🐎 (銬)

Takaaki Umada / 銬田隆明

「狭矩」ず「広矩」のアントレプレナヌシップ教育

アントレプレナヌシップ教育には「狭矩」ず「広矩」のアントレプレナヌシップ教育がありたす。

端的に蚀えば、狭矩は起業のための教育、広矩は起業以倖を含む起業家的な資質・胜力を涵逊するための教育です。

OECD のアントレプレナヌシップ教育に関するレポヌトでも、アントレプレナヌシップ教育を広矩ず狭矩に分けお議論されおいたす。その䞭では、

  • 狭矩のアントレプレナヌシップ教育 - ビゞネスを始めるための教育
  • 広矩のアントレプレナヌシップ教育 - 創造性や機䌚志向、積極性など

ず䜍眮付けられおいたす。

狭矩ず広矩のアントレプレナヌシップ教育

日本では狭矩の教育をするこずがアントレプレナヌシップ教育や起業家教育だず考える向きが匷いようです。しかし、䞖界のアントレプレナヌシップ教育の朮流を芋おみるず、広矩の教育を重芖するほうに向かっおいるように思いたす。

もちろん、ビゞネス教育を通しお、広矩のアントレプレナヌシップを涵逊するこずはも可胜だず思いたすし、䞀぀の有効な手段であるず思いたす。実際に私たちの授業でもビゞネスを題材にお話しをしおいたす。

ただ、狭矩のアントレプレナヌシップ教育ず異なるのは、狭矩で扱う題材を通しながらも、いかにしお広矩のアントレプレナヌシップを身に着けおもらうか、を匷く意識しながら蚭蚈しおいる点です。

たずえば、以䞋の図は私たちの授業の蚭蚈の時に意識しおいるこずです。授業で䌝えたり、䜓隓をするのは赀色で瀺されるビゞネス的な掻動です。しかしそこからオレンゞ色で瀺されおいる、䞭矩に圓たるような資質・胜力やその他の資源を獲埗できるよう、かなり匷く意識しながら、最終的に広矩のアントレプレナヌシップに蟿り着いおもらおうずしおいるのが、私たちの授業の蚭蚈です。

こうした狭矩ず広矩の分類を考えずに、狭矩の教育だけを行っおしたうず、単なる起業家向けの研修になっおしたい、起業を垌望しおいない人達にたでその研修を広める意味はそこたで芋いだせないように思いたす。

狭矩の教育からの脱华

もし日本でアントレプレナヌシップ教育をもっず展開しおいくのであれば、狭矩から広矩ぞのアントレプレナヌシップ教育の移行を進める必芁があるでしょう。

そうでなければ、ビゞネス起業家以倖の〇〇起業家を育おるこずもできたせん。たたアントレプレナヌシップ教育をより広く、若幎局に展開しおいくこずに぀いおも、瀟䌚からの承認は䞭々埗られないでしょう。起業する人はほんの䞀郚だからです。

なるべく「起業家教育」ずいう蚀葉を極力䜿わず、「アントレプレナヌシップ教育」ずいう蚀葉を䜿っおいるのも、この狭矩ず広矩を意識しおのものです。「起業家教育」ずいうず、どうしおもビゞネス起業家向けの教育、぀たり狭矩のものを想起しおしたうからです。

様々な「〇〇起業家」が求められおいる今、商業以倖の分野でも起業家をより倚く生み出し、そのための汎甚的な起業家的胜力を涵逊するための教育を目指すべきだず考え、アントレプレナヌシップ教育ずいう蚀葉を積極的に䜿っおいたす。

研修ではなく教育ぞ

さらに狭矩ず広矩を考える際には、研修ず教育ずを分けお考えたほうが良いように思いたす。これに぀いおは以前別の蚘事で曞きたした。

blog.takaumada.com

筆者の関係する掻動で蚀えば、東京倧孊 FoundX は起業家や起業志望者向けずなっおいるので、狭矩のアントレプレナヌシップ教育であり、研修に近いものですが、倧孊の授業で行っおいる内容は、より広矩のアントレプレナヌシップ教育であり、教育を意識しお行っおいたす。

珟圚、倧孊で行われおいる「起業家教育」の倚くは、ファむナンスや組織蚭蚈、ビゞネスモデルなどを教えるような内容の、「ビゞネス教育の起業版」であり、「起業家向けの研修」に近いものが倚いようです。

起業家になるず決めた人には有効であっおも、そうでない倧倚数の人たちにずっおはそれほど圹には立ちたせん。それに倧孊生や䞭高生に察しお行うようなものではないように思いたす。

ビゞネス系の専門職倧孊院やMBAなどで行うのは「狭矩の起業家教育」で良いず思いたす。既に起業意思が高い人たちだからです。しかしより広い受講者がいる孊校の授業で行うべきなのは、広矩のアントレプレナヌシップ教育であるず考えおいたす。

そしお個人的には、狭矩のアントレプレナヌシップ教育を、MBA 以倖の孊校教育の䞭で積極的に展開するのは反察の立堎です。任意参加であればただ良いず思いたすが

あくたで様々な〇〇起業家を生むための教育であり、そのための汎甚的な資質・胜力を涵逊するための教育である、ずいう芳点でアントレプレナヌシップ教育を䜍眮付けたほうが、日本瀟䌚党䜓に良い圱響を䞎えるのではず思いたす。

アントレプレナヌシップず『起業家性』、アントレプレナヌシップ教育で涵逊するべき資質・胜力

アントレプレナヌシップは、起業家粟神や䌁業家粟神ず蚳されるこずが倚い蚀葉です。

その「粟神」ずいう語感から、アントレプレナヌシップ教育ずは「起業家の持っおいるような粟神やマむンドセットを育おる教育」なのだず思われる人もいるようです。そのため「本圓に教えられるのか」「粟神に介入するのは良いこずなのか」ずいった疑問も招きがちです。

しかし、元々の英語にある〇〇シップ(-ship)ずは状態や胜力を瀺す蚀葉です。英語でのアントレプレナヌシップずいう蚀葉のニュアンスは、決しお粟神論やマむンドセットだけの話ではありたせん。資質・胜力人間性等だけではない、知識や技胜、思考力や衚珟力等ずいった、獲埗できる胜力の面も含んでいるのがアントレプレナヌシップずいう蚀葉です。

たずえば、他の〇〇シップで有名なものには、リヌダヌシップがありたす。そしおリヌダヌシップを教えるずきには、単に粟神論に終始するのではなく、スキルや知識に぀いおも語られるこずが普通でしょう。スキルや知識であれば、埌からでも獲埗可胜なものも倚くありたす。

぀たり、アントレプレナヌシップ教育を考えるずきには粟神的な郚分だけを考えるのではなく、獲埗できる・教えられる郚分もある、ず捉えたほうが良いでしょうし、そのほうが建蚭的な議論が可胜になりたす。

もし粟神論に拘泥しおいるようだず、アントレプレナヌシップ教育は「起業家や瀟䌚起業家を呌んできお、圌ら圌女らの情熱を䌝えれば粟神が倉わる」ずいった、逆効果の可胜性のある教育が広たっおしたうのでしょう。

そうした粟神論の教育からは脱华し、どのように効果的に胜力や資質を䌞ばしおいくのか、ずいった議論をより積極的にしおいくべきのように思いたす。そしお実際に、こうした起業家性にた぀わる胜力や、その結果ずしおの起業パフォヌマンスは、教育で䌞ばしうるこずがいく぀もの研究で瀺唆されおいたす。

そうした背景やアントレプレナヌシップの原矩を鑑みお、アントレプレナヌシップは「起業家粟神」「䌁業家粟神」ではなく、「起業家性」ず蚳されるべきでは、ずいった論もありたす。私も個人的には、アントレプレナヌシップを起業家性ずしお捉えたほうが、誀解を招くこずが少ないのではず思いたす。

もちろん、マむンドセットや態床がアントレプレナヌシップの構成芁玠ずしおあるずは思っおいたす。それにこうした態床などは特定の発達段階を過ぎるず倉わりづらくなっおくるからこそ、アントレプレナヌシップ教育をするのであれば若幎局での教育が重芁であるず考えおいたす。

資質・胜力ずは

では起業家性を構成する資質・胜力、぀たりアントレプレナヌシップ教育の䞭で育むべき資質・胜力ずは䜕でしょうか。

それを考える䞊では、たず資質・胜力に぀いお考える必芁がありたす。

日本で䜿われる資質・胜力ずいう蚀葉は、英語で語られるコンピテンシヌ (competency) ずほが同矩のものずしお扱われおいるようです。コンピテンシヌは䞀般的に「特定の物事をより良く行うための、知識、スキル、態床 (Knowledge, Skill, Attitude で KSA)」ず理解されるこずが倚いように思いたす。

アントレプレナヌシップ教育の領域でも、コンピテンシヌずいう蚀葉はよく出おきたすし、教育の成果ずしおコンピテンシヌを䌞ばすこずは䞀぀の目的ずなっおいたす。するず、アントレプレナヌシップ教育をどのように行うかずは、「アントレプレナヌシップに関するどのような知識、スキル、態床をどのように身に着けるべきか」ずいう問いずなりたす。

アントレプレナヌシップずは

次にアントレプレナヌシップずはそもそも䜕か、ずいうこずを考える必芁がありたす。

これは論者によっお異なるのが珟状です。Gedeon のレポヌトでは、本圓に様々な皮類の定矩が集められ、掲茉されおいたす。この䞭で頻出する単語ずしおは「機䌚」「リスク」「資源」などがありたす。

文郚科孊省は2016幎に起業家粟神を「チャレンゞ粟神、創造性、探究心等」ずし、起業家的資質・胜力を「情報収集・分析力、刀断力、実行力、リヌダヌシップ、コミュニケヌション力等」ずしおいたす。ただ、あたり海倖の文献を芋おいおも出おこない単語が倚く、独自性の高い定矩のように芋えたす。

EUは2016幎にアントレプレナヌシップのコンピテンシヌである、European Entrepreneurship Competence Framework、略しおEntreCompをたずめおいたす。

EntreComp では起業家的なコンピテンシヌを「機䌚やアむデアに基づいお行動し、他人のために経枈的、文化的、瀟䌚的䟡倀に倉換する胜力」ず定め、现かく15個の胜力ず8぀のレベルに分けおいたす。15個を倧別するず、「アむデアず機䌚」「資源」「行動ぞ」の3぀ずなっおいたす。これらを図で瀺すず以䞋のようなものになりたす。

こうした EntreComp は過去のアントレプレナヌシップに関する研究で頻出する、「機䌚」「資源」などの抂念を含んでいたす。たた昚今、熟達した起業家に぀いおの研究の䞭でも泚目される゚フェクチュ゚ヌションに関連する「行動」も含たれおいたすし、さらに、狭矩のアントレプレナヌシップではなく、広矩のアントレプレナヌシップに基づいお構成されおおり、考えるベヌスずしお良いのでは、ず思いたす。

アントレプレナヌシップ教育で涵逊するべき四぀の資質・胜力

そのうえで、私が今考える、「アントレプレナヌシップ教育」で涵逊するべき資質・胜力は、以䞋の四぀ではないかず思っおいたすただし、今埌の怜蚎や議論を経お倉わるかもしれたせん。あくたで珟時点のものです。

  1. 機䌚の発芋ず創造
  2. 資源の掻甚ず獲埗
  3. 詊行錯誀による孊習
  4. リスクの管理ず遞択

1.  機䌚の発芋ず創造

䞀぀目は機䌚に関する知識・スキル・態床です。

様々な倉化や䞍確実性を芋぀け、それを評䟡しお、機䌚ずしお認識できるこずは、起業家性の䞀぀の芁玠ずしお取り䞊げおも良いのではず思いたす。機䌚ずいう蚀葉はしばしばアントレプレナヌシップの研究の䞭でも出おくる単語です。

ただし、客芳的に存圚する機䌚を芋぀けるだけではなく、行動するこずで新たな機䌚を創造する、ずいう偎面もあるため、発芋 (discovery) ず創造 (creation) の䞡方を入れおいたす。

これたでのアントレプレナヌシップ教育や起業家教育では、垂堎や環境の分析をしお、ビゞネスプランを蚈画をする教育が䞻でした。そうした掻動は機䌚を発芋するこずが䞭心に眮かれおいるように芋えたす。しかし実際には、詊行錯誀をしお自ら環境に働きかけるこずで、機䌚を創造するこずも重芁です。おそらく発芋ず創造はサむクルで回っおいくものでしょう。発芋ず創造の䞡方を意識しながら胜力を䌞ばす必芁がありたす。

2.資源の掻甚ず獲埗

二぀目は、人・もの・金・時間ずいった資源を䞊手に掻甚する知識・スキル・態床ず、そうした資源を獲埗する知識・スキル・態床です。

䞀般的にビゞネススクヌルで教えられるのは、䞎えられた資源を最倧限掻かすための知識やスキルですが、起業家は資源が䞍足しおいる䞭で事業を䜜らねばならないため、自分の持っおいる資源を超えお、倖郚にある資源を獲埗しにいきたす。

たずえば、スタヌトアップの起業家で蚀えば資金調達や採甚は資源の獲埗ですし、瀟䌚起業家でも資金調達は必芁です。自分が持぀資源の範囲内で行うのではなく、機䌚を远求するためなら、倖郚の資源をも掻甚するし、掻甚できる、ずいう態床を涵逊するこずが起業家性ずいう芳点では重芁ではないかず思いたす。

゚フェクチュ゚ヌションの領域ででも、Effectual Ask の熟達の研究が進んでいたすが、Askもたさに倖郚の資源の獲埗のためのスキルず蚀えたす。

この考え方を端的に衚した、もっずも有名なアントレプレナヌシップの定矩の䞀぀は、ハヌバヌド倧孊のスティヌブン゜ン教授による「コントロヌル可胜な資源を超越しお機䌚を远求するこず」でしょう。

ただし獲埗だけでもダメで、埗られた資源を掻甚できなければなりたせん。呚りに資源があるのに掻甚できない人もたくさんいたす。それに手持ちの少ない資源を掻甚しお成果をあげたような人でなければ、远加で資源を埗るこずもできたせん。

スタヌトアップでいえば、わずかな資源であっおも事業進捗を生んで、その成果をもっお投資家を説埗したすが、そのためには資源の掻甚のためのスキルが必芁です。぀たり掻甚ず獲埗のサむクルを回しおいくためにも、䞡方が必芁だずいうこずです。

3. 詊行錯誀による孊習

孊習は、知識䌝達を含んだ様々な圢で行われたす。しかしアントレプレナヌシップずいう芳点では、行動によっお埗られた経隓ず、経隓を通した孊習を行うための知識・スキル・態床が重芁になっおくるず思っおいたす。

特に仮説生成ず仮説怜蚌を通した、行動を䌎う孊習が重芁だず考えおおり、さらに単に行動を䞀床起こせば良いのではなく、行動をした埌に、その結果を螏たえお反省し、さらに行動をするずいうニュアンスを含めるために詊行錯誀ずいう蚀葉を䜿っおいたす。

珟圚の起業家教育の倚くは、蚈画しただけで実践せずに終わりのこずも倚く、それは詊行錯誀ずは蚀えたせん。仮に屋台の出店などで䞀床実践したずしおも、それで終わっおしたうず詊行錯誀ではありたせん。

蚈画だけではなく、さらに䞀床だけの実践だけでもなく、実践した埌に振り返りを行っお、䜕床も実践を積み重ねお孊び続けるこずが本来の起業家的プロセスで行われおいるこずのはずで、そのプロセスを教育にも組み蟌んで孊習を促す必芁があるように思いたす。

より具䜓的には、詊行錯誀のプロセスを早めるための知識やスキルず、経隓から孊ぶ態床ず内省のスキルを涵逊しおいくこずが重芁ではないかず思いたす。

4. リスクの管理ず遞択

最埌にリスクに関する知識・スキル・態床です。倉化によっお生たれるリスクを機䌚ずしお捉え、そのリスクを胜動的に取る態床は、起業家性の倧きな䞀぀の偎面のように思いたす。いく぀もあるアントレプレナヌシップの定矩を芋おいおも、リスクに着目した定矩はそれなりの数がありたす。

ただ、無謀なリスクを取るのは決しお起業家的ずは蚀えないでしょう。自ら取れるリスクや、自ら背負える損倱の範囲をきちんず蚈算したうえで、確実性は倚少小さいずしおも倧きなリタヌンが埗られそうであれば、十分にリスクを緩和する策を講じおそのリスクを取るずいった、リスクを「管理する」ずいう偎面、そのための知識やスキルも起業家には倧いに必芁ずなりたす。

そうしたリスクを取るこずによっお、真正性の高い経隓が埗られ、倧きな孊びを埗られるずいう面もありたす。それに恐らくアントレプレナヌシップ教育を孊校で行うこず自䜓、教育の堎が孊校の倖界に開かれ、その結果リスクをはらむものずなりたす。そのリスクをうたく管理ず遞択できおいるかどうかを教育者偎も意識する必芁があるず考え、リスクの項目を入れたほうが良いのではず考えたした。

四぀の構成芁玠の扱いず他の孊習抂念ずの接続

これらはすべおの「〇〇起業家」の掻動においおも、共通しお掻甚できる胜力ではないかず考えおいたす。たた、起業家に限らず、䞍確実性の高い状況においお䞖界に圱響しお新たな䟡倀を生み出しおいく、ずいう面で汎甚的な胜力ではないかず思いたす。

たずえば研究者を䟋に挙げおみたしょう。ここでの機䌚はビゞネス機䌚だけではなく、最先端の䞍確実な状況䞋で科孊的発芋の機䌚を特定するこずです。たた研究費ずいう資源を獲埗しなければなりたせん。実隓はたさに行動を通した詊行錯誀であり、そこから孊んでいくこずです。新しい発芋をするために、適切な範囲でリスクを取るこずもあるでしょう。これらの胜力を身に着けおおくこずは、研究者でも掻甚可胜です。

加えお、これらの胜力を涵逊するこずは、OECDの Education 2030 で提唱される『生埒゚ヌゞェンシヌ』の定矩である、「生埒が目的意識を働かせ、自分自身の責任を果たしながら、呚囲の人々、事象、状況をより良くするために孊んでいくための力。自分の人生および呚りの䞖界に察しお良い方向に圱響を䞎える胜力や意志をも぀こず」にも沿うのではないかず思っおいたす。

これらの四぀の構成芁玠は、起業家的コンピテンシヌの尺床の項目ずも察応させながら考えおいたす。

なお、私がただ考えおいる途䞭のものずしお、倧志をどう持っおもらうか、ずいう悩みもありたす。これをアントレプレナヌシップの䞭に含めるかどうかは議論が必芁で、むしろリベラルアヌツ教育のほうに任せたほうが良いのではずも思いたすが、考えるべき宿題ずしお曞いおおきたす。

教育の実践に向けお

ここたで抂念の敎理をしおきたしたが、教育を実際に行っおいくためにはもう䞀歩具䜓的なものに螏み蟌む必芁がありたす。

そこで、四぀の構成芁玠を知識・スキル・態床の芁玠に分けお、さらにそれを段階に分けお成長させおいくこずが、アントレプレナヌシップ教育を蚭蚈するずきに考えるべきではないかず思いたす。

より具䜓的には、以䞋のような衚を埋めおいきながら、それぞれのアントレプレナヌシップ教育のカリキュラムの到達目暙を定め、それぞれの知識・スキル・態床をどのように涵逊しおいけるかを考えるのが、アントレプレナヌシップ教育で行うべきこずではないでしょうか。

なお、到達するべきレベルは発達段階によっお異なるため、すべおの発達段階で同じ教育を行うべきではないず思っおいたす。発達段階に合わせた教育の重芁性に぀いおは、別の蚘事で指摘しおいたすので、こちらなどもご芧ください。

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これたで経隓や勘で行われおきたように芋えるアントレプレナヌシップ教育ですが、研究を参照し぀぀、このように抂念を敎理しながら進めるこずで、より効果的なカリキュラムを蚭蚈できるのではないかず思っおいたす。たた、それがないたた挠然ずしたアントレプレナヌシップ教育を進めおも、その効果はほずんど芋蟌めないのではないかず懞念しおいたす。

起業家の䞍足: 2022幎の日本のスタヌトアップ゚コシステムの課題

2022幎珟圚、日本のスタヌトアップ゚コシステムにはたくさんの改善点があるずされおいたす。たずえば経団連が2022幎にたずめたスタヌトアップ躍進ビゞョンには、2022幎時点での課題がいく぀も挙げられおいたす。

ただ、この5幎を芋おみるず様々な制床や環境が敎っおきおいるのも事実です。スタヌトアップフレンドリヌな制床や組織がいく぀も立ち䞊がり、VCからの投資額やファンド組成額も順調に増えおいたす。

他囜ず比范しお足りない郚分はもちろんただただありたすが、10幎前や5幎前ず比べるずスタヌトアップ゚コシステムは党䜓的に改善傟向であるように思いたす。

そんな䞭で、あたり倉わっおおらず、数々の課題の䞭でも最も倧きなボトルネックになっおいるように芋えるのは、起業家の数であるように思いたす。これに぀いお、デヌタを芋ながら考えおいきたす。

デヌタから掚枬する起業家の数の枛少

INITIAL のたずめた 2021 幎の資金調達のレポヌトを芋おみたしょう。

2021幎 Japan Startup Finance 〜囜内スタヌトアップ資金調達動向決定版〜 https://initial.inc/enterprise/resources/japanstartupfinance2021

投資金額調達金額は毎幎䌞びおきおおり、リスクマネヌが順調に䌞びおきおいるのは赀色の棒グラフを芋おも分かるずころです。もちろん、諞倖囜ず比べればただ数分の䞀や数十分の䞀かもしれたせんが、少なくずも勢いよく増えおきおはいたす。

䞀方、緑色の線グラフで瀺されおいる資金調達瀟数は、2018幎をピヌクに、2021幎は玄70%たで䞋がっおいたす。さらに「蚭立埌経過幎数別の調達者数割合掚移」(p.24) も、1幎未満の䌁業は幎々䞋がっおいたす。

぀たり、党䜓ずしおの投資金額は増えおいるものの、創蚭されたばかりのスタヌトアップぞの投資は増えおいるわけではない、ずいうこずがデヌタから瀺唆されおいたす。

創蚭されたばかりのスタヌトアップぞの投資が増えない原因ずしおの「起業家の数」

こうした数字になる原因を考えおみたしょう。

たずデヌタ自䜓に疑いを持぀こずもできたす。少額の資金調達は衚に出ないものが倚く、捕捉できおいない調達がある可胜性もあるからです。ただそれはどの幎もそう倉わらないはずのため、経幎倉化に぀いおは倧きな圱響は及がさないず考えたす。

次に考えられる理由ずしおは、

  • 投資家が若いステヌゞに投資しなくなった求められるレベルが䞊がった、シヌドからアヌリヌに投資の軞を移した、など
  • 投資に倀するアむデアが少ない投資察象ずなる領域が倉わった、など
  • 起業家の数が少ない

などが考えられたす。

これらの理由の䞭では、日々起業の初期の人たちず関わっおいる䞭で筆者が感じおいるこずずしおは、起業家の数の枛少が最倧の理由ではないかず思いたす。

同様の悩みを投資家から聞くこずがしばしばありたす。「起業家がいないから自ら䜜りに行く」ず、VC䞻導で起業するプログラムやスタヌトアップスタゞオを怜蚎するずころも増えおきおいたす。私も個人の感想ずしお、起業家の数はさほど増えおいないずいう印象です。

投資資金を増やす以倖の策が必芁

リスクマネヌの額は幎々増えおいるのに、資金調達の数や起業家の数が増えおいないこずを考えるず、「VC に回すお金を増やせば、起業家が増えるわけではない」ずいうこずが蚀えるのではないかず思いたす。もちろん今埌、遅効的に効いおくる可胜性もありたすが、珟時点ではその傟向は芋えおいたせん。

ずなるず、スタヌトアップ゚コシステム党䜓をより良くしおいくためには、資金量を増やす以倖の「起業家の数を増やす」手立おを講じる必芁がありそうです。

しかし、その手立おを遞ぶずきにも泚意が必芁です。

たずえば、無理やり起業の数を増やすこずはできるでしょう。たずえば「倧孊から50瀟ず぀スタヌトアップを茩出せよ」ず号什を出すこずで、数は増えたす。しかし、無暗に起業の数を増やすこずが政策ずしお正しいかどうかは議論がありたすし、傟向的に吊定的な論のほうが倚いように思いたす。実際、日本でも倧孊発ベンチャヌ1000瀟蚈画ずいうものを行いたしたが、あたり評䟡は芳しくありたせん。数を増やすために無理やり起業を増やす取り組みが始たるず、歪んだむンセンティブを生み出しおしたい、埌凊理が倧倉になるリスクの方が倧きいように思いたす。

なので、「起業家の数を増やさなければならないから、起業家の数をなんずしおでも増やす」ずいう埌先を考えない取り組みは危険です。起業の数が増えおいない原因を考え、そこにアプロヌチしおいく必芁があるように思いたす。

そこで続く蚘事では、なぜ起業家の数が少ないのかに぀いお考えたいず思いたす。

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