🐴 (馬)

Takaaki Umada / 馬田隆明

「スタートアップ」の定義が曖昧なことによる弊害と悪影響

国の政策の方針もあって、「スタートアップ」が注目されており、予算等もついて「スタートアップの数」などが公共団体等での KPI に置かれ始めています。

スタートアップの数を増やすことは個人的にも賛同していますが、ただ、気を付けたいのがスタートアップという言葉の定義です。

何事もそうですが、言葉の定義がぶれると施策もぶれて、予算等も適切に使われなくなります。なので、今一度、「どういった起業を支援するのが目的だったのか」を考え、スタートアップの定義をしっかりとしたほうが良いのでは、と思います。

定義が不安定になってきた背景

少し前までは、「スタートアップ=短期間で急成長する企業」として認識されていたように思います。

ただ、スタートアップに注目が集まるにつれて、「スタートアップ=起業全般」となり、本来異なる意味を持っていた「スモールビジネス」での起業も含めたものへと言葉の用法が広がりつつあるように思います。

「スタートアップ=起業全般」の定義を採用すると、「受託ソフトウェア開発の開業」「地域の飲食店の開業」「学習塾の開業」「個人コンサルティング会社の開業」も含まれます。しかしスタートアップ育成5か年計画などの内容を見ると、これらは特段対象となっていないように見えます。

言葉の一般的な利用についてはある程度自由で良いと思いますが、一方で政策や支援策を考える上では、その対象を絞り、適切に支援をしていくことが重要です。そのためには言葉の定義を意識する必要があります。

 

定義が曖昧なことによる悪影響

言葉の曖昧さと混乱があると、政策や施策がブレる

現在、政府の出しているスタートアップ育成5か年計画は、ハイリスク・ハイリターン型の急成長する企業を「スタートアップ」だとして想定しながら作られているように思います。

実際、もし「スタートアップ=起業」であれば、中小企業庁が従来の延長線上でやればよいはずですが、そうではないからこそ、様々な省庁が関わりながら進めているのでしょう。

しかしたとえば、補助金の審査や施設の入居審査等において、審査員の認識が「スタートアップ=起業全般」のまま臨んでしまうと、ハイリスク・ハイリターンな案件ではなく、事業としては小さくても、確実性が高いもの(たとえば研究開発が進んでいるものなど)を容易に採択してしまうでしょう。そのほうが成功率は高く、わざわざハイリスクなものを選ぶインセンティブはないからです。

そうなると、本来、国として増やしたかった起業の形態から外れたところに対しての支援が厚くなってしまい、逆にそうでないところに資源が行きません。それどころか、応募のために使った時間の分だけ、ハイリスク型のスタートアップが損をすることにすらなります。

 

大学発ベンチャーは「スタートアップ」なのか

こうした混乱が起こりうる一例として「大学発ベンチャー」を挙げます。

以前書いた記事にもある通り、大学発ベンチャーと呼ばれる起業のほとんどが1億円の売上に達していない、いわゆる中小企業です。教職員のコンサルティング会社や受託会社なども「大学発ベンチャー」の定義に含まれています。

確かに技術の強さは競合に勝つことに貢献しますが、その技術が勝てる市場が大きいかは別問題です。それを使って大企業の受託をするのであれば下請け会社を作ることにしかなりません。

もちろん「大学の技術の商業化」には意義がありますし、否定する気はまったくありません。しかし今の延長線上で大学発ベンチャーを数多く生み出すことがハイグロース・スタートアップの振興につながるかというと、そうではないだろう、というのが現状です。

しかし、スタートアップ=起業全般という言葉の定義だと、すべての大学発ベンチャーを支援する、そのために予算を付ける、ということになります。

 

曖昧な定義だと現場は易きに流れる

それだけではありません。定義をきちんと定めず、現場に数のゴールだけが落ちてくると、現場では言葉の定義をずらしたり、スタートアップという言葉の拡大解釈が横行することがしばしば行われます。

たとえば、私の聞いている範囲でも、「スタートアップ支援」の予算を引っ張ってきたものの、地域ではハイグロース・スタートアップが十分な数見つからず、スモールビジネスを支援してスタートアップとしてカウントする、ということも起きているようです。

そうすると、本来スタートアップを生み出すためだったはずの予算や人が別のことに使われることになります。

実際、様々な環境の変化によって、スモールビジネスのほうが始めやすく、確実に成功しやすい環境になりつつあるため、「起業全般の支援」を推し進めると、スタートアップではなく、スモールビジネスでの起業を振興するほうへと向かう引力が働いてしまうように思います。

そうなると、スタートアップをしようとしていた人たちがスモールビジネスへと流れます。それでは本来の政策の目的が達成されなくなってしまうでしょう。

 

こうした動きは悪意を持って行われるものというわけではなく、単にスタートアップという言葉の定義があいまいだから、そしてステークホルダーが増えて言葉に関する認識が違う場合が多くなっているから、という理由が大きいのではないかと思います。

 

起業数を増やしてから、スタートアップを増やすルートはあるのか?

「いやいや、それでも起業家の数が増えることで、2回目、3回目の起業のときに別の領域で大きなことに挑む。だから、まずは起業の数を増やす」という意見もあります。ただ、個人的にはこれについてはやや懐疑的に見ています。

 

スモールビジネス起業家はスタートアップ起業家になりづらい

シリアルアントレプレナーに関する研究を見ると、成功した起業家は挑む業界を変更する可能性が低く、イノベーションインパクトを持つ可能性が低いことが示唆されています。日本でもある程度の成功を収めたIT 系のシリアルアントレプレナーは、IT 業界に留まることが多いなと思います。

また、米国でも中小企業の起業家の多くは、そもそも規模拡大を目指していないという調査もあります。

創業時に尋ねたところ、ほとんどの経営者は、大きく成長したいという願望はなく、観察可能な次元で革新したいという願望もないと答えた。言い換えれば、配管工と弁護士は、事業を開始する際、予見可能な将来まで小規模であり続けることを予期しており、新製品やサービスを開発することによる革新や、既存の製品やサービスで新しい市場に参入することさえほとんど期待していない。

What Do Small Businesses Do? by Erik Hurst, Benjamin W. Pugsley :: SSRN

確定的なことは言えませんが、おそらくスモールビジネスをどれだけ起業の入り口として振興しようと、その次の起業もおそらくは同じ業界で同じような事業をやる傾向が強いため、スタートアップにはなかなかつながらないのではないか、と思います。

とはいえ、ハイグローススタートアップのための機会の探索として、(時間制限をある程度設定して)受託開発をあえてする時期を設けていたスタートアップはいくつかあります。そうした戦略的な意思を持っているところはまだ良いかもしれません。

しかし、受託ITソフトウェア開発や人材派遣の事業をやってから、「よし次はハイグロース・スタートアップだ」となっている例はあまり見かけないように思います。あくまでこれは個人の感覚ですが。

むしろ現状、周りにスモールビジネス志向の人が増えることで、スタートアップに挑戦していた人が「やっぱりスモールビジネスのほうがいい」と思って、ローリスクローリターンの起業へと回帰している動きすら見られていることを危惧しています。

 

スモールビジネスを経由することの時間的な機会損失も考慮に入れるべき

それに一度起業すると、失敗するとしても  5 年ぐらいはその領域で頑張る人がほとんどです。

さらにいえば、成功すればもっと長い間その領域に留まります。その間、起業家は他のハイグロースな事業領域に手を出しづらくなります。そうした時間的な損失のことも考えると、急成長するスタートアップを増やしたいなら、全般的な起業を増やすのではなく、回り道をせずにストレートに急成長するスタートアップに狙いを定めて起業を増やすべきではないか、ということです。

 

まとめ

起業やスタートアップに関するステークホルダーが増えてくるにつれて、認識の齟齬も生まれやすくなっています。だからこそ言葉の定義を明確にしておかないと、目的を達成することは徐々に難しくなっていると感じています。

もしこのままスタートアップという言葉の定義がなし崩しに拡大解釈されていくと、「スタートアップ=起業全般」になり、その結果「スタートアップ振興」は「新興企業振興」、ひいては「中小企業創出の振興」となり、それ自体には意義があることは強く同意するものの、デカコーンを目指すこととは相反する支援策が様々な形で実装され、本来使うべきだった予算と時間が別のことに使われることを危惧しています。

 

なお、個々人の幸福につながる起業そのものは、個人の目線で見れば意義のあるものですし、個人の幸福を追い求めることは国として支援する必要がある場合もあると思います。

一方、国全体で産業や雇用を作るといった目的があるのであれば、起業全般をおしなべて支援するのではなく、どういった形の起業を支援するかを明確にしなければなりません。特に起業家が希少であればあるほど、そうした起業家や起業家の卵に、どの種類の起業に目を向けてもらうかは大事です。

だからこそ改めてスタートアップという言葉の定義を明確にして、資源をきちんと配分するべきだと考えます。

たとえば、「ハイグロース・スタートアップ」等、別の言葉を用意して、「エクイティ性の資金を入れて、株式の一定のパーセント以上をVC等に渡している、もしくは渡す予定の企業」といった政策面での言葉の定義を(多少の取りこぼしや例外はあるうえで)明確化していく必要があるのではないかと考えています。

 

Make Something the Future World Needs

In the Silicon Valley of the past, young hackers created one groundbreaking software service after another, guided by the motto of Y Combinator:

Make Something People Want

However, as large corporations have increased their presence even in the software domain and the startup wave has settled down, we often hear voices saying "I can't see the next trend" and veteran entrepreneurs saying "I don't know what I would do if I were young now." There also seems to be a trend among entrepreneurs to choose to start small businesses rather than startups, or to take over existing businesses through search funds.

In light of this situation, I think startups need a new motto to replace "Make Something People Want". I feel this need is especially great in Japan.

So, as this new motto, I am proposing:

Make Something the Future World Needs

Let's consider why this motto is needed now, while looking back at the history of startups.

※ As an initial note, I think there will probably be few people who agree with this article, and there may be criticism. But I am writing this because I want to find like-minded companions who share the same thoughts now.

In the 2010s, "Making Something People Want" was the Right Answer

The startups I want to discuss in this article are companies that aim for rapid growth in a short period of time. To avoid misunderstanding, I want to explicitly call startups that aim for rapid growth in a short period of time "high-growth startups".

Paul Graham wrote an article saying "Startup = Growth", and in that article, he listed two conditions for rapid growth:

(a) make something lots of people want, and
(b) reach and serve all those people

I think the 2010s were an era where you only had to think about the motto "Make Something People Want".

First, the startup domain matched this motto well.

Let's consider the first condition. "Make something many people want" is easy to satisfy for something like a barber shop. Almost everyone wants a haircut. But that doesn't make it a high-growth startup. Because the second condition of "Serve all those people" is difficult to satisfy for a barber shop.

On the other hand, software is good at the second condition. Because it has the characteristic of being easy to copy and distribute.

So if you wanted to start a software business and create a high-growth startup, the key was whether you could "Make something many people want", the first condition. If you could accomplish this, you could grow rapidly as a high-growth startup.

For the past 20 years or so, the startup domain has basically been premised on software, so if you were conscious of making something many people want, you could launch a high-growth startup.

The market was expanding rapidly, and it was a period when initial investment and marketing costs were decreasing. At the same time, methodologies such as lean startup and design thinking were being formulated on how to "Make something people want". As a result, as an ecosystem as a whole, if the number of startups increased, high-growth startups would be born at a reasonably high probability.

However, times have changed, and after the boom of the 2010s, I think there are several limitations and issues emerging with this equation.

 

Why "Make Something People Want" Alone is Not Enough

Issue 1: Prone to Becoming a Small Business

In the software market, opportunities in easily accessible areas are gradually decreasing.

In the past, for software startups, the problem you chose might have grown along with the market, but as this happens less frequently, if you choose a small problem at the beginning, you may end up staying with that small problem and over-optimizing for it.

Lean startup and design thinking teach methodologies for "making something people want", but they don't teach whether it will become a big business. Even if you can correctly practice the lean startup methodology, if you fail in choosing the problem, it will become a small business.

In fact, unlike a generation ago, there are fewer companies that achieve great success in the B2C domain, and fewer prominent young entrepreneurs.

On the other hand, veterans who are newly starting software businesses are beginning to launch multiple products almost simultaneously. They need to consciously choose problems, and starting up also requires strategy.

 

Issue 2: The Correct Domains are Limited

As it was said that "Software is eating the world", the 2010s were truly an era in which software devoured every industry. I think software will continue to be important going forward, but it seems to be settling down a bit compared to the huge waves it used to create. On the other hand, innovation in non-software domains is in demand worldwide, and there are big opportunities lying dormant.

But in those domains, "Serve all those people", the second condition, is difficult, and you need to understand various costs and have the right strategy. There are more things to consider besides "Make something people want".

 

Issue 3: Misunderstanding of "Startups"

In response to the recent attention on startups, it seems that the term "startup" is increasingly being used for forms of entrepreneurship that don't aim for rapid growth. Some people seem to have the perception that if technology is involved and you call it "something-tech", it's a startup.

There are various types of startups. For example, in a past article, I introduced four types:

  1. Survival - Business for making a living
  2. Lifestyle - Entrepreneurship for freedom or hobbies. Relatively small-scale, not much considering expansion
  3. Managed Growth - Aiming for steady growth
  4. Aggressive Growth - Aiming for rapid growth

All of these satisfy "Make something people want".

On the other hand, what Japanese society as a whole needs and expects are high-growth startups, the aggressive growth type of entrepreneurship that creates the next industries.

If so, it would be better to have a motto that encourages such rapid-growth startups.

 

Issue 4: The Downside of Solely Pursuing "Make Something People Want"

When you are conscious of "making something people want", you inevitably become myopic. Contracted software development is also "making something people want", but unfortunately it is difficult to become a startup and create products that greatly change the world.

Furthermore, if we become too conscious of what people want, we may end up creating services that monetize through political division.

Originally, the premise of "Make something people want" should have been "Make a better future", but as this perspective has gradually been lost, I think there are downsides to overpromoting "Make something people want" when I feel that such viewpoints are being lost.

 

Issue 5: Reflection on the Future and Ideals

I think many people would agree with Peter Thiel's words: "We wanted flying cars, instead we got 140 characters".

Startups in the past had the premise of having a grand ambition to "change the world", and tried to create businesses on top of that. In a sense, it was ignorant, arrogant, and naive, but this idealistic attitude itself was the driving force behind startups and innovation.

However, that attitude seems to be fading now.

Are we able to declare dreams like "Organize the world's information and make it universally accessible and useful", "Create a new currency", or "Connect the world"? Are we truly aiming to "create industries"? How many exciting initiatives have you heard of that, besides profitability, invite us to a world completely different from the one before?

Looking back, the metric for measuring the success of a startup should have been not only "how much money you made" but also "how much you changed the world".

But now, don't you feel the presence of so-called "suits", the kind of people that Silicon Valley folks used to avoid, is increasing? (Personally, I think it's fine if people wear suits as long as they have grand dreams)

I think effective accelerationism and techno-optimism are emerging from Silicon Valley and elsewhere as a counterpoint and out of a sense of crisis towards this situation.

I myself take a different stance from these positions, but I agree with much of the sense of crisis they have and the trust in technology and humanity that lies behind these philosophies.

That's why I think a motto that serves as a preamble to "Make something people want" is needed.

 

To Change the Current Situation

However, over the past decade, as Japanese startup ecosystem has developed and matured, we have become optimized for "making something people want". We may have become overly optimized for it.

During this time, the frequency of hearing about what problems to tackle, what metrics to look at, the beauty of business models, money, and business growth has increased. And precisely because it has matured and become formulaic, it seems to be becoming increasingly difficult to take risks and create initiatives that will make the future society.

If the meaning inherent in startups is being gutted and the social function expected of startups is being diluted, then I think a countermovement is necessary. That is the background and problem recognition for why a new motto is needed.

 

 

"Make Something the Future World Needs"

Based on this problem recognition, as a new motto, I came up with:

Make Something the Future World Needs

There are three keywords included in this phrase.

 

(1) Solving Problems on a "World" Scale

High-growth startups aim for rapid growth. However, not temporary rapid growth, but medium- to long-term rapid growth. At that time, you need to be concerned about the maximum value of "how much you can grow". If you target a small market, even if you can grow rapidly for a while, you will quickly reach your limit.

The maximum value of a business differs depending on how big of a problem you are trying to solve. If you want to create a business that continues to grow rapidly as a startup, you need to try to solve a global-scale problem. Even if it's domestic, you need to solve a large problem that at least involves all of Japan.

To indicate that sense of scale you are aiming for, I think the word "world" is important.

(By the way, I think some people use the word "world" to refer to their immediate surroundings, but the world here refers to the wider world.)

Furthermore, this phrase implicitly indicates the grand ambition of "changing the world". I think the importance of having a grand vision can also be evoked from this phrase, and the strategy will be one that aims for the world from the very beginning.

"Make something the world needs" is one of the conditions required for many high-growth startups.

 

(2) Targeting the "Future"

I think the word "future" is also important. There are also two reasons for this.

If it's already a big problem and can be solved now, it's a field that established companies are good at. So startups target either:

  • Problems that will become big in the future
  • Problems that can be solved in the future

For the former, you need to grasp the beginning of big changes in the market or culture. For the latter, you need to make an effort to grasp major changes in technology.

In either case, startups aim for rapid growth by taking temporal risks. This increases uncertainty, but that's precisely why established companies hesitate to enter.

As Paul Buchheit said, "Live in the future and build what's missing", if you want to aim for a high-growth startup, you target the future.

 

(3) Make Something "Needed" by the world

While assuming "Make something people want", I am proposing the word "something needed" as a new motto to question the will for the future.

The need to "Make something people want" probably won't change much going forward. Because a business can't be established without it. That aspect is always necessary.

On the other hand, I thought that emphasizing the noble cause of "creating what the world needs" would be more important in fostering future startups.

Additionally, using both "future" and "what we want" could make the concept too vague, so I chose the phrase "what we need" to encourage more compelling and urgent ideas.

By asking ourselves, "Would it be strange if this product didn't exist in the world 10 years from now?" we can determine to a certain extent whether it is "something the future world needs." And even if it is difficult to realize, we should have the determination to create what the future needs, starting from today.

Through this thought process, I hope that we can regain our imagination and determination for the future.

 

 

I think by actively trying to answer this question of "Are we making something the world needs?", the role that startups originally had can be re-emphasized, and it can be well differentiated from other startup styles.

 

The Sprouts of Businesses Needed in the Future

There are many things that the future world desperately needs.

It may be measures against climate change. Climate tech is one domain of that. Creating businesses that serve as countermeasures to climate change is something the world needs, and if successful, you can gain great wealth.

It may be space. Startups like SpaceX have already emerged. If we can acquire resources in space and do various businesses via space, the world will be able to do much more. It may be a distant future, but humanity may need to pioneer space in order to survive.

It may be infrastructure. Many of today's cities took their current form about a century ago. It's time to rebuild aging infrastructure that is nearing the end of its lifespan.

It may be security. Amidst various wars occurring, companies must be wary not only of defense to protect their own country, but also of cybersecurity. Furthermore, from the fact that what is needed to ensure our safety in various fields such as economic security, food security, climate security, and space security is starting to be discussed, strengthening security is in demand.

It may be water and food. Japan's population will decrease, but globally, the population will continue to increase for some time. But if affected by climate change, there may not be enough water (in fact, it's already happening). If there is not enough water, there will not be enough food, and wars could occur. That must be prevented.

It may be healthcare. A world where many people can live long and healthy lives is what everyone is waiting for. Improving access to healthcare, establishing new treatments and new drugs is necessary for the world. Or by supporting the development of artificial wombs and such, it may be possible to provide new careers.

 

There are still many areas that need to be worked on besides the ones listed here, and although few in number, I feel that several startups are emerging. We need to increase such efforts.

And I think increasing challengers in these fields is also good for the Japanese economy.

Because through these businesses that "Make something the future world needs", industrial restructuring can also be done, and it will also create prestigious, high value-added jobs. Furthermore, if thinking opens up toward the future and people can have hope for the future, I think it will generate the dynamism to break through the sense of stagnation in the Japanese economy. In a sense, generating such dynamism is the idealistic aspect that startups possess, and I think that is what is expected of startups.

 

Call to Action

As Paul Graham says, "Most people should not try to start startups". Still, the rare people who try to aim for high-growth startups are a treasure for society as a whole.

I hope that such people will increase, and at the same time, I hope that people who originally had such thoughts will not be swept away by advice from those around them like "At first, just aim for a hit" or "Think calmly and realistically, it's impossible to change the world, so first let's increase your own assets" and flow into other forms of entrepreneurship.

(To avoid misunderstanding, let me emphasize again that I think people who originally aimed for lifestyle entrepreneurship or managed growth entrepreneurship should do so, and that is also a wonderful choice. This is strictly in the sense of avoiding diminishing the grand vision of people who originally had ideals and grand ambitions.)

 

Ideally, we should create successful cases, and have those successful people become role models, but unfortunately, while such real examples have not yet emerged domestically, what we can do now seems to be to put our thoughts into words like this and change the flow even a little.

At the very least, by doing so, I hope it will lead to encouraging people who are thinking about the future world.

And if there are people who want to "Make something the future world needs", there are a few things I want to do.

 

① Let's ask "Are we making something the future world needs?"

I think we can use this question to determine to some extent whether our idea is a high-growth startup or not.

If you hesitate to answer Yes, try to keep thinking about the idea until it becomes a Yes. Or one way is to ask someone who has an answer to that for their ideas.

Also, if the support side advocates high-growth startup support, I feel there is a need to clearly indicate a stance of supporting companies that are trying to "Make something the future world needs".

② People with the same thoughts should gather and advocate

People who don't just want to "do business" but "want to make something the world needs" and "want to have strong ideals", please gather. I think many people who gather are not good at it, but we can't change society if we don't make this voice bigger, and since there are more people in the world who gather in a small and steady way, if we stay in a natural state, many people will be stained by such a culture.

So I would be happy if people who really think they will change the world and create industries agree with the words "Make something the future world needs" or ask those around them. If agreement and questioning spread, the direction of interest around us should change little by little.

And if there are more places for people who are really trying to make something the world needs to gather and share that passion, it should be easier to sustain your own passion.

③ Let's talk about the future

To think about what the future needs, you have to think about the future. I think there are still few such places in Japan, and many people say they don't usually think about the future, so please let me talk about the future together.

 

Summary

There are problems like poverty and inequality that are difficult to solve in the market, so I don't think the form of entrepreneurship called high-growth startups is a panacea, and I think small businesses and other startups also have sufficient value.

But still, I believe there are many problems that can be solved by advancing science and technology and explosively spreading them, and there are also many big problems waiting for early solutions.

To accomplish that, human will is necessary. The clear will to make something the future world needs and "save the world".

 

I don't think there will be many people who agree with this, and I don't think everyone needs to agree. But if there are people who agree with these ideas even a little, I think it would be good if the movement to make something the future world needs can be made visible.

In this way, I hope to generate the next generation of startups together with the rare people who have the will to make what the future world needs.

 

Make something the future world needs.

未来の世界に必要なものを作れ

かつてのシリコンバレーでは、

人が欲しがるものを作れ
Make Something People Want

という Y Combintor のモットーを合言葉に、若きハッカー達が次々と時代を画するソフトウェアサービスを生み出してきました。

しかし、ソフトウェア領域でも大企業の存在感が強くなり、スタートアップの波が落ち着きを見せる中、「次のトレンドが見えない」といった声や、先輩起業家が「自分が今若者だったら何をするか分からない」と口にするのをしばしば見聞きします。起業家の中でも、スタートアップではなく、スモールビジネスでの起業やサーチファンドでの承継を選択する流れが起こりつつもあるようです。

 

そんな状況を受けて、スタートアップには「人が欲しがるものを作れ」に代わる新たなモットーが必要のように思います。特に日本でその必要は大きいのではとも感じています。

そこで、その新しいモットーとして、

未来の世界に必要なものを作れ
Make Something the Future World Needs

という言葉を考えています。

なぜ今、このモットーが必要なのか、スタートアップの歴史を振り返りつつ考えてみます。

 

※ なお、最初に注記をしておくと、本稿に同意してくれるのはおそらく少数の人でしょうし、批判もあると思います。しかしそれでも今、同じ思いを持つ仲間を探したいと思って書いています。

2010年代、「人が欲しがるものを作る」ことが正解だった時代

本稿で扱いたいスタートアップは、短期間での急成長を企図する企業です。誤解がなされないよう、短期間での急成長を狙う起業のことを明示的に「ハイグロース・スタートアップ」と呼びたいと思います。

 

Paul Graham は「スタートアップ = 成長」という記事を書いていますが、その記事の中で、急成長の条件として、

1.多くの人々が欲しがるものを作る
2.それらの人々すべてにサービスを提供する

の2つを挙げました。

 

2010年代は、まさにこの「Make Something People Want」のモットーだけを考えておけばよかった時代だったように思います。

 

まず、起業の領域がこのモットーに合っていました。

1つ目の条件を考えてみましょう。「多くの人々が欲しがるものを作る」は理髪店などであれば満たしやすいものです。ほぼすべての人が散髪を欲しがっているからです。しかしそれではハイグロース・スタートアップにはなりません。なぜなら、2つ目の条件である「それらの人々すべてにサービスを提供する」が、理髪店では満たしづらいからです。

一方 2 つ目の条件はソフトウェアが得意とすることです。コピーや配布がしやすいという特徴を持つからです。

だからもしソフトウェアの領域で起業してハイグロース・スタートアップを作りたいのなら、条件1の「多くの人々が欲しがるものを作れるかどうか」が大きなカギとなっていました。もしそのこれを成し遂げることができれば、ハイグロース・スタートアップとして急成長をすることができます。

 

この20年ほど、起業領域は基本的にソフトウェアを前提としたものであり、そのため、多くの人々が欲しがるものを作ることを意識していれば、ハイグロース・スタートアップを立ち上げることができました。

市場は急速に拡大していましたし、初期投資やマーケティングのコストも低くなっている時期でした。同時期、リーンスタートアップやデザイン思考などで、「人が欲しがるものを作る」方法論も定式化されていきます。その結果、エコシステム全体としても、起業の数が増えれば、それなりに高い確率でハイグロース・スタートアップが生まれてきた時代でした。

しかし時代は変わり、2010年代の隆盛期を経て、この方程式にはいくつかの限界と課題が見えてきているように思います。

 

Make Something People Want だけでは足りない理由

課題1:小さな事業に陥りがち

ソフトウェアの市場で、簡単に手を出せる領域での機会が徐々に減りつつあります。

これまでのソフトウェア領域での起業であれば、市場とともに選んだ課題が大きくなっていくこともあったでしょうが、そうしたことが少なくなっていくと、最初に小さな課題を選んでしまった場合、小さな課題にとどまり、最適化しすぎてしまうことがあります。

リーンスタートアップやデザイン思考も、「人が欲しがるものを作る」ための方法論は教えてくれますが、それが大きな事業になるかどうかについては教えてくれません。リーンスタートアップの方法論を正しく実践できても、課題選びを失敗すると、小さな事業になってしまいます。

実際、一時代前と異なり、B2Cの領域で大化けを遂げる企業や、目立つ若い起業家は少なくなっています。

一方、ソフトウェア領域でも新たに起業するベテランたちは、複数の製品をほぼ同時に立ち上げる形での起業などを行い始めています。意識的に課題や事業領域を選ばなければならず、立ち上げ方にも戦略が必要になってきているのです。

 

課題2: 正解である領域は限定されている

Software is eating the world. と言われていたように、2010 年代は正にソフトウェアがあらゆる産業を飲み込んだ時代でした。今後もソフトウェアは重要であり続けると思いますが、かつてほど大きな波が起こっているかというと、少し落ち着き始めているように見えています。一方、非ソフトウェア領域でのイノベーションが世界から求められていますし、大きなチャンスが眠っています。

しかしそこでは、条件2の「それらの人々すべてにサービスを提供する」ことは難しかったり、さらに様々なコストを把握したり、適切な戦略が必要になってきます。「人が欲しがるものを作る」以外にも考えなければならないことは増えてきています。

 

課題3: 「スタートアップ」への誤解

最近のスタートアップへの注目を受けて、急成長を目指さない形態の起業でも「スタートアップ」と呼ばれることが増えてきているように思います。「〇〇テック」と呼んで、テクノロジーが絡めばスタートアップなのだ、というような認識を持っている人もいるようです。

起業には様々な類型があります。例えば過去の記事では、4つの類型を紹介しました。

  1. サバイバル起業 - 生きていくためのビジネス
  2. ライフスタイル起業 - 自由や趣味のための起業。比較的小規模で、拡大はそこまで考えていない
  3. マネージドグロース起業 - 着実な成長を志向
  4. アグレッシブグロース起業 – 急激な成長を志向

これらすべて「人が欲しがるものを作る」を満たしています。

一方で、日本の社会全体として求められ、期待されているのは、次の産業を作っていくようなアグレッシブグロース型の起業である、ハイグロース・スタートアップだと認識しています。

であれば、そうした急成長型の起業を促していくようなモットーがあったほうが良いでしょう。

 

課題4: 「人が欲しいものを作る」ことだけを追求する弊害

「人が欲しがるものを作る」ことを意識すると、どうしても視野狭窄になってしまいます。受託ソフトウェア開発なども「人が欲しいものを作る」ことではありますが、残念ながらスタートアップにはなりづらく、大きく世界を変えるような製品を作ることは難しいでしょう。

さらに私たちは人の欲しがるものを過度に意識してしまうと、結果、政治的な分断によってマネタイズをするようなサービスを作ってしまうこともあります。

本来「人が欲しがるものを作る」の前提に、「より良い未来を作る」といったものがあったはずなのに、そうした視点が徐々に抜けていってしまっているように感じている中で、「人が欲しがるものを作る」を推しすぎるのは弊害もあるように思います。

 

課題5: 未来と理想に関する思索の縮小

「空飛ぶ車が欲しかったのに、手に入れたのは140文字だ」という Peter Thiel の言葉に賛同する人も多いのではないかと思います。

かつてのスタートアップは、「世界を変える」という、大きな野望を持っていることが前提としてあり、そのうえでビジネスを作ろうとしていました。ある意味で無知で傲慢で青臭かったものの、その理想主義的な姿勢こそが、スタートアップやイノベーションの原動力でした。

 

ただ、その姿勢が今薄れつつあるようにも見えます。

「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにする」「新しい通貨を作る」「世界中をつなげる」といった夢を語ることができているでしょうか。本当に「産業を作る」ことを目指せているでしょうか。利益以外の面で、これまでの世界と全く違う世界にいざなってくれるようなワクワクするような取り組みをいくつ聞いたでしょうか。

振り返ってみれば、スタートアップの成功を測る評価軸は、「どれだけお金を稼いだか」だけではなく、「どれだけ世界を変えられたか」だったはずです。

しかし今、かつてシリコンバレーの人たちが避けていたような、いわゆる「スーツ族」のような人たちの存在感が増してきているのではないでしょうか(個人的にはスーツを着ていても壮大な夢を持っていれば良いのではと思いますが)。起業をしている学生の話を聞いていても、お金儲けという目的がかなり強くなっている人が多いように感じています。

 

そうした状況への危機感や反発から、シリコンバレーを中心に効果的加速主義や楽観的技術主義が出てきているのではないかと見えています。

私自身はこれらの極端な立場とは異なる立場を取りますが、ただそうした危機感を持っていることや、それらの思想の背景にあるテクノロジーへの信頼と未来を作ろうという意思については同意する部分も多くあります。

だからこそ、「人が欲しがるものを作れ」の前段となるようなモットーが必要なのではないかと思います。

 

現在の状況を変えていくために

しかしこの10年、スタートアップエコシステムは発展し、成熟してきた中で、私たちは「人が欲しがるものを作る」ことに最適化されました。されすぎてしまったと言っても良いかもしれません。

この間、取り組むべき課題や見るべき指標、ビジネスモデルの美しさなど、お金や事業の成長のことを聞く回数が増えました。そして成熟して定式化されたがゆえに、リスクを取って未来の社会を作りに行くような取り組みも、徐々にしづらくなっているように思います。

スタートアップが内包していた意味は換骨奪胎が行われ、スタートアップが期待されている社会的機能も薄まっていくのであれば、そこにはカウンターが必要だと思っています。それが新しいモットーを必要とする背景と課題認識です。

 

 

「未来の世界に必要なものを作れ」

こうした課題認識から、新しいモットーとして、

未来の世界に必要なものを作れ
Make Something the Future World Needs

というものを考えました。

この言葉に含まれるキーワードは3つです。

 

(1) 「世界」規模の課題解決

ハイグロース・スタートアップは急成長を企図します。ただし一時的な急成長ではなく、中長期的な急成長です。そのとき「どこまで成長できるか」という最大値を気にしなければなりません。小さな市場を狙うと、一時的に急成長できたとしてもすぐに限界が来てしまうからです。

事業の最大値は、どれだけ大きな課題に取り組んでいるかによって異なります。もしスタートアップとして急成長し続ける事業を作りたいのなら、世界規模の課題を解こうとしなければなりません。国内であったとしても、少なくとも日本全体にかかわる大きな課題を解く必要があるでしょう。

その目指している規模感を示すために、「世界」という言葉が大事ではないかと思っています。

(なお、「世界」という言葉が自分の周囲のことを指す人もいると思いますが、ここでの世界とはあくまでより広い世界のことを指しています。)

さらにこの言葉は、「世界を変える」といった大それた野望を暗に示します。大志の重要性もこの言葉からは想起できるのではないかと思いますし、戦略も最初期から世界を目指すものになります。

「世界に必要なものを作る」のは、多くのハイグロース・スタートアップに求められる条件の一つです。

 

(2) 「未来」をターゲットにする

「未来」という言葉も大事だと思っています。この理由も2つあります。

すでに大きな課題になっていて、かつそれが今解決できるのであれば、既存企業が得意とする分野です。だから、スタートアップは、

  • 将来大きくなる課題
  • 未来であれば解決できる課題

のいずれか、もしくは両方を狙います。前者であれば、市場や文化の大きな変化の端緒をつかむことが必要でしょう。後者であれば、技術の大きな変化をつかむ努力が必要になります。

いずれにせよ、スタートアップは時間的なリスクを取ることで、急成長を企図します。その分、不確実性は高くなりますが、だからこそ既存企業は参入をためらいます。

「未来を生きて欠けているものを作れ」というのはポール・ブックハイトですが、ハイグロース・スタートアップを目指すのであれば、未来をターゲットにします。

 

(3) 「必要な」ものを作る

「人が欲しがるものを作る」ことを前提にしながら、未来への意志を問うために「必要なもの」という言葉を新しいモットーとして提案しています。

これからも「人が欲しがるものを作る」の必要性はさほど変わらないでしょう。これがなければビジネスとして成立しないからです。そうした側面は必要です。

ただ一方で、「世界に必要なものを作る」という大義を強調するほうが、今後のスタートアップを生んでいくうえで重要ではないかと思いました。

また、「未来」と「欲しいもの」とすると両方ともふわっとしてしまう可能性が高くなるので、より切迫感のあるアイデアを考える必要があると考え「必要なもの」という言葉を選択しました。

「この製品は10年後の未来にないとおかしい」と思えるかどうかで、「未来の世界に必要なもの」かどうかはある程度判別できます。そしてその実現が困難であろうとも、未来に必要なものは今から作るべきだ、という意思を持つことにもなるでしょう。

こうした思考を通して、未来への想像力と意思を取り戻すことにもつながるのではないかと期待しています。

 

 

この「世界に必要なものを作っているのか」という問いに積極的に答えようとすることで、本来持っていたスタートアップの役割が改めて強調でき、そのほかの起業スタイルともうまく棲み分けられるのではないかと思っています。

 

未来に必要とされる事業の萌芽

未来の世界が切実に必要としているものは沢山あります。

それは気候変動対策かもしれません。気候テック(Climate Tech)はその一領域です。気候変動への対策となるような事業を作るのは世界に必要なことであり、成功すれば大きな富を得ることができます。

それは宇宙かもしれません。SpaceX をはじめとしたスタートアップもすでに出てきています。宇宙にある資源の獲得や、宇宙を経由した様々な事業ができるようになれば、世界はより多くのことができるようになるでしょう。遠い未来の話かもしれませんが、人類が生き残るために宇宙を開拓する必要もあるかもしれません。

それはインフラかもしれません。今の都市の形ができたのは、約一世紀前のところが多いでしょう。老朽化し寿命が近くなってきたインフラを再構築するタイミングです。

それは安全保障(セキュリティ)かもしれません。様々な戦争が起こる中で、自国を守る防衛はもちろんのこと、各社はサイバーセキュリティにも気を付けなければならなくなりました。さらに経済安全保障、食糧安全保障、気候安全保障、宇宙安全保障など、様々な分野で私たちの安全を確保するために何が必要なのかが語られ始めていることからも、セキュリティを強くすることが必要とされています。

それは水や食料かもしれません。日本は人口が減っていきますが、世界的には人口はしばらくの間増え続けます。しかし気候変動のあおりを受ければ、水が足りなくなることもあります(実際すでに起こっています)。水が足りなくなれば、食糧が足りなくなり、戦争も起こりえます。それは防がなくてはなりません。

それは医療かもしれません。多くの人が長く健康に生きられる世界は誰もが待ち望んでいます。医療へのアクセスを良くすることや、新しい治療法、新しい薬を確立することは世界にとって必要です。あるいは人工子宮などの発展を支えることで、新しいキャリアを提供していくこともできるかもしれません。

 

ここに挙げた以外にもまだまだたくさんのやるべき領域がありますし、数は少ないものの、いくつものスタートアップが出てきているように思います。そうした取り組みをもっと増やしていかなければなりません。

そしてこうした分野での挑戦者を増やすことは、日本の経済にとっても良いことなのではないかと思います。

なぜなら、こうした「未来の世界に必要なものを作る」事業によって、産業の再構築もできるでしょうし、誇りある高付加価値な仕事を生み出すことにもなります。さらに未来へと思考が開かれ、未来に希望を持てるようになると、日本経済の停滞感を打破するダイナミズムを生むのではないかと思います。ある意味、そうしたダイナミズムを生み出すのがスタートアップの持つ理想主義的な側面であり、そうした動きこそスタートアップに期待されているのではないかと思っています。

 

呼びかけ

Paul Grahamの言うように、「ほとんどの人はスタートアップを目指すべきではありません」。それでもハイグロース・スタートアップを狙おうとする稀有な人たちは、社会全体にとっての財産です。

そうした人たちが増えることを願っていますし、一方で、もともとそうした思いを持っていた人たちが、周りから「最初はヒットを狙いに行けばよい」「冷静に現実的に考えて、世界を変えるのなんて無理だから、まずは自分の財産を増やそう」といったアドバイスを受けて、別の起業の形態に流れてしまわないでほしい、とも思っています。

(誤解があるといけないので改めて強調しますが、最初からライフスタイル起業やマネージドグロース起業を目指している人はそうしたほうが良いと思いますし、それも素晴らしい選択だと思います。あくまてま理想と大志を持っていた人の大志を削ぐのは避けよう、という意味です。)

 

本来であれば、成功例を作り、その成功した人がロールモデルになってくれることが望ましいでしょうが、残念ながらそうした実例がまだ国内から出てきていない中で、今できることといえば、こうして考えを言葉にして、流れを少しでも変えていくことのように思います。

少なくとも、そうすることで、未来の世界を考えている人たちを勇気づけることにつながればと思っています。

そして、もし「未来の世界に必要なものを作りたい」と思う人がいれば、いくつかやりたいことがあります。

 

①「未来の世界に必要なものを作っているか」を問おう

この問いで自分のアイデアがハイグロース・スタートアップなのかどうかをある程度判別できるのではないかと思います。

もし Yes と答えるのに躊躇するのであれば、Yes になるまでアイデアを考え続けてみてください。もしくは、それに対する答えを持っている人にアイデアを聞いてみるのも一つの方法だと思います。

また支援側も、ハイグロース・スタートアップ支援を標榜するなら「未来の世界に必要なものを作ろう」としている企業を支援していく、というスタンスを明示していく必要があると感じています。

② 同じ思いの人は集まり、掲げよう

「ビジネスがしたい」だけではなく、「世界に必要なものを作りたい」「理想を強く持ちたい」という人たちはぜひ集まりましょう。集まるのが苦手な人も多いと思いますが、この声を大きくしていかなければ社会を変えることはできませんし、世の中には小さく手堅く人たちの集まりのほうが多いので、自然な状態でいると、多くの人がそうした文化に染まってしまいます。

だから本当に世界を変える、産業を作ると思っている人は「未来の世界に必要なものを作れ」という言葉に賛同したり、周りに問うてくれると嬉しいです。賛同や問いが広がれば、周りの興味関心の方向性が少しずつ変わっていくはずです。

そして本当に世界に必要なものを作ろうとしている人たちで集まり、その熱意を共有する場が増えれば、自分の熱意も継続しやすくなるはずです。

③ 未来を語ろう

未来に必要なものを考えるには、未来について考えなければなりません。そうした場はまだまだ日本では少ないと思いますし、未来を考えることは普段しないという人も多いと思うので、ぜひ一緒に未来についての話をさせてください。

 

まとめ

貧困や格差など、市場では解決しづらい課題もあるので、ハイグロース・スタートアップという起業の形態が万能薬であるとは思っていませんし、スモールビジネス等も十分に価値を持つ起業だと思います。

しかしそれでも、科学技術を進歩させ、それらを爆発的に普及させることで解決できる課題も多くあり、そして早期の解決を待っている大きな課題も多くあると私は信じています。

それを成し遂げるためには、人の意志が必要です。未来の世界に必要なものを作り、「世界を救う」のだという明確な意志です。

 

これに賛同してくれる人はそう多くないのではないかと思いますし、全ての人に賛同される必要はないとも思っています。でも、こうした考えに多少なりとも賛同してくれる人がいるのであれば、未来の世界に必要なものを作っていこうという動きが可視化できると良いと思っています。

そうして未来の世界が必要とするものを作ろうとする意志を持つ稀有な人たちと、次の世代のスタートアップを一緒に生んでいければと思います。

Make something the future world needs.