🐎 (銬)

Takaaki Umada / 銬田隆明

これから求められるスタヌトアップず䞭小䌁業の゚コシステム

Climate Tech スタヌトアップを支揎しおいる䞭で぀くづく感じるのは、ハむグロヌス・スタヌトアップ以倖の䌁業矀も倧事だ、ずいうこずです。

たずえばハむグロヌス・スタヌトアップが優れた性胜を持぀倪陜光パネルを䜜れたずしたす。それを本圓に普及させおいくためには、生産できる工堎を自前で䜜るか、パヌトナヌを芋぀けお䜜っおもらわなければなりたせん。パネルを敷蚭しおいくためには、各地域で工務店や蚭眮しおいく人も必芁です。人がいなければ、そうした人を育成しなければなりたせん。堎合によっおは地域での䞁寧な合意圢成のために人を割く必芁もあるでしょう。

これらを党郚自瀟でやるこずはおそらくできたせん。なので、その呚蟺で様々な䌁業が必芁です。地域の合意圢成にはNPOも圹目を果たしたす。そうした䌁業や組織が生たれお来なければ、ハむグロヌス・スタヌトアップの成長スピヌドも鈍化しおしたいたす。

実際、ペヌロッパでは、ヒヌトポンプを蚭眮する技術者の逊成をするスタヌトアップも出おきたぐらいですし、アメリカの゚ネルギヌ省は75億円芏暡でNPOぞの支揎もしおいたす。

 

゚コシステム

スタヌトアップ゚コシステムが議論されるずき、倧孊や投資家、倧䌁業*1や政府などが挙げられたす。䟋えば以䞋のような MIT REAP の図です。

MIT REAP のステヌクホルダヌモデル: https://reap.mit.edu/about/

ただ、こうした呚蟺領域の䞭小䌁業やNPOの存圚に぀いおはさほど觊れられたせん。

その理由はおそらく、これたでスタヌトアップの䞭心だったIT領域では、そうしたパヌトナヌをそこたで倚くは必芁ずしなかったからではないかず思いたすもちろん代理販売や䞀郚業務のアりト゜ヌスはありたすが。

しかし Climate Tech 等、ハヌドりェアの関わるスタヌトアップを芋おいるず、倚くの䌁業が関わっおはじめお䜕か倧きなこずができるのだず぀くづく感じたす。たずえば日本でも、宇宙系スタヌトアップの呚蟺で名前をよく聞く粟密機噚の䌁業は重芁な圹目を果たしおいたす。

IT領域から、埐々に別の領域にもスタヌトアップの領域が広がっおいくのであれば、こうした䞭小䌁業も含んだ゚コシステムをどう䜜っおいくかが新たに論点になりうるようにも思いたす。

 

同心円で芋る゚コシステム

デカコヌンず呌ばれるスタヌトアップを生むには、その呚蟺に、デカコヌンを支えるたくさんの䌁業矀が必芁です。逆に蚀えば、デカコヌンず呌ばれるようなサむズになった䌁業の呚蟺には、倚くの䌁業や雇甚が生たれるずいうこずでもありたす。それが産業を䜜るずいうこずであり、『゚コシステム』を䜜るずいうこずなのだろうず思いたす。

この゚コシステムを図瀺しようずするず、時䟡総額の桁ごずの同心円で瀺せるように思いたす*2。

䞀぀䞀぀のオレンゞ色の点が䌁業を瀺しおいたす。

真ん䞭に倧暹ずなるような、時䟡総額玄1兆円を超えるビゞネスがあり、その呚りにいく぀かの1兆円1000億円、そしお1000億円から100億円、100億円から10億円、10億円1億円のビゞネスがありたす。

それぞれがそれぞれの圹目を果たしながら、党䜓が゚コシステムずしお機胜しお、䞀぀の倧きな産業が成り立っおいる、ずいうのがこの図の芋方です。

実際、Salesforce などのプラットフォヌム䌁業は、売䞊 (ARR) が1000億円を超えたあたり、プラットフォヌムの機胜が耇雑化しはじめたタむミングで、コンサルタントなどの呚蟺事業が生たれおくるず蚀われおいたす。

売䞊1000億円を時䟡総額に換算しおみるず、かなり単玔化した蚈算ずしお、売䞊1000億円で利益率を50%ずしお利益500億円、PERを20ずするず時䟡総額は玄1兆円です。やはりその売䞊芏暡や時䟡総額の䌁業が生たれるこずで、呚蟺に様々なビゞネスが生たれおくるずも蚀えたす。

昚今話題の生成AIだず、OpenAIなどが゚コシステムの䞭心の倧暹ずしお真ん䞭に1兆円䌁業が突劂ずしお生たれ、その呚蟺にいく぀かの倧きめの䌁業 (Perplexity など)、さらにその倖にAIをベヌスずしたSaaS䌁業などがあり、そしおさらに倖に個別のカスタマむズをする受蚗ビゞネスや教育ビゞネスなどが続々ず生たれおきおいる、ずいう颚に敎理できるでしょう。もしかしたらNVIDIAが円の䞭心かもしれたせんが

こうした゚コシステムの䞭で、自分がどのようなビゞネスを構築しようずしおいるか、その同心円の䞭でどこに䜍眮づけられるビゞネスをしようずしおいるかは、ある皋床認識しお眮いた方が良いのかなず思いたす。

 

政策や支揎偎から芋たずきの同心円

倚くの堎合、利益の倚くは真ん䞭にいる䌁業に集たりたす。「デゞタル小䜜人」ず呌ばれおしたうのは、日本を含めたアメリカ以倖の囜がデゞタル領域で䞭心を取れおいないからでしょう。

たた、SpaceXやTeslaから関連䌁業が倚く生たれたように、真ん䞭に䜍眮する䌁業を生むこずによっお、その呚蟺にいく぀もの新しく倧きなスタヌトアップが生たれ、高付加䟡倀な雇甚も生たれやすくなりたす。だから䞭心ずなるような、巚倧なハむグロヌス・スタヌトアップを生んでいくこずは、囜や地域ぞの波及効果的にも倧事なのだろうず思いたす。ただ、それを成立させるためには呚蟺の事業が必芁です。

ずはいえ、それぞれで䜜り方や支揎方法が倧きく違うようにも感じおいたす。

私自身は䞭心郚分ずなりうるハむグロヌス・スタヌトアップの支揎をしおおり、その他のずころは支揎察象ずしおいたせん。支揎の方法も異なるし、資金・時間的なリ゜ヌスも十分ではないからです。ただ、ハむグロヌス・スタヌトアップを生み出し、産業ず呌ばれるものを䜜っおいくためには、その皮の䌁業矀が必芁なのだろうず感じおおり、そこに手を出せおいないこずには歯がゆさを感じおいるずころです。

ずはいえ、䞭心郚であるハむグロヌス・スタヌトアップを生み出せなければ、呚りの䌁業矀ぞの波及効果も生たれたせん。䞀方で呚りがいなければ䞭心ずなる䌁業も生み出せたせん。こうした䞀連の䌁業矀を生んでいくこずを産業政策ず呌ぶのかもしれたせんが、埐々にハむグロヌス・スタヌトアップの領域がピュアな゜フトりェア以倖にも広がるに぀れお、総䜓ずしおどういう゚コシステムを䜜っおいくべきなのかはハむグロヌス・スタヌトアップに関わる偎からも考えおいくべきなのだろうず思いたす。

 

付録: 雇甹

本論から少し逞れたすが、波及効果の質にも泚意するべきだず思っおいたす。

たずえば、以䞋の衚はアメリカの各業皮における雇甚乗数ある数の雇甚増加がなされたずき、最終的にその数の䜕倍かの雇甚増加に぀ながるかです。

雇甚の増加ずいう芳点で倧きな波及効果が芋蟌たれる業皮がいく぀かありたす。こちらのペヌゞでより詳现な職皮が曞かれおいたす。

䞀般的に貿易可胜郚門補造業やハむテクの雇甚乗数は倧きく*3、非貿易可胜郚門サヌビス業や建蚭業は小さい傟向にありたす。

たた新たに生たれる雇甚は特定の土地に集䞭する傟向もありたす。Netflixは郜垂郚に雇甚を生みたしたが、米囜䞭や日本䞭のレンタルビデオ店の雇甚を枛少させたした。なお、自動化等が進んだこずにより、補造業は昔ほど良質な雇甚を生たないずいう議論もありたす。

 

 

䞀方で、劎働力䞍足が芋えおいる日本においお、単玔な「雇甚を生む」こずの評䟡は難しくなっおいるように思いたす短期的には䟡倀がある堎合もあるのですが 。

䟡倀があるのは「高付加䟡倀な雇甚の数を生む」こずです。「䜎付加䟡倀な雇甚を生む」こずは、貎重な劎働力を䜎付加䟡倀な職ぞず奪っおしたっおいるずいう点で、むしろ䞭長期的には悪圱響だずも捉えられたす。

そうした意味で、どういった産業ぞの波及効果があるのかをある皋床芋おおく方が良いのだろうず思いたす。以䞋の図は日本での業皮・䌁業芏暡別の劎働生産性です。

䌁業芏暡・業皮別劎働生産性: https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/chusho/b1_3_3.html

波及効果的に生たれおくる雇甚が、どの業界の雇甚なのか、ずいうのが倧事だろうずいうこずです。

 

豊かな䞭間局ずも呌ばれる雇甚を生んでいくこずは、政治や生掻の安定のためにも重芁のように思いたす。そのためには、付加䟡倀の高い雇甚を倚く生むための支揎業皮遞定や、珟圚は生産性が䜎い雇甚たずえば芳光の䟡倀をどう高めおいくのか、あるいはどこたで高められるかたずえば芳光は劎働集玄的なので高めづらいなど、ずいう芳点も䞍可欠なのでしょう。グリヌンゞョブは䞀時的にその座に着くでしょうが、恐らく30幎もすればたた適切な職は倉わりたす。そうした点も芋据えお波及効果は芋おいくべきかなず思いたす。

 

*1:https://reap.mit.edu/assets/REAP_Ideal_Team.pdf などを芋るず、Corporate は倧䌁業を瀺しおいるように芋えたす。

*2:時䟡総額がすべおでは無いず思いたすが、波及効果を芋る䞊で䟿利なので利甚しおいたす。

*3:モレッティの『幎収は枈むずころで決たる』などが有名ですが、少し乗数が倧きすぎるのではずいう議論もありたす。

12/4 に曞籍『仮説行動』を出版したす

『仮説行動』ずいう本を 2024/12/4 (æ°Ž) に出すこずになりたした。

『解像床を䞊げる』に続き、ビゞネスパヌ゜ン党般を読者ずしお想定した本で、曞名の通り、今回は仮説に぀いおの本です。

思い

「すでにたくさんの仮説の本があるのに、なぜ改めお仮説の本を曞いたのか」ずいう疑問を持぀人もいるのではず思いたす。

たずえば20䞇郚以䞊売れおいる『仮説思考』2006幎発刊など、叀くから読たれおいる曞籍もありたすし、今でも毎幎䜕冊かは仮説に぀いおの本が出おいたす。

そんな䞭で、本曞を出そうず思ったのにはいく぀かの理由がありたした。䞻な理由の2぀は以䞋の通りです。

  • 仮説の基瀎的な考え方をたずめたい
  • スタヌトアップや新芏事業における仮説の扱い方をたずめたい

前者は、これたでの仮説に関する考え方をもう少し粟緻化し汎甚的にしおみたい、ずいう思いでした。

たた埌者に぀いおは、スタヌトアップのような『新しいこず』をしおいくずきに必芁な仮説の甚い方や扱い方は、埓来の仮説の本ずは少し違うのでは、ず感じおいたずころがあり、その郚分をたずめたした。

その結果、コンサルや倧䌁業を暗黙的に前提ずされおいた仮説の本ずは、倚少違うずころを出せたのではないかなず思いたす。

本曞の違い

倚くの郚分は共通しおいたすが、以䞋の3点が埓来の曞籍ず倧きく違うかなず思いたす。

  • 思考ではなく行動の重芖
  • 仮説を珟実にする方法
  • 倧きな仮説の䜜り方

その他の違いに぀いおは曞籍の冒頭でも曞いおいたすので、ぜひ読んでみおください。

倚くの人や孊生が『新しいこず』をやるように求められおいる䞭、本曞の䜕かが倚くの人に圹に立぀こずを願っおいたす。

本の衚玙の思い

出版瀟は英治出版様、衚玙のデザむンは tobufune 様です。䞡瀟ずも、『未来を実装する』『解像床を䞊げる』に続き、今回もご担圓いただきたした。

衚玙の躍動感溢れる文字は「行動」を瀺しおいるように芋えたすし、文字が埐々に修正されおいるような動きは、仮説怜蚌を経おより正しい答えに向かっおいるような印象を䞎えおくれたす。

今回も曞店で目立぀のでは、ず思いたす。

すでに曞店様からは結構な発泚も来おいるそうです。ぜひ曞店で手に取っおみおください。曞店の皆様もどうぞ宜しくお願い臎したす。

執筆の裏話かなり遅れたした 

2幎ぐらい前に蚘事で曞いたずおり、この本は『解像床を䞊げる』に含める予定だった内容です。2022幎時点である皋床曞けおいたので、本圓は2023幎に出したいず思っおいお、NewsPicksの2023幎の1月の蚘事でも2023幎に出るず蚀及しお貰っおいたのですが、本業が忙しく、予想以䞊に時間がかかっおしたいたした。

ただその分、圓時よりも䞭身はかなり掗緎されたように思いたす。

『解像床を䞊げる』の䞭に入っおいたものをバヌゞョン1だずするず、今はバヌゞョン3ぐらいになっおいたす。そしおバヌゞョン1だず8䞇字だった内容が、その埌色々ず加えお最倧30䞇字ぐらいたで膚らんだ埌、最終的な着地は20䞇字匱ぐらいの本になりたした。ビゞネス曞の平均文字数が10䞇字だそうで、その玄2倍の文字数です。

でも倀段は䞀般的な本よりもちょっず高いぐらいなので、「文字数ベヌスでは2冊分」「基瀎線ず発展線が2぀ずも入っおいる」ずいうお埗な䟡栌蚭定だず思っお笑、ぜひ手に取っおください。

次の曞籍に向けお

私の䞭では、前著を『解像床本』、今回を『仮説本』ず呌んでいお、ビゞネスパヌ゜ン党般向けの曞籍ずしお曞いおいたす。

これらに加えお、リ゜ヌスフルネスをテヌマにした『リ゜ヌス本』も曞きたいず思っおおり、その3冊でスタヌトアップ系のノりハりを抜象化したビゞネス党般向けの曞籍は䞀通りたずめ終えられるのかな ず思っおいたす。そちらも少しず぀曞き進めおいるので、ゆっくりずお埅ちいただければず思いたす。

キャリアに関するブログ蚘事をたずめるなどもしたいのですが  い぀になるこずやらです。

最埌に

改めお、『仮説行動』は12/4 発売です。ご興味ある方はぜひご予玄ください。Kindle版もすぐに出るず思いたす。

この本を通しお、「珟時点での小さく正しい仮説」を芋぀けるだけではなく、「未来の倧胆な仮説を䜜り、それを実珟しおいく」ための方法がお䌝えできれば嬉しいです。

 

 

補足関連するスラむド

どこかのタむミングで『解像床を䞊げる』のように、『仮説行動』のスラむドを公開できればず思いたすが、ちょっずい぀曞けるか分からないので、すでにいく぀かの仮説に関するスラむドを玹介しおおきたす。『未来を実装する』の校正が終わり、時間が空いた2020幎の幎末幎始に䜜っおいたものなので、4幎ぐらい前のもので、少し今の考えずは違っおいたすが 。

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ディヌプテック・スタヌトアップの立ち䞊げ方の分岐ず倉遷

倧孊発スタヌトアップやディヌプテック・スタヌトアップに぀いおの期埅が高たっおいたす。ただ、倖から想像されおいるディヌプテック・スタヌトアップの立ち䞊げ方のむメヌゞず、珟圚詊みられおいるディヌプテック・スタヌトアップの立ち䞊げ方のむメヌゞには差があるようにも感じおいたす。

私個人の意芋ずなりたすが、この25幎を通しおディヌプテック・スタヌトアップの方法論は埐々に倉遷や现分化を遂げおいるように芋えおいたす。その倉遷の過皋を少したずめおおきたす。

なお本皿では、急成長するハむグロヌス・スタヌトアップを「スタヌトアップ」ずしおいたす。

 

ディヌプテック・スタヌトアップが初期に揃えるべき3芁玠

ディヌプテック・スタヌトアップの初期に揃えるべき芁玠を倧きくたずめるず、

  • 技術シヌズ
  • 経営者
  • ニヌズ

の3぀です。䞀気に揃えられれば良いのですが、実際には䜕かを起点に始める必芁がありたす。

時代を経おもこの3぀の芁玠自䜓は倉わりたせんが、「この3぀の芁玠をどのような順序で揃えおいくべきだず思われおいるのか」は時代によっお少しず぀倉わっおきおいるように思いたす。

 

(モデル 1) 技術シヌズ ➡ 研究者 ➡ ニヌズ (2000 幎代前半)

最初に想定されおいたモデルが技術シヌズ起点の起業です。

たず研究ずいう技術シヌズがあり、それをすべおの䞭心にしお、研究者が経営者ずなっお事業化する、ずいう流れが想定されおいたした。そこには「技術シヌズがあれば事業は䜕ずかなる」ずいう前提があったように思いたす。

2001幎頃から行われたら倧孊発ベンチャヌ1000瀟蚈画は、たさにこうした発想だったのではないかず思いたす。研究ずいう技術シヌズがあり、それを開発した研究者自身が起業しお経営者ずしお掻動し、その埌ニヌズを特定しお事業化するこずで成功する、ずいうモデルです。

ただこのモデルの問題点は、起業しおも研究者は研究を続けおしたい、そもそもの事業化が進たないこずが倚かった、ずいうこずだったように思いたす。たずえば、圓時の研究者の䞀郚の方々は、研究費の延長線䞊ず考えお起業支揎の資金を埗おいたのでは、ずいった話を聞くこずもありたした。

(モデル 2) 技術シヌズ ➡ 経営者 ➡ ニヌズ

次に䞻な流れになっおきたのが、技術シヌズ起点は倉わりたせんが、研究者ではなく、経営者を連れおくる、ずいうものです。「研究者が事業化するのはどうもうたくいかない」ずいう反省があったのかもしれたせん。

これはVCが技術を遞定しお、経営者を連れおくる、ずいったアメリカのVCに䌌たモデルです。堎合によっおは、VCが技術ずニヌズを特定しおから、経営者を連れおくるこずもあるかもしれたせん぀たり技術シヌズ➡ニヌズ➡経営者ずいう流れです。

これは事業化が進みたした。しかしやがお問題になったのは、技術シヌズに瞛られおしたうず、䞀郚の領域ではどうしおも小さな事業になっおしたいがちなこずです。実際、蚭立10幎経っおも、倚くのディヌプテック䌁業は売䞊が1億円皋床しかありたせん。

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/kenkyu_innovation/pdf/028_06_00.pdf

たた、前の歎史的な経緯からも技術志向が匷い経営をしおしたうこずで、スタヌトアップ的な急成長をするずいう発想にはならず、数億円レベルの「技術の商業化」を志向しおしたいがちだった、ずいう点だったように思いたす。

 

なお、(モデル1) (モデル2) ずもに有効な領域もありたす。たずえば䞀郚の創薬領域などです。しかし、「技術の匷さが事業の匷さに盎結する」か぀「䜜るこずができれば売れる」か぀「垂堎が倧きい」ずいったいく぀かの条件が満たされた堎合のみに有効、ずいう前提が぀きたす。そうした領域が実は限られおいるため、埐々に技術起点だけでは駄目なのでは、ず気づき、他の方法論が詊され始めたす。

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(モデル 3) 経営者 ➡ 技術シヌズ ➡ ニヌズ

技術シヌズ起点ではあたり倧きなスタヌトアップにはなりづらいかもしれない、ずいうこずが分かっおきたした。そこで詊されおいるのが、経営者を起点にした起業です。

経営者候補ずなるような人に技術探玢をしおもらっお、良さそうな技術があれば、その技術が適甚可胜なニヌズを探しに行く、ずいった流れずなりたす。ビゞネス経隓のある人をVCや倧孊がEntrepreneur in Residence (EIR: 客員起業家) などの仕組みで雇うのはたさにこの仕組みです。

これも䞀぀の方法のように思いたす。しかし事業の可胜性が技術によっお制玄されるこずは倧きく倉わらない構造を持っおしたうため、「事業が予想よりも倧きくならない」ずいったこずが起こりえたす。たた経営者自身が「技術の匷さ事業の匷さ」になるような事業を組み立おられるかどうかが課題ずなっおきたす。

さらに、特定の先生の技術に寄りかかる圢になるず、より倧きな機䌚が芋぀かったずきにその先生の技術を捚おられなくなる、ずいったデメリットもありたす。ずはいえ、適切な範囲であればそのリスクは取るべきだず思いたす。

(モデル 4) 経営者 ➡ ニヌズ ➡ 技術シヌズ

モデル3に䌌おいたすが、モデル4は経営者がニヌズを特定し、必芁な技術を耇数集めおくるようなモデルをむメヌゞしおいたす。経営者起点ではあるものの、その次はニヌズを起点にしお技術シヌズを探しに行く、ずいう点に違いがありたす。その技術シヌズは、埀々にしお倧孊の研究ディヌプテックです。

これを実斜しようずするず、結果的にモデル3のEIRず同じ仕組みになるかず思いたすが、ニヌズを先に特定しお、技術を亀換可胜しおいるため、「事業が予想よりも倧きくならない」ずいうリスクはある皋床避けられたす。しかし新たな課題ずしお、「必芁な技術があるかどうかが分からない」ずいうリスクを背負うこずになりたす。

このモデルは、倧孊のEIRは倧孊の技術に瞛られおしたうため少しやりづらく、VCのEIRのほうがやりやすい圢ず蚀えるでしょう。

 

実際は (3), (4) はグラデヌションで技術を芋぀けおニヌズを探し、ニヌズを芋぀けたらたた技術を探す  ずいった繰り返しの䞭で、経営者が適切な組み合わせを芋぀ける、ずいうこずも倚いかず思いたす。ただ、そうした䞭でも技術シヌズを重芖するのか技術の商業化をすれば倧きく成功するのか、あるいはニヌズを重芖するのか堎合によっおは技術を捚おおも良いかは倧きく違うアプロヌチのように思いたす。

 

(モデル 5) ニヌズミッション ➡ 経営者 ➡ 技術シヌズ

珟圚詊されおいるカンパニヌクリ゚ヌションは、VCなどがニヌズを先に特定し、そこに適切な経営者を連れおきお、技術シヌズを組み合わせるずいうモデルず敎理できるように思いたす。堎合によっおは、ニヌズ➡技術シヌズ➡経営者ずいう順番になるこずもあるでしょう。

䌌たようなモデルだず、ARCH Venture Partners の蚀っおいる Building Backwards も䌌おいるように思いたす。たさに「逆算しながら䜜っおいく」ずいうモデルです。

「ニヌズミッション」ず曞いおいるのは、特に脱炭玠など倧きなミッションをベヌスに、政府偎ず協力しながら䜜っおいくパタヌンもあるからです。

こうすればニヌズを倖すこずはあたりありたせん。ただ、経営者が探せるかや、適切な技術を芋぀けられるか、ずいったリスクは残りたす。たた、このモデルで䜜られた Northvolt は珟圚苊境に陥っおおり、そうした意味では必ず成功するわけではありたせん医療等の unmet needs はそう頻繁には倉わらないでしょうが、それ以倖の領域の将来のニヌズは倉わりやすいため。

 

たずめ

今珟圚のディヌプテック・スタヌトアップがモデル5のカンパニヌクリ゚ヌションモデルである、ずいうわけではありたせんし、どれが䞀番正しい、ずいうわけもありたせん。

珟圚は、これら5぀のパタヌンが䞊行しお存圚しながら、それぞれの事業や領域、取り埗るリスクに合わせお遞ばれおいる、ず考えた方が良いのだろうず思いたす。

ただ倚くの人はモデル1や2を「ディヌプテック・スタヌトアップ」だず思いがちのようです。モデル3のパタヌンもありたすが、その堎合でも技術偏重になっおしたう、「技術を商業化するための起業」埓来蚀われおいるベンチャヌ䌁業に盞圓です。

その堎合、技術ず垂堎が䞀定の条件を満たしおいなければ、ハむグロヌスを遂げるこずはできたせん。技術によっおはそうした考えで成功できる領域もありたすが、そうではない領域もたくさんありたす。

この25幎をかけお、立ち䞊げ方に぀いおも詊行錯誀がなされ、蓄積が溜たっおきたように思いたす。そのため、自分たちがどういった事業領域に挑もうずしおいお、その事業領域ではどういったモデルが良いのかを考えながら、どのように「ディヌプテック」を䜿っお「ディヌプテック・スタヌトアップ」を䜜っおいくかをより深く考えおいく必芁があるのだろうず思いたす。