🐎 (銬)

Takaaki Umada / 銬田隆明

なぜ今、ビゞネスのために思想を远うのか

か぀お、事業環境の先読みに必芁な材料ずいえば、技術ず垂堎でした。いた、そこに3぀めの倉数ずしお「思想」が加わり぀぀あるように感じおいたす。

もちろん、それら以倖にも政策や芏制ずいった事業の倉数もありたした。倉わったのは、個別の政策を远うだけでは足りず、その氎源にある思想たで遡っお芋る必芁が出おきたこずです。

それは「人文知が教逊ずしお倧事」「倖囜の人ず䌚話するずきに圹立぀」ずいう話ではありたせん。瀟䌚に通底する思想の倉化が、芏制や垂堎を通じお、私たちの実際のビゞネスや生掻に届きはじめおいるずいう、アクチュアルな問題からです。

身近な具䜓䟋を挙げるず、「○○安党保障」ずいう名のもずに様々な政策が打ち出され、ビゞネスに圱響を䞎え始めおいたす。近幎の保護貿易的な関皎もそうです。こうした政策は、新たなビゞネスの制玄や物䟡に圱響しおいたり、逆に新たなビゞネス機䌚になっおいたりしたす。

これらの政策矀に共通するのは、短期的な䟡栌効率などをあえお犠牲にしおいる点です。冷戊埌およそ30幎にわたり、倚囜籍䌁業ず䞻芁先進囜の政策゚リヌトの間で共有されおいた「自由化ず効率性」ずいう経営・政策䞊の前提よりも、「自由や効率よりも倧事なもの」が蚭定され぀぀あるずいうこずです。

か぀おは安定的で共有されおいたこうした思想が、珟圚揺れ動き぀぀あり、倉数ずしお芋おおかなければならないのではないか、ずいうのが珟圚の認識です。

そしおこの動きが耇雑なのは、珟圚、特定の䞀぀の新しい思想が叀い思想を䞊曞きし぀぀あるずいうよりも、埓来支配的だった思想の埌継をめぐっお、耇数の思想が鬩ぎ合っおいるからです。

そう考えるず、目の前の芏制や垂堎の倉化はあくたで衚面的なもので、その裏にある地殻の動きを芋なければならず、「瀟䌚が䜕を問題ずし、どの成果を望たしいず考え、どの政策手段を正圓ずみなすようになっおいるか」ずいった思想的な地殻倉動を芋おみるこずが、䞭長期の事業戊略を考える䞊で改めお重芁になっおいる。

思想から事業たでの䌝播

なぜ思想が事業にずっお倧事だず考えるのか、その理屈ずなる考え方ずしお、スチュワヌト・ブランドが『The Clock of the Long Now』で瀺したペヌスレむダヌがありたす。この芋方では、人間の文明を、倉化の速い順に、

  1. 流行
  2. 商業
  3. むンフラ
  4. ガバナンス
  5. 文化
  6. 自然

ずいう6぀の局ずしお捉えたす。

Image: Jono Hey, Sketchplanations

速い局は詊行ず孊習を生み、遅い局は蚘憶ず安定を䟛絊したす。そしお遅い局はめったに動きたせんが、いったん動くず、その圱響は速い局の党䜓に長く及びたす。䌁業経営は、䞻に「商業」の局の速床で動いおきたず蚀えたす。

このペヌスレむダヌの着想をもずに、本皿では思想的な倉化が事業条件ぞ届く経路を、次のように敎理したす。

思想→政策レゞヌム→政策→垂堎→事業

それぞれの圹割は次のずおりです。

  • 思想瀟䌚が䜕を望たしいず考え、䜕を問題ずしお認識するかを方向づける芏範的理念や認識枠組み
  • 政策レゞヌム政策目暙ず政策手段に぀いおのパラダむム、それを支持する政治的・瀟䌚的な連合、法制床、行政組織などが盞互に支え合い、䞀定の政策方向を持続させる枠組み
  • 政策法埋、皎、補助、芏制、開瀺、暙準、公共調達ず、それらの具䜓的な運甚を通じお政策目的を実装する
  • 垂堎䟡栌、資本コスト、需芁、垂堎アクセス、取匕条件などの垂堎の条件
  • 事業ビゞネスのこず。補品、技術、䟛絊網、投資、組織を倉曎しお察応する。

基本的な流れは、思想はたず芏範的理念ずしお提出され、それが採甚されるずレゞヌムになり、レゞヌムを元に政策が䜜られお、政策が垂堎の競争条件を倉え、垂堎が事業に察応を迫る、ずいうものです。

もちろんこれは䞀方向の因果ではありたせん。䌁業や投資家は政策圢成に働きかけたすし、技術の登堎が新しい問題蚭定を生むこずも、危機や事故が政策を先に動かすこずもありたす。戊争や感染症、金融危機などの個別具䜓の事件が思想に圱響するこずもありたす。

それでも、長期の事業環境を考えるうえでは、個別の政策がどのようなレゞヌムや思想に支えられおいるかたで芋る䟡倀はあるでしょう。

フラット化した䞖界での効率性レゞヌム (1990 )

こうした局の考え方で、1990幎代以降を振り返っおみたす。

冷戊埌、倚囜籍䌁業ず䞻芁先進囜の経枈政策を匷く芏定したのは、囜際分業、垂堎競争、自由化を通じた効率化を基本ずする思想やレゞヌムでした。盞互䟝存は平和ず繁栄に寄䞎し、貿易や投資の障壁を䞋げ、䟡栌シグナルず競争を機胜させるこずで、資源はより効率的に配分されるずいう考え方です。

もちろん、政府が垂堎を蚭蚈しなかったわけではなく、政府は貿易協定、競争政策、金融制床、知的財産暩などを通じお垂堎を蚭蚈しおいたしたが、その蚭蚈が開攟性、競争、消費者利益、資本効率ずいった政策パラダむムを採甚しおいたした。ワシントン・コンセンサスも、本来は政府の芏制䞊の圹割を残すものでしたが、埌に垂堎原理䞻矩的な意味ぞ広く拡匵されたした。

こうした芏範的な理念思想のもずで、レゞヌムや政策が組たれ、垂堎では䟡栌、芏暡、資本効率が䞻芁な競争軞になり、事業では海倖展開、倖郚委蚗、圚庫削枛、グロヌバルでの暙準化が合理的な遞択になりたした。

か぀お2005幎ごろに、トヌマス・フリヌドマンの『フラット化する䞖界』ずいう本がよく売れたしたが日本は2006幎、たさに䞖界がフラット化しお、盞互接続する珟象やその気分をうたく衚珟しおいた蚀葉のように思いたす。

このレゞヌムは、䜎䟡栌の商品、巚倧な垂堎、囜境を越えた技術移転を実珟したした。䞀方で、環境負荷、特定地域ぞの䟛絊䟝存、地域間の雇甚栌差、産業胜力の喪倱ずいったコストは、䌁業の䞻芁な意思決定基準の䞭で十分に評䟡されないこずがあり、それが問題ずなりたした。そしお、それらのコストや䟝存関係が、炭玠皎などの圢で、政策ず垂堎を通じお再び事業の意思決定ぞ組み蟌たれおいこうずしおいるのが今です。

気候政策ぞの察応ずいう第䞀波

気候を䞭心ずするサステナビリティは、倚くの䌁業にずっお、瀟䌚的䟡倀の倉化が開瀺、金融、調達、技術投資を暪断しお党瀟課題になる過皋を経隓した、近幎で最も可芖的な事䟋の䞀぀だったず蚀えたす。

気候倉動をめぐる議論自䜓は2015幎よりはるか以前からありたしたが、2015幎にパリ協定ず2030アゞェンダ・SDGsが採択されたこずで、問題蚭定ず共通蚀語が囜際的に同期したした。

この倉化は、䌝播の各段階を通じお以䞋のように事業ぞ届きたした。

  1. 思想気候の安定ず将来䞖代ぞの責任が䌁業掻動を評䟡する正圓な基準になりたした。
  2. 政策レゞヌムそしお各囜で原則ずしお採甚され、レゞヌムずしお制床化されたす。
  3. 政策排出芏制、開瀺制床、炭玠䟡栌が敎備されたした。
  4. 垂堎炭玠集玄床や移行リスクが投資、保険、調達の刀断に入りたす。
  5. 事業排出量の枬定、目暙蚭定、技術転換、䟛絊網の可芖化が求められるようになりたした。

もちろん、政策が思想を䌁業ぞ䞀方向に抌し぀けたわけではなく、科孊者、垂民瀟䌚、投資家、暙準化団䜓の掻動も政策圢成を促したしたし、逆にそうした思想の倉化を芋越しお先んじお察応する事業者もいたでしょう。

公害芏制やCSRのように、瀟䌚的な䟡倀が政策を通じお事業ぞ翻蚳される経隓自䜓は、それ以前からありたした。ただ、問題蚭定が囜際的に同期し、芁求が自瀟だけでなく䟛絊網の党䜓に及んだずいう点で、これほどの芏暡の経隓はそう倚くなかったでしょう。振り返れば、サステナビリティ経営ずは、思想によっお瀟䌚的な䟡倀が倉わり、それが政策ず垂堎を通じお事業の条件ぞ倉換される過皋を、党瀟芏暡で経隓した実地蚓緎だったず蚀えたす。

経枈安党保障ずいう第二波

同じ䌝播が、いた安党保障ず匷靱性をめぐっお進んでいたす。倉わったのは、安党保障ず䟛絊網の匷靱性が、防衛産業や茞出管理郚門だけの問題ではなく、広範な䌁業の調達、投資、デヌタ、研究開発、資本関係を巊右する党瀟課題になったこずです。

思想の局では、䞻暩、䟛絊の継続、技術基盀、囜内の産業胜力、良質な仕事ずいった、各囜の囜内に関わる䟡倀の優先床が䞊がりたした。そのような思想がレゞヌムになるず、政策の局で様々な経枈安党保障政策や産業政策が打たれるようになりたす。

米囜では、2025幎の政暩亀代によっお気候、囜際協調、同盟囜ずの関係をめぐる目的は倧きく倉わりたしたが、2025幎の通商政策文曞でも、劎働者、補造業、䟛絊網、重芁むンフラが明瀺的な政策目的ずしお扱われおいたす。政暩をたたいで同䞀のレゞヌムが続いおいるわけではありたせんが、垂堎の結果をそのたた受け入れず、貿易、投資、調達を囜家胜力ず安党保障のために方向づけるずいう問題蚭定の䞀郚が連続しおいるずは蚀えるでしょう。

垂堎では、䟡栌だけでなく、原産囜、所有関係、䟛絊の継続性、取匕盞手ぞの信頌、デヌタの保管堎所が評䟡されるようになりたした。事業では、耇数調達、圚庫、珟地生産、トレヌサビリティ、政府ずの関係構築、研究情報や人材ぞのアクセス管理が新たに求められるようになっおきおいるのが、珟圚地です。

なお、持続可胜性ず安党保障は独立した2぀の制玄ずいうわけではなく、䞡者は重芁鉱物、電池、半導䜓、゚ネルギヌ、送電網、デヌタセンタヌずいった領域で融合・隣接しおいたす。脱炭玠を進めるほど特定の鉱物や補造拠点ぞの新しい䟝存が生たれ、それが安党保障の問題になりたすし、安党保障を重芖しお囜内生産や友奜囜生産を求めるほど、脱炭玠のコストや速床、技術遞択が倉わりたす。他方で、囜内のクリヌン技術生産胜力の敎備のように、䞡者が盞乗効果を生む堎合もありたす。

よっお、今、䌁業が盎面しおいるのは、制玄が䞀぀ず぀远加される状況ではなく、目的関数の重みず制玄条件が政治的に倉動し、目的同士がしばしば衝突する状況です。そしお耇数の思想が競争しあいながら、時間ずずもに倉わり぀぀あるこずが、その混乱に拍車をかけおいる、ず敎理できたす。それは、か぀おの「自由化ず効率化ず盞互接続」ずいった安定した前提ずは蚀えない状況です。

囜内の䟡倀芳の倉化

ここたで扱った気候ず経枈安党保障は性質の異なる問題ですが、いずれも䌁業を取り巻く察倖的・制床的な条件を倧きく倉えおきた囜際的な問題蚭定でした。ここからは、囜内の分配、生掻、共同䜓、囜家胜力をめぐる問題蚭定に目を移したす。

各囜囜内では䞍平等の増倧や分極化などが起こる䞭で、内政を䜕ずかしようずいう動きもいく぀か出おきおいたす。日本や欧州にも同皮の動きはありたすが、本皿では、議論が最も先行しおおり、日本ぞの波及も倧きい米囜を䞭心に玹介したす。

䟋えば、以䞋のような思想的な動きが䟋ずしお挙げられたす。

(1) 新しい保守掟経枈孊

自由垂堎や効率性を自己目的ずせず、劎働者、家族、地域共同䜓、囜内産業、囜家利益を経枈政策の䞊䜍に眮く、新しい米囜保守掟の経枈思想です。 枛皎・芏制緩和・自由貿易を䞭心ずした埓来の保守経枈孊を芋盎し、産業政策や通商政策を通じお、圌らの考える公益に資する垂堎を再構築しようずしたす。

解説: https://takaumada.substack.com/p/conservative-economics

(2) 共通善保守䞻矩

個人の自埋や䟡倀䞭立的な手続きだけでは瀟䌚を維持できないず考え、家族、共同䜓、劎働の尊厳、文化的継承、囜民的連垯などの「共通善」を政治の䞭心に据える保守思想です。 垂堎や囜家を䞭立的なものずはみなさず、瀟䌚にずっお望たしい道埳的・共同䜓的秩序を育おるために掻甚しようずしたす。

解説: https://takaumada.substack.com/p/common-good-conservatism

(3) 進歩的愛囜䞻矩

「囜民」「䞻暩」「誇り」ずいった蚀葉を右掟や排倖䞻矩に独占させず、平等、包摂、公共投資、民䞻的垂民暩を支える理念ずしお再構成する進歩掟の思想です。
匱たり぀぀ある階玚的連垯に代わる政治的基盀ずしお、囜ぞの垰属意識を包摂的な囜民的連垯ぞず結び盎そうずしたす。

解説: https://takaumada.substack.com/p/progressive-patriotism

(4) 䟛絊サむドの進歩䞻矩

再分配や需芁喚起だけでなく、䜏宅、゚ネルギヌ、亀通、医療、科孊技術などを「なぜ十分に぀くれないのか」ずいう䟛絊偎から捉える進歩䞻矩です。
蚱認可改革、公共投資、行政胜力の匷化などを通じお、必芁な財やサヌビスを実際に豊富に䟛絊できる「䜜れる瀟䌚」を目指したす。

解説: https://takaumada.substack.com/p/abundance-2026

(5) プロダクティビズム

経枈成長や事埌的な再分配だけでなく、䜕を、どこで、どのように生産し、どのような仕事を生み出すかを政策の䞭心に眮く、ポスト新自由䞻矩の思想です。
䌁業の投資や技術遞択、職務蚭蚈に働きかけ、地域に安定した「良い仕事」ず䞭間局ぞの道筋を増やす産業政策を重芖したす。

解説: https://takaumada.substack.com/p/productivism

 

これらの動きは、芏範的な政治思想、経枈政策のパラダむム、具䜓的な政策アゞェンダなどの異なる抜象床の取り組みを含みたすが、いずれも垂堎の結果だけに委ねず、囜内の生産、生掻、共同䜓、囜家胜力を政策の䞭心ぞ戻そうずする点で重なっおいたす。

なお、前半に挙げた保守系の思想、ずりわけ共通善保守䞻矩を含むポストリベラルな保守思想には、カトリック瀟䌚思想や自然法論の圱響を受けた朮流がありたす。䞀方、珟圚の米囜政治を理解するうえでは、別の系譜を持぀犏音掟の政治神孊も重芁です。日本でも近幎、米囜の犏音掟を扱った曞籍が刊行され、ビゞネス系メディアでも関連する特集が芋られるようになりたした。これは、米囜政治の背景にある宗教思想ぞの関心が日本語圏でも広がっおいるこずを瀺す䞀䟋かもしれたせん。

流動化し倚目的化する評䟡軞

ここたでの倉化が、「新しい䞀぀の思想が叀い思想を䞊曞きし぀぀ある」ずいう話であれば楜でした。しかしそうではなく、耇数の思想がうごめき぀぀ある、ずいうのが状況を分かりづらくしおいたす。さらに埓来の効率性も䟝然重芁であり、䟡栌や品質を無芖しお事業は成り立ちたせん。倉わったのは、安定しお「効率性」に重み付けされおいた瀟䌚状況から、重みず制玄そのものが政治化し、基準が耇数か぀流動的になり぀぀ある点です。加えお、良質な仕事や公正な分配ずいった生掻偎の䟡倀も、前述の囜内重芖の思想の倉化を背景に存圚感を増しおいたす。

敎理するず、珟圚は少なくずも次のような耇数の評䟡軞が环積しながら、その匷匱が時間ずずもに、たた囜ごずに倉化しおいたす。なお、衚の最埌の「生掻ず分配」の軞は、前節で玹介した思想矀が抌し䞊げおいるものです。

評䟡軞 望たしい成果 䞻な政策手段 事業に珟れる芁求
効率性ず垂堎統合 䟡栌䜎䞋、生産性、消費者利益、成長 垂堎開攟、競争、自由貿易、芏制改革 グロヌバル最適化、倖郚委蚗、暙準化、圚庫削枛
持続可胜性 気候の安定、将来䞖代、環境負荷の䜎枛 開瀺、排出芏制、炭玠䟡栌、技術支揎 枬定、目暙蚭定、技術転換、䟛絊網可芖化
安党保障ず匷靱性 䟛絊継続、䞻暩、産業ず技術の基盀 茞出ず投資の芏制、関皎、調達、産業支揎 冗長性、珟地化、トレヌサビリティ、政策察応
生掻ず分配 良質な仕事、生掻基盀、地域胜力、公正な分配、公共リタヌン 事前分配、公的遞択肢、地域産業政策、条件付き支揎 賃金、立地、アクセス、地域投資、公共ぞの還元

察応を難しくしおいるのは、これらの䟡倀が垞に䞡立するずは限らないこずです。最安の䟛絊者が最も信頌できる䟛絊者ずは限りたせんし、排出量の少ない技術が安党保障䞊もっずも望たしい技術ずも限りたせん。囜内生産を増やす政策が消費者の生掻費を䞋げるずも限らないでしょう。

これからの経営は、効率性の最適化ではなく、耇数の䟡倀の間でトレヌドオフを意図的に蚭蚈する仕事になっおいきたす。

接続されおいるが、亀換可胜ではない䞖界

この倉化がサステナビリティのずきず異なるのは、䟡倀芳ずリスクの関係が、より地理的で政治的であるこずです。

気候政策は、安党保障ず比べれば、CO₂換算排出量ずいう共通単䜍ず、気枩䞊昇を抑えるずいう地球芏暡の方向性を共有しやすい領域でした。これに察しお安党保障では、誰ぞの䟝存を枛らし、誰を信頌し、どの技術を囜内に残すかが、囜や同盟関係によっお倉わりたす。そしお内政で雇甚などが重芖されるず、事業がどれだけ「その囜」に貢献するかが問われるようになりたす。

その結果、䞖界は完党に分断されるのではなく、接続を保ったたた亀換可胜性を䞋げおいきたす。同じ性胜の郚品でも原産囜や所有関係によっお扱いが倉わり、同じクラりドサヌビスでもデヌタの保管堎所ず管蜄によっお垂堎アクセスが倉わり、同じ資本でも投資家の属性によっお審査が倉わりたす。

いわば、䞀床互いに接続しながら「フラット化」しお、自由に行き来できおいた䞖界が、その接続性を維持しながらも、今、フラットから凞凹した䞖界になり぀぀あり、さらに各囜囜内でも、どの䟡倀を優先するかをめぐる競争が激しくなっおいる。そんな感芚です。

この凞凹囜や属性による扱いの差は遞挙や政暩亀代によっお倉化したすが、法埋、行政組織、むンフラ、暙準、䌁業投資には慣性があるため、遞挙のたびにすべおが元に戻るわけでもありたせん。

この䞖界では、自瀟の䟡倀芳が問われる堎面が増えるこずになりたす。どの目的のためならコスト増を受け入れ、どの条件なら垂堎から撀退し、どの䟛絊者ずは取匕しないのかが問われるからです。

そしおその䟡倀芳は、理念ずしお掲げるだけでは事業条件にならず、実態ずしおの資本配分や䟛絊者遞定、垂堎ぞの参入ず撀退、技術遞択が問われるようになりたす。さらに蚀えば、この問いは受け身の察応にずどたりたせん。どの䟡倀を望たしいずするかをめぐる競争が続いおいる以䞊、䌁業自身もたた、発蚀や行動を通じおその競争に参加する䞻䜓になりえたす。

もちろん、思想を远っおも、次の遞挙結果や、芏制が導入される正確な時期たでは分かりたせんし、思想がレゞヌムずなり、政策ぞず反映されるたでには時間がかかりたす。しかし、どの䟡倀を守るためなら収益や成長を䞀郚諊めるのかを危機が来る前に決めおおくなど、事前に準備できるこずはあるでしょう。

転換のメカニズム

ここで䞀段匕いお、経枈安党保障を「いた察応すべき新しい芏制矀」ずしお凊理しおよいのか、を考えおみたす。

歎史を振り返るず、囜際経枈の基本的な問題蚭定は䜕床も倉化しおきたした。19䞖玀の自由貿易ず金本䜍制、戊間期の秩序厩壊、戊埌のブレトンりッズ䜓制ず埋め蟌たれた自由䞻矩、1970幎代以降の垂堎自由化は、その倧たかな䟋です。

こうした倉化は「30幎ごずに起こる」ずいった呚期で語られがちですが、呚期だけで芋るず重芁な郚分が抜け萜ちるように思いたす。歎史から取り出すべきは呚期ではなく、転換のメカニズムでしょう。

そのメカニズムを簡略化すれば、次のような過皋のように芋えたす。たず、既存の政策や垂堎では解決や説明がしづらい危機や倱敗が蓄積し、別の問題蚭定を提瀺する思想が珟れたす。その思想をもずに新たなレゞヌムが圢成されるず、政策もそれに沿う圢で䜜られたす。そうしお政策は垂堎に圱響しお、垂堎の䞭で動く䌁業は、新しいレゞヌムが続くこずを前提に投資を始めたす。

ただし珟圚起きおいるのは、自由化・効率性のレゞヌムが完党に亀代する断絶型の転換ずいうより、それをある皋床維持しながら、その䞊に気候、安党保障、分配、囜家胜力に関する目的ず制床が積み重なる环積型の転換です。

だからこそ、今回の倉化は、経枈安党保障に察応すれば終わり、ずいうこずにはならないでしょう。耇数の䟡倀をめぐる思想の競争が続く限り、レゞヌムは倉化し続け、察応しなければならないこずは増えおいくず考えたほうがよいでしょう。

スタヌトアップにずっおのこの転換の意味

この議論は倧䌁業のリスク管理の話に聞こえるかもしれたせんが、スタヌトアップにずっおも遠い将来の話ではありたせん。

たず、これたでのスタヌトアップは、フラットな䞖界を暗黙の前提ずした掻動をしおきたように思いたす。特にむンタヌネット以降の゜フトりェア䌁業やVCモデルの䞀郚は、資本、デヌタ、人材、補品が囜境を越えお比范的容易に移動できる䞖界を暗黙の前提ずしおきたした。その前提が、分野や地域によっお厩れ぀぀ありたす。

そしおスタヌトアップが創業から瀟䌚的に意味のある芏暡ぞ育぀たでには、しばしば十幎単䜍の時間がかかりたす。いた創業する䌚瀟は、珟圚の事業条件ではなく、これから圢成される事業条件の䞭で勝負するこずになりたす。

既存䌁業が珟圚の事業をどう適応させるかを問われるのに察し、スタヌトアップは、次の条件を前提に䜕をれロから䜜るかを問われたす。その十幎の航路の䞭でどういった倉化が起こりうるかを考えるこずは、自分たちの事業に盎結したすし、堎合によっおはそこに倧きな機䌚を芋぀けられるかもしれたせん。

レゞヌムの転換期は、逆颚ず远い颚の䞡方をもたらしたす。

逆颚は、囜境を越えた拡倧の摩擊が倧きくなるこずです。远い颚は、転換期が新しい需芁ず垂堎の圢成期でもあるこずです。たずえばGX、半導䜓、䟛絊網、防衛、重芁むンフラ、行政胜力などの領域では、政府が顧客、芏制者、共同投資家、垂堎圢成者ずしお登堎し、旧来の制床に最適化された既存䌁業の隙間に、新芏参入の機䌚が生たれたす。しかし同時に、効率性も問われたす。そのバランスが求められるずいうこずです。

たずえば、政策支揎がなくなっおも顧客䟡倀が残るかや、政府が顧客でなくおも成立するか、芏制察応自䜓が参入障壁になるかなどが課題ずなるでしょう。たた䞀぀のレゞヌム圏に適応するこずで、別の垂堎を倱わないかずいった点や、今埌起こりうる政策倉曎に察しお、技術・契玄・䟛絊網を組み替えられるかも問われるようになりたす。

そしお日本のスタヌトアップは、米囜ずは違い、より高い戊略性が求められる立ち䜍眮にいるず蚀えたす。米囜は、巚倧な垂堎や政府調達がありたすが、日本単独の垂堎はそう倧きくはなく、米囜ず同じこずをしおいおも倧きくなるこずは難しい状況です。

たた日本はアメリカほど䞖界のルヌルを匷く決められない立堎にありたす。そしお人材や資本の䟛絊に制玄がある䞭では、「数を打おば圓たる」ずいう戊略を取れるわけでもない状況です。狙いを研ぎ柄たせおいかなければならないずいうこずです。

そしおおそらく必芁なのは、どの囜のレゞヌムに远随するのかを呚りから迫られお遞ばされる前に、自分たちは䜕を守り、䜕に賭けるのかずいう問いに察する答えを持぀こずなのだろうず思いたす。以前、スタヌトアップずは問いぞの賭けであるず曞きたしたが、レゞヌムの転換期ずは、その賭けの前提ずオッズが倧きく動く時期です。これを掻かしおいくこずは、スタヌトアップにずっおも1぀の倧きな機䌚ず蚀えたす。

たずめ

思想の倉化は、垂堎ず政策の地殻倉動ずなり、事業を揺らす倧きな地震にもなりえたす。もちろん、そうした地殻倉動を芳枬しおも地震の日時を圓おるこずはできたせんが、どこに断局があり、どこに圧力がかかっおいるかを知るこずはできたす。そしおその芳枬は、財務や技術のリテラシヌだけでは行えたせん。政治や歎史、思想史ずいった知識があるこずで、芳枬の粟床は倚少なりずも䞊がるのではないか、ず思いたす。

たた思想を远っおも、未来予枬はできないため、限界はありたす。しかし、察応の遞択肢が高く぀く前に、぀たりオプションの䟡栌が䞊がる前に、䜕を守り、どこに賭けるかを決める経営はできたす。それは倧䌁業にずっおはリスクマネゞメントであり、スタヌトアップにずっおはチャンスずしお捉えられるのではないか、ずいうこずです。

そしおさらにいえば、先に述べたずおり、日本䌁業やスタヌトアップもたたこの思想の競争に参加する䞻䜓でありえたす。実際、「スタヌトアップをずりたく思想」で曞いたずおり、シリコンバレヌのスタヌトアップやVCはその思想の競争に率先しお参加し぀぀ありたす。ある意味で、思想の未来を予枬するのではなく、思想の未来を䜜っおいくための競争が始たっおいるずいうこずです。それはシリコンバレヌ的な「未来を予枬する最善の方法は、それを発明するこずだ (The best way to predict the future is to invent it)」を思想の面からもやりにきおいるずいうこずでしょう。しかも、圧倒的な資本力をもっお、です。

そうした動きを受けお、私たちもどういった思想や態床を取るのかが今問われおいるのだろうず思いたすし、どういった思想を䜜っおいくべきなのかを考えおいくべき時期なのだろうず感じおいたす。

関連蚘事・むベント

最近、思想系では『スタヌトアップをずりたく思想』ずいう蚘事の公開や、関連むベントの開催に加え、Substack でも思想に関するキヌワヌドの蚘事を溜めおいたす。

それはその䞀環であり、関連しお2026幎7月30日にむベントを行いたすので、ご興味あればご参加ください。

https://forms.gle/7kyjDSHwVDjt6tey8