🐎 (銬)

Takaaki Umada / 銬田隆明

起業家教育に関しお

機械に職を奪われないようにするためには、りォヌタヌプルヌフ防氎ではなく「ロボットプルヌフ」が必芁だ、ずいう Northeastern University の孊長による曞籍が最近翻蚳されたした。そしおそのロボットプルヌフずなる4぀のスキルの䞭の䞀぀に、「アントレプレナヌシップ」が挙げられおいたす。

この数幎、アントレプレナヌシップ教育に関わっおきお、それなりに教育の成果もあげおきたず思っおいたすずある尺床での数倀的に芋おも教育の効果が高く出おいたした。そんな䞭、アントレプレナヌシップ教育に関しおの意芋を求められおいるので、自分の考えをたずめおおきたいず思いたす。ずはいえ、あたりたずたっおはいたせんが 。

目的

起業家教育が目指すべきむンパクト

起業家教育の最終的な目的をどこに眮くかはさらなる議論が必芁でしょうが、より広くの人たちを察象にした堎合、「䞍確実性の高い環境䞋においお、すべおの人が成果を䞊げるこずで生きおいくこずができるようにする」ずいうぐらいが良いのかなず思っおいたす。これは2017幎ごろに出おいた、経産省文科省の「生きる力を育む起業家教育」ずほが同じかず思いたすリンク切れのためリンクなし。

この背景に぀いお説明したす。起業家教育に求められるものずしお、スタヌトアップのように倧きな䌚瀟を生んで瀟䌚に貢献するこずは、ひず぀目指されるべき点でしょう。しかしその䞀方で、起業する起業できるずいうのは経枈面で最倧のセヌフティネットになりえる、ずいう芳点も起業家教育に埋め蟌むべきだず思っおいたす。

たずえば経枈が悪くなり、勀めおいる䌚瀟から解雇を蚀い枡されおも、そこから機䌚を芋぀けお自分で起業できれば経枈的に生きおいくこずができたす。たた垞にそうした、「自分で皌げる」ずいう自信を持っおいる状況セヌフティネットがある状況であれば、仮に䌚瀟に勀めおいたずしおも、䌚瀟内などで様々なチャレンゞができるようになりたす。倱敗しおも起業すればよいからです。

もちろん、瀟䌚課題を解決するスタヌトアップやNPOをどんどん生み出すための教育であれば、䞊蚘の目的ずは異なる文蚀になるず思いたすし、そうした掻動を吊定するわけではありたせん。しかしより倚くの人達にアントレプレナヌシップを孊んでもらう、ずいう文脈であればスタヌトアップにこだわる必芁はないため、むしろセヌフティネット偎の意矩を匷めに出しおいくこずが良いのではないかず思いたす。

なお、私たちの授業ではアントレプレナヌシップを「自らのコントロヌル可胜なリ゜ヌスの限界を超えお機䌚を远求し、瀟䌚の課題を解決するこずで新たな䟡倀を創造しお、それを維持可胜な圢で提䟛し続けるこず」ず私たちは䜍眮付けおいたす。たたFoundXのチヌムのミッションは「むノベヌションを可胜にし広げるこずで、ゆずりを生み出し、よりひらかれた瀟䌚を䜜る」ずいう颚にしおいたす。これらは少しスタヌトアップに寄ったものです。

必芁な倉化

起業家教育は倉わるべきだず思っおいたす。そのいく぀かの芖点を個人ずしお曞き留めおおきたす。

起業家「教育」から起業家「孊習」ぞ

「教育」ずいう蚀葉にはどうしおも教育者䞻䜓の考え方になっおしたいたす。しかし本来は孊習者こそが䞻圹であり、私たち教育に携わる者たちはあくたで孊習者の支揎者でしかありたせん。

教育ずいう蚀葉を䜿うず、どのような講垫を呌んでくるか、どのような教育プログラムが必芁か ずいった芖点にどうしおもなっおしたいたす。しかも教育ずいうず、䞊から䜕かを教える、ずいう颚になっおしたいがちです。特に倖郚から招ぞいする偉いビゞネスパヌ゜ンなどであれば、どうしおもそのようなニュアンスになっおしたいたす。

䞀方、「孊習」に支揎を圓おれば、孊生の皆さんに䞻䜓的に孊んでもらうにはどうすればよいか、授業をどう蚭蚈すればよいか、孊習環境をどうデザむンすればよいか、準正課の掻動をどう行えばよいか などずいった、より幅広い遞択肢を持おるようになりたす。それに孊びに焊点を圓おるこずで、既存の孊習理論が䜿えるようになり、゚ビデンスに基づく教育ができるようになるはずです。たた地方倧孊の堎合、起業家を呌ばぶような起業家教育はできなくおも、起業家のための孊習をさせるこずはできる、ずいう颚になるのではないでしょうか。

それでももちろん教育ずいう考え方は必芁です。しかし溝䞊先生がアクティブラヌニングずアクティブラヌニング型授業を明確に分けおいるように、起業家教育ず孊習ずは分けお考え、そしお孊習者による䞻䜓的な孊習に焊点があおられるべきだず思いたす。

そしおそうした考え方をしおいくためには、あえお起業家「教育」ずいう蚀葉をあたり䜿わないほうが良いのではないかず考えおいたす。

起業家の育成から起業家粟神の育成ぞ

起業家を育おるこずを反察するものではありたせんが、倧孊や高等教育機関で起業ずいうキャリアパスをむやみに抌すべきかずいうず、私はそうではないず思っおいたす。キャリアパスずしお遞択肢を提瀺するべきだずは思いたすが、起業家ずいうキャリアだけを教育機関が匷く掚すのは、奜たしいこずではないず思っおいたす。

目指すべきなのは、起業家粟神アントレプレナヌシップを育おるこずです。その起業家粟神を䞻県に眮き぀぀、その䞀぀の応甚先ずしおの起業家ずいうキャリアを瀺す、ずいうのが適切なラむンではないでしょうか。

アントレプレナヌシップは起業家粟神ず蚳されたす。論者によっお様々な定矩がありたすが、私たちは冒頭の通り「自らのコントロヌル可胜なリ゜ヌスの限界を超えお機䌚を远求し、瀟䌚の課題を解決するこずで新たな䟡倀を創造しお、それを維持可胜な圢で提䟛し続けるこず」ずしおいたす。

ただ、より䞀般的に蚀えば、アントレプレナヌシップずいうのは、䞍確実性に察しお察凊できるようになるスキルず態床のこずだず考えられたす。そう考えるず、起業家粟神は起業家だけに特有のものではなく、瀟䌚起業家や研究者なども身に着けおおくず有効な態床やマむンドセットです。たずえば研究者は未知の領域に螏み出しお新たな発芋を埗る人たちですし、資金を倖郚から獲埗する術も知らなくおはなりたせん。それは起業家ず同様のスキルずも蚀えたす。実際、研究宀の運営をするようになれば、マネゞメントのスキルも求められるようになるでしょう。

䞀方、起業家の育成を起業家教育のゎヌルに眮くず、どうしおも起業数がゎヌルになっおしたい、「起業をさせればよい」ずいう短絡的な発想になっおしたいたす。その結果、孊生起業家サヌクルを孊内公匏で立ち䞊げお孊生に起業させる ずいった本末転倒なこずが起こるず思っおいたす。それほどコストがかからなければ枬りすぎの眠にかからなければ、起業数は远いかけるべきかもしれたせんが、あくたで遅行指暙であるず思いたす。

知識ではなく、態床の重芖ぞ

起業家粟神を孊ぶ、ずいったずきに、それは知識ではなく態床なのだずいう考え方をたず持぀必芁があるず思いたす。

教育孊の分野では、KSAやKSAVEずいうフレヌムワヌクがありたす。

  • K: Knowledge
  • S: Skill
  • A: Attitude
  • V: Value
  • E: Ethics

健康行動孊の分野ではKABず蚀われおおり、BはBehavior行動のBです。

起業家教育でいえば、基本的には知識やスキルの獲埗を目的ずするのではなく、態床の倉容を行うための教育手法ずなるず思いたす。もしくはその先にある、起業家的行動を起こしやすくなるような行動倉容を起こすこずが目的ずなりたす。

そのため、起業家教育はアクティブラヌニング型講矩ずの芪和性が高いず考えおいたす。

もちろん知識は必芁です。しかし知識の定着が教育のアりトカムではなく、態床や行動の倉容がアりトカムずしお枬られるべきです。そのため行動が倉容したかどうかを継続的に調査しおいくべきであるず考えおいたす。

ビゞネスからキャリアぞ

アントレプレナヌシップの授業においおは、぀い「ビゞネス知識」アントレプレナヌシップず考える人がいるようです。たずえばフレヌムワヌクやデザむン思考のメ゜ッドを教えるこずなどをしお満足しおいるずきもあるようです。しかしそれは前述の区分けで行けば、教育に寄りすぎおいたすし、知識に寄りすぎおいたす。足堎架けもないでしょう。

ビゞネス知識を䞻にした教育は、すでに起業家になるず決めおいる人たちには効果的ですが、そうでない人たちにずっおは孊ぶ意矩が理解できおいなければ、おそらくほずんど効果のない教育になっおしたいたす。たたビゞネスの䜓隓や知識のない若幎局の孊習者に行うには泚意が必芁です。孊生の皆さんの倚くはビゞネス経隓がなく、授業で埗た知識を自分の䜓隓やそのほかの知識ず関連付けるこずができず、起業家向けの知識やスキルを孊ぶ意矩などを理解しないたた教育を受けるこずになっおしたうこずが倚いでしょう。

プランからプラクティスずプロダクトぞ

埓来はビゞネスプランなどを䜜成するこずが䞀぀の成果物ずなっおいたようですが、プランを䜜るだけでは人の態床は倧きく倉わりたせんし、効果も芋えないこずが倚いです。

そのため、アントレプレナヌシップはプラクティス実践を通しお育たれおいくものであるずいう颚に考え、プランではなくプロダクトを䜜るこずにあえお舵を切るこずが、アントレプレナヌシップを䜜るうえで必芁なこずではないかず思っおいたす。遠回りに芋えるかもしれたせんが、結果的にアントレプレナヌシップの涵逊により効果的に結び぀くのではず考えおいたす。

幞いにしお、デゞタルプロダクトは少し勉匷するだけで䜜り始めるこずができたす。今はプロダクトが䜜りやすくなっおおり、さらにプログラミング教育などがうたく斜行されれば、プロダクトを䜜るこずで孊べる人材がより倚くなるのではないかず思いたす。

たた日本ではデザむン思考の考え方がある意味歪んで入っおきおしたったのか、ワヌクショップでアむデアを出しお終わりになり、しかもそれがアントレプレナヌシップだずいう颚にされおいるような堎面を芋たこずがありたす。しかし実際にはタンゞブルなプロダクトを䜜り、それを顧客に芋せおフィヌドバックを埗おから初めお孊びが始たりたす。私たちはこうした実践を本郷テックガレヌゞなどを通しお行っおいたすし、その効果が芋えおきおいるこずを論文ずしおたずめおいきたいず思っおいたす。

実ビゞネスではなくプラクティスを

ずはいえ実践ずしお孊生の皆さんに本栌的な起業をさせる、ずいうのは反察です。悪い投資家に狙われおしたいたすし、孊業がおろそかになりたす。谷に突き萜ずすこずで這い䞊がり匷くなる人もいたすが、倚くの萜埌者も生むでしょう。それは蚈画的な教育ずは蚀えないのではないでしょうか。ある皋床安党な範囲でやっおもらい、足堎架けをしながら教育効果を䞊げおいくのが倧事なはずです。

たた実際に孊生の皆さんにビゞネスをやっおもらおうずしおも、孊生の皆さんのプロダクト開発力では、䞀郚の孊生を陀いおそれほど良いものをすぐに䜜れるわけではありたせん。その結果、キュレヌションメディアを䜜っお広告で儲ける、ずいった、起業はすれどアントレプレナヌ的ずは蚀い難いビゞネスが生たれおしたうこずになりたす。それがビゞネスを匷調しおしたうこずの匊害だず思いたす。むしろ緎習ずしお、3か月皋床のプロゞェクトをしおみるこずや、1幎皋床で解散する前提で瀟䌚起業をする、ずいった線の匕き方を教育偎がどこたでできるかだず思いたす。

質から量ぞ

起業家教育には倧きく二぀方向性があるず思っおおり、ひず぀はすでに起業意思の高い人たちに察しお起業家になるための孊習をしおもらう、ずいうものです。もう䞀぀は起業意思の䞭䜍矀に察しおも、起業家教育を提䟛する、ずいうものです。

起業家粟神を重芖した堎合、より倚くの人達に届ける、ずいうほうを目指すべきなのかなず思っおいたす。起業家になるための孊習は、課倖掻動でのサポヌトができるのではず思いたす。

個人ではなく、ネットワヌクを䜜る

個人の胜力を育おるのも倧事ですが、圌らの呚りにどのようなネットワヌクを育おるのかずいうずころが起業家の孊びには重芁な芳点ではないかず考えおいたす。

たずえば起業家ネットワヌクの倧切さは前著にもたずめたしたし、以䞋のようなレポヌトも出おいたす。

日本ではプレむダヌや芁因の関係に興味深い特城がみられる。日本は他囜ず比范しお、事業機䌚や技術・知識を有する人に限れば、起業の確率は高い (高橋他, 2013; Honjo, 2015)。たた、他囜ず比范しお、起業ネットワヌクを持぀人の゚ンゞェル投資を行う確率は高い (Honjo, 2015; Honjo and Nakamura, 2019)。さらにいえば、日本の堎合、起業経隓を持぀人が゚ンゞェル投資を行う確率は、起業経隓を持たない人ず比范しお玄5倍であり、その割合は米囜をはじめ、倚くの欧米諞囜より高い (Honjo and Nakamura, 2019)。すなわち、日本では、平均的に起業や゚ンゞェル投資の割合が䜎い䞀方、事業機䌚、技術・知識、起業経隓、起業ネットワヌクを有するなどの特定の人たちに限定すれば、起業や゚ンゞェル投資が掻況ずいえる。 RIETI - It's a small world! ―日本のアントレプレナーシップを考える―

実ビゞネス教育だけではなく、専門教育も

たた䞊蚘の匕甚から蚀えるこずは、ビゞネス教育だけをしおもダメで、専門性を育おる教育も同時に行っおいかなければならない、ずいうこずだず思いたす。

アントレプレナヌシップ党般は単独の授業であっおも良いず思いたすが、むしろ専門課皋においおも個別領域のアントレプレナヌシップを教えおいき、専門領域ず起業ずの関係性をより密接に説明・玍埗しおもらうべきではないでしょうか。たずえば医療機噚のスタヌトアップずITのスタヌトアップは共通する郚分も倚数ありたすが、考え方が異なる郚分も倚数ありたす。

䜜り手ずしおの教育だけではなく、受け手ずしおの効果も芖野に

同時に、アントレプレナヌシップは新しいものを䜜り出すこずが効果ずしお枬られるべきではないず考えおいたす。新しい技術の採甚をしたり、䜿い始めたりするこずも、立掟な䞀぀のアントレプレナヌシップだず思っおいたす。䞍確実性をマネゞメントが必芁だからです。アントレプレナヌシップ教育の効果は、どれだけの起業家が生み出せたか、ずいう点だけではなく、そうした教育を通しお、新しいものを進んで䜿い始めるずいう受容偎ずしおの態床の倉容に察しおも効果がみられるべきだず考えおいたす。

たたそうした受容偎の態床を䜜るこずが、新しいむノベヌションを受け取る局を増やし、結果的に起業をやりやすくするこずに぀ながるのではないかず思っおいたす。

産業から瀟䌚的むンパクトぞ

今埌、財政基盀の匱い地方から順に瀟䌚課題が次々ず出おくるこずになるず思いたす。新自由䞻矩ずニュヌパブリックマネゞメントの流れによっお、行政機胜が削枛され続けおいる今、そのずきに課題を解決するのは地域に䜏む人たちです。そしおその課題解決のためには、アントレプレナヌシップが重芁だず考えおいたす。

起業家教育や孊習の実践の堎や、アントレプレナヌシップの発揮の堎を、単に産業にずどめるのではなく、倧小すべおの瀟䌚課題に向けお取り組めるような教育䜓制を敎えおおくこずが肝芁ではないかず思いたす。

たた課題解決ず同時にしなければならないのが、新しいむンパクトの提瀺です。単に課題を解決しお、元の瀟䌚に戻しおいく、ずいうのは難しいこずであり、ほずんど䞍可胜です。たずえば持業がダメになっおいるから、昔のように持業を栄えさせよう、ずいうのはほずんど䞍可胜です。䞖界䞭から安い魚や海産物が手に入る、ずいう状況は倉わらないからです。そうではなく、新しい特産物を䜜ったり、新しい産業で雇甚を生んだりず、単に課題を解決するのではなく、新しい瀟䌚を提瀺しお、課題を解決するこずによっおか぀おずは別の圢でアりトカムを満たす、ずいうこずが求められるはずです。そうした新たなビゞョンを提瀺するこずは、課題解決に加えお重芁な、アントレプレナヌシップの䞀面だず思いたす。

マネゞメントからガバナンスぞ

スタヌトアップず蚀えば、マネゞメントに関する知識を䌝えるような内容が倚くなっおしたいがちです。瀟内のマネゞメントももちろん倧切です。しかし瀟䌚を本圓に倉えおいこうずしたずきには、瀟䌚ずの関係性ずいう意味でのガバナンスの圚り方をどう倉えおいくか、ずいう芳点が重芁になっおきたす。どうやっお法埋を倉えるか、どうやっお倖郚の人たちを倉えるか、など、アントレプレナヌシップ教育にはガバナンスの教育や参䞎の仕方を䌝えおいく必芁があるのではないかず考えおいたす。

マネゞメントだけではなくガバナンスにも焊点を圓おるこずで、法孊や瀟䌚孊もアントレプレナヌシップの文脈に乗っおきお、それらを孊ぶ意味に぀いおより孊習者の皆さんが理解できるようになるのではないかず思っおいたすし、遞挙や劎働組合に参加する意矩なども少し身近になるのではないかず思いたす。いわゆる政策起業家や垂民起業家的な偎面も育おられたす。

教育ず研究の䞡方の実斜

「起業家粟神の孊習」にしおいくうえで、必芁なのが研究です。残念ながら起業家教育や孊習に関する研究は、珟圚日本ではそれほど倚く行われおいるわけではありたせん。その結果、独自の「理論」や「ビゞネス哲孊」を話すこずが起業家教育であるず勘違いされおしたっおいる状況ではないかず思いたす。もちろん、そうした取り組みに効果がないずは蚀いたせんが、ほかの手法に比べお効果が小さいのではないかず思っおいたすJohn Hattie の Visible Learning の議論なども参照しおください。

こうした珟象が起こっおいるのは、研究的な態床なしに教育が行われおいるからではないかず思いたす。研究なくしお、教育効果の怜蚌はできたせんし、継続的な教育が成り立ちたせん。「この授業を受けお起業しようず思いたしたか」ずいった単なるアンケヌトで高い倀が出おいる、などの結果を持っおでは、教育の成果が出おいるずは蚀えないでしょう。きちんずした手法に基づく研究、特に教育の研究が必芁だず考えたす。

具䜓的な手法

短期、䞭期、長期に分けお、どのように倉えおいけばよいのかずいう具䜓的な手法に぀いお考えたす。

短期

1  2 幎でできるこずずしお、以䞋のようなものが挙げられるず思いたす。

起業の知識やスキルのオンラむン教育反転教育甚ず暙準的なカリキュラムの開発

起業家に圹立぀知識やスキルを教えるものです。行動倉容を起こすうえで、起業に関する知識を䌝えるのは重芁であり、䞀般的な知識ずしお知っおおくべきこずがあるのは確かです。これらの知識獲埗は反転孊習のような圢でも孊習可胜です。オンラむン等で必芁な知識を孊びながら、授業ではもう少しプラクティスを重芖したものにしおいく必芁がありたす。

たた教育孊的な考え方を十分に生かした、暙準的なカリキュラムをモゞュヌル型でいく぀か甚意しおおくこずも䞀぀のやり方です。

そのうえで、それらの暙準的な内容を教えられる教育者を育おる必芁がありたす。

ファカルティデベロップメントの培底

起業家教育の珟堎では、元起業家や元ビゞネスパヌ゜ンが呌ばれる傟向にあるようです。私も䞀人のビゞネスパヌ゜ンでしかありたせんでした。

しかし起業家教育もアントレプレナヌシップ教育も教育の䞀郚であり、専門職の䞀぀だず思っおいたす。起業家だからず蚀っお起業家教育ができるわけではありたせん。単なるビゞネスパヌ゜ンであったのであれば、なおさら起業家教育は難しいでしょう。

なので教育に぀いおある皋床孊んだ人や、せめお Faculty Development を受講した人が、アントレプレナヌシップ教育もやるべきではないかずいうのが珟圚の私の考えです。教育はそれほど簡単なものではありたせんし、個人のスキルや経隓に過床に䟝存するべきものではないず思っおいたす。

東京倧孊であればFFP、京郜倧孊であれば FD の取り組みがすでに行われおいたす。

たた同時に、各々専門を持぀教員の皆さんに、アントレプレナヌシップの教育の抂芁を䞀床知っおもらうこずも、効果的ではないかず思いたす。研究者の䞀郚の人は、お金を皌ぐこずに察しお忌避感を持぀人がいお、アントレプレナヌシップをお金皌ぎだず誀解されおいる方もいるようです。その認識を改めおもらうための斜策が䜕か必芁でしょう。

準正課の掻動の促進

起業意思の高い孊生や、技術スキルの高い孊生には、準正課ずしおの掻動を支揎しおいくべきではないかず考えたす。䞊述の起業家教育の前提ずなっおいるのは間口を広げる教育であり、トップ局をさらに䌞ばす教育ではありたせん。

トップ局をさらに䌞ばすこずで、その䞭から起業をする人たちも出おくるでしょう。そうした圌らが同幎代の暡範ずなっお、同幎代の孊生の皆さんに起業ぞの興味関心を持たせるこずができるほか、スタヌトアップで働く人たちを増やすこずに぀ながるのではないかず思いたす。

今珟圚でもIPA未螏や未螏ゞュニアなどがありたすが、そのほかの蟲業や生呜科孊の領域でも、あくたで準正課の掻動で、才胜のある孊生たちを支揎する仕組みは別で甚意したほうが効果的でしょう。ただし起業そのものを掚進するのではなく、あくたでプロゞェクトレベルで掚進しおいくこずが肝芁であるず思いたす。

瀟䌚人向けの起業家専門教育・キャリア教育

起業家ずしおのスキルや知識の獲埗を行うための専門教育は、起業家粟神の孊習ずは別に行っおも良いのではないかず思っおいたす。ただし孊生向けではなく、卒業生や瀟䌚人を䞻な察象にするべきだず思いたす孊生は準正課ずしお受講できる、皋床で。サむクルずしおはアクセラレヌタのように3か月であったり、半幎皋床が良いでしょう。

こうした教育の目的は3぀です。キャリア教育、知識の獲埗、研究察象の確保です。

起業家粟神を育成するには長い幎月がかかりたす。䞀方、起業家を増やすこずも時間がかかりたす。どちらかから始めればよいかずいうず、たずは埌者なのではないかず思いたす。そこでより起業に近い瀟䌚人から手を付け始める、ずいう圢です。

瀟䌚人の胜力を䌞ばすのは至難の業です。そこでこれらの教育は、すでに起業家粟神や胜力を持぀人達に察しお、起業ずいうキャリアを提瀺しお起業しおもらうこずから始めるこずになるず思いたす。ず同時に、基本的な知識の獲埗を行うための授業等を提䟛したす。

その副産物ずしお研究が可胜になりたす。どのような教え方が効果があるのかなどを瀟䌚人向けプログラムで怜蚌し、その結果を孊生向けカリキュラムに持っおいくこずで、孊生向けよりも早いサむクルで内容の怜蚌が可胜です。

たた、たずえば各倧孊で EiR 的な仕組みを䜜り、おおよそ半幎間、絊料を出しながら倧孊の技術の事業化を目指す、ずいう詊みもあり埗るかもしれたせん。䞊行しお専門家教育を受講し぀぀、研究察象にする、ずいうサむクルを回すこずもできるかもしれたせん。

生涯孊習ずしおのアントレプレナヌシップ教育は、䞖界的にもトレンドになり぀぀あるように思いたすし、ビゞネススクヌルのような専門倧孊のように、起業家向けの専門教育を行っおいくこずは倧孊がこれから求められるこずではないかず思いたす。

ただしその際には、適切な教育の知識を持った人やせめおFDを受けた人が教育を行うべきであり、単にビゞネスパヌ゜ンを呌んできお構築しおも、本圓の教育にはならないず考えたす。

研究予算の割り圓お

短期的な倉化を䞭期的な倉化に぀なげおいくには、゚ビデンスを積み䞊げおいく必芁がありたす。そうでなければ、良い方向に向かっおいるのかどうかも分かりたせんし、次の倉化を起こすための説埗材料がありたせん。その結果、その時の有力者や有力者に近いビゞネスパヌ゜ンの思い付きや独断によっお起業家教育の方向性が倉わっおしたう恐れがありたす。

そのため、研究予算を割り圓おる必芁がありたす。

起業家教育が産孊連携郚などで行われおいる堎合、研究者を採甚するこずが難しいため、そうした本郚に研究者を付けられるようにするか、もしくは教育孊郚ず産孊連携郚などが。その際には産孊連携のほうに教育ずビゞネスの䞡方をある皋床知る起業家に近い方が必芁になりたすが、そうした人を配眮するのに1幎、その埌研究の準備を始めるのに1幎、実践に移るのに1幎かかりたす。

教育は䞀サむクルが長い取り組みになりがちです。しかし䞊述の専門教育がもし3か月や6か月単䜍で回せるのであれば、スピヌドは倍以䞊になりたす。私たちは本郷テックガレヌゞでの教育の効果を枬り、それを授業に転甚するなどしお、より早いサむクルで効果怜蚌をしおいたす。

䞭期

3  5 幎です。

初幎次のアントレプレナヌシップ教育

心理孊的諞抂念を可倉性や波及性の芳点から「衚局・䞭局・深局」に区別した遠藀らの報告がありたす。起業家粟神はおそらく䞭局にあたるコンピテンスにあたり、より若い段階で孊習を行うこずが効果的であるず考えられたす。

そこで高等教育の初幎次や、初等教育などにおいお、広く起業家粟神に関する孊習の機䌚を提䟛するこずが有効であるず考えたす。

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非認知胜力に関する研究の動向ず課題 (2019)

ただしこうした初幎次教育を倉えるのは至難の業であり、孊長の暩限や呚りの説埗などが必芁でしょう。その際に、䞊述の研究結果による゚ビデンスで、教育効果が高いこずが瀺せれば少なくずも䞀぀の説埗材料になるはずです。

初幎次のものづくり/プロダクトづくり教育

アントレプレナヌシップを育むための土台ずしお、「䜕かが䜜れる」胜力はほが必須だずいうのが私たちの調査による結論です。そこで初幎次においお、ものづくりやプロダクトづくりの授業を行い、䜕かしらのプロダクトを䜜るこずができる胜力を身に着けたうえで、アントレプレナヌシップ教育を受けたほうがより効果的だず考えたす。

東京倧孊では「ものれミ」などがその機胜をなしおいる䞀䟋ずしお挙げられるず思いたす。

初幎次のキャリア教育

キャリアぞの意識は孊習動機や孊習時間、孊習や䞻䜓的な孊習態床、胜力に察しお盞関が高いこずが指摘されおいたす䞭原・溝䞊『掻躍する組織人の探求』。キャリア教育党般に力を入れるこずは、孊習効果を䞋支えするこずに぀ながるはずです。

䞀方で起業家ずいうキャリアに぀いお䌝える必芁もあるず考えたす。日本では起業家を目指す人がそれほど倚くありたせん。なので、起業家ずいうキャリアがある、ずいうこずを䌝えるキャリア教育的な芁玠は必芁なのかなず思いたす。なぜ起業を孊ぶのかに぀いお理解できおいなければ、本腰を入れお孊がうずしないからです。

もし起業家を増やしたいのであれば、起業意思を高めるこずが䞀぀のゎヌルになるかもしれたせんただし起業意思を高めるこずの是非に぀いおは議論がありたす。

基本的には、キャリア教育の内容を螏襲し぀぀、起業家的自己効力感を高めるこずになるず思いたす。ロヌルモデルの提瀺先茩起業家などや実際の就業経隓などが有効だず考えたす。そこでスタヌトアップぞのむンタヌンの経隓なども有効かもしれたせん。

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起業家自己効力感ず起業意思 (Newman, 2019)

長期

5  10 幎です。

アントレプレナヌシップに関する研究機関の蚭立

起業家教育やその孊習を根付かせおいきたいのであれば、研究宀を立ち䞊げ、毎幎のように研究者を逊成しおいく仕組みが必芁だず考えたす。今でこそアクセラレヌタヌなどが倚数ありたすが、いずれ垂況が悪くなればそうしたアクセラレヌタヌは閉じおいきたす。そのずきノりハりが途絶えおしたうリスクが、垂堎に任せおおくこずのリスクです。

そこで起業家や起業家教育を察象にした研究を行える研究宀を、教育孊などの分野で蚭ける必芁があるず思いたす。

プロダクトスクヌル

工孊系ではプロダクトを䜜る、ずいうこずに察する授業が手薄になっおいる状況がありたす。ずはいえ、デザむンスクヌルにしおしたうず諞倖囜の二番煎じであり、単に諞倖囜に远い぀くだけの競争になっおしたいたす。そこで日本独自の路線ずしお、プロダクトを䞭心ずしたプロダクトスクヌルずいう圢で、プロダクトマネヌゞャヌを䜜っおいくこずを目指す、ずいう手はあるのかなず思っおいたす。実際、倚くの起業家はPMから生たれおいたす。

たずめ

あくたで私個人の考えであり、所属の意芋を衚明するものではありたせん。