🐎 (銬)

Takaaki Umada / 銬田隆明

未来の䞖界に必芁なものを䜜れ

か぀おのシリコンバレヌでは、

人が欲しがるものを䜜れ
Make Something People Want

ずいう Y Combintor のモットヌを合蚀葉に、若きハッカヌ達が次々ず時代を画する゜フトりェアサヌビスを生み出しおきたした。

しかし、゜フトりェア領域でも倧䌁業の存圚感が匷くなり、スタヌトアップの波が萜ち着きを芋せる䞭、「次のトレンドが芋えない」ずいった声や、先茩起業家が「自分が今若者だったら䜕をするか分からない」ず口にするのをしばしば芋聞きしたす。起業家の䞭でも、スタヌトアップではなく、スモヌルビゞネスでの起業やサヌチファンドでの承継を遞択する流れが起こり぀぀もあるようです。

 

そんな状況を受けお、スタヌトアップには「人が欲しがるものを䜜れ」に代わる新たなモットヌが必芁のように思いたす。特に日本でその必芁は倧きいのではずも感じおいたす。

そこで、その新しいモットヌずしお、

未来の䞖界に必芁なものを䜜れ
Make Something the Future World Needs

ずいう蚀葉を考えおいたす。

なぜ今、このモットヌが必芁なのか、スタヌトアップの歎史を振り返り぀぀考えおみたす。

 

※ なお、最初に泚蚘をしおおくず、本皿に同意しおくれるのはおそらく少数の人でしょうし、批刀もあるず思いたす。しかしそれでも今、同じ思いを持぀仲間を探したいず思っお曞いおいたす。

2010幎代、「人が欲しがるものを䜜る」こずが正解だった時代

本皿で扱いたいスタヌトアップは、短期間での急成長を䌁図する䌁業です。誀解がなされないよう、短期間での急成長を狙う起業のこずを明瀺的に「ハむグロヌス・スタヌトアップ」ず呌びたいず思いたす。

 

Paul Graham は「スタヌトアップ = 成長」ずいう蚘事を曞いおいたすが、その蚘事の䞭で、急成長の条件ずしお、

倚くの人々が欲しがるものを䜜る
それらの人々すべおにサヌビスを提䟛する

の2぀を挙げたした。

 

2010幎代は、たさにこの「Make Something People Want」のモットヌだけを考えおおけばよかった時代だったように思いたす。

 

たず、起業の領域がこのモットヌに合っおいたした。

1぀目の条件を考えおみたしょう。「倚くの人々が欲しがるものを䜜る」は理髪店などであれば満たしやすいものです。ほがすべおの人が散髪を欲しがっおいるからです。しかしそれではハむグロヌス・スタヌトアップにはなりたせん。なぜなら、2぀目の条件である「それらの人々すべおにサヌビスを提䟛する」が、理髪店では満たしづらいからです。

䞀方 2 ぀目の条件は゜フトりェアが埗意ずするこずです。コピヌや配垃がしやすいずいう特城を持぀からです。

だからもし゜フトりェアの領域で起業しおハむグロヌス・スタヌトアップを䜜りたいのなら、条件の「倚くの人々が欲しがるものを䜜れるかどうか」が倧きなカギずなっおいたした。もしそのこれを成し遂げるこずができれば、ハむグロヌス・スタヌトアップずしお急成長をするこずができたす。

 

この20幎ほど、起業領域は基本的に゜フトりェアを前提ずしたものであり、そのため、倚くの人々が欲しがるものを䜜るこずを意識しおいれば、ハむグロヌス・スタヌトアップを立ち䞊げるこずができたした。

垂堎は急速に拡倧しおいたしたし、初期投資やマヌケティングのコストも䜎くなっおいる時期でした。同時期、リヌンスタヌトアップやデザむン思考などで、「人が欲しがるものを䜜る」方法論も定匏化されおいきたす。その結果、゚コシステム党䜓ずしおも、起業の数が増えれば、それなりに高い確率でハむグロヌス・スタヌトアップが生たれおきた時代でした。

しかし時代は倉わり、2010幎代の隆盛期を経お、この方皋匏にはいく぀かの限界ず課題が芋えおきおいるように思いたす。

 

Make Something People Want だけでは足りない理由

課題1小さな事業に陥りがち

゜フトりェアの垂堎で、簡単に手を出せる領域での機䌚が埐々に枛り぀぀ありたす。

これたでの゜フトりェア領域での起業であれば、垂堎ずずもに遞んだ課題が倧きくなっおいくこずもあったでしょうが、そうしたこずが少なくなっおいくず、最初に小さな課題を遞んでしたった堎合、小さな課題にずどたり、最適化しすぎおしたうこずがありたす。

リヌンスタヌトアップやデザむン思考も、「人が欲しがるものを䜜る」ための方法論は教えおくれたすが、それが倧きな事業になるかどうかに぀いおは教えおくれたせん。リヌンスタヌトアップの方法論を正しく実践できおも、課題遞びを倱敗するず、小さな事業になっおしたいたす。

実際、䞀時代前ず異なり、B2Cの領域で倧化けを遂げる䌁業や、目立぀若い起業家は少なくなっおいたす。

䞀方、゜フトりェア領域でも新たに起業するベテランたちは、耇数の補品をほが同時に立ち䞊げる圢での起業などを行い始めおいたす。意識的に課題や事業領域を遞ばなければならず、立ち䞊げ方にも戊略が必芁になっおきおいるのです。

 

課題2: 正解である領域は限定されおいる

Software is eating the world. ず蚀われおいたように、2010 幎代は正に゜フトりェアがあらゆる産業を飲み蟌んだ時代でした。今埌も゜フトりェアは重芁であり続けるず思いたすが、か぀おほど倧きな波が起こっおいるかずいうず、少し萜ち着き始めおいるように芋えおいたす。䞀方、非゜フトりェア領域でのむノベヌションが䞖界から求められおいたすし、倧きなチャンスが眠っおいたす。

しかしそこでは、条件2の「それらの人々すべおにサヌビスを提䟛する」こずは難しかったり、さらに様々なコストを把握したり、適切な戊略が必芁になっおきたす。「人が欲しがるものを䜜る」以倖にも考えなければならないこずは増えおきおいたす。

 

課題3: 「スタヌトアップ」ぞの誀解

最近のスタヌトアップぞの泚目を受けお、急成長を目指さない圢態の起業でも「スタヌトアップ」ず呌ばれるこずが増えおきおいるように思いたす。「〇〇テック」ず呌んで、テクノロゞヌが絡めばスタヌトアップなのだ、ずいうような認識を持っおいる人もいるようです。

起業には様々な類型がありたす。䟋えば過去の蚘事では、4぀の類型を玹介したした。

  1. サバむバル起業 - 生きおいくためのビゞネス
  2. ラむフスタむル起業 - 自由や趣味のための起業。比范的小芏暡で、拡倧はそこたで考えおいない
  3. マネヌゞドグロヌス起業 - 着実な成長を志向
  4. アグレッシブグロヌス起業 – 急激な成長を志向

これらすべお「人が欲しがるものを䜜る」を満たしおいたす。

䞀方で、日本の瀟䌚党䜓ずしお求められ、期埅されおいるのは、次の産業を䜜っおいくようなアグレッシブグロヌス型の起業である、ハむグロヌス・スタヌトアップだず認識しおいたす。

であれば、そうした急成長型の起業を促しおいくようなモットヌがあったほうが良いでしょう。

 

課題4: 「人が欲しいものを䜜る」こずだけを远求する匊害

「人が欲しがるものを䜜る」こずを意識するず、どうしおも芖野狭窄になっおしたいたす。受蚗゜フトりェア開発なども「人が欲しいものを䜜る」こずではありたすが、残念ながらスタヌトアップにはなりづらく、倧きく䞖界を倉えるような補品を䜜るこずは難しいでしょう。

さらに私たちは人の欲しがるものを過床に意識しおしたうず、結果、政治的な分断によっおマネタむズをするようなサヌビスを䜜っおしたうこずもありたす。

本来「人が欲しがるものを䜜る」の前提に、「より良い未来を䜜る」ずいったものがあったはずなのに、そうした芖点が埐々に抜けおいっおしたっおいるように感じおいる䞭で、「人が欲しがるものを䜜る」を掚しすぎるのは匊害もあるように思いたす。

 

課題5: 未来ず理想に関する思玢の瞮小

「空飛ぶ車が欲しかったのに、手に入れたのは140文字だ」ずいう Peter Thiel の蚀葉に賛同する人も倚いのではないかず思いたす。

か぀おのスタヌトアップは、「䞖界を倉える」ずいう、倧きな野望を持っおいるこずが前提ずしおあり、そのうえでビゞネスを䜜ろうずしおいたした。ある意味で無知で傲慢で青臭かったものの、その理想䞻矩的な姿勢こそが、スタヌトアップやむノベヌションの原動力でした。

 

ただ、その姿勢が今薄れ぀぀あるようにも芋えたす。

「䞖界䞭の情報を敎理し、䞖界䞭の人がアクセスできお䜿えるようにする」「新しい通貚を䜜る」「䞖界䞭を぀なげる」ずいった倢を語るこずができおいるでしょうか。本圓に「産業を䜜る」こずを目指せおいるでしょうか。利益以倖の面で、これたでの䞖界ず党く違う䞖界にいざなっおくれるようなワクワクするような取り組みをいく぀聞いたでしょうか。

振り返っおみれば、スタヌトアップの成功を枬る評䟡軞は、「どれだけお金を皌いだか」だけではなく、「どれだけ䞖界を倉えられたか」だったはずです。

しかし今、か぀おシリコンバレヌの人たちが避けおいたような、いわゆる「スヌツ族」のような人たちの存圚感が増しおきおいるのではないでしょうか個人的にはスヌツを着おいおも壮倧な倢を持っおいれば良いのではず思いたすが。起業をしおいる孊生の話を聞いおいおも、お金儲けずいう目的がかなり匷くなっおいる人が倚いように感じおいたす。

 

そうした状況ぞの危機感や反発から、シリコンバレヌを䞭心に効果的加速䞻矩や楜芳的技術䞻矩が出おきおいるのではないかず芋えおいたす。

私自身はこれらの極端な立堎ずは異なる立堎を取りたすが、ただそうした危機感を持っおいるこずや、それらの思想の背景にあるテクノロゞヌぞの信頌ず未来を䜜ろうずいう意思に぀いおは同意する郚分も倚くありたす。

だからこそ、「人が欲しがるものを䜜れ」の前段ずなるようなモットヌが必芁なのではないかず思いたす。

 

珟圚の状況を倉えおいくために

しかしこの10幎、スタヌトアップ゚コシステムは発展し、成熟しおきた䞭で、私たちは「人が欲しがるものを䜜る」こずに最適化されたした。されすぎおしたったず蚀っおも良いかもしれたせん。

この間、取り組むべき課題や芋るべき指暙、ビゞネスモデルの矎しさなど、お金や事業の成長のこずを聞く回数が増えたした。そしお成熟しお定匏化されたがゆえに、リスクを取っお未来の瀟䌚を䜜りに行くような取り組みも、埐々にしづらくなっおいるように思いたす。

スタヌトアップが内包しおいた意味は換骚奪胎が行われ、スタヌトアップが期埅されおいる瀟䌚的機胜も薄たっおいくのであれば、そこにはカりンタヌが必芁だず思っおいたす。それが新しいモットヌを必芁ずする背景ず課題認識です。

 

 

「未来の䞖界に必芁なものを䜜れ」

こうした課題認識から、新しいモットヌずしお、

未来の䞖界に必芁なものを䜜れ
Make Something the Future World Needs

ずいうものを考えたした。

この蚀葉に含たれるキヌワヌドは3぀です。

 

(1) 「䞖界」芏暡の課題解決

ハむグロヌス・スタヌトアップは急成長を䌁図したす。ただし䞀時的な急成長ではなく、䞭長期的な急成長です。そのずき「どこたで成長できるか」ずいう最倧倀を気にしなければなりたせん。小さな垂堎を狙うず、䞀時的に急成長できたずしおもすぐに限界が来おしたうからです。

事業の最倧倀は、どれだけ倧きな課題に取り組んでいるかによっお異なりたす。もしスタヌトアップずしお急成長し続ける事業を䜜りたいのなら、䞖界芏暡の課題を解こうずしなければなりたせん。囜内であったずしおも、少なくずも日本党䜓にかかわる倧きな課題を解く必芁があるでしょう。

その目指しおいる芏暡感を瀺すために、「䞖界」ずいう蚀葉が倧事ではないかず思っおいたす。

なお、「䞖界」ずいう蚀葉が自分の呚囲のこずを指す人もいるず思いたすが、ここでの䞖界ずはあくたでより広い䞖界のこずを指しおいたす。

さらにこの蚀葉は、「䞖界を倉える」ずいった倧それた野望を暗に瀺したす。倧志の重芁性もこの蚀葉からは想起できるのではないかず思いたすし、戊略も最初期から䞖界を目指すものになりたす。

「䞖界に必芁なものを䜜る」のは、倚くのハむグロヌス・スタヌトアップに求められる条件の䞀぀です。

 

(2) 「未来」をタヌゲットにする

「未来」ずいう蚀葉も倧事だず思っおいたす。この理由も぀ありたす。

すでに倧きな課題になっおいお、か぀それが今解決できるのであれば、既存䌁業が埗意ずする分野です。だから、スタヌトアップは、

  • 将来倧きくなる課題
  • 未来であれば解決できる課題

のいずれか、もしくは䞡方を狙いたす。前者であれば、垂堎や文化の倧きな倉化の端緒を぀かむこずが必芁でしょう。埌者であれば、技術の倧きな倉化を぀かむ努力が必芁になりたす。

いずれにせよ、スタヌトアップは時間的なリスクを取るこずで、急成長を䌁図したす。その分、䞍確実性は高くなりたすが、だからこそ既存䌁業は参入をためらいたす。

「未来を生きお欠けおいるものを䜜れ」ずいうのはポヌル・ブックハむトですが、ハむグロヌス・スタヌトアップを目指すのであれば、未来をタヌゲットにしたす。

 

(3) 「必芁な」ものを䜜る

「人が欲しがるものを䜜る」こずを前提にしながら、未来ぞの意志を問うために「必芁なもの」ずいう蚀葉を新しいモットヌずしお提案しおいたす。

これからも「人が欲しがるものを䜜る」の必芁性はさほど倉わらないでしょう。これがなければビゞネスずしお成立しないからです。そうした偎面は必芁です。

ただ䞀方で、「䞖界に必芁なものを䜜る」ずいう倧矩を匷調するほうが、今埌のスタヌトアップを生んでいくうえで重芁ではないかず思いたした。

たた、「未来」ず「欲しいもの」ずするず䞡方ずもふわっずしおしたう可胜性が高くなるので、より切迫感のあるアむデアを考える必芁があるず考え「必芁なもの」ずいう蚀葉を遞択したした。

「この補品は10幎埌の未来にないずおかしい」ず思えるかどうかで、「未来の䞖界に必芁なもの」かどうかはある皋床刀別できたす。そしおその実珟が困難であろうずも、未来に必芁なものは今から䜜るべきだ、ずいう意思を持぀こずにもなるでしょう。

こうした思考を通しお、未来ぞの想像力ず意思を取り戻すこずにも぀ながるのではないかず期埅しおいたす。

 

 

この「䞖界に必芁なものを䜜っおいるのか」ずいう問いに積極的に答えようずするこずで、本来持っおいたスタヌトアップの圹割が改めお匷調でき、そのほかの起業スタむルずもうたく棲み分けられるのではないかず思っおいたす。

 

未来に必芁ずされる事業の萌芜

未来の䞖界が切実に必芁ずしおいるものは沢山ありたす。

それは気候倉動察策かもしれたせん。気候テックClimate Techはその䞀領域です。気候倉動ぞの察策ずなるような事業を䜜るのは䞖界に必芁なこずであり、成功すれば倧きな富を埗るこずができたす。

それは宇宙かもしれたせん。SpaceX をはじめずしたスタヌトアップもすでに出おきおいたす。宇宙にある資源の獲埗や、宇宙を経由した様々な事業ができるようになれば、䞖界はより倚くのこずができるようになるでしょう。遠い未来の話かもしれたせんが、人類が生き残るために宇宙を開拓する必芁もあるかもしれたせん。

それはむンフラかもしれたせん。今の郜垂の圢ができたのは、玄䞀䞖玀前のずころが倚いでしょう。老朜化し寿呜が近くなっおきたむンフラを再構築するタむミングです。

それは安党保障セキュリティかもしれたせん。様々な戊争が起こる䞭で、自囜を守る防衛はもちろんのこず、各瀟はサむバヌセキュリティにも気を付けなければならなくなりたした。さらに経枈安党保障、食糧安党保障、気候安党保障、宇宙安党保障など、様々な分野で私たちの安党を確保するために䜕が必芁なのかが語られ始めおいるこずからも、セキュリティを匷くするこずが必芁ずされおいたす。

それは氎や食料かもしれたせん。日本は人口が枛っおいきたすが、䞖界的には人口はしばらくの間増え続けたす。しかし気候倉動のあおりを受ければ、氎が足りなくなるこずもありたす実際すでに起こっおいたす。氎が足りなくなれば、食糧が足りなくなり、戊争も起こりえたす。それは防がなくおはなりたせん。

それは医療かもしれたせん。倚くの人が長く健康に生きられる䞖界は誰もが埅ち望んでいたす。医療ぞのアクセスを良くするこずや、新しい治療法、新しい薬を確立するこずは䞖界にずっお必芁です。あるいは人工子宮などの発展を支えるこずで、新しいキャリアを提䟛しおいくこずもできるかもしれたせん。

 

ここに挙げた以倖にもただただたくさんのやるべき領域がありたすし、数は少ないものの、いく぀ものスタヌトアップが出おきおいるように思いたす。そうした取り組みをもっず増やしおいかなければなりたせん。

そしおこうした分野での挑戊者を増やすこずは、日本の経枈にずっおも良いこずなのではないかず思いたす。

なぜなら、こうした「未来の䞖界に必芁なものを䜜る」事業によっお、産業の再構築もできるでしょうし、誇りある高付加䟡倀な仕事を生み出すこずにもなりたす。さらに未来ぞず思考が開かれ、未来に垌望を持おるようになるず、日本経枈の停滞感を打砎するダむナミズムを生むのではないかず思いたす。ある意味、そうしたダむナミズムを生み出すのがスタヌトアップの持぀理想䞻矩的な偎面であり、そうした動きこそスタヌトアップに期埅されおいるのではないかず思っおいたす。

 

呌びかけ

Paul Grahamの蚀うように、「ほずんどの人はスタヌトアップを目指すべきではありたせん」。それでもハむグロヌス・スタヌトアップを狙おうずする皀有な人たちは、瀟䌚党䜓にずっおの財産です。

そうした人たちが増えるこずを願っおいたすし、䞀方で、もずもずそうした思いを持っおいた人たちが、呚りから「最初はヒットを狙いに行けばよい」「冷静に珟実的に考えお、䞖界を倉えるのなんお無理だから、たずは自分の財産を増やそう」ずいったアドバむスを受けお、別の起業の圢態に流れおしたわないでほしい、ずも思っおいたす。

誀解があるずいけないので改めお匷調したすが、最初からラむフスタむル起業やマネヌゞドグロヌス起業を目指しおいる人はそうしたほうが良いず思いたすし、それも玠晎らしい遞択だず思いたす。あくたおた理想ず倧志を持っおいた人の倧志を削ぐのは避けよう、ずいう意味です。

 

本来であれば、成功䟋を䜜り、その成功した人がロヌルモデルになっおくれるこずが望たしいでしょうが、残念ながらそうした実䟋がただ囜内から出おきおいない䞭で、今できるこずずいえば、こうしお考えを蚀葉にしお、流れを少しでも倉えおいくこずのように思いたす。

少なくずも、そうするこずで、未来の䞖界を考えおいる人たちを勇気づけるこずに぀ながればず思っおいたす。

そしお、もし「未来の䞖界に必芁なものを䜜りたい」ず思う人がいれば、いく぀かやりたいこずがありたす。

 

①「未来の䞖界に必芁なものを䜜っおいるか」を問おう

この問いで自分のアむデアがハむグロヌス・スタヌトアップなのかどうかをある皋床刀別できるのではないかず思いたす。

もし Yes ず答えるのに躊躇するのであれば、Yes になるたでアむデアを考え続けおみおください。もしくは、それに察する答えを持っおいる人にアむデアを聞いおみるのも䞀぀の方法だず思いたす。

たた支揎偎も、ハむグロヌス・スタヌトアップ支揎を暙抜するなら「未来の䞖界に必芁なものを䜜ろう」ずしおいる䌁業を支揎しおいく、ずいうスタンスを明瀺しおいく必芁があるず感じおいたす。

② 同じ思いの人は集たり、掲げよう

「ビゞネスがしたい」だけではなく、「䞖界に必芁なものを䜜りたい」「理想を匷く持ちたい」ずいう人たちはぜひ集たりたしょう。集たるのが苊手な人も倚いず思いたすが、この声を倧きくしおいかなければ瀟䌚を倉えるこずはできたせんし、䞖の䞭には小さく手堅く人たちの集たりのほうが倚いので、自然な状態でいるず、倚くの人がそうした文化に染たっおしたいたす。

だから本圓に䞖界を倉える、産業を䜜るず思っおいる人は「未来の䞖界に必芁なものを䜜れ」ずいう蚀葉に賛同したり、呚りに問うおくれるず嬉しいです。賛同や問いが広がれば、呚りの興味関心の方向性が少しず぀倉わっおいくはずです。

そしお本圓に䞖界に必芁なものを䜜ろうずしおいる人たちで集たり、その熱意を共有する堎が増えれば、自分の熱意も継続しやすくなるはずです。

③ 未来を語ろう

未来に必芁なものを考えるには、未来に぀いお考えなければなりたせん。そうした堎はただただ日本では少ないず思いたすし、未来を考えるこずは普段しないずいう人も倚いず思うので、ぜひ䞀緒に未来に぀いおの話をさせおください。

 

たずめ

貧困や栌差など、垂堎では解決しづらい課題もあるので、ハむグロヌス・スタヌトアップずいう起業の圢態が䞇胜薬であるずは思っおいたせんし、スモヌルビゞネス等も十分に䟡倀を持぀起業だず思いたす。

しかしそれでも、科孊技術を進歩させ、それらを爆発的に普及させるこずで解決できる課題も倚くあり、そしお早期の解決を埅っおいる倧きな課題も倚くあるず私は信じおいたす。

それを成し遂げるためには、人の意志が必芁です。未来の䞖界に必芁なものを䜜り、「䞖界を救う」のだずいう明確な意志です。

 

これに賛同しおくれる人はそう倚くないのではないかず思いたすし、党おの人に賛同される必芁はないずも思っおいたす。でも、こうした考えに倚少なりずも賛同しおくれる人がいるのであれば、未来の䞖界に必芁なものを䜜っおいこうずいう動きが可芖化できるず良いず思っおいたす。

そうしお未来の䞖界が必芁ずするものを䜜ろうずする意志を持぀皀有な人たちず、次の䞖代のスタヌトアップを䞀緒に生んでいければず思いたす。

Make something the future world needs.

Distinguishing "High-Growth Startups" from the Broadening Definition of "Startups"

As the term "startup" has become more widespread in Japan, it seems to have lost its original meaning and context, which referred to a distinct and specialized form of entrepreneurship that aimed for rapid growth while leveraging technology. Instead, it is now being used to describe entrepreneurship in general.

While the popularization of the term "startup" has positive aspects, it can also hinder appropriate support measures and policy discussions. Therefore, I propose using new terms such as "high-growth startups" to facilitate more precise discussions.

The Meaning of "Startup"

Let's examine some of the English articles that formed the basis for the term "startup."

According to Wikipedia's "Startup Company" article,

"Entrepreneurship includes all new businesses, including self-employment and businesses that never intend to become registered, but startups are new businesses that intend to grow large beyond the solo founder."

This definition distinguishes startups from small businesses.

Furthermore, Wikipedia's "Small Business" article states, "These four concepts overlap, but there are important differences, and the main differences can be summarized as follows":

Self-employment: An organization established primarily to provide income to the founder, i.e., a sole proprietorship.
Entrepreneurship: All new organizations.
Startup: A new organization (with employees) established for growth.
Small business: An organization that is small (in terms of employees or revenue), regardless of whether it intends to grow or not.

However, when looking up the term "startup" in English dictionaries, it is defined as a "newly established business," so using the term "startup" to refer to entrepreneurship in general is not incorrect.

For researchers, it may be necessary to treat all companies within a certain number of years after their establishment as startups, as it is unclear at that stage whether they will remain as small businesses or experience rapid growth. Similarly, policymakers need to draw clear lines when formulating tax policies and other measures.

It is worth noting that the term "startup" gained popularity abroad alongside the dot-com bubble, likely because it was intended to represent a different form of entrepreneurship than what had existed before.

In Japan, despite the existing term "venture company," the term "startup" began to be used with the intention of conveying a different image or aspiration compared to traditional entrepreneurship. The government's renewed focus on promoting "startups" stems from the belief that the emergence of rapidly growing startups will benefit the country. In this context, if the term "startup" becomes synonymous with "entrepreneurship in general" or "companies within a certain number of years after establishment," it may lead to various discrepancies in discussions and policies.

Examples of Confusion When Startup Equals Entrepreneurship in General

For instance, if the government allocates a budget to increase the number of rapidly growing startups with the aim of creating a major industry in a region, but the region understands "startup" to mean "entrepreneurship in general," the resulting policies may end up supporting the opening of restaurants or shared offices instead.

Moreover, for most entrepreneurs, policies related to venture capital (VC) are irrelevant. If people perceive "startup" as "entrepreneurship in general," they may react by saying, "We don't care about VC policies; we want more policies related to loans."

By lumping everything under the term "startup," the alignment with policy objectives becomes unclear.

Furthermore, while expanding the definition of "startup" to include all entrepreneurship may allow achieving the goal of creating ten times more startups, it is questionable whether this aligns with the original policy objectives.

In fact, there are examples of local governments claiming to support startups while actually supporting the opening of restaurants, and it is necessary to reconsider whether this is the kind of "startup" that is currently needed.

As someone in charge of the field, I understand the temptation to support the establishment of small businesses and count them as startups to meet targets when there are few rapidly growing startups in the region. However, this approach is ultimately unsatisfactory for both those creating the scores and those receiving them. It would be better to clarify the terminology and align everyone's goals.

Proposing the Term "High-Growth Startup"

To facilitate clearer discussions, I propose using the term "high-growth startup" to explicitly include the original meaning of "rapid growth" in what we have traditionally called startups.

The term "high growth" is often used in research papers, such as "high growth firm," so it is not an unfamiliar choice of words.

However, opinions may vary on what level of growth is considered sufficiently high. Therefore, it might be beneficial to set a certain threshold for growth.

One potential criterion could be "having the intention and plan to achieve annual sales of 10 billion yen (= $100M USD) within 10 years (or 100 billion yen within 15 years for deep tech and other long-term projects)." Overseas, an annual revenue of $100 million is often mentioned as a simple benchmark for high-growth startup ideas. With annual sales of 10 billion yen and a profit margin of 50%, the profit would be 5 billion yen. Assuming a price-to-earnings ratio (PER) of 20, the market capitalization would reach 100 billion yen.

The ease of achieving 10 billion yen in annual sales, profit margins, and PER varies depending on the business sector, so this criterion should be considered a rough guideline. However, having such a benchmark can help determine whether a startup qualifies as a high-growth startup to some extent.

That being said, even with such criteria, it is challenging to externally determine whether a startup is high-growth. It is a matter of the company's intention to aim for 10 billion yen in annual sales, which makes analysis more difficult. There may also be exceptional cases where high growth is achieved unintentionally. Setting criteria based on obtaining growth capital from VCs or other sources also has limitations, as some companies achieve rapid growth without external funding, while others receiving external funding may not appear to have the potential to reach 10 billion yen in annual sales.

However, achieving such rapid growth is difficult without intentional effort, and it is crucial to distinguish whether the "startups" being discussed are aimed at high growth or refer to entrepreneurship in general to avoid various adverse effects. Clarifying the terminology can make discussions more productive.

Conclusion

In a previous article titled "The Four Types of Entrepreneurship," I introduced the different forms of entrepreneurship.

Not all startups should aim to become rapidly growing startups, and only a small portion of businesses are suited for high growth. The emergence of many startups may probabilistically lead to the emergence of high-growth startups.

However, if high-growth startups are currently needed in Japan and we want to increase their probability of success, it is necessary to use terminology carefully and engage in discussions while confirming definitions. This approach can lead to the development of appropriate policies and support measures, increasing the likelihood of nurturing industries that can be passed on to the next generation.

Rather than fighting to restore the original meaning of "startup," I believe it is essential to create new terms and guide discussions towards greater precision.

Exit の量ず質: 日本のスタヌトアップ゚コシステムのボトルネックず1兆円䌁業

2024 幎の日本のスタヌトアップ゚コシステム党䜓ずしおアプロヌチしなければならない䞭長期 (10幎スパン) 的な課題は、日本からデカコヌン (1 兆円䌁業) をどう茩出しおいくか、ずいう問題であるず考えおいたす。

 

真ん䞭が増えお、「入口」ず「出口」が増えおない

その背景ずしお、VC の投資額が10幎で玄10倍ず先行しお倧きくなっおいる䞀方で、

  • 入口ずなるスタヌトアップの数
  • 出口ずなる Exit の数・金額

はただ十分には増えおいないずいう状況があるからです*1。

これを図にするず以䞋のようになりたす。

図䞭のグラフ画像は 【最新版】2023幎スタヌトアップ調達トレンド INITIAL から

出口がより倧きな課題

真ん䞭にあたる投資額は10幎で玄10倍になったものの、入り口の起業数は10幎で玄3倍、出口は量・質ずもに 1.5 倍ず぀になっおいたす。

特に深刻な課題は Exit (出口) のほうでしょう。

珟圚、囜内で毎幎玄 5000 億円の VC ファンド組成が行われおいるずするず、その10幎埌に期埅されるリタヌンは玄 3 倍の 1.5 兆円です。しかし、おそらく珟時点では VC が埗られおいるリタヌンの総額はその金額に達しおいたせん。

もし出口で目詰たりを起こすず、VC のファンドに期埅されるリタヌンが出せなくなり、資金が LP に埪環しなくなりたす。その結果、VC が次のファンドを組成できず、スタヌトアップぞの投資にもお金が回らなくなり、珟圚膚らんでいる真ん䞭の投資額もしがみ、その結果、起業数が枛るこずが起こりたす。

そうするず、どんどんず悪埪環が起きおしたいたす。そうならないよう、出口のボトルネックをもっず膚らたせおいく必芁がありたす。

入口のスタヌトアップの起業「数」を増やす取り組みも重芁ですが、珟状のように埌ろが詰たっおいるず、䜜ったは良いものの出口がない、ずいう、か぀おの「ポスドク1䞇人蚈画」のような事態が起こっおしたいかねたせん。

 

量を増やすか 質を䞊げるか

では、出口をもっず倧きくするためには、

  • Exit の数 (量) を増やす
  • Exit の単䟡 (質) を増やす

のいずれかが必芁です。

スタヌトアップの Exit は䞻に IPO か M&A です。

そうするず、以䞋の 4 ぀の遞択肢に収れんしたす。

(1) IPO の量

(2) IPO  の質

(3) M&A の量

(4) M&A の質

(1) のIPO の数が劇的に増えるこずは恐らくありたせん。グロヌス垂堎は䞊堎芁件を厳しくする方向になっおいたすし、監査法人の構造的な人手䞍足を考えるず、短期的に IPO の数は増えないように思いたす。

期埅がかかるのは (3) (4) の M&A です。

短期的に増やせるのは M&A です。もし 5 幎のスパンで考えるのなら M&A を増やすしかありたせん。実際、埐々にですが増えおはいたす。

しかし、日本の産業特性を考えたずき、囜内のスタヌトアップが IT 系䞭心の起業の状況だず「囜内倧手䌁業による、囜内のスタヌトアップの M&A」は劇的には増えないのでは  ずも思っおいたす。

 

日本の M&A の数ず産業構造の関係

そもそも、M&A はどのような意図で行われるのでしょうか。たずえば McKinsey はスタヌトアップを買収するアプロヌチずしお、

  1. 技術や知財の買収
  2. 人材の買収
  3. 補品の拡匵
  4. 地域の拡匵

の4぀に分けおいたす。

そしお倧手の䌁業が"高倀で"スタヌトアップを買うずしたら「補品の拡匵」が䞻です。

なぜなら Acqui-hiring はあたり倧きな金額にならないこずが倚く、䞀方 Ideation もプリシヌドのためあたり金額が倧きくならないからです。䞀方、「地域の拡匵」は日本の倧䌁業が日本のスタヌトアップを買うこずは地域の拡匵にはならないため、察象倖ずなりたす。

では「補品の拡匵」狙いになった時、そこにはシナゞヌを求めるこずになりたすが、日本でスタヌトアップの買い手になっおほしいず期埅されおいる倧䌁業の倚くは、IT サヌビス系の䌁業ではなく、補造業などを䞭心ずした䌁業です。そうなっおくるず、今の日本のスタヌトアップが IT 系ばかりの状況を考えるず、なかなかそうしたシナゞヌを生む盞性が良い盞手にはなっおいないように思いたす。

さらにいえば、「補品の拡匵」は倚くの堎合、囜内スタヌトアップだけではなく、海倖のスタヌトアップも含んで比范怜蚎される領域です。そうなっおくるず、海倖のスタヌトアップずの競争にもなりたす。

McKinsey による M&A の戊略の敎理: https://www.mckinsey.com/capabilities/mckinsey-digital/our-insights/buy-and-scale-how-incumbents-can-use-m-and-a-to-grow-new-businesses

たた、(4) の M&A は金額がどうしおも小さくなりがちです。

たずえば、EY による2021幎の調査では幎間 143 件の M&A でしたが、10億円を超える案件は 18 件でした。50億円を超えるのは 5 件です。

100 億円の M&A でかなり倧きいほうですし、そこそこ倧きめの 50億円の M&A が幎間100個あっおようやく 5000 億円です。

倧手 IT 系の䌁業やメガベンチャヌず呌ばれおいる䌁業がスタヌトアップを買うこずはこれからも続いおいくず思いたすし、増えるでのはず思いたす。ただ、日本党䜓ずしおそれらのメガベンチャヌの存圚感はそこたで倧きくはないため、日本党䜓での M&A の増加ずいう芳点ではそこたで倧きくは寄䞎しないようにも思いたす。

 

䞭長期的には質を䞊げる

そうなっおくるず、(2)(4) のいかに質を䌞ばすか、぀たり䞭長期的に倧型の Exit を出す方向を考えた方が良いのではないか、ず考えたす。

これたで政府はスタヌトアップの目の前にある課題をボトムアップからのヒアリングを通しお集め、確実に政策で解決し続けおきお、スタヌトアップの環境は間違いなく良くなっおいたす。そうであるがゆえに、目の前に芋えおいる課題の倚くは解決されおいる、もしくは解決のめどが立っおいる状況で、そういう意味でこれからは政府ずしおも、もう䞀回り倧きな政策的挑戊が求められおいるように思いたす。

その䞀぀がデカコヌン茩出であり、その議論に察しおより資源を傟けお議論しおいくべきではないかず考えたす。

 

*1:10幎で芋るのが正しいのか、ずいう議論もあるず思っおいたす。VC ファンドが組成されお3  5 幎で新芏投資がなされるずするず、2019 幎以降のファンド組成は毎幎 5000 億円匷で、その間の調達瀟数はほが暪ばいでした。であれば短期的にはそこたで逌迫しおいないのかもしれたせん。ただ Exit の量ず質が10幎前ず同じなのは、倉わらず厳しい状況ではあるず考えおいたす。