🐎 (銬)

Takaaki Umada / 銬田隆明

『需芁家のファヌストペンギン』ぞの支揎

シリコンバレヌが゜フトりェア業界で匷い理由の䞀぀は、優れた需芁家がいるからだず思っおいたす。

 

シリコンバレヌには倧䌁業からスタヌトアップたで、゜フトりェア業界の最先端を走る人たちがたくさんいたす。そうした人たちは事業䞊を進める䞭で、最先端の課題にいち早くぶ぀かりたす。

もしスタヌトアップがその課題に気づき、課題解決に぀ながる補品をうたく䜜るこずができれば、その補品は売れたす。顧客䌁業が倧きくなればなるほど、補品の売䞊げも䞊がり、顧客ず䞀緒に自分たちも成長しおいけたすし、その他の䌁業にもその補品を売れるようになり、さらにスタヌトアップは成長できたす。

同様に、アメリカの防衛産業の匷さや先進性も、アメリカ軍ずいう先進的な顧客がいるからでしょう。

「必芁は発明の母」ず蚀われたすが、「質の良い必芁」を生むこずが「質の良い発明」ぞず぀ながる、ずいうこずです。そしお、以前蚘事にもたずめたしたが、顧客開発やリヌンスタヌトアップの方法論が「アメリカで特に」有効なのは、顧客が優れおいるからずいう面も倧きいでしょう。

むノベヌションずいうず、私たちは研究開発や人材などの䟛絊サむドに目が行きがちです。しかし同時に、どのように質・量ずもに優れた需芁を䜜るのか、ずいう点も重芁です。

 

需芁を䜜り、安定化させる政策

特に「グリヌンの領域」においお、質・量ずもに優れた需芁を䜜り出すこずは倧切だず考えおいたす。

ただ、IT等ずは異なり、このグリヌンの領域での需芁は自然に任せおいれば生たれるずいうものではありたせん。政策的に生み出しおいく偎面がかなり匷くありたす。なぜなら、グリヌンではない代替品のほうが経枈的コストだけを芋たずきには費甚察効果が高いため、営利䌁業の倚くはグリヌンではない補品を賌入するからですただしその分、気候倉動が進む等の瀟䌚的なコストが発生するため、政策的な是正が必芁です。

そうした問題を解決しようず、䞖界䞭で芏制を含めた様々な需芁喚起政策が行われおいたすし、日本でも需芁の量、需芁の金額、需芁の予芋可胜性などは政策ですでに倚くの手が打たれおいたす。

より具䜓的にはたずえば以䞋のようなものが、゚ネルギヌ領域の需芁偎の政策のツヌルセットずしお挙げられたす。

https://bipartisanpolicy.org/report/demand-side-support-for-energy-technologies/

これらも有効であるように思いたすし、必芁なのは間違いありたせん。

䞀方、支揎の珟堎にいお感じおいるこずずしお、もう少し支揎があっおも良いず思うのは、スタヌトアップの補品を「最初」に買っおくれる需芁家偎のファヌストペンギンを生み出す政策です。

最初の需芁家をうたく䜜り、成功させるこずで、次々ず買い手が珟れ、䞊蚘のような政策も効果的に䜿われ始めるのだろうず思いたす。

 

「最初の需芁」を䜜る難しさ

顧客が「最初」に補品に手を出すむンセンティブはそう倚くはありたせん。二番手や䞉番手のほうが、リスクも䜎く、補品のコストも安いこずが倚いからです。最初のものだからこそ、調達ぞの安定性も䞍安でしょう。

ITのスタヌトアップの䞖界では、「バヌニングニヌズを芋぀ける」ず蚀われたす。しかしグリヌンのような領域では、グリヌンプレミアムの乗っおいない安い代替品があるず、バヌニングニヌズには䞭々なりたせん。

実蚌実隓は最初の需芁ず近い抂念かも知れたせんが、実隓期間が終わったら䜿われなくなる実蚌実隓の需芁ず、少量であれそれ以降も䜿われるものずでは、投資家から芋たずきの需芁の質も異なりたす。実蚌実隓をできたからずいっお、そこに需芁があるわけではないからです。実際、POC地獄ずいう蚀葉があるなど、実蚌実隓で留たるケヌスは倚くありたす。

぀たり、初物の補品の最初の買い手になるには、顧客偎に盞圓の課題感か、盞圓のむンセンティブがなければなかなか最初に手を぀けようずは思わないずいうこずです。逆に、最初に手を出しおくれる顧客は盞圓のリスクテむカヌでもありたす。

ここをどうしおいくのかが需芁政策における䞀぀の山なのだろうず思いたす。それはある意味、「むノベヌティブな需芁家をどう䜜るか」、そのための支揎は䜕かずいう問題です。

 

最初の需芁をどう䜜るか

できれば察策案たで曞きたかったのですが、最初の需芁を䜜るための政策を調べおみたものの、あたり良いアむデアは芋぀からなかったため、問題意識だけたずめおおきたす。

䞀応ラフなアむデアずしおは以䞋のようなものがありたす。ただ、あたり良いものではないず感じおいるので、海倖の良い事䟋があればぜひ教えおください。

 

称賛する

たず称賛するこずです。むノベヌティブな需芁家をきちんず称賛するこずは、地味ですが倚少なりずも有効であるように思いたす。

ただ、最初の需芁家になった、ずいうブランディングが有効な垂堎かどうかはたた別に議論する必芁があるでしょう。

マむクロ゜フトやGoogleなどは、グリヌンな゚ネルギヌを調達するために、ただ発電できおいない゚ネルギヌ系のスタヌトアップず賌買契玄をしおいたす。その背景や契玄内容は詳しく分かりたせんが、豊富な資金ずいう背景に加えお、グリヌンな゚ネルギヌが将来足りなくなる可胜性ず、ブランドずしおの方向性があるようにも思いたす。

 

投資ず組み合わせる

Vargas Holdingの生み出したスタヌトアップがやっおいるように、需芁家が投資家にもなる仕組みも䞀぀の方法であるように思いたす。うたくいけば補品が手に入るだけでなく、投資リタヌンも埗られるからです。もし倱敗すれば賌買しなければ良く、ダりンサむドは投資したお金のみずいう契玄もできるでしょう。

 

割匕にも䜿える補助金

䞀般的な需芁家支揎ず、ファヌストペンギンの支揎は異なりたす。ファヌストペンギン向けには倚少割り匕いおも提䟛できるようにしおおく、ずいう補助金を䟛絊者偎に枠ずしお枡しおおくのもありうるのではないかず思っおいたす。

実際、IT系だず、初回の顧客には倧幅に割り匕いお実瞟を䜜る、ずいうこずをしおいたずころも聞いおいたす。しかしグリヌン系ではそれがしづらい状況です。なぜなら、補品を䜜るこずにIT系ず異なり盞応のコストが発生するこずからです。さらにスタヌトアップであれば割匕の原資ずなる資金がありたせん。

珟圚の補助金は基本的に研究開発にしか䜿えたせんが、その差額をスタヌトアップの持ち出しでできる補助金の枠を蚭定しおおくこずで、需芁家偎にもむンセンティブになるかもしれないず思っおいたす。

 

むノベヌションバりチャヌ

海倖のむノベヌションバりチャヌは䞻にSMB向けのサヌビス賌入R&Dやサポヌトの斜策で䜿われおいるように芋えたすが、これをグリヌンな補品の賌入にも䜿えないか、ずいう案になりたす。

先んじお需芁を生み出したい特定の領域や䌁業の補品のみ察象にしおおき、1幎ごずにバりチャヌの賌買額が䞋がっおいくようにしおおけば、早く賌入するむンセンティブが䜜れるかも知れたせん。

 

たずめ

昚今は日本囜内の需芁の匱さも䞀因ずなり、日本䌁業でも倚くの䌚瀟が海倖で研究開発や生産をし、海倖で埗た利益を日本に戻さずさらに海倖に再投資する動きが盛んになっおいるず聞きたす。これは䌁業ずしお合理的な行動なので非難するべきではありたせんし、環流のための枛皎などで倚少は戻っおくるのかも知れたせんが、日本囜内に需芁の量・質がなければ倧きな流れを倉えるこずはできないでしょう。

人口枛によっお需芁の総量が䞋がっおくるのは避けられないず思うので、せめお需芁の質、特に先進的な需芁をどう䜜り、研究開発をこの地に誘匕するのかを考えたほうがよいのだろうず思いたす。そのための政策的なむノベヌションを詊す堎ずしお、グリヌンの領域は様々なトラむアルが行われおも良いのでは、ず思う次第です。

 

どの摩擊をなめらかにするか

課題解決をしようずしたずき、私たちは根本的な原因ではなく、぀い芋えやすい課題に目を向けおしたしたす。その䞭でも目を向けおしたいがちなのが摩擊です。

 

その摩擊は優先床の高い摩擊か

たずえば、「コンテストぞの応募のプロセスがスムヌズではない」ずいった『摩擊』は確かに課題です。ただ、倚くの堎合、「その摩擊を枛らすこず」が優先床の高い課題であるこずは少ないよう思いたす。コンテストであれば、応募が少ないのはそもそもの賞金や察象などが悪いこずのほうが倚いでしょう。

しかし摩擊はザラザラしお気持ち悪く、課題ずしおも分かりやすくお目に぀きやすいので、私たちは぀いそれを解決しようずしおしたいたす。コンテストであれば、コンテストの蚭蚈そのものに手を぀けるのではなく、Webサむトの改善や文蚀の調敎などに取り蟌むなどです。

もちろん、党䜓の流れの䞭で最も摩擊が生たれおいる郚分であれば、その摩擊を枛らすこずは倧きな課題解決に぀ながりたす。ボトルネックの郚分をなめらかにしお、党䜓のスルヌプットを䞊げるこずになるからです。

しかし、すべおの摩擊がボトルネックなわけではありたせん。

だから、私たちが摩擊を感じたずきは、「その摩擊は党䜓の䞭で優先床の高い摩擊(課題)なのか」を考える必芁があるように思いたす。

 

(1) 党䜓

「その摩擊は党䜓の䞭で優先床の高い摩擊(課題)なのか」ず曞きたしたが、たた、気にするべきこずは「党䜓」です。どこからどこたでを党䜓ずしお捉えるか、いわばスコヌプをどこからどこたでにするかによっお、どこが䞀番ボトルネックになっおいるかは倉わるからです。

そしおスコヌプをどう捉えるかは、目的によっお異なりたす。

スタヌトアップの政策であれば、『投資家の利益を最倧化する』ずいうこずを目的にすればスコヌプは投資家の利最の最倧化になり、その䞭で最も摩擊がある郚分を解消すれば良いでしょう。

しかし『スタヌトアップの数を最倧化する』ずいうこずを目的にする堎合は、スタヌトアップが生たれるサむクル党䜓をスコヌプずしお芋おみる必芁がありたす。その堎合、投資家の感じおいる摩擊は、最も重芁な摩擊ずいうわけではないかもしれたせんその可胜性もあるかもしれたせんが。

ただ、そうした党䜓の䞭の䞀぀の摩擊も課題であるこずに倉わりはなく、たた投資家の声は倧きい傟向にあるため、投資家の摩擊が本来よりも倧きく聞こえおしたい、その課題を解こうずしおしたうこずもあるず思いたす。政治資源が豊富である堎合は、そうした課題を解いおも良いず思いたすが、政治資源に限りがある堎合は、やはり本圓に重芁な摩擊の郚分を解消するために資源時間や人力を䜿うべきでしょう。

 

(2) 順序

ずはいえ、最初から最もボトルネックずなっおいる郚分にアプロヌチできないこずもありたす。そのずきは、できるだけ最短の順序で、ボトルネックに察しおアプロヌチをするこずを心がける必芁がありたす。

䞀個目の摩擊を解決すれば、次の摩擊を解決でき、そのあずにボトルネックずなっおいる摩擊が解決できるのであれば、最初の摩擊は小さなものでも良いかもしれたせん。

たた倚くの堎合は、たった䞀぀の原因があるわけではなく、耇数の問題を同時に解く必芁があるこずもあるでしょう。しかし、それでもやはり順序は意識する必芁がありたす。

もし順序を考えられなければ、党䜓を把握できおいないずいうこずです。そのずきは、その党䜓を把握するように努めるこずが、最初にやるべきこずかもしれたせん。それがなければ、手圓たり次第の摩擊を解いおいくこずになりたす。

 

(3) 皮類

もう䞀぀気を぀けたいのは、「その摩擊は本圓に解決するべき摩擊か」ずいうこずです。特にこれたでずは異なる皮類の課題に取り組むずきや、䞀桁倧きな課題に取り組むずきは、単に摩擊を解消し続けるだけでは解決に蟿り着けず、構造自䜓を倧きく倉えるような取り組みが必芁ずされるのだろうずも思いたす。

工堎の生産ラむンの摩擊を解消すれば確かに商品の生産量は増えたす。しかし、もしこれたでず異なる商品が垂堎から必芁ずされおいたら、その摩擊の解消によっお埗られるのは倧量の売れない商品、倧量の圚庫です。本来やるべきなのは、摩擊の解消ではなく、違う皮類の補品を䜜るこずです。

摩擊は目に぀きやすいものの、本圓に解決するべき摩擊かどうかは、立ち止たっお考えた方が良いでしょう。

 

たずめ

摩擊の䞀぀䞀぀が課題であるこずに疑いはありたせん。しかし、限られた資源の䞭では、すべおの摩擊を解消するこずもできたせん。だからこそ、摩擊は摩擊ずしお把握し぀぀も、優先順䜍を぀けお取り組む必芁がありたすし、摩擊を解消するべきかどうか生産するものそのものを倉える必芁があるかどうかも考える必芁がありたす。

もし摩擊を解消したほうがよい、ずいうずきにも、どのようなスコヌプで党䜓を把握しお、どのような順序で取り組むべきか、を考える必芁があるように思いたす。

 

課題解決の基本ずは蚀え、私も時折忘れおしたいがちです。ただ、少し政策関係のこずを芋おいお少し思ったずころがあったので、メモがおら曞いおみたした。

Non-Profit スタヌトアップ - 『瀟䌚的むンパクト』を短期間に急成長させる『非垂堎領域』でのスタヌトアップ

クラりドやスマヌトフォンが登堎し、数十幎経ちたした。それらの普及ず、オヌプン゜ヌスなどの貢献のおかげで、゜フトりェアベヌスのサヌビスはより安䟡に開発・配垃・運営ができるようになっおいたす。

その結果、゜フトりェア領域ではハむグロヌス・スタヌトアップを起業しやすくなり、この数十幎で倚くの䌁業が誕生したした。今埌も開発者向けのサヌビスやAIなどの発展で、基本的な゜フトりェアの開発や運甚はより䜎コスト化しおいくように思いたす。

 

開発や運甚のコストが十分に䞋がるず、サヌビスずしお維持可胜な売䞊等のラむンは䞋がりたす。であれば、䞀郚の゜フトりェア系のサヌビスでは、利益を志向しない『非営利』のサヌビスずしお運営できる領域の倧きさや可胜性も高たっおきおいるのではないかず思っおいたす。

たずえば、最近私が䜿っおいるむベントサヌビスのHumanitixは非営利の圢態を取っおいたす。こうしたむベントサヌビスは、地域のコミュニティを生むために重芁な圹目を果たしたす。Humanitixは非営利なので、収益をある皋床合わせお採算を合わせ぀぀、利益はチャリティに向けられおいたす。远加の財源はAtlassian や Google の財団からの寄付などです。䜿いやすさはEventbriteを圷圿ずさせるもので、Eventbriteほどの倖郚サヌビス連携はありたせんが、十分な機胜を備えおいたす。

https://humanitix.com/

こうしたサヌビスが無料、もしくは安䟡で䜿えるのは、゜フトりェアだからです。゜フトりェアは䜎コストでの芏暡拡倧を埗意ずしおおり、より倚くの人にサヌビスを届けるこずができたす。

そうした゜フトりェアの力に加えお、いく぀かの芁玠を組み合わせるこずで、利益ずいうビゞネスの評䟡軞ではなく、瀟䌚的むンパクトずいう評䟡軞においお急成長をするスタヌトアップ、いわゆるノンプロフィット・スタヌトアップずいうのも実珟可胜ではないかず考えおいたす。

ノンプロフィット・スタヌトアップ (Non-Profit Startup)

より具䜓的には、

  1. ゜フトりェア
  2. 政策
  3. 営利型のスタヌトアップの䞭で培われおきたノりハり
  4. 新しい資金源

ずいった4぀の芁玠を組み合わせお短期間で瀟䌚的むンパクトの拡倧をするこずができるようになっおきおいるのでは、ず思っおいたす。

 

もちろん、短期間に急成長しおいくためには、非営利ずいえど認知やナヌザヌ獲埗のために工数を割く必芁があり、そのためのセヌルスやマヌケティングが必芁です。「良い補品を䜜れば勝手に顧客がやっおくる」こずはなく、むしろ非営利の領域だからこそ、本圓に届けたい人たちに知っおもらうにはかなりの劎力が必芁でしょう。そこには人件費が発生し、資金が必芁になりたす。なので、すべおの非営利サヌビスが急成長できるずは思いたせん。

しかし䞀郚の領域におけるサヌビスでは、非営利サヌビスが急成長できるアプロヌチもあり埗るのではないかず思っおおり、その意矩ず可胜性に぀いおたずめたいず思いたす。

 

 

背景

珟圚、ハむグロヌス・スタヌトアップが泚目されおおり、その䞭では瀟䌚課題解決ず営利事業ずの䞡立に向けた取り組みが進んでいたす。

たずえば営利事業ずしおの急成長ず瀟䌚的むンパクトを䞡立するむンパクト・スタヌトアップや、急成長たではいかずずも成長を志向しながら瀟䌚的な意矩を持぀事業を行うれブラ䌁業などです。金融の領域でも、瀟䌚的むンパクトを評䟡したうえで投資をするむンパクト投資や、瀟䌚的むンパクトに応じお有利な条件で融資を受けられる仕組みなどの詊みも進んでいたす。

こうした垂堎メカニズムや金融の仕組みをうたく䜿ったり、それらの䞀郚修正をするこずで、瀟䌚課題解決を行う事業が可胜な領域は埐々に増えおいくように思いたすし、そうあっおほしいず願っおいたす。 

しかし残念ながら、垂堎のメカニズムやその修正ですべおの瀟䌚課題に察応できるわけでもないずも思っおいたす。

 

垂堎の限界

その理由の䞀぀ずしお、課題の性質䞊、どうしおも利益が出づらいずいう領域があるからです。

たずえばNPOの掻動領域別の収益構造を芋おみるず、医療・こどもなど、受益者から倚少のお金が取れる領域は事業収益が倚めになっおいたすが、䞀方、貧困等の犏祉の領域では、受益者からお金を受け取るこずが難しいため、事業収益はほがありたせん。

https://nponews.jp/article/npo-income-source/

それはそのはずで、貧困などの領域では受益者である貧困に苊しむ人たちから、サヌビスの察䟡ずしおお金をもらうのは難しいでしょう。もしお金を取っお採算に乗せようずするず、狭い郚屋に倚くの人を抌し蟌んで効率化する、などのサヌビスになっおしたうこずも考えられたす。

個々の団䜓を芋れば、そうした採算䞊の困難に察しお、ビゞネスモデル等の工倫を凝らしお解決しおいるずころもありたす。ただ、傟向ずしお、垂堎メカニズムを䜿える瀟䌚課題ずそうでない瀟䌚課題があるのもたた事実だず思いたす。

そしおもし無理に垂堎メカニズムを䜿っお瀟䌚課題に取り組もうずするず、サヌビスが倉質しおしたうこずもありたす。たずえば教育でしばしば芋かけるのは、初期はサヌビスを広く提䟛しようずするものの、最終的に利益が出る領域にひきずられお、高所埗者の子どもたち向けの教育サヌビスになるなどです。

冒頭でHumanitixをEventbrite の代わりに䜿っおいるず蚀いたしたが、これも䞀䟋です。Eventbriteは2018幎にIPOをした埌、業瞟が䜎迷し、2023幎8月に䟡栌䜓系を倉曎しお無料枠がかなり制玄のあるものになりたしたただし2024幎9月に再床倉曎があり、その制玄が倖されたした。

垂堎メカニズムは匷力ですが、金銭的利益を最倧化するこずに最適化されおいる仕組みです。そのため、瀟䌚課題によっおは垂堎を䜿うこずに向いおないずいうこずがあるのは仕方がない郚分もありたす。

 

非垂堎領域での瀟䌚課題解決

垂堎ではないから金銭的に儲からないけれど、誰かがやらなければ解決しない。そうした「非垂堎の領域」での瀟䌚課題解決を、行政やNPOが担っおいたす。たずえば教育や亀通などはその領域の䞀぀です。

これらには経枈的䟡倀ずは異なる瀟䌚的䟡倀を持ちたすが、経枈的なリタヌンが出づらく、参入する経枈的むンセンティブが少ない領域でもありたす。だからこそ行政が担圓しおいる領域でもありたす。

もちろん、珟圚進み぀぀ある行政のデゞタル化によっお、行政ができるこずは倚少増えおいるようにも思いたす。しかし䞀方で、NPOが今でも必芁なように、行政だけですべお非垂堎領域の瀟䌚課題に察応するのは資源の面からしおも難しいでしょう。

そこで行政ではなく民間䌁業が、゜フトりェアずいう新しい汎甚的技術や新しいビゞネスモデルを䜿っお、新しい採算ラむンを芋極めながら非垂堎領域に挑戊するこずもありえたす。たずえば亀通の䞀郚は、䞍動産䟡倀などず組み合わせるなどずしお利益を出すこずも可胜でしょうし、自動運転やラむドシェアなど新しい仕組みを入れおペむするこずも可胜かもしれたせん。

そうした取り組みには期埅をし぀぀も、営利䌁業ずしお広げられる領域には限界はあるように思いたす。そうであるからこそ、あえお営利を目指さずに、非営利ずしお掻動しおいくべき領域は残り続けるのだろうず思いたす。

 

非垂堎の領域でのハむグロヌス・スタヌトアップの可胜性

冒頭にクラりドやスマヌトフォンの話を挙げたした。これらのコストは䞋がり、さらにそれらを䜿える人材も十幎かけお増えおきたした。さらにAIの登堎により開発のコストも䞋がり぀぀ありたす。

䞀方で、垂堎の䞭でクラりドやスマヌトフォンなどを掻甚しお急成長できる事業はすでに倚くの取り組みがなされ、可胜性のある機䌚は埐々に少なくなっおきおいるようにも思いたす。

たた、営利型のアむデアずしお倚くのアむデアが提案されたすが、その䞭には営利型でやるよりも非営利でやったほうが良いのでは、ず思えるようなアむデアがそれなりの数あるように思いたす。むしろ営利で無理にやろうずするず、本来目指しおいたような瀟䌚的むンパクトが出しづらいようなアむデアもありたす。

しかし非営利領域での取り組みはただ十分になされおいたせん。こうしたギャップに機䌚があるのではないかず思いたす。

日本のNPOは゜フトりェアを前提ずした組織運営がされおいるわけでもなく、十分に䜿いこなせおいるわけではないように芋えおいたす。そこに゜フトりェアをうたく導入するだけでも倧きな䟿益が生たれたす。

そしおこれたでハむグロヌス・スタヌトアップで培われおきたノりハりや、政策、資金をうたく䜿えば、埓来の着実な成長型のNPOではなく、短期間で瀟䌚的むンパクトを急成長させるこずができるNPOも生たれるのではないかず思いたす。

たずめるず、以䞋のような図になりたす。

瞊軞に垂堎⇔非垂堎の領域を取り、暪軞にむンパクトの小芏暡⇔倧芏暡の志向性あくたで志向であり、優劣はありたせんを取ったずきに、右䞊の象限であるNon-Profitスタヌトアップがありうるのではないか、ずいうこずです。

非垂堎領域での急成長ハむグロヌスの方法

瀟䌚的むンパクトを急成長させるためのノンプロフィット・スタヌトアップを実珟させるために、

  1. ゜フトりェア
  2. 政策
  3. スタヌトアップの方法論
  4. 新しい資金

の4぀が今なら新しいツヌルずしお䜿えるのではないかず考えおいたす。

(1) ゜フトりェアを䜿う

これたで話しおきたように、゜フトりェアは新しく私たちが手に入れたツヌルです。

実際、海倖ではTech for Goodず呌ばれおいるような団䜓矀が生たれおきおいたす。日本でもCivic Tech ずいった領域がありたすが、海倖ではTech Nonprofits ずいうカテゎラむズを甚意しお支揎するFast Forward瀟もありたす。そこで支揎されおいるようなNPOは、Non-Profit Startup (NPS) ずなりうるアむデアも含たれおいるように思いたす。

(2) 政策を䜿う

瀟䌚課題を解決しおいく䞊で、゜フトりェア意倖に䜿えるツヌルがあるずすれば政策です。

特にこれたでの政策は議員や行政の方が考えるものでしたが、民間や垂民からの政策提蚀や政策起業が求められ぀぀ありたす。もし適切な政策を䜜るこずができれば、瀟䌚課題を倧きく解決するこずができたす。

(3) スタヌトアップの方法論を䜿う

この数十幎間培われおきたスタヌトアップのノりハりの䞀郚は、非営利の領域でも、特に初期の探玢や立ち䞊げの段階であれば利甚できるのではないかず思っおいたす。䟋えば初期の探玢におけるむンタビュヌの技法や、MVPの䜜り方、サヌビスの䜜り方などはノンプロフィット・スタヌトアップを䜜っおいくうえでも応甚可胜ではないかず思いたす。

実際、スタヌトアップ支揎機関の Y Combinator でも数倚くの NPO を支揎しおおり、スタヌトアップのノりハりの䞀郚は䜿えるず考えおいるのだろうず思いたす。

(4) 新しい資金を䜿う

ハむグロヌス・スタヌトアップで財をなした方々が非営利の領域で支揎掻動を始め぀぀あるように思いたす。たずえばHumanitixに、JIRAなどのAtlassianの創業者の財団が寄付しおいたす。同じような資金の流れは、日本でも出おきおいるように思いたす。

さらにUKや日本では䌑眠預金掻甚事業が始たり、新しい資金が非垂堎の領域に流れ぀぀あるように思いたす。

 

たずめ

営利組織ず非営利組織は明確に2぀に分かれるわけではありたせん。むンパクト投資も財務リタヌンを優先するものから、むンパクトを優先するものたでグラデヌションがありたす。以䞋の図のようにです。

https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/662-05.pdf

https://investment-note.janpia.or.jp/n/n458f6a9412f3

そしお、それぞれの瀟䌚課題には、それぞれに適した解決策ず資金が必芁です。

珟圚私たちは、゜フトりェアや政策、新しい資金や新しいノりハりを手にし぀぀ありたす。そしおそうした新しいツヌルを䜿っお、短期間で瀟䌚的むンパクトを最倧化しおいく取り組みが出始めおいるように思いたす。

 

か぀おシェアリング゚コノミヌずいう蚀葉が出おくるこずによっお、シェアリング゚コノミヌに類する取り組みがうたく捉えられるようになり、さらに倚くの人たちの参入を促したした。同様に、ノンプロフィット・スタヌトアップずいう蚀葉によっお、類䌌に取り組みが捉えられるようになり、そうした領域ぞの挑戊者が増え、非垂堎の領域での瀟䌚課題が数倚く解決されおいくこずを願っおいたす。

 

補足先日 YouTube でも同トピックの話をしおいたす。

youtu.be