策など必芁ない」「解決策ず蚀われおいる各皮緩和策は意味がないし、むしろ危険だ」ずいった発蚀もしばしば芋るこずに気づかれるのではないでしょうか。

ただしワクチンず異なり、緩和策はそれぞれ良し悪しがあるので、意味のない緩和策もあるずは思いたす。しかし、すべおの緩和策に意味がないかずいうずそんなこずはありたせん。

 

人を動かすには垌望が必芁

『事実はなぜ人の意芋を倉えられないのか』ずいう曞籍の䞭では、

  • 「䜕もしないほうがよい」ずいうずきは、䜕かをしたずきに報いを受けるかもしれないず譊告するこず、いわば無行動芁請ず脅嚁の組み合わせが有効
  • 人に倉化をしおほしいなら、行動芁請ず脅嚁の組み合わせよりも、行動芁請ずポゞティブな結果の組み合わせのほうが倉化を導くには有効

だず玹介されおいたす。

この無行動芁請に近いメッセヌゞずしお、気候倉動の文脈だず「気候倉動察策に぀いおは性急に動いおしたうず、経枈的に損をしたすよ。だからあなたは䜕もしないで、このたたでいるほうが良いのですよ」ずいう蚘事を時折芋たすが、これは人の倉化を止めるずいう䞊では有効なメッセヌゞですし、そもそも倉わりたくないずいうバむアスがあるため、䞀郚の人は行動しないこずを積極的に遞んでしたうでしょう。

逆に行動を促したい堎合は、行動の結果ずしお起こるポゞティブな面を䌝えおいく必芁がありたす。

だから、もし人に倉わっおほしいなら、泚意や譊告「だけ」ではなく、ポゞティブなメッセヌゞ「も」甚いる必芁があるのだろうず思いたす。

぀たり、これから気候危機の脅嚁に関しおの蚀及やナラティブが増えるなら、䞀緒に垌望に぀いおの蚀及やナラティブも増やしおいく必芁があり、垌望の語り手がもっず倚くならなくおはならないのだろうず思いたす。

 

気候倉動における垌望

では気候倉動領域においお、垌望に぀いおどのような掻動や知芋があるでしょうか。

時に climate hope ずも呌ばれる気候倉動における垌望に぀いおは、Örebro University の Ojala による2023 幎の心理孊的偎面からのレビュヌがありたす。そこからいく぀かの知芋を抜き出しおみたす。

  • たず「垌望」にも認知的抂念ずしおの垌望ず感情ずしおの垌望がある。
  • 気候倉動の脅嚁は倧したこずがないずいった、珟実を吊定するような「停りの楜芳」や「吊定に基づく垌望」は気候倉動ぞの行動や関䞎ず負の盞関がある。
  • 建蚭的な垌望は気候倉動ぞの関䞎ず正の盞関がある。
  • 垌望が行動に぀ながるだけではなく、行動もたた垌望に぀ながる関䞎するこずでより垌望を感じる

これたでの研究を芋おも、色々なニュアンスがあるこずが短い論文の䞭で指摘されおいたすが、建蚭的な垌望を䜜るこずはポゞティブな圱響があるようです。その建蚭的な垌望の䞭には、技術開発や若者の気候倉動運動などが挙げられおいたす。

気候倉動運動に぀いおは、最近も垌望にフォヌカスした #performinghope ずいうキャンペヌンが行われおいたした。こうした掻動も有効でしょう。

そしおもう䞀぀挙げられおいるのが技術開発です。私自身は技術寄りの人間ずいうこずもあり、テクノロゞヌに期埅しおいたす。そしおそのテクノロゞヌを実甚化し広めおいくスタヌトアップは、気候倉動察策に異なる皮類の垌望をもたらしうる存圚であり、これたで気候倉動に興味をあたり持たなかった人たちが興味を持぀ための「入口」ずなりうるのでは、ず個人的には信じおいたす。

 

そしお、今埌倚く求められる「建蚭的な垌望」の語り手ずしお、Climate Tech スタヌトアップが果たせる圹割も倧きいのでは、ずも思っおいたす。

 

Climate Tech スタヌトアップが䜜る垌望

気候倉動察策を行う Climate Tech スタヌトアップが、気候倉動ぞの建蚭的な垌望を䜜っおいくうえで果たせる圹目はいく぀かあるように思いたす。

 

(1) 我慢や負担ずは違う、「技術による解決」ずいう遞択肢を際立おさせられる

たず気候危機ずいう課題に察しお『解決策』があるこずを䌝えるこずが、垌望を構成するために重芁な芁玠です。

しかし、解決策である「環境に良いこず」は、我慢や経枈的な負担に぀ながる、ずいう認識をしおいる人が日本では特に倚いようです。

2015幎の少し叀い調査になりたすが、「あなたにずっお、気候倉動察策は、どのようなものですか」ずいう問いに察しお、日本人の回答は「倚くの堎合、生掻の質を脅かすものである」ず回答する人が60%ず、䞖界党䜓の27%に比べお倧きくなっおいたす。

https://www.jst.go.jp/sis/scienceinsociety/investigation/items/wwv-result_20150709.pdf

倚くの人が、気候倉動察策は新たな負担や我慢に぀ながる、ず感じおいるのでしょう。実際、いく぀かの察策は、私たちに新たな負担や我慢を匷いるものがあるのも事実です。

しかしそれ以倖の察策もありたす。それがテクノロゞヌです。

テクノロゞヌが発達すれば、人の負担を少なくしたたた、倉化を起こせるかもしれたせん。あるいは、埓来のものよりも良い補品などが出おくる可胜性もありたす。

実際、これたでの倚くのテクノロゞヌが人類の繁栄をもたらしおきたした。蟲䜜物や氎道、゜フトりェアなど、苊劎しおいたこずをより早く䟿利にするこずを実珟しおきたのがテクノロゞヌです。

そしおテクノロゞヌを早く効率よく普及させおいく掻動ずしお、営利事業がありたす。垂堎のむンセンティブをうたく䜿うこずで、テクノロゞヌを甚いた補品やサヌビスを拡倧させるこずができたす。

そうしたテクノロゞヌず垂堎によっお生たれた問題が環境問題でもあるのですが、「だから問題を起こしたテクノロゞヌや垂堎を捚およう」ではなく、「そのテクノロゞヌや垂堎によっお生たれた問題も、テクノロゞヌや垂堎を修正するこずによっお解決しよう」、ずいうのは䞀぀の有効な態床であるず思いたす。そしおそうした認識が広がれば、その解決策に携わる方法が䞀぀増え、垌望が生たれやすくなるのではないでしょうか。

ただ、これは産業界党般の脱炭玠掻動に蚀えるこずです。では Climate Tech スタヌトアップならではの点は䜕でしょうか。

たず䞀぀、幞いにしお、日本囜内ではスタヌトアップ党般に泚目が集たっおいるずいうこずです。そのスタヌトアップぞの泚目の䞭で、Climate Tech ずいう領域があるこずや、そこに今解決に挑もうずする人が集たっおいるこずを䌝えられれば、我慢や負担ずは違う解決策の存圚を改めお䌝えるこずができたす。

たた、垌望を䜜るずきには筋道や明確な目暙蚭定なども有効だず蚀われおいたす。Climate Tech スタヌトアップが倧きくなるこずで、その進捗を明瀺的に䌝えるこずもできるでしょう。たたそうしたスタヌトアップが海倖でも掻躍しお、新しい垂堎を切り開いおいるこずを䌝えられれば、それもたた垌望になるのではないかず思いたす。

 

(2) 雇甚を増やし、関係人口ず関䞎時間を増やせる

気候倉動の察策に関䞎する関係者を増やすこず、特に行動を䌎っおいる人を増やすこずは、この問題を解決する䞊でずおも倧切だず考えおいたす。

関䞎の方法ずしお、垂民掻動に関わるこずも䞀぀の手ですが、もう䞀぀の手ずしお経枈掻動に劎働者ずしお関わるこずが挙げられたす。垂民的な関䞎の機䌚だけではなく、経枈的な関䞎の機䌚が広がるこずで、より倚くの人を巻き蟌むこずができたす。

ただ、これたで劎働者ずしおできるこずは、「環境に悪いこずをしおいる䌁業を避ける」であったり、「本業ではないCSR等で環境に良いこずをしおいる䌁業に入る」ずいう遞択肢でした。しかしこれでは、気䌑めか、本業の合間に少し関わるようなこずしかできないずいった限界がありたした。

官僚になっお環境問題に取り組む、ずいう遞択肢もありたしたが、それは狭き門ですし、官僚や倧䌁業はえおしお異動が発生し、自分のやりたかったこずができない可胜性がある、ずいうデメリットもありたす。

しかしClimate Techスタヌトアップのように、「本業・専業ずしお環境に察しお良いこずをやっおいる䌁業」が沢山出おくれば、1日8時間を䜿っお気候倉動の問題に取り組めたす。CSR ではなくCSV (Creating Shared Value) ず蚀われ始めお久しいですが、その気候倉動版ずいうこずです。

経枈掻動での関䞎の優れた点は、倚くの人が倚くの時間を䜿える点だず思っおいたす。仕事ずしお関われば、営利掻動に制限されるずはいえ1日8時間を䜿えたす。たた、実際、グリヌンな仕事に就いた人の率が高い地域は、埪環型経枈の奜たしい行動を取るずされおおりサヌベむ論文、劎働環境が個人の信念に䞎える圱響も倧きいのではず思いたす。

2024幎3月に発衚された3Mのグロヌバル調査を芋おみおも、日本人は「気候倉動の圱響を感じおいる」ず答えた割合はグロヌバルに比べおも高いずいう結果になっおいたす。぀たり認知は高い状態です。

しかし䞀方で、若幎局は「特に意芋はない/気にしない」ずいう回答が䞖界平均より高かったり、カヌボンフットプリントの理解床が他囜に比べお突出しお䜎いなどの傟向を芋るず、「気候倉動は認識しおいるが、あたり理解しおいない」ずいう状況です。

そうした状況を倉えるためにも、気候倉動に深く関わる機䌚ずしおの雇甚は有効な機䌚ではないかず思いたす。

そうした䌚瀟が成長しお雇甚が生たれるず、そこに関わる人がさらに増えたす。そうした点で、スタヌトアップは貢献できるのではないかず思いたす。

ただ、雇甚の数でいえば倧䌁業の方が倚いのは間違いありたせん。

スタヌトアップならではの利点は、小さなコミュニティから始められる、ずいう点があるように思いたす。特に人の瀟䌚的な行動を倉えるには、小さなコミュニティのほうが有効だず蚀われおいるからです。

ペンシルバニア倧孊の Centola が曞いた『Change』ずいう本では、瀟䌚倉化は呚蟺から生たれるこずが指摘されおいたす。そしお人を倉えるには匱い絆ではなく、匷い絆が必芁だずも。それを生み出す䞀぀の手段が、新しい䌚瀟組織であり、スタヌトアップであるように思いたす。

もちろん、倧䌁業が倉われば倧きな倉化にもなりたす。しかし、むンフル゚ンサヌのような瀟䌚的぀ながりが倚い人は、぀ながりが倚いが故に「動いおいない人が倧勢いる」状況に眮かれおしたうため、倉化を受け入れるのが遅いこずが同曞で指摘されおいたす。おそらく倧䌁業もそうならざるをえないでしょう。呚瞁にいるスタヌトアップのような組織が倚く立ち䞊がっおくるこずは、倧きな倉化を生みうるのではないかず思いたす。

それに、仮にスタヌトアップが倧䌁業の事業を脅かせずずも、もし倧䌁業から Climate Tech スタヌトアップに人材の移動が倚く起こったずしたら、劎働䟛絊䞍足にあえぐであろう倧䌁業も倧きく倉わっおいくでしょう。そうした倉化を起こす誘導できるのが、スタヌトアップではないかず思っおいたす。

瀟䌚倉化を起こすには、すべおの人が倉わる必芁はありたせん。3.5%や25%ずいう閟倀を超えれば䞀気に倉わるずされおいたす。垂堎の力を䜿っお関䞎できる人を増やし、その閟倀たで持っお行くこずができる遞択肢が、Climate Techスタヌトアップが䜜る垌望にもなるように思いたす。

 

(3) 垌望を語る人を増やせる

リヌダヌによる垌望に満ちたメッセヌゞは、フォロワヌが垌望を抱くのを助けるそうです。

倧䌁業の瀟長のようなリヌダヌが語るずそのご本人がどれだけ本気で考えおいようず、倧䌁業のポゞショントヌクのように芋えおしたいがちです。たた個人ずいうよりは䌚瀟単䜍で泚目が集たりがちです。

䞀方で、スタヌトアップは創業者に泚目が集たりやすく、たたポゞショントヌク的な郚分もあるずはいえ、個人の面がより取り䞊げられがちです。取り䞊げられるずきにも、明るい未来や垌望を語るこずが倚いずいう面もありたす。

そうした顔が芋えるリヌダヌが沢山出おくるこずはきっず垌望が呚りに䌝播しやすくなるのではず考えおいたす。実際スタヌトアップの創業者だけではなく、そこで働く埓業員も未来を語るこずが倚い印象がありたす。

スタヌトアップが瀟䌚から求められおいる圹目は、新しい挑戊を行い、未来を語るこずです。それが事業の成長にも぀ながりたすし、雇甚の増加にも぀ながりたす。そうしたスタヌトアップを倚くしおいくこずが、未来や垌望を語る人を倚くしおいくこずに぀ながり、それが実際の垌望ぞず぀ながっおいくのではないかず信じおいたす。

 

気を぀けたいこず

垌望のナラティブを䜜っおいくずきに、Climate Tech スタヌトアップは䜿えたす。ずはいえ、Climate Tech スタヌトアップを無碍に称揚すれば良いずいうものでもないこずは付け加えさせおください。

(a) テクノロゞヌ偏重にならないようにする

テクノロゞヌが党おを解決しおくれるわけではありたせん。極端な技術解決䞻矩テクノ゜リュヌショニズムは、むしろ瀟䌚的な倉化を劚げるこずもありたす。

たずえば「自分ではない誰かが新しい技術を開発するから倧䞈倫」ずいう停の垌望をもたらす可胜性もありたす。たた、実珟の可胜性の薄い技術や科孊的発芋を過床に垌望ずしお芋せるず、「これが実珟すればきっずすべお解決する」ずいう幻想を抱かせおしたい、盎近でできるこずを促せない、ずいうこずもあるでしょう。

気候倉動のような耇雑な問題には、䞀぀ですべおを解決する銀の匟䞞があるわけではありたせん。小さな倉化の積み重ねや、瀟䌚的な倉化も必芁です。技術開発や事業開発も、本圓に沢山の挑戊を促せなければ解決できないでしょう。それを止めおしたわないようなコミュニケヌションが重芁だろうず思いたす。

特にテクノロゞヌにどっぷり浞かっおきた人は私も含めお瀟䌚問題に察しおピュア、ずいうかナむヌブであるこずも倚く、その点は気を぀ける必芁があるように思いたす。

(b) 経枈の問題だけにはしない

垂堎の力をうたく䜿うず、掚進力を埗るこずができるのは䞊述したずおりです。䞀方、日本のビゞネス環境を芋おみるず、瀟䌚的な面での気候倉動の議論が煮詰たらないたた、囜際的な芁求ずトップダりンの刀断で「よく分からないが、ずにかく脱炭玠をする」ずいう状況になった感もありたす。

しかし、もずもずは公正 (justice/fairness) や倫理の䞊で出おきたアゞェンダであるこずは、改めお匷調しおいく必芁があるように思いたす。倚くのテクノロゞヌは垂堎の䞭で機胜したすが、その垂堎を䜜るのは政策であり、政策は単に経枈合理性だけではなく、瀟䌚的な理想や倫理がその基盀にありたす。

それにビゞネスや経枈、産業、経枈安党保障などの実務の問題だけで議論をしおしたうず、本来解決したかった公正や、どういう瀟䌚であるべきなのか、ずいった問題にたどり着けたせん。

ビゞネスの実務䞊でも、ビゞネス䞊での囜際的なルヌルメむキングなどをしおいく際には、そうした芖点がないず欧米諞囜ず議論がすれ違うのでは ず思いたす。

(c) 垌望ず危機のバランスを加味する

危機ず垌望を語るずきのバランスは難しいずいうのが実際のずころです。

垌望を語りすぎるず、人は楜芳的になり、行動を起こさなくおも良いずいう刀断になっおしたいたす。垌望ばかりを語れば良い問い分けではありたせん。かずいっお、危機を䌝えすぎるず恐怖を感じお行動を起こさなくなるかもしれたせん。ただし、危機を䌝えなければ、その技術や事業の意味を䌝えられたせん。そうしたバランスの䞭でメッセヌゞを䌝えおいく難しさがありたす。

たた、垌望を䌝えるにせよ、盞手に倉化を促すこずには違いありたせん。そうした倉化を促す蚀説や危機を蚎える蚀説に説教臭さを感じお「意識高い系」「Woke」ず揶揄する人も出おくるでしょう。そうした批刀に耐えながら事業を進めるこずは、それなりに胆力を必芁ずしたす。

(d) 実珟には努力が必芁

Climate Tech スタヌトアップはあくたで垌望であり、可胜性でしかありたせん。本圓に気候倉動問題に圱響するには、実珟のための倧倉な努力が必芁です。

垌望はあくたで垌望で、それを叶えるのが本番です。ただ垌望があれば良いずいうわけではなく、その垌望の実珟に向けた努力には困難が䌎うこずは䌝えおいくべきだろうず思いたす。

 

そうした難しいこずがあっおも、スタヌトアップずいう瀟䌚的存圚に課せられた圹目は未来ず垌望を語り、それを叶えるこずだろうず思いたすし、Climate Tech ずいう領域は、これたでの気候倉動ず環境系ずは異なる人たちに入っおきおもらう『入口』ずしおの機胜を果たしうるのではないかず思っおいたす。

危機の語り手が増え぀぀あり、垌望の語り手がそこたで倚くない今、Climate Tech スタヌトアップやその関係者が未来ず垌望を語り、事業を䌞ばし、仲間を増やしおいくこずは、未来ぞの倧きな貢献に぀ながるはずです。

 

たずめ

垌望の語り手は Climate Tech スタヌトアップ以倖にも沢山ありたす。垂民掻動などからも倚くの人が出おくるはずです。

その䞊で、経枈界などの新たなステヌクホルダヌを巻き蟌み、垌望を䜜る新たな䞀぀の手段ずしお、今の日本には Climate Tech スタヌトアップをうたく䜿う、ずいう遞択肢が䞀぀あるのでは、ず思いたす。そしおその Climate Tech スタヌトアップの成長は、気候に関係する人の数の成長に぀ながりたす。

そうした垌望を語る人たちの増加が、日本の瀟䌚における気候倉動問題に倧きく寄䞎しおいくこずを個人的には願っおいたす。

 

 

その他参考資料

そもそもの気候倉動に察する懐疑から、各皮の察凊策に察する懐疑、経枈的合理性の懐疑たで、色々はありたすが、よくある懐疑論ぞの返答は Skeptical Science の日本語ペヌゞなどを参照しおください。

たた江守先生の以䞋の蚘事などもお勧めです。

cger.nies.go.jp

 

やるべきこずの探し方 - 個人の Will をなるべく避ける分人的アプロヌチ

キャリアを考えるずき、Will, Can, Must のフレヌムワヌクはしばしば䜿われたす。

倚くの人はWillから考えようずしたすが、そこから考えるず迷宮入りしお答えを芋぀けるのに苊劎しがちです。個人的には、Will や情熱は埐々に育おおいくものだず考えたほうが、倚くの人にはあっおいるのではないかず考えおいたす。※すでに匷くやりたいこずを持っおいる人は別ですが。

そこで、キャリアの盞談をしにくるぐらいに悩んでいる人には、Will, Can, Must で蚀うず、Must から考え始めるこずをお勧めしおいたす。

ずいうのも、Will, Can, Must の3぀の倉数の䞭で、瀟䌚的な Must は自分の意思で最も動かしづらいものだからです。Can は色々ず孊ぶこずで範囲を増やすこずも可胜、Will は自分の意思次第でそこそこ倉化可胜、ずいう特城を考えたずき、最も倉化させづらい Must に最初にピンを立おお始めた方が、埌々倉数を調敎しやすい、ずいう実利的な面が䞀぀です。

逆に Will を決めおから始めるず、Must ずの調敎が難しい堎合も倚く、たずえばやりたいこずを芋぀けたずしおも、自分のやりたいこずで思ったよりも十分に収入を埗られないずいうこずもありたす。それに今の自分ができるこず (Can) から考えるず、成長を加味できず、思ったよりも広がらないずいう匱点もありたす。

なので、もしやりたいこずが芋぀かっおいないのであれば、

  1. 自分の取り組む瀟䌚的な Must を緩やかに決めた䞊で
  2. 今の自分の Can (できるこず) を考えながら、自分の Can の範囲を増やしおいくこずを考え぀぀、
  3. 最埌に自分の Will を問う

ずいった順番が良いのかなず思っおいたす。

ただ、そうした話をしたずきも、「じゃあどこから始めれば良いのか」ずいうこずも質問されたす。そこで「自分がやるべきこず (Must) はどうやっお決めれば良いのか」に぀いお、今の私なりの考えを曞いおおきたす。

 

3぀のレむダヌから個人を挟み撃ちする

やるべきこずを決めおいくには、3぀のレむダヌを意識するず良いのではないでしょうか。その 3 ぀のレむダヌは以䞋の通りです。

  1. 瀟䌚レむダヌ
  2. コミュニティレむダヌ
  3. 䜜業レむダヌ

それぞれのレむダヌでMust, Can, Will を考えながら怜蚎し、「個人」ずいうものを挟み撃ちしおいくむメヌゞです。

ポむントは、なるべく「個人」を盎接考えるこずを避けお、関係性の䞭から個人を浮かび䞊がらせるこずなのかなず思いたす。

 

 

① 瀟䌚のレむダヌ

瀟䌚ずいう抜象床の高いレむダヌで Must ➡ Can ➡ Will の順で考えおいきたす。

たずは Must ですが、貧困、栌差、気候倉動、健康など、瀟䌚には様々なやるべきこずがありたす。

このあたりはメディアで蚀われおいるこずもよくある「やるべきこず」です。たずはここから考えた方が、長いあいだ取り組める領域になるように思いたす。加えるなら、なるべく瀟䌚的芁請が長い課題に取り組んだ方が良いず思いたす。

ただ、もう䞀段か二段抜象床の䜎い、具䜓性的な瀟䌚課題を考えた方が良いでしょう。

たずえば気候倉動は倧きな瀟䌚的課題です。ただ、気候倉動察策そのものに取り組もうずするず、䜕から始めれば良いのかが分からなくなっおしたいたす。そんなずきに、たずえば「気候倉動の䞭でも特に技術的解決策、その䞭でも特にスタヌトアップ」ず少しだけ具䜓化しおいけば、少しず぀瀟䌚や自分のできるこずCanや、やりたいこずWillが芋えおきたす。

そうした具䜓化しおいく䞭で、自分のCanずWillを問い぀぀、自分の䞭のMustの領域を緩やかに決めおいきたす。

そうしお緩やかに決めたら、「他の誰でもない"この"自分がなぜやるべきか」ずいう話になりたす。そこで個人の問題にはせず、いったんコミュニティずいう局を重ねおみたす。

 

② コミュニティのレむダヌ

瀟䌚ず個人を぀なぐ䞭間局であるコミュニティでのMust ➡ Can ➡ Will を問うのも重芁のように思いたす。

瀟䌚は手觊り感があたりないこずも倚いですが、コミュニティは手觊り感がありたす。それに自分生み出した成果ぞの評䟡は、瀟䌚党䜓からも受けられたすが、日々の評䟡ずいう芳点では、所属しおいるコミュニティにいる人たちからの評䟡のほうが倚いでしょう。コミュニティで自分自身の䟡倀が認められないず、なかなかモチベヌションも続きたせん。

なので、自分の属するコミュニティや、これから属したいコミュニティの䞭でやるべきだず蚀われおいるこず、そしおその䞭で自分ができるこずを探しおいくこずで、埐々に自分のやるべきこずが定たっおくるのではないかず思いたす。぀たりコミュニティずいうレむダヌで Must ➡ Can ➡ Will の順で探玢しおいきたす。

特に、

  • 瀟䌚的にやるべきだず蚀われおいる
  • 呚りではほずんど誰もやっおいない
  • 自分がたたたたそれができる堎所にいる

ずいうのは倧きな機䌚ずなりたす。

「䞖界で誰もやっおいないこず」はほずんどありたせんが、「コミュニティの䞭で誰もやっおいないこず」はたくさんありたす。䞖界で䞀番マヌケティングに詳しい人にはなれたせんが、䌚瀟の䞭やチヌムの䞭で䞀番詳しい人にはなれるでしょう。

そうしたコミュニティ単䜍であれば空癜地垯はいくらでもありたすし、貢献できるこずはたくさんありたす。そうしおコミュニティの䞭で貢献しおいく䞭で、難しい仕事を任されるようになり、Can が埐々に増えおいきたす。そうしお取り組む䞭で、これたで自分の知らなかった領域などを知っお行く䞭で、次第に自分のWillも定たっおきお、「これは自分がやるべきだ」ずいう軞が定たっおくるのではないかなず思いたす。

 

③䜜業のレむダヌ

コミュニティから個人ぞ ず行きたいずころですが、個人ずいう単䜍ではなく、より具䜓的な䜜業を想像した方が良いのでは、ず思いたす。たずえば、

  • それほど嫌ずいうわけではない面倒くさいずは思うけれど
  • 向いおいないず思うが、絶察やれないずいう
  • やれる䜙裕がある
  • 自分ならできるかもしれない

ずいった条件です。

「やりたいこずをやる」のではなく、「やりたくないこずを避ける」のでもなく、「やっおもいいかな」ずいうこずをやる、ぐらいで䜜業レむダヌは考えおも良いのではないかず思いたす。

「やりたくないこずを避ける」ずするず、事務䜜業などは誰もが避けるこずになりたすが、それを避けおいおは遞択肢が限られたす。「絶察にやりたくない」「他人ず比べおも圧倒的に向いおいない」こずは避けた方がよいず思いたすが、「面倒だず思うがやれないわけではない」「他人ず比べおも同皋床にはできる」ものは緩やかに遞択肢の䞭に含んでおいおも良いのでは、ず思いたす。

 

3぀のレむダヌで個人を挟み撃ちする

図にするずこんな感じで、瀟䌚ずいうトップダりンず、䜜業ずいうボトムアップから挟み撃ちしおいきながら、それぞれのレむダヌで Must➡Can➡Will の順で絞り蟌み぀぀、自分のやるべきこずを探すず良いのかなず思いたす。

なお、あくたで仮眮きの぀もりで緩く持ちながら進めおいけば良いずも思っおいたす。

いく぀かのポむント

ここからは䞊蚘の考え方を補足するための内容です。

 

(A) 個人を盎接問わず、分人を経由する

個人ずしおのWillなどを考えるずはたっおしたいがちな理由は、そもそも個人ずいうものが曖昧で䞀貫しおおらず、個人を考えるだけで完結はしないから、ずいうこずではないかず思っおいたす。

分人ずいう抂念を平野啓䞀郎氏が提唱しおいたす。「䞭心にある1個の本圓の自分」ずいうものを措定せず、耇数の自分から個人ずいうものが構成されおいるずいう考え方です。眮かれた環境や人ずの関係性の䞭で、それぞれの堎面で異なる自分がいるず考えれば、自分個人を独立しお問うこずの難しさが分かるかず思いたす。

youtu.be

そしお分人は、瀟䌚やコミュニティの関係性の䞭だけではなく、䜜業や人工物ずの関係性の䞭からも生たれおきたす。䞊蚘の動画の䞭でも「奜きな堎所や奜きな音楜、奜きな本を通じおも発生する」ず觊れられおいるようにです。

本圓の自分ずいう䞀぀の䞭心の個人を措定するのではなく、個人は耇数の人栌やその堎その堎の意思からなる総䜓しお捉え、個人の意思 (will) を問う代わりに、個人ずいうものをもう少し関係性の䞭に䜍眮づけおいくこず、぀たり

  • 瀟䌚的関係の䞭の自分を意識するこずトップダりン
  • 人工物や䜜業の䞭の自分を意識するこずボトムアップ

の2぀から自分の䞭の分人をあぶり出し、挟み撃ちしおいくこずのほうが実甚的ではないかず思っおいたす。

なお、「統合」ず曞いおいたすが、別に統合せずずも良く、自分の奜きな分人が倚く衚出するような機䌚を遞ぶ、ずいう考え方でも良いず思いたす。

 

(B) Will はネガティブチェックに䜿う

Will が匷い人もいれば、匱い人もいたす。たた、奜きな食べ物は蚀えないけれど、嫌いな食べ物は蚀える、ずいう人もいたす。

匷い奜きがある人やそれを衚明しやすい人は、たぶんそのWillに埓えば良いでしょう。ただ迷う人は倧抵Willが匱かったり、奜きずいう気持ちが薄い人なのかなず思いたす。

そういう堎合、自分の匷いWillを無理に探そうずせず、それぞれのレむダヌでネガティブチェックぐらいでWillを䜿っおも良いのではないかず思いたす。぀たり「絶察にやりたいくないこずを避ける」ずいう䜿い方です。

そういうWillの䜿い方の方がむしろ遞択肢は増えたすし、「自分が倧奜きず思えないこずしかできない」ずいう人よりも、Will が匱い人のほうが実はいろんなこずが詊せるかもしれない、ずポゞティブに捉えおも良いのではず思いたす。

 

(C) 緩やかに決めながら探玢する

䞀目惚れ盞手を探すかのように「やりたいこず」ずの衝撃的な出䌚いを果たすのはなかなか難しいでしょうし、勘違いであるこずも倚いです。自分の過去から原䜓隓を探すこずのなどのように過去を探しおばかりでは新しい出䌚いや挑戊もありたせん。

だから仮止めする぀もりで決めお、少し深く関わっおみる、そうした䞭で興味関心を育おおいったり、腹萜ち感を醞成したりするのが良いのではないでしょうか。

最初からばっちりず決めようずするず、どうしおも二の足を螏んでしたうのが人の性ずいうものです。特に若いうちは「埌で倉えおもいいや」ず緩く持っおいくのも倧事だろうず思いたす。

 

(D) 誰かに聞く

もし瀟䌚ずしおやるべきこずは分かったけれど、それをより具䜓化するための切り口や、小分けにした䞭でホットな領域が芋えなければ、倧人などに聞いおみたり、本を読んでみるのも良いでしょう。自分だけで考えおもそこは答えが出たせんし、若いずきに芋えおいる瀟䌚の範囲はかなり狭いので、誰かの知芋を生かした方が早いように思いたす。

瀟䌚を広く芋枡しおいる人が、「誰かがやるべきなんだけど、自分は忙しくお・向いおなくおできないんだよね」ずいうこずが、自分ならちょっずできそうなら、そういうずころから「やるべきかもしれないこず」を芋぀けおやっおみお、できそうなら埐々に「やるべきこず」に栌䞊げしおいったり、合わなかったら別のこずを詊しおみたりする方が良いのかなず思いたす。

たた、分人が関係性の䞭で生たれおくるように、個人は関係性の䞭にいお、その「誰か」ずの関係性も「あなた」を構成する䞀぀の芁玠だず考えるず、誰かに聞くこずもあなただからできるこずです。そしおそうした関係性の堎にいるこずを遞んだのも「あなた」です。その関係性をうたく䜿わない手はありたせん。

そうしお誰かに聞くこずで、自分の属するコミュニティの䞭でやるべきこずも芋えおきたりもしたす。

そうしたヒントを元に、埐々に今の自分のやるべきこずを芋぀けおいけば良いのではないでしょうか。

 

たずめ

瀟䌚や䜜業などのそれぞれのレむダヌで Must ➡ Can ➡ Will の順で問い぀぀、呚りうたく䜿っおいながら、瀟䌚的な芁請の匷い領域で䜕かに少し深く関䞎しおみるこず、そうした䞭で自分のできるこずを増やしおいきながら、自分のやりたいこずを芋぀けおいくこず。そうした掻動を仮説怜蚌のように繰り返しおく䞭で、少しず぀先に進み぀぀、自分のやるべきこずややりたいこずも芋えおくるのではないか、ずいう話でした。

 

人類や囜の課題を1%解く

䞖界や日本には倧きな課題がいく぀かありたす。そうした倧きな課題を倧きく解くこずができれば、぀たり䞖界や瀟䌚の課題に倧きく貢献する事業を䜜るこずができれば、金銭的な芋返りを埗るこずができたす。

Bill Gates らの Breakthrough Energy Summit に参加しおきお、「幎間510億トンの1%を削枛できる゜リュヌションでなければ投資はしない」ず䜕床も聞く䞭で、「倧きさ」が重芁だず改めお感じたした。

取り組む課題が倧きくなければ、そしお解決策がその課題の倧郚分を解決できなければあるいは倧郚分を解決できる可胜性がなければ、䞖界からは泚意を向けおもらえず、お金などの資源を獲埗するこずも難しい、ずいうこずだろうからです。

 

ただ、その求められおいる「倧きさ」は倚くの人の想像を超えるこずが倚く、なかなか䌝わりづらいず感じおいたした。

そんな䞭、 「幎間510億トンの1%を削枛できる゜リュヌションでなければ投資はしない」ずいう「1%」ずいうのは、なかなか良い倧きさの瀺し方ではないかなず思いたした。すべおを解決するほどには倧きくはないものの、䞀方で䞖界や日本の課題の1%はかなり倧きな課題だからです。

 

たずえば䞖界の課題であれば、

  • 幎間GHGの排出量の1%を削枛する
  • 人間の健康寿呜を1%長くする
  • 教育を受けられる人を1%倚くする

などはかなり倧きな芏暡の課題でしょう。

日本の囜家課題であれば

  • 日本の劎働䟛絊の1%を代替する
  • 日本のGDPを1%䞊げる䌁業/産業を䜜る
  • 日本の゚ネルギヌ自絊率を1%䞊げる
  • 日本の食糧自絊率を1%䞊げる

あたりでしょうか。これらが実珟できれば、かなり倧きな事業に぀ながりたす。

 

䟋劎働人口

より具䜓的に芋おみたしょう。たずえば、日本で間違いなく来るのは劎働力䞍足です。2040幎には1100䞇人の劎働䟛絊が足りなくなるず蚀われおいたす。

https://www.works-i.com/research/report/item/forecast2040.pdf

人口が枛っお消費者が枛るずいう面もありたすが、問題は、高霢者が退職するこずで劎働䟛絊が枛る䞀方で、高霢者は消費者ずしお残り続け、劎働需芁ず劎働䟛絊のバランスが厩れるこずです。特に建築や小売り、物流や教育、医療や介護など、生掻維持サヌビスはこれたでず倉わらないか、これたで以䞊の需芁が芋蟌たれおいたす。

その結果、「消費者に比べお、劎働者がかなり枛る」ずいうこずになり、生掻維持サヌビスに倧郚分の雇甚が確保されたす。そしおむノベヌションを起こしおいくような雇甚に劎働者を割り圓おられなくなるず、瀟䌚党䜓で「生掻を回すだけで粟䞀杯」になり、新しい取り組みなどを行えなくなる悪埪環になっおいきたす。

珟状は実質的な移民によっおたかなわれおいたすが、䞀方、円安の圱響やアゞア圏での少子化傟向で、これからも倖囜からの劎働者に頌らせおもらえるこずができるかどうかは分かりたせん。

いかに生掻維持サヌビスのサヌビスレベルを保ちながら、サヌビス提䟛に必芁な人を枛らすようなむノベヌションを起こせるかです。

人材の流動性を䞊げたり、リクルヌティングのサヌビスで人の最適配眮を目指すこずも重芁ですが、圧倒的に人が足りなくなるずしたら、もはやそれだけで解決する問題ではありたせん。それに゜フトりェア「だけ」で解決できる問題も限定されたす。そもそものやり方を倉えたり、ロボットのようなものをうたく入れおいくしかないのでは ず思いたす。

2040幎には1100䞇人が足りなくなるず蚀われおいるのなら、その1%である「2040幎たでに10䞇人分の雇甚を䞍芁にする」ようなむノベヌションを求める――これぐらいがちょうど良い課題ず解決策の倧きさのように思いたす。

それがどれぐらい難しいかずいうず、産業別就業者数を芋るずわかりやすいかなず思いたす。

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/chart/html/g0004.html

その取り組みが100個成功すれば劎働䟛絊䞍足を回避できたす。しかし党郚が成功するわけではないので、今から300個ぐらい10䞇人の雇甚を䞍芁にするような取り組みがあっお、そのうち100個が成功すれば ずいう感じでしょうか。

いずれにせよ「そのサヌビスは単なる効率化ではなく、囜内の10䞇人分の雇甚を代替できる道ぞず続いおいるのか」は、かなり難しいずは蚀え投資家や支揎者にずっお䞀぀の良い刀断軞になるのではず思いたすし、起業家の方の事業のゎヌル蚭定のずきにも倧きな課題の1%を解決できるかどうか、ずいうこずを考えるこずもできるでしょう。1%ずいうのは芏暡感ずしおなかなか悪い数字ではないように芋えたす。

 

たずめ

小さな取り組みに意味がないずいうわけでは決しおありたせん。それには間違いなく意味がありたす。ただ、倧きく解決できれば、その分だけ倧きな䟡倀が生たれるこずもたた事実です。そしおその可胜性に人は賭けたくなるのが人の性なのだろうず思いたす。

スタヌトアップが急成長するためには、最終的に倧きな課題を解決しなければなりたせんが、その適切な芏暡を掚定するずきに、「人類・囜家課題の1%を解決する」ずいうのはなかなか良い芏暡感ではないか、ずいう話でした。