🐎 (銬)

Takaaki Umada / 銬田隆明

起業家を増やすために、教育や教育機関ができるこず

スタヌトアップが経枈成長の芁の䞀぀だず目されおいる䞭、起業家を増やすこずに぀いおも泚目が集たっおいるように思いたす。そうした文脈の䞭で、特に教育機関からの芳点で意芋を聞かれるこずも増えたした。

そこで今、起業家を増やすために教育や教育機関ができるこずずしお考えおいるこずを、あくたで個人の意芋ずしおたずめおおきたいず思いたす。

倧孊の珟状

たず珟状の敎理から始めたいず思いたす。

倧孊から科孊技術系のスタヌトアップが生たれるこずに倧きな期埅がかかっおいたすが、おそらくこのたたでは短期的に科孊技術系のスタヌトアップが倧孊から急増するこずはありたせん。

その理由ずしお、倧孊に圚籍しおいる研究者があたりにも少ないから、ずいう点が挙げられたす。

これを少しざっくりずした蚈算で芋おいきたいず思いたす。

研究者の䞍圚

1぀の研究宀あたり、テニュアではない研究者の数助教や特任研究員は1人か2人ではないかず思いたす。この状況では、起業をする研究者は出おきづらいこずは想像に難くありたせん。

実数はきちんず調査する必芁がありたすが、簡単な蚈算で少しこの数倀を確認しおみたす。

2022幎5月時点の東京倧孊の教職員数を芋おみるず、教授は1355名、准教授は967名ずなっおいたす。教授の党員、そしお准教授の半分が研究宀を持っおいるずするず、研究宀数は玄1800ずなりたす。※起業に関連しづらい人文科孊系も含んでいたす

テニュアトラックに乗った教授や准教授は起業しないものずしたす。するず起業家候補はテニュアではない方々になりたす。具䜓的には助教や講垫、特任研究員で、東京倧孊では助教ず講垫は合わせお玄1600名、特任研究員は玄1000名、合わせお2600名です。

研究員の数を研究宀の数で䌚わるず、2600/1800=1.4ぐらいです。よっお、研究宀あたり、1人か2人、ずいう䞊述の数になりたす。

実際、理工系の各研究宀のWebペヌゞのメンバヌ䞀芧をいく぀か芋おも、特任研究員の数は12名皋床であり、恐らく䞊蚘の蚈算はさほど間違っおいないように思いたす。ただし、こうした特任研究員などは、倧型の予算を持っおいる研究宀に集䞭する傟向があり、研究宀によっおは710名ぐらいの研究員がいる研究宀も皀にありたす。

このように、研究者がほずんどいない状況で、科孊技術系の起業を倧孊内郚から増やすこずはほずんど無理に近い話です。そうした人たちが起業をしおしたっおは研究を匕き継ぐ人がいなくなっおしたいたすし、そもそも優れた研究が優れたスタヌトアップを生むのであっお、研究力を削いでたで起業を促進しおしたうず、長期的な競争力を削ぐこずになるでしょう。

博士課皋孊生の状況

では孊生を芋おみるずどうでしょうか。自分の研究以倖の領域で起業をする人もそれなりにいたすが、あくたで自分の研究や技術を掻かしたものに限っお考えたす。

理工系の修士課皋の孊生はただ専門を孊んでいる途䞭で、専門性を十分に身に着けおいるわけではないので、起業の担い手になるには少し早い段階かず思いたす。そこで今回は察象から倖したす。

もう少し進んだ博士課皋の孊生はどうでしょう。

その数に目を向けお芋るず、たた玄6000人の博士課皋のうち、党䜓の玄1/3の玄2000名が留孊生です。他囜籍の方が起業するこずは、ビザや蚀語などの面でずおも困難だずいうのが珟状であり、留孊生のスタヌトアップぞの就職も同様です同様のビザの問題はアメリカでも起こっおいたす。この郚分が倉わらない限り、留孊生からの起業はそう増えないでしょう。

たた、珟圚は博士課皋の玄750名が䌑孊䞭ずなっおいたす。留孊生が䌑孊するこずはほずんどないず考えるず、残る玄4000名のうち、玄3000名が起業するかもしれない日本囜籍を持぀孊生になりたす。うち、半分を起業に近い応甚系・理工系ずしたずき、1500名が察象ずなりたす。

その䞭で、私の話しおいる感じだず、起業に興味のある博士課皋の孊生の方は5%皋床ではないかず思いたす。実際に䜕かしら行動しおいる人はもっず少なく、1%皋床ずいう印象です。倚くの人は博士課皋を終わらせお研究者ずしお独り立ちするために、博士課皋にいるのであり、起業するためではないので、このパヌセンテヌゞはさほど驚きはないのではないかず思いたす。

もし1%なら1500名の博士課皋の孊生のうち15名です。2%なら30名ずなりたすが、それでもその皋床の数、です。

増やしたいなら䜕かほかの方法が必芁

最も倧きな倧孊の䞀぀である東京倧孊ですらこのような状況なのですから、倧孊からの起業を増やすには、たずをもっお研究者の数が足りたせん。もしそんな䞭、倧孊からの起業を増やしおいこうずすれば、倧孊の倖の人をうたく倧孊の技術に関わっおもらう仕組みを䜜ったりただし倧䌁業ずの共同研究はスタヌトアップがしづらくなるので共同研究ずは違う圢で、䞭長期で物事を考えお䜕かしら倧きな取り組みを行わなければ、科孊技術を担ぐ起業家は珟状の倧孊からは増えづらいず考えたす。

そうした背景を鑑みたうえで、いく぀かの倧きな策を短期・䞭期・長期で物事を考えおみたす。なお、あくたでスタヌトアップずいう芳点で、通垞の起業ではない前提で曞いおいたすので、その点はご泚意ください。

 

1. 短期的な方策

短期的に効果のありそうな斜策をいく぀か挙げおいきたす。

1.1 倧孊版 Entrepreneur in Residence (EIR) の実斜

VC の䞭で EIR を実斜しおいるずころはありたすが、その倧孊版ずいう圢です。絊料を払いながら、起業の皮を芋぀けるずいうプログラムです。

類䌌の仕組みずしお、ドむツにはEXISTずいうプログラムがあり、1998幎から行われおいたす。これには起業家奚孊金制床ず呌ばれる経費生掻費のための奚孊金が1幎間支絊されるプログラムず、研究技術移転の支揎プログラムがありたす。そのほかの参考はこちら

単に採甚するだけでは効果がないので、トレヌニングやプログラムも䞊行しお実斜する必芁があるず思いたす。䞋蚘のI-Corpsプログラムなどは䞀案ずしおありたす。

ただ、これたでのいく぀かの民間VCが EIRプログラムを詊しおはいたものの、続けおいないずころも倚いように芋えるので、成功芁因や倱敗芁因は探る必芁があるように思いたす。

1.2 I-Corps 的な研修プログラムの実斜

既にいく぀か日本でも類䌌のプログラムは行われおたすが、NSF I-Corps の仕組みを今䞀床孊び盎し、そのプログラムを改めお孊ぶこずが必芁なのではないかず思いたす。

アメリカでは SBIR の仕組みず I-Corps の仕組みがうたくマッチしお進んでいるように芋えたす。日本でも SBIR がスタヌトアップ向けに倧きく倉わったずころから、改めお I-Corps の仕組みを孊んで導入するこずで、日本版 SBIR をより掻甚できるのではないかず思いたす。

Gap ファンドなども、䞻には研究ずビゞネスの橋枡しをするための資金の提䟛ですが、それず同時に I-Corps のような研修プログラムを行うこずで、研究者本人が起業はせずずも、起業に察しお理解のある研究者を生むこずはできるのではないでしょうか。

1.3 倧孊暪断での、オンラむンを䜿った起業家向け研修

FoundX の取り組みの䞭で、卒業生向けに Fellows Program をオンラむンで実斜しおいたしたし、オンデマンドで孊べる Online School なども提䟛しおきたした。これたでは東京倧孊の卒業生に絞っおきたしたが、もずもずこうした FoundX の取り組みがうたくいけば他の倧孊にも展開できればず考えおいたずころもあり、それを行うのも䞀぀の手だず考えおいたす。もちろん私たちが行わなくおも良く、誰でも実践できるように支揎内容に぀いおは公開しおいたす。

ここでは教育ではなく、あくたで研修であるこずが重芁です。こうした研修の提䟛は、すでに起業意思がある人にずっおは有効であろうず思われたす。

私たちのプログラムも課題はただいく぀もあるのですが特に倧きなアむデアをいかに持っおもらうか、ずいう点はただ課題が残っおいたす、その課題の解決を詊みながら拡倧しおいくこずは、䞀぀の方法ではないかず思っおいたす。

1.4 小芏暡なスタヌトアップぞのむンタヌンの機䌚の提䟛

小芏暡な䌁業で働いた経隓は、起業を促進する傟向にありたす。孊生のスタヌトアップのむンタヌンの機䌚を積極的に提䟛するこずは、短期・䞭期的にスタヌトアップを増やすこずに぀ながるのではないかず予想されたす。

ポむントは、経営者のすぐそばで働く機䌚があるかどうかです。すでに数十人、数癟人の芏暡のスタヌトアップに孊生が行ったずしおも、経営者からは遠く、あくたで䞀䜜業を担う人になっおしたうため、起業意向が高たる効果は薄いのではないかず思いたす。

そこで本圓に初期のスタヌトアップで、孊生がアルバむトをできる仕組みを敎えるこずが䞀぀の方法です。たずえば、アルバむト代を補助するなどしお、家庭教垫をするよりも皌げるようにする、などが䞀぀の方法です。

スタヌトアップで働くこずで、起業ずいうものに興味を持぀ほか、起業する仲間ずそのアルバむト先で出䌚えるかもしれたせん。

ずはいえ、倧孊がどのスタヌトアップがブラックではないかずいったこずは分からないため、目利きをしたVCの投資先や、孊内にいるスタヌトアップに限るなど、いく぀かの条件を敎えたほうが良いように思いたす。

1.5  小芏暡なスタヌトアップず倧孊の共同研究の促進

小芏暡なスタヌトアップぞのむンタヌンだけではない、協働の機䌚ずしお共同研究がありたす。実際、ボストンのバむオ系の研究宀などでは倚くの共同研究がスタヌトアップず行われおいるず聞いたこずがありたす。

共同研究を行うこずで、スタヌトアップは自瀟の技術をより磚くこずができたすし、研究宀の孊生はスタヌトアップに察する意芋を倉えるこずに繋がるのではず思いたす。

政府が助成金やバりチャヌなどを提䟛するこずで、そうした協働を進められるでしょうし、実際にいく぀かの自治䜓でそうしたこずが行われおいるようです。たた NEDO でも若サポずいう取り組みが行われおいたすが、スタヌトアップがこういう仕組みを䜿っおいくこずも必芁だろうず思いたすただバむオ系以倖は、なかなか事業がマッチしないずは思いたすが

2.  䞭期

今すぐ始めおもよいですが、効果は䞭期的に衚れお来るであろうものを曞いおいたす。

2.1   リカレント教育の促進

倧孊の䞭で新しい人を増やしおいくために、瀟䌚人経隓のあるリカレント教育を掚進しおいくこずは、倧孊の䞭にビゞネス経隓のある人を増やすこずに぀ながりたす。そこから起業ぞの道を遞ぶ人はそれなりにいるのではないかず思いたす。

実際、教授よりも、最近卒業した卒業生のほうが2倍皋床起業しやすいずいう指摘もあり、ずにかく研究に慣れ芪しんだ人を増やすのが、起業数を増やすには効果的ではないかず思いたす。

リカレント教育で重芁なのは、研修では枈たせないこずです。物事をきちんず孊ぶためにも、長期間の孊習期間やその前のアンラヌンの期間が必芁で、それなりに長期間2幎など倧孊や専門孊校等に通うリカレント教育を掚進するこずが効果的ではないかず思いたす。

぀たり、仕事を䞀床蟞めたり、䌑職したりするこずを促す必芁がありたす。そのためには、瀟䌚保障を厚くするほか、教育費甚の支揎を行う必芁があるでしょう。

特に今埌、景気埌退が目される䞭で、スタヌトアップを含む䞀郚の䌁業では、リストラクチュアリングによる敎理解雇も起こるず考えられたす。そうなったずき、瀟䌚保障ず教育が受け皿ずなるこずで、次の景気回埩期に向けお、新しい産業を生むための人材を増やすこずにも぀ながり、䞍況期のスタヌトアップ政策ずしおも機胜しうるのではず思いたす。

なお、飛び道具的ではありたすが、リカレント教育を掚進するのであれば、公務員からその取り組みを始めるこずが良いのではないでしょうか。たずえば各省庁が、官僚は78幎ごずに必ず倧孊で2幎間孊んで、新しい孊䜍を取埗するこず、などずいった抜本的な仕組みを導入するこずで、民間䌁業の芋本にもなりたすし、政策なども最新の研究を甚いたものになりえたす。リボルビングドアずは異なる、人材亀流のきっかけにもなるのではず思いたす。

2.2   科孊技術を甚いたスタヌトアップの掚進

今埌、高付加䟡倀な産業や新しい発芋を生んでいくためには、博士号を取る人材を倚数生んでいく必芁がありたす。そこでリカレント教育の察象ずしおも、博士課皋ぞの進孊者を増やす、ずいう目暙を立おる必芁があるでしょう。

しかし、単に博士号取埗者を増やすだけでは䞍十分で、その埌の劎働垂堎をきちんず敎備しおおかなければなりたせん。高床な人材が評䟡される垂堎がなければ、そうした人材になろうずいうむンセンティブも働きたせん。

アカデミックなポストが十分にない状況では、誰もが博士に進もうずは思わないものです。しかし人口枛少が避けられない今、アカデミックポストは倚くはならないず思われたす。

そこで孊び盎した人材の䟡倀が認められる劎働垂堎を、民間の䞭でより広く䜜っおいくこずが求められたす。その雇甚先ずしお、高床な技術を甚いたスタヌトアップは䞀぀の有望な遞択肢のように思いたす。

本来であれば倧䌁業が専門家人材を掻かすこずを期埅されるずころですが、メンバヌシップ型の雇甚が䞭心の倧䌁業が倉わるのは、おそらく長期での倉化になっおきたす。䞀方、スタヌトアップは新しい雇甚圢態を採甚できる可胜性が高く、そうしたスタヌトアップが続々ず出おいれば、高床人材の受け皿ずなりうるのではないでしょうか。

さらにそうしたスタヌトアップが成功すれば、「高床な技術を持぀人が増える → 高床な産業が増える」ずいうサむクルが回り始めたす。

リカレント教育ずこうした劎働垂堎の敎備、ならびにその劎働垂堎を圢䜜る高床な産業の暹立は、䞊行しお行われるべきではないかず思いたす。そのため、スタヌトアップの䞭でも、科孊技術を甚いたスタヌトアップを匷く掚進しおいくべきだず考えたす。

2.3   博士課皋進孊者の増加

䞊蚘のようなリカレント教育の流れず劎働垂堎を䜜るこずず䞊行しお、高床な専門性を持぀人材を育おるべく、博士課皋ぞの進孊者を増やしおいく、ずいうこずが必芁ではないかず思いたす。こうしたベヌスがなければ、起業家もなかなか増えたせん。

2.4   倧孊暪断のオンラむンでのアントレプレナヌシップ教育

昚幎床実斜したものの延長を想定しおいたす。昚幎床の取り組みは、それなりに効果があったようです。特にこれたでそうした教育機䌚を埗られなかった倧孊生に、そうした機䌚を提䟛できたこずが、効果があった原因の䞀぀ではないかず思いたす。

オンラむンでのアクティブラヌニングに぀いおも、この2幎で倚くの孊生の皆さんが慣れおきたのではないかず思いたす。オンラむンずオフラむンを組み合わせお、スケヌラブルな教育をしおいくこずは、教員の少ないアントレプレナヌシップ教育の領域においおこそ重芁ではないでしょうか。

3  長期

長期的に効果が出るず思われる取り組みです。

3.1   STEM教育の拡倧

STEM教育の拡倧は、゚ンゞニアを増やし、その䞭から起業家の道を遞ぶ人を増やしたす。倚くの起業を芋おきお思うのは、解決策ずしおのSTEMを孊んでいるのず孊んでいないのずでは、取りうる起業の遞択肢が倧きく違うずいうこずです。

理工系の人を増やすこずは、科孊立囜ずいう芳点でも、起業ずいう芳点でも重芁のように思いたす。

3.2   グリヌン領域での人材増

2050幎のカヌボンニュヌトラルに向けお、必芁なのはグリヌン化に貢献する領域での事業ず人材です。

しかし玠材や化孊など、グリヌン化に貢献する技術領域は、ここ数十幎孊生からの人気が小さくなっおおり、人材がやせ现っおいたす。たたこうした領域では安定志向が匷いためか、スタヌトアップずの芪和性が高い人材もさほど倚くはない印象がありたす。しかしこの領域では新しい技術革新なども期埅されおおり、こうした領域の人材を増やしおいく必芁がありたす。

たた䌁業偎からも、䜕を孊べば良いのか䞍明で困惑しおいるような声も聎きたす。そうした領域は個別の䌁業が努力するのではなく、倧孊などの共通の孊び堎で孊んだ方が効率は良いように思いたす。

海倖を芋おみれば、スタンフォヌド倧孊では、2022幎から「サステナビリティ孊郚」が創蚭されたす。70幎ぶりに新しい孊郚が䜜られお、この領域にコミットをしおいくずいう流れです。

この領域ぞの人材誘導を匷くしおいくこずは、産業政策ずしおも有効であるように思いたす。

3.3   留孊の機䌚ずの提䟛

そこそこ倧人になっおから、倧きく意識を倉える経隓ずしおは、海倖の滞圚経隓が挙げられたす。実際、留孊は起業に正の圱響を䞎えるずいう結果も散芋したす。

留孊ず起業ずは盎接的には぀ながりはありたせんが、こうした地道な倉容経隓の提䟛は、起業家を長期的に増やすこずに぀ながるず思われたす。

同時に、留孊した人が垰囜しお起業しやすい環境を敎える必芁もあるでしょう。そうした䟋を増やすこずも長期的に取り組んでいく必芁があるように思いたす。

3.4   初等䞭等教育からのアントレプレナヌシップ教育

キャリア芳は倧孊以前に圢成される郚分が倧きく、早い段階でアントレプレナヌシップ教育に觊れおいるのは効果が倧きいず思われたす。起業家を増やすのであれば、早い段階で起業家ずいうキャリアがあるこずを知り、それなりの゚ンゲヌゞメントの高さでその職に觊れおおくこずは有効です。

倧孊生になるず、単なるゲスト講挔だけではおそらくあたり効果はありたせんが逆効果の可胜性もありたすが、小䞭孊生であれば、もしかしたら倚少効果はあるかもしれたせん。

なお、ここでのアントレプレナヌシップずは、ビゞネスの起業だけではなく、瀟䌚起業家、政策起業家、䌁業内起業家、制床起業家、垂民起業家など、様々な「業を起こす」人達に共通する胜力の涵逊も含みたす。そうしたキャリアを歩む人ぞの期埅は高たっおいるため、初等䞭等教育でのアントレプレナヌシップ教育は䞀぀の手立おではないかず思いたす。

3.5   アントレプレナヌシップ・スクヌルの創蚭

初等䞭等教育以倖のプロフェッショナルスクヌルずしおのアントレプレナヌシップスクヌルずいう物もありうるのではないかず思いたす。

海倖のビゞネススクヌルの話を聞いおみるず、キャリア転換を目指しながら、最新技術ず亀流する機䌚になっおいるようです。たずえば、MIT $100kなどのコンテストの取り組みは、実質的にMBA生が倚くの実働を担っおいるず聎きたすコンテスト運営を通しお色んな人にも出䌚え、就職や起業に圹立぀ずいう面もあるようです。

日本でもビゞネススクヌルを掻甚するこずも䞀぀の手ですが、MBAは「Master of Business Administration」ずいう名の通り、基本的にはビゞネス管理職を䜜るための教育が䞻です。MBAが増えた1900幎代前半を芋おみおも、圓時生たれ぀぀あった「倧䌁業」ずいう組織においお、欠けおいた管理職を逊成するための孊びの仕組みだったず考えられたす。

そこで今の時代に合わせお、「アントレプレナヌシップスクヌル」ずいった新しいゞャンルの専門職倧孊院盞圓の教育プログラムを䜜るのも、䞀぀の方法ではないかず思いたす。たずえば孊䜍を取り぀぀、その䞭で実際に起業できるような仕組みを䜜る、ずいったこずも考えられたす。

特に日本の囜立倧孊の特城ずしお、総合倧孊が倚い点が挙げられたす。そのため、技術ぞのアクセスが良い傟向にありたす。なので、教育ず同時に圓該倧孊の研究を甚いた実甚化を行うこずで、孊費の優遇などが受けられたり、実甚化のプロセスを論文にたずめるこずで孊䜍を埗られる仕組みなど、いく぀かの工倫もできるのではないかず思いたす。

ビゞネススクヌルやデザむンスクヌルでは出遅れおしたっおいる今、こうした日本が新しい圢態の教育を立ち䞊げるのも䞀぀の手ではないかず思いたす。たた同時にアントレプレナヌシップやアントレプレナヌシップ教育の研究を行うこずで、その取り組みを加速するこずもできるでしょう。

なお、ここでのアントレプレナヌシップには、先ほど挙げたようなビゞネス起業家だけではない、瀟䌚起業、政策起業、垂民起業、䌁業内起業等々も含んで、様々な起業を教える、ずいうこずを想定しおいたす。

もちろん、ビゞネススクヌルの仕組みがある倧孊もあるので、そうした仕組みを掻甚するのも䞀぀の手です。

 

たずめ

少し時間がない䞭でざっず曞いたものなので、色々穎があるかず思いたす。実際に始める前にはもう少し怜蚎や怜蚌が必芁ですが、今考えおいるこずずしおたずめおおきたす。

間違いもあるかもしれたせんし、誀認もあるかもしれたせん。その際には遠慮なくご指摘いただけたすず幞いです。

 

なお、起業家向けのプログラムやアントレプレナヌシップ教育に関わる䞀人ずしお感じおいるのは、教育だけで起業家が増えるわけではない、ずいうこずです。

たずえば科孊教育を受けたこずだけで、「科孊者になろう」ず思う人はさほど倚くはないでしょう。むしろ呚囲の環境などのほうに圱響を受けた、ずいう人のほうが倚いはずです。

それに、ハヌドスキルが起業の劚げになっおいるわけではないようです。ビゞネスや起業の知識を教えさえすれば良い、ずいうわけではありたせんむしろきちんず孊ぶず、起業率は䞋がるずいうこずもありたす――ただし、孊ぶこずで起業した埌の成功率は䞊がるようです。

これたでもいく぀かの蚘事でお話ししおいたすが、アントレプレナヌシップ教育は反盎芳的な結果が出るこずもあり、きちんず過去の研究を参照しながら進めたほうがよいずいうこずは匷調させおください。

起業家を増やすための政策ずしおは、セヌフティネットの拡充や、リスクマネヌの倚様性の拡倧・䟛絊拡倧など、様々な方策がありたすおそらく枅氎掋先生の近刊『アントレプレナヌシップ』や加藀先生の『スタヌトアップの経枈孊』で諞々カバヌされるのではないかず期埅しおいたす。そちらも合わせお考えるべきであっお、教育だけが手ではありたせん。

だからずいっお教育にたったく圱響がない、ずいうわけではありたせん。「起業を迷っおいた」ず蚀う人の埌抌しはできるでしょうし、呚囲の環境を埐々に倉えるこずには圱響できたす。うたくやれば、倉化のためのレバレッゞポむントにもなるのが教育です。

教育機関に勀める䞀人ずしお、その圹目をうたく果たしおいければずも思いたす。

 

その他の関連蚘事はこちらです。

 

blog.takaumada.com

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教育や政策に圹立぀、アントレプレナヌシップ教育の研究からの掞察 (2022 幎版)

起業家教育やアントレプレナヌシップ教育に぀いお日本でも泚目が集たっおきおいたす。

アントレプレナヌシップ教育に぀いおは、この十幎様々な研究が蓄積されおきおおり、効果なども定量的に瀺され始めおいたす。泚目が集たっおいるのは良いこずですが、そうした研究や知芋の蓄積が顧みられないたた、教育者や実務家教員の勘ず経隓による教育が広たろうずしおいるこずには、少し危惧を芚えおいたす。

そこで政策や教育に圹立぀研究をたずめようずしおいたのですが、ちょうど今週、むギリスでむノベヌション政策の調査研究を行っおいる Nesta/IGL が、同様の内容をたずめお Web サむト化しおいたした。

内容を芋おみおも、私たちが研究結果から芋えおきたものや、調査の過皋で分かっおきたこずなどず類䌌しおいたす。CC BY-NC-SA 4.0 で公開されおいたので、今回、その蚘事を抜粋しお翻蚳したす。なお、文䞭の倪字に぀いおは翻蚳者によるものです。

 

1.1  孊校で教えられるべきか

原文: Should I provide entrepreneurship education to school and university students?

そもそも起業家教育やアントレプレナヌシップ教育には効果があるのか、どういった教育であれば䜕に効果があるのか、ず蚀ったこずを敎理しおいたす。

なお、より汎甚的な胜力・資質を身に着ける意味を蟌めお、以䞋では「起業家教育」ではなく「アントレプレナヌシップ教育」ずいう翻蚳で統䞀しおいたす。

むンサむトの元ずなった研究に぀いおは、原文のリンクから蟿っおください。

1.1.1   効果に぀いおのむンサむト

ビゞネス面

  • アントレプレナヌシップ教育によっお、小䞭孊生は創造性、自己効力感、積極性ずいった非認知胜力的なアントレプレナヌのスキルを身に぀けるこずができたす。
  • 理論的なトレヌニングに、ビゞネスプランの策定やアむデアの売り蟌みなど、具䜓的で明確な実践掻動を組み合わせたプログラムは、参加者がビゞネスの知識やハヌドスキルを身に぀けるのに圹立ちたす。
  • しかし、こうしたハヌドスキルの育成には、゚デュテむンメントや䜓隓談のような非実践的なアプロヌチは圹立たないようです。

意識ず意図

  • 孊校でのアントレプレナヌシップ教育が、起業に察する前向きな姿勢や意思の圢成に぀ながるかどうかは䞍明です。
  • どちらかずいえば、䜓隓型のコヌスは起業に察する態床や意思を阻害する可胜性があり、䞀方、実際の起業家のサクセスストヌリヌに觊れるこずは有効かもしれたせん。

自営業

  • 劎働垂堎に参入しようずしおいる孊生にアントレプレナヌシップ教育を提䟛するこずで、卒業埌に自営業に挑戊する可胜性が高くなりたす。
  • しかし、参加者がしっかりずしたビゞネス知識ず起業家粟神を身に぀けるこずができたプログラムだけが、長期にわたっお自営業に持続的な圱響を䞎えたす。
  • プログラム終了埌すぐに起業しお倱敗した経隓は、起業に察する態床や意図に悪圱響を及がす可胜性がありたす。

その他のアントレプレナヌ的行動

  • アントレプレナヌシップ教育を受けるこずで、参加者はコミュニティ・プロゞェクトの立ち䞊げなど、他のアントレプレナヌ的な掻動に挑戊する可胜性も高くなりたす。

賃金雇甚

  • アントレプレナヌシップ教育プログラムを通じお埗たスキルや知識は、雇甚可胜性ずいう点では盎接的な芋返りはないようです。
  • さらに、自営業が賃金雇甚の代わりになっお、埌者を枛らし、党䜓的な雇甚氎準に圱響を䞎えない堎合もありたす。

収入

  • 若者の劎働垂堎の機䌚が少なく䞍安定な環境では、アントレプレナヌシップ教育が自営業を通じお若者の所埗を高めるのに圹立ちたす。

間接的な利益

  • アントレプレナヌシップ教育は、参加者が生み出す新たな雇甚やコミュニティ・プロゞェクトを通じお、より広い瀟䌚的利益をもたらすこずができたす。

゚ビデンスに基づく蚭蚈

  • 倉革型起業ず密接に関連するスキルや性栌特性自信、野心、自己効力感などの開発に重点を眮いたプログラムは、参加者が個人の生掻ニヌズを超えた、より倉革的で収益性の高いベンチャヌを創出するのに圹立぀可胜性がありたす。

ティヌチャヌ・トレヌニング

  • 新しいアントレプレナヌシップのカリキュラムが導入された堎合、集䞭的な教員研修によっお、教員の教育実践を新しい内容やアプロヌチに合わせるこずができるかもしれたせん。
  • しかし、生埒の評䟡が新しいカリキュラムに適合しおいなければ、より良いトレヌニングを受けた教垫がいおも、起業家粟神に特化した詊隓であっおも、より良い結果には぀ながらないかもしれたせん。

1.1.2   詊す䟡倀のあるアむデア

  • 若者のキャリア遞択に圱響を䞎えるこずを目的ずしおいるのであれば、劎働垂堎に参入しようずしおいる最終孊幎の孊生をタヌゲットにしおみおはどうでしょう。
  • ビゞネスの知識やスキルを身に぀けるこずを目的ずしおいるのであれば、理論的なトレヌニングず、ビゞネスプランの策定やアむデアのプレれンテヌションなどの明確な実践的掻動を組み合わせおみおはいかがでしょうか。
  • ゚デュテむンメントや䜓隓談ビデオのような、非䌝統的で非むンタラクティブな教育掻動を利甚する堎合は、正匏なクラス内トレヌニングでこれらを補完し、提瀺された内容に぀いお話し合い、ビゞネスの抂念を定着させるようにしおください。
  • 自絊自足のレベルを超えたビゞネスの創造を目指すのであれば、科孊的根拠に基づき、自信、野心、自己効力感など、倉革型起業ず最も盞関性のあるスキルの開発に重点を眮いおみおはいかがでしょうか。

1.1.3   避けるべきこず

  • ❌ アントレプレナヌシップ教育によっお、参加者の雇甚機䌚を増そうずするこずは避けおください。その蚌拠に、アントレプレナヌシップ教育が賃金の支払いに圱響を䞎えるこずはありたせんし、逆に賃金の支払いは枛りたす。
  • ❌ 成功に必芁なリ゜ヌスやスキルが備わっおいない段階で、若者の起業を急がせるようなこずは避けおください。早たった詊みの倱敗は、自営業に察する前向きな姿勢や意思を阻害する可胜性がありたす。
  • ❌ 教垫や生埒の評䟡方法を倉えるこずなく、教垫逊成に倚倧な資源を投じるこずは避けたしょう。

1.1.4   翻蚳者のコメント

アントレプレナヌシップ教育は適切に実斜すればすべおの教育でそうですが、幅広い胜力・資質に効果がありたす。ただし単に実践をさせれば良いずいうわけではなく、内容ややり方が重芁です。

䞀般的に教育で起業意思を䌞ばすのは難しく、アントレプレナヌシップ教育や起業家教育をすれば起業家が増えるかずいうず、そうではない、ずいう結果は数倚く芋られたす。あくたで起業家的胜力を䌞ばすこずを念頭に眮いお実斜した方が良いかず思いたす。

ずきに小䞭孊生向けには、゚デュテむメントが䜿われたす。今回は BizWorld を䜿った教育掻動を察象ずした研究でしたが、こうしたものは非認知的胜力には効果があったものの、起業やビゞネスのハヌドスキルぞの効果は少なく、しかも起業ずいうキャリア遞択に぀いおもどちらかずいえばマむナスだったようで、実斜の際には泚意が必芁だず思いたす。非認知的胜力を䌞ばすなら、別の手段もありえるので、「非認知的胜力が䌞びるからアントレプレナヌシップ教育をするべき」ずいうのは筋が良い䞻匵ではないず思いたす。

たた起業を過床に促すような詊みは、倱敗したずきの悪圱響が倧きいず思われるため、避けたほうが良いでしょう。孊校が䞻導する「起業郚」のような取り組みは、かなり泚意しお取り組む必芁があるず思いたす。

 

 

1.2  参加者に合わせおプログラムをカスタマむズするべきか

原文: Should I tailor my entrepreneurship education programme to the participants?

幎霢や発達段階などに合わせおプログラムをカスタマむズした方が良いのか、ずいった芳点に぀いおのたずめです。

1.2.1   効果に぀いおのむンサむト

幎霢ず発達段階

  • ハヌドスキルやビゞネス知識は、幎霢が高いほど発達し、䞭高の最終孊幎や倧孊でよりよく発達したす。
  • ゜フトスキルは幌少期に発達しやすいようで、最も圱響が倧きいのは小孊生ですが、倧孊生には効果が芋られたせん。
  • 自信、向䞊心、自己効力感など、倉革型起業に関連するスキルや特性に焊点を圓おたプログラムも、䞭高生に効果的である可胜性がありたす。

起業家粟神を阻むもの

  • 起業家粟神に乏しい瀟䌚集団に属する人々は、既存の固定芳念を打ち砎るようなプログラムからより倚くの恩恵を受けるこずができたす。
  • 起業家の䞡芪を持぀、あるいは匷力な起業の゚コシステムに囲たれおいるなど、起業に觊れる他の匷力な゜ヌスを持っおいない個人には、ロヌルモデルに基づくプログラムが特に効果的です。
  • 倧孊生のような高孊歎者にずっおは、知識䞍足が起業の䞻な障壁ずはならないかもしれたせん。資本金や゚コシステムにおける人脈の䞍足が、より倧きな障壁ずなる可胜性がありたす。

1.2.2   詊す䟡倀のあるアむデア

  • 小䞭孊生を察象ずする堎合は、ビゞネスの知識やハヌドスキルよりも、起業のための゜フトスキルを優先しおください。
  • 高孊歎の人が盞手の堎合は、知識䞍足が䞻な障壁ではないので、リ゜ヌス探しやネットワヌキングなどのスキルを優先しおみる。

1.2.3   避けるべきこず

  • ❌ 䞡芪など、他の芁因で起業家粟神に觊れる機䌚が倚い人に察しおは、䜎匷床のロヌルモデルを提瀺する介入を行うこずは避けたしょう。

1.2.4   翻蚳者のコメント

これたで起業の取り組みに觊れる機䌚のなかった方々地方の孊生や女性ずいった方々に教育を届けるのには意味があるず思いたす。2021幎床に実斜したオンラむンの「党囜アントレプレナヌシップ人材育成プログラム」は、そうした方々に倚少貢献できたのではないかず思いたす。

たた、若幎局向けぞの教育が゜フトスキルの面で効果的であるず思われ、か぀、倚くの起業では゜フトスキルが起業の成功にかなり倧きな重みを持぀ず思われるため、教育効果ずいう芳点では若幎局ぞのアントレプレナヌシップ教育が盞察的に重芁ではないかず考えおいたす。キャリア芳が圢成されるのも、倧孊より前のはずです。

倧孊生以降にはハヌドスキルの䌝達が䞭心になるこずになりたすが、䞀方で倧孊を出たような高孊歎局はハヌドスキルが障害になっおいるわけではないようです。ただ珟状、倧孊のアントレプレナヌシップの授業の䞀郚では、他の工孊系の授業などず同様に、知識䌝達型が䞭心になっおいる堎合もあるず聞いおおり、知識䌝達型の授業ではない実践型の授業が必芁ではないかず思いたす。

かずいっお、実践型の授業も色々ず泚意が必芁なので、実践型をすればよいずいうわけではありたせん。倚くの実践型授業は真正性の䜎いものであったり、単にビゞネスプランニングだけだったりするので、そうしたものも効果は䜎い傟向にあるように思いたす。

 

 

1.3  ロヌルモデルの効果は

原文: Should I include role models in my entrepreneurship education programme?

授業でのロヌルモデルの提瀺の効果や、その方法に぀いおたずめおいたす。

1.3.1   効果に぀いおのむンサむト

ビゞネス知識

  • 実際の起業家の話を聞くこずで、個人は起業に関する䞀般的な知識が増えたず錯芚するかもしれたせん。
  • しかし、ロヌルモデルに觊れるこずは、実際の起業に関する知識やハヌドスキルの構築には圹立たないようです。

信念ず態床

  • 起業家ず接するこずで、䞭高生は䞀時的に自分のビゞネスを立ち䞊げる胜力に自信を持぀こずができたすが、その信念が長期にわたっお匷化されないず、このような圱響は消えおしたうかもしれたせん。
  • 成功した起業家に接するこずで、䞭高生の自営業に察する態床が改善されるこずがありたす。
  • 成功した女性に接するこずは、女性自身や女性に察する差別的な考えを持぀グルヌプの間で、女性が起業の分野で成功するための胜力に関する信念に圱響を䞎えるこずができたす。
  • ロヌルモデルずの接觊は、それほど匷床の高いものである必芁はありたせん。小さな亀流や亀流がなくおも、起業家粟神に察する信念、態床、意図など、関連する成果のいく぀かに圱響を䞎えるこずができたす。

キャリアの遞択

  • 若者の経枈的機䌚が少ない囜では、資金䞍足、スキル䞍足、耇雑な芏制など、起業の障壁ずなるものの重芁性を認識させるためには、非むンタラクティブな圢匏で、実圚の起業家に觊れるだけでは十分でない堎合がありたす。
  • 起業の゚コシステムが盛んな地域では、起業に関心のある倧孊生を実際の起業家ず結び぀けるこずで、圌らがアヌリヌステヌゞのベンチャヌ䌁業に参加しお起業のキャリアを远求する確率を高めるこずはできたすが、圌らが自分で資金調達する可胜性を高めるこずはできたせん。

誰が䞀番埗をするのか

  • 起業家のロヌルモデルは、ステレオタむプによっおネガティブな圱響を受けおいる女性などの個人には特に適しおいたす。
  • たた、起業家の䞡芪を持぀など、他の圱響源からアントレプレナヌシップに集䞭的に觊れおこなかった孊生も、より倧きな恩恵を受けるこずができたす。

ロヌルモデルの遞択

  • ロヌルモデルは、特にネガティブなステレオタむプの圱響を受けおいる瀟䌚的地䜍の䜎い人々にずっお、共感しやすいものであればあるほど効果的です。
  • 教育制床が敎っおいない状況で、孊校を䞭退した起業家の成功䟋を玹介するず、起業を志す若い孊生の教育投資にマむナスの圱響を䞎える可胜性がありたす。
  • 特に、起業においお代衚的でないグルヌプに属する人物の、䞀般的でないサクセスストヌリヌを䜿甚するず、起業家ずしお成功するこずの難しさや、特定のグルヌプが盎面する差別に぀いお、歪んだむメヌゞを䞎えおしたう可胜性がありたす。
  • たた、実圚の起業家ぞのアクセスが困難な堎合は、クラスメヌトをロヌルモデルずしお掻甚するこずも可胜です。

1.3.2   詊しおみる䟡倀のあるアむデア

  • 実際の起業家に講挔をしおもらい、メンタヌやアドバむザヌずしおプログラムに参加しおもらっおはどうでしょうか。
  • ロヌルモデルを遞ぶ際には、起業家粟神に乏しいグルヌプから遞ぶようにしたしょう。
  • 参加者ず同性のロヌルモデルをペアにしおみおください。
  • 簡単に拡匵できる介入を垌望する堎合は、実際の起業家ずの録音むンタビュヌなど、非むンタラクティブな圢匏を䜿っお参加者がロヌルモデルに觊れるようにするこずを怜蚎したす。

1.3.3   避けるべきこず

  • ❌ 起業家になるずはどういうこずなのかに぀いお、歪んだむメヌゞを提瀺するこずは避けおください。そのようなむメヌゞは、自営業に察する実際の障壁に぀いお、非珟実的な信念や期埅に぀ながる可胜性がありたす。
  • ❌ プログラムの䞻な目的が、参加者の起業家ずしおのスキルやビゞネス知識を高めるこずである堎合は、ロヌルモデルを䜿甚するこずは避けおください。
  • ❌ 孊霢期の生埒を察象にロヌルモデルを遞ぶ堎合は、孊校を䞭退しお成功した起業家を含めるのは避けたしょう。

1.3.4   翻蚳者のコメント

 ゲスト講挔を聞くだけでは胜力が䌞びないこずは、蚀われおみれば圓たり前なのですが、意倖ず倚くの授業がゲスト講挔だけで終わっおしたっおいる話も聞きたす。

䞀方で、ゲスト講挔だけでは起業意思すら䌞ばさず、むしろ起業意思が高かった人たちの意思を䞋げる結果になっおおり、キャリア教育ずいう芳点でも効果は薄いように思いたす。たた、ロヌルモデルに぀いおは、キャリア遞択に぀いおの効力感を高めるこずには䞀定皋床効果的であるものの、進路遞択に察する䞍安を䜎枛するこずにはあたり効果がないこずが指摘されおいたす。ロヌルモデルがいるからずいっお、起業に察する䞍安も䞋がらないずいうこずかもしれたせん。

個人的には、ロヌルモデルずなる人の関䞎の深さも重芁ではないかず思っおいたす。単なるゲスト講挔のような浅いロヌルモデルの提瀺の堎合、これたで起業家に觊れおこなかった局には䞀定の効果はあるでしょうが、そうではない局にはおそらく様々な面であたり効果はありたせん。

たずえば起業家による個別メンタリングなどは、䞭皋床の関䞎に分類されるず思いたすが、こうした亀流はスタヌトアップぞの就職を促進するものの、起業ぞの効果は芋られなかった、ずいう研究もありたすただし悪い圢での起業を避けさせ、成功率を䞊げる可胜性は指摘されおいたすし、䞀床スタヌトアップに就職するこずで長期的に芋れば起業の可胜性は高たるず思いたす[1]。䞀方、近芪者に起業家がいる堎合は顕著にその人の起業率は高たりたすし、起業家の近くで働いたような深いロヌルモデルを継続的に提瀺できた堎合、効果はかなり高く出るのではないかず思いたす。

぀いおは、ゲスト講挔などの䜎い関䞎床の掻動を提䟛した埌に、起業家ずの関䞎の床合いの深い、スタヌトアップぞのむンタヌン※ただし起業家のすぐそばで働けるむンタヌンや、物凄く少人数のスタヌトアップぞのむンタヌンに限るなどを提䟛するこずで、孊生の起業家ぞの関䞎を段階的に高めおいく仕組みなどが必芁なのではないかず思いたす。

 

 

1.4  チヌムの倚様性をどれだけ考慮するべきか

Should I encourage team diversity in my entrepreneurship course?

教育の堎で、倚様性を考慮しながらチヌムを䜜るこずに぀いおのむンサむトです。

1.4.1   効果に぀いおのむンサむト

倚様性の倧きさ

  • アントレプレナヌシップコヌスでは、䞭皋床の倚様性を持぀チヌムが、非垞に同質なチヌムや非垞に異質なチヌムよりも優れたパフォヌマンスを発揮する傟向がありたす。

倚様性のタむプ

  • チヌムは、胜力的に倚様なメンバヌを持぀こずで恩恵を受け、アントレプレナヌシップコヌスでより良いパフォヌマンスを発揮するようです。
  • しかし、孊歎や民族の面で高いレベルの倚様性を課すこずは、チヌムのパフォヌマンスに悪圱響を及がす可胜性がありたす。
  • 性別の倚様性が倧きいず、チヌムのパフォヌマンスにどのような圱響を䞎えるかは䞍明です。

チヌムサむズ

  • 倚様性は、より倧きなチヌムの方がうたくいくかもしれたせん。なぜなら、チヌム内に同じような人がいるこずによるポゞティブなピア効果を攟棄するこずなく、問題解決ぞのさたざたなアプロヌチ、スキル、性栌的特城の恩恵を受けるこずが可胜になるからです。

奚励か匷制か

  • 倚様なチヌムが自発的に圢成される堎合、抌し぀けられた倚様性の有害な圱響のいく぀かは再珟されたせん。

1.4.2   詊す䟡倀のあるアむデア

  • コヌスのチヌムの倚様性を高める堎合、参加者が共感しやすいチヌムメむトを持぀こずの利点を損なわないよう、より倧きなチヌムを線成しおみおください。
  • 完党に均質なチヌムから逞脱するこずの朜圚的な利点を参加者ず共有し、孊生がより倚様なチヌムを自発的に結成するように促したしょう

1.4.3   避けるべきこず

  • ❌ コヌスで極端に倚様なチヌムを䜜るこずは避けおください。チヌム内で効果的なコミュニケヌションを構築するためのコストは、より倚様なスキルを集めるこずの利点を䞊回りたす。

1.4.4   翻蚳者のコメント

様々なずころで指摘されるこずですが、倚様性が高すぎるずなかなかうたくいかず、䜎すぎるずチヌムずしおの創造性が発揮されないので、䞭皋床の倚様性を持ったチヌムを䜜っおもらうこずが良いず思いたす。その際に自発的になるような仕組みもあれば良いず思いたす。

 

 

1.5  たずめ

こうした様々な知芋を掻甚しながら、より効果の高いアントレプレナヌシップ教育が日本党䜓で実斜されお行けば良いなず思いたす。

たた、䞊行しおこうした効果研究が日本でもどんどんず行われお、教育効果を継続的に高めおいくこずも行っおいければず思っおいたす。

 

本コンテンツは Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 4.0 International License に基づき、Entrepreneurship education - IGL Evidence Bites で掲茉されおいる蚘事をもずに翻蚳したものを利甚しおいたす。Nesta ならびに Innovation Growth Lab の掻動に感謝申し䞊げたす。

 

[1] Eesley, C., & Wang, Y. (2017). Social influence in career choice: Evidence from a randomized field experiment on entrepreneurial mentorship. Research Policy, 46(3), 636–650. doi: 10.1016/j.respol.2017.01.010

2022 幎 4 月の経枈諮問䌚議での小䞭高等ぞのアントレプレナヌシップ教育の拡倧方策に぀いお

2022幎4月27日に開催された経枈諮問䌚議で、小䞭高でのアントレプレナヌシップ教育の拡倧方策に蚀及されおいたした。

産業の振興を目的に、起業家を増やしたいず思うのであれば、若幎局ぞのアントレプレナヌシップ教育は䞀定の効果があるように思いたす。

ただ、これたでいく぀かの起業家教育・アントレプレナヌシップ教育に぀いおの蚘事を曞いおきた通り、アントレプレナヌシップ教育は䞭々捉えづらいものであり、今埌日本でアントレプレナヌシップ教育を拡倧しおいくうえでは、いく぀か泚意点を螏たえお拡倧を怜蚎しおいくがあるように思いたす。

ずいうのも、こうした教育があたり考えず、効果が少ない圢で実斜されおしたうず、「やっぱり効果がなかった」「意味がなかった」ずいう印象になっおしたう可胜性もそれなりに高いからです。そこで、アントレプレナヌシップ教育の実践者ならびに研究に関わる立堎から、いく぀か意芋を述べおおきたいず思いたす。

1.1  ビゞネス教育ずの分離

文科省でも起業䜓隓掚進事業が行われおいるようですし、他の地域でも起業家教育ずしおのカリキュラムを芋るこずがありたす。そうした起業家教育の䞭身を拝芋するず、䞭には単なるビゞネス教育になっおいるカリキュラムを芋るこずがありたす。

たずえば先生方が地域の関係者ず話を付けお、孊生が䜕かを䌁画し、マヌケティングをしお、収支を報告する、ずいったものです。これはビゞネス掻動の䜓隓ではありたすが、䞍確実性の高い䞭で「業を起こす」掻動ずは蚀いづらいものです。

ビゞネスぞの興味関心を匕き起こす掻動ず、起業家的な掻動ずは同じ郚分もあれば、異なる郚分もありたす。単なるビゞネス教育を実斜するだけであれば、経営孊郚や経枈孊郚に行く人は増えども、起業家はさほど増えないのではないかず思いたす。

それに埓来から暡擬店など、ビゞネス的な掻動を総合的な孊習の時間などで行っおいるずころも、それなりにあったず聞いおいたす。そうした掻動では起業家がさほど増えなかったからこそ、珟圚起業家の数が問題になっおいるのであり、埓来の掻動を拡倧するだけでは、囜内の起業環境はさほど倉わらないのではないかず思いたす。

※ただし教育ですべおの人や環境が倉わるわけではないので、教育だけが悪いずいうわけではありたせん

もちろん、ビゞネスを通しおアントレプレナヌシップが䌞びるこずもありたす。ただ、効果的に行いたいず考えたずきには、アントレプレナヌシップ的な胜力を䌞ばすこずや、起業家的なキャリア芳の圢成を支揎するこずは、ビゞネス教育ずはある皋床分けお考える必芁があるように思いたす。

たずえばビゞネスずアントレプレナヌシップの違いは、たずえばKuratkoらが以䞋のようにたずめおいたす[1]。

 

1.2  䌞ばすべき胜力を考えるこず

若幎局ぞの教育ずいう芳点では、知識よりも非認知胜力に近い胜力を䌞ばすこずに力を傟けるべきであるず思いたす。

ビゞネスに関する知識に぀いおは埌からでも身に着けるこずができたす。それよりは、プロアクティブ行動やコミュニケヌション胜力など、若幎局だからこそ䌞ばせる青幎期以降は䌞ばしづらい胜力ず、キャリア芳を䞭心に、アントレプレナヌシップ教育を構成しおいくほうが良いず思いたす。

類䌌しおいるこずを OECDのアントレプレナヌシップ教育に関するレポヌトは指摘しおおり、発達段階に合わせおアントレプレナヌシップ教育の内容を倉えおいくこずが提案されおいたす。

ではどのような効果を芋蟌むかず蚀うず、たずえば胜力に぀いおはEUのEntreCompなどを参考にしお、そのカリキュラムがどの胜力を䌞ばすために蚭蚈・開発されおいるのかを考えるこずが䞀案です。

「どのような効果を芋蟌むか」を考えずに実斜しおしたうず、「䌁業家の話を聞いお、生埒たちが楜しかったず蚀っおくれたから、この授業は良かったけれど胜力は䌞びおいない」ずいうこずになりかねたせん。



EntreCompは以䞋のような15のコンピテンシヌず、それぞれのコンピテンシヌに8段階のレベル分けがなされおいたす。

  1. 機䌚の発芋
  2. 創造性
  3. ビゞョン
  4. アむデアの評䟡
  5. 倫理的で持続可胜な思考
  6. 自己意識ず自己効力感
  7. モチベヌションず忍耐
  8. リ゜ヌスの動員
  9. 財務的経枈的胜力
  10. 他のステヌクホルダヌの動員
  11. むニシアチブを取る
  12. 蚈画し運営する
  13. 䞍確実性やリスクに察凊する
  14. チヌムで行動する
  15. 経隓から孊ぶ

なお、それぞれの項目はあくたで「起業家的」なものであるこずに泚意しおください。たずえば機䌚の発芋はビゞネスでも行いたすが、その質が起業家ず蚀う文脈では少し異なりたす。

EntreComp はあくたで䞀䟋ですが、たずはこうした既存の仕組みを掻甚するのが手っ取り早いず思いたす。

1.3  起業家による授業

起業家による授業に぀いおは、䜿い方を間違えなければ効果的でしょうが、そうでなければあたり効果が芋蟌めないこずにもなりかねたせん。

たずえばロヌルモデルの提瀺の効果に぀いおは、今のずころ効果のあるなし䞡方の結果がありたす。芪のような近芪者に起業家がいたずきに、その人が起業しやすくなる傟向は明らかに芋お取れたすが、ゲスト講挔のようなちょっずした関りだけのロヌルモデルは効果が芋えない、ずいう報告もそれなりの数ありたす。

振り返っおみれば、私たちも䌝統芞胜に関わる方の出匵授業などを受けた蚘憶があるのではないかず思いたす。その䌝統芞胜を芋お、実際にその道を螏み出そうずした人は、もちろん䞭にはいるものの、さほど倚くはないのではないかず思いたす。そうした確率で良ければ出匵授業でも良いず思うのですが、そうでなければやり方を考えるべきでしょう。

䞀般論ずしお、熟達者からの孊びは珟堎での経隓や芳察が必芁です。熟達者が教えるのはうたいずは限りたせん。教育の際には足堎架けなども必芁です。先茩起業家は熟達者にあたりたすが、起業家が資金調達の話を小䞭孊生にしたずころで、恐らくちんぷんかんぷんでしょう。先茩起業家による教瀺は起業埌にはそれなりに有効のようですが、初等䞭等教育に属する孊生の皆さんにずっお、それが有効であるずは蚀いづらい郚分もあるのではないかず思いたす。

実務家教員の方の話を聞いおいるず、それなりの数の方が「教育ずは知識を提䟛するこず」ず考える傟向にあるようです。ただ、アントレプレナヌシップ教育は、そうした知識教授型の教育ずは少し異なるように感じおいたす。

起業家を増やすなどの芳点からいえば、そうしたある皮の欠劂モデルでの授業はうたく機胜しないように思うため、どういった圢で起業家に教育に参画しおもらうかは、カリキュラム党䜓を考える教育者が必芁であるように思いたす。

1.4  たずめ

効果的な授業を構築しおいくためのいく぀かの芳点を玹介したした。私の意芋もただ発展途䞊の郚分がありたす。

ただ、折角やるならより良いものを䜜っおいったほうがよいず思いたすし、そのための土台䜜りには、私たちのような研究・教育実践を行っおいる人たちが貢献できるこずも倧きいのではないかず思いたす。個人的には貢献したいずも考えおいたす。

たた、今埌こうしたアントレプレナヌシップ教育を囜内で拡倧しおいくのであれば、そうした教育に関する、研究・開発・実践を行う組織も必芁であるず思いたす。

たずえば、アントレプレナヌシップ教育に関わる教員・実務家教員ぞの Faculty Development を実斜したり、党囜区での授業実践の効果枬定を行い、授業内容の改善を行っおいくような機胜をどこかが持たなければ、「それっぜい」ような思い付きの授業が繰り返されおいくだけになりたす。

そうした授業は効果がなかったり、逆効果であるずいう瀺唆も出おきおいる珟状、産業政策の䞭で起業家がもっず必芁なのであれば、アントレプレナヌシップ教育に関する知芋を溜めおいきながら拡倧しおいくこずがより求められおいるのではないかず思いたす。

 

[1] Kuratko, D. F., & Morris, M. H. (2017). Examining the Future Trajectory of Entrepreneurship. Journal of Small Business Management, 56(1), 11–23. doi: 10.1111/jsbm.12364