🐴 (馬)

Takaaki Umada / 馬田隆明

アントレプレナーシップ教育

アントレプレナーシップ教育に関わる教職員の方に読んでほしい論文・レポート5選

日本全体でスタートアップに対しての注目が高まるとともに、アントレプレナーシップ『教育』にも注目が集まるようになりました。その結果、様々なバックグラウンドを持つ人たちがアントレプレナーシップ教育に関わり始めています。 アントレプレナーシップ教…

「○○がないからできない」から「○○があればできる」へ: 起業家的リソースフルネス

スタートアップの起業家に特有の考え方を一つ取り上げるとすると、『資源に対する特殊な態度やスキル』が挙げられるように思います。 本記事ではその態度やスキルを『起業家的リソースフルネス』としてまとめて紹介します。 資源の活用 起業家は資源(人、も…

人類や国の課題を1%解く

世界や日本には大きな課題がいくつかあります。そうした大きな課題を大きく解くことができれば、つまり世界や社会の課題に大きく貢献する事業を作ることができれば、金銭的な見返りを得ることができます。 Bill Gates らの Breakthrough Energy Summit に参…

若い起業家の志は低くなったのか?

「起業を志す若者の志が小さくなった」などと言われこともあるようですが、個人的にはこの10年でそこまで変わってないのでは、と感じています。 むしろ、少し前の時期に特殊な環境が揃っていて、志が高くなくても大きな勝負ができていたのでは、というのが個…

埋め込まれたアントレプレナーシップ教育

これまでの小中学校におけるアントレプレナーシップ教育の展開計画では、いくつかの課題がありました。たとえば以下のような課題です。 既存の授業科目とは「別」のコマを用意することが想定されており、学校や教師の負担となっている(ただでさえ、外国語や…

学生にとっての「社会」と「社会課題の解決」

「社会」という言葉はもともと日本語にあった言葉ではなく、society という言葉の翻訳のために、明治時代に新しく作られた造語だそうです。 この society という言葉には意味が大きく2つあり、 狭い範囲の人間関係 (例: 仲間、友人、組、会) 広い範囲の人…

地方でのスタートアップ振興が陥りがちな罠

三つの罠 (罠1)地方都市がスタートアップを生み、やがて中心地に取られる (罠2)東京のコンサルへの依頼が生み出す、画一的な実行計画で全体が疲弊する (罠3)補助金や支援によってエコシステムが滞留する 罠から脱却するために 対策 (1) 地域の産業に関…

起業を増やすためにもリカレント教育の推進を

個人の学びと同時に、人のつながりを作るための学校という場 長い時間を過ごすコミュニティとしての学校 研修や生涯学習ではなく、フルタイムのリカレント教育 高度な人材育成と高度な産業の育成の両輪を回し始めるためのリカレント教育 Climate Tech のスタ…

アントレプレナーシップ「教育」の研究

アントレプレナーシップに関する研究は様々な大学で行われています。 起業家個人の特性、どういった起業家が成功しやすいのか、スタートアップがもたらす経済効果など、経営学や経済学、あるいは心理学や社会的ネットワークといった分野から、アントレプレナ…

アントレプレナーシップ教育こそ「教える」から「学ぶ」への転換を

「教授パラダイムから学習パラダイムへ」と言われて約30年ほど経ちました。 この二つを簡潔に説明している文章を以下に引用してみます。 教授パラダイムは「教員から生徒へ」「知識は教員から伝達されるもの」を特徴とし、学習パラダイムは、「学習は生徒中…

アントレプレナーシップの「授業の限界」と授業が担うべき役割

「授業で人生が変わった」「授業を受けたからキャリアを変えた」という人はそう多くいません。 たとえば起業に限って言えば、あのスタンフォード大学のアントレプレナーシップの授業ですら、起業家を増やす効果は確認されていません。 それに授業を受けるだ…

起業家「予備軍」を増やす

起業家の不足がスタートアップエコシステムの課題である、という記事 を以前書きました。 この「起業家の数」に関連してしばしば指摘される点として、 「日本は起業予備軍の起業活動の水準は高いが、そもそもの起業予備軍が少ない」 というものがあります。 …

アントレプレナーシップに関する実践的なコミュニティの重要性

「ロールモデルとしての起業家が学校に行けば、起業を目指す人が劇的に増える」 というと正しいようにも聞こえますが、 「ロールモデルとしての伝統芸能の人が学校に行けば、伝統芸能を目指す人が劇的に増える」 というと、正しいようには聞こえません。 し…

起業家教育とロールモデル

「起業家のロールモデルを提示することで、起業家が増える」 そう考えている人はそれなりの数いるようです。その結果、 「起業家を増やすために、起業家を学校で講演させる」 という政策が提案されるようです。 しかし実際には、単にロールモデルを提示すれ…

キャリア教育としてのアントレプレナーシップ教育

様々な研究で指摘されていることとして、起業家のキャリアを選ぶかどうかの影響が大きな一つの要素は、親が起業家かどうかです。親が起業家であると、子供が起業家になる確率が 1.3 から 3.0 倍高まると言われています(下記研究の冒頭を参照)。 興味深い研…

「狭義」と「広義」のアントレプレナーシップ教育

アントレプレナーシップ教育には「狭義」と「広義」のアントレプレナーシップ教育があります。 端的に言えば、狭義は起業のための教育、広義は起業以外を含む起業家的な資質・能力を涵養するための教育です。 OECD のアントレプレナーシップ教育に関するレポ…

アントレプレナーシップと『起業家性』、アントレプレナーシップ教育で涵養するべき資質・能力

アントレプレナーシップは、起業家精神や企業家精神と訳されることが多い言葉です。 その「精神」という語感から、アントレプレナーシップ教育とは「起業家の持っているような精神やマインドセットを育てる教育」なのだと思われる人もいるようです。そのため…

起業家の不足: 2022年の日本のスタートアップエコシステムの課題

2022年現在、日本のスタートアップエコシステムにはたくさんの改善点があるとされています。たとえば経団連が2022年にまとめたスタートアップ躍進ビジョンには、2022年時点での課題がいくつも挙げられています。 ただ、この5年を見てみると様々な制度や環境…

ビジネス起業家、社会起業家、企業内起業家、政策起業家、市民起業家……様々な〇〇起業家が求められる時代におけるアントレプレナーシップ教育

「〇〇起業家」と呼ばれる人たち、英語だと「〇〇 entrepreneur」という言葉が増えてきています。 例えば以下のような「〇〇起業家」という言葉があります。 (商業)起業家 ―― 商売としての事業を起業する人たちです。一般的に起業家といえば、この人たちを…

なぜアントレプレナーシップ教育が大事か、これから何を変えるべきか (2022 年版)

筆者はこれまで数年間、東京大学でアントレプレナーシップ教育に携わってきました。そんな中、特にこの 1, 2 年で、アントレプレナーシップ教育に関する注目度は急激に増してきていると感じています。 現在の岸田政権がスタートアップを一つの重点投資分野に…

起業家を増やすために、教育や教育機関ができること

スタートアップが経済成長の要の一つだと目されている中、起業家を増やすことについても注目が集まっているように思います。そうした文脈の中で、特に教育機関からの観点で意見を聞かれることも増えました。 そこで今、起業家を増やすために教育や教育機関が…

教育や政策に役立つ、アントレプレナーシップ教育の研究からの洞察 (2022 年版)

起業家教育やアントレプレナーシップ教育について日本でも注目が集まってきています。 アントレプレナーシップ教育については、この十年様々な研究が蓄積されてきており、効果なども定量的に示され始めています。注目が集まっているのは良いことですが、そう…

2022 年 4 月の経済諮問会議での小中高等へのアントレプレナーシップ教育の拡大方策について

2022年4月27日に開催された経済諮問会議で、小中高でのアントレプレナーシップ教育の拡大方策に言及されていました。 産業の振興を目的に、起業家を増やしたいと思うのであれば、若年層へのアントレプレナーシップ教育は一定の効果があるように思います。 た…

起業支援活動のマッピング

異なる大学間でアントレプレナーシップ教育や起業家向け教育(研修)、起業支援について語るとき、それぞれの大学での支援対象や目的が異なっているため、互いの活動を整理してから議論した方が良さそうだなと感じています。 そのときに、以下のような二つの…

岸田政権のスタートアップ政策への期待

総裁選での「日本の成長産業は?」という質問に対し、岸田首相はフリップで「スタートアップ」という回答をしました。「新しい資本主義」の中でもスタートアップへの期待がかかっているのではと思うので、個人的な意見を書いておきます。 私個人は再分配を意…

起業家教育と起業家トレーニングの違い

起業家教育といってもその内実は様々です。いくつかの文献[1][2]では、起業家教育 (Entrepreneurial Education) と起業家トレーニング/研修 (Entrepreneurial Training) を峻別しています。 起業家トレーニング/研修は特定の活動のパフォーマンスを上げるも…

起業の四つの類型

起業家教育に注目が集まっていますが、起業と言ってもどのような事業を指すのかは様々です。最低限生きていくための事業をするためのやむを得ない起業もあれば、リスクを取って急成長をするようなスタートアップ的な事業のための起業もあるでしょう。 しかし…

1万人のアントレプレナーシップ教育

2030年ごろにどのような能力が必要であるか(そしてそれに向けてどのような教育をするべきか)をまとめている OECD の Education 2030、そのコンセプトノートではキーとなる三つのコンピテンシーとして「新たな価値を創造する力」「対立やジレンマを克服する…

起業家教育に関して

機械に職を奪われないようにするためには、ウォータープルーフ(防水)ではなく「ロボットプルーフ」が必要だ、という Northeastern University の学長による書籍が最近翻訳されました。そしてそのロボットプルーフとなる4つのスキルの中の一つに、「アント…