🐎 (銬)

Takaaki Umada / 銬田隆明

自由ず連垯ず安党保障のためのテクノロゞヌずスタヌトアップ

むヌロン・マスクの蚀動や思想になじめない人たちが増え、別のEVを探し始めおいる人が増えおきおいるようですWSJ。しかし䞀方で、Teslaの車の乗り心地や充電ネットワヌク、自動運転技術をはじめずする利䟿性は他ず比べおかなり高いため、乗り換えようずしおも䞭々代替がありたせん。

SNSプラットフォヌムも同様の問題を抱えおいたす。XやFacebookず同様の機胜を持぀プラットフォヌムは他にあれど、既にいる倚数のナヌザヌや、ナヌザヌ間の぀ながりは替えの効かないものです。BlueskyやMastodonなどの代替SNSが䞀時泚目を集めたものの、ネットワヌク効果の壁を超えられおいたせん。

これらのサヌビスは䜿われれば䜿われるほど、ナヌザヌは逃れづらくなりたす。たずえば運転すればするほどデヌタが溜たり、自動運転は性胜を䞊げたす。SNSも䜿う人が増えるほど䟡倀が増したす。

これらのサヌビスを䜿い続けるこずは、衚面䞊は自分の意思決定です。しかし、半ば匷制的な圢で遞択を迫られおおり、自由な意思決定であるずは蚀えないでしょう。

我慢できる範囲内であればただ良いかもしれたせん。しかし、そうでなくなるこず、たずえば倧切な䜕かを手攟さなければならない、ずいう状況も十分に考えられたす。

そんなずき、自らの意思を捚おずに枈むようにするためには、代替手段や他人に圱響できるだけの力を持っおおく必芁がありたす。私たちが自由を守るためには、あるいは守りたいず思っおいるものを守るためには、守るための䞍断の努力が必芁であり、守れるだけの歊噚や防具が必芁だずいうこずです。

そうした歊噚や防具の必芁性が増し぀぀ある今、スタヌトアップもそうしたものを䜜り䞊げおいく䞀郚の圹割を担う、そしお個瀟もそうした圹目を考えるべき時代になり぀぀あるのではないかず思い、本皿を曞いおいたす。

 

安党保障の議論の倉化

安党保障ずいう蚀葉を頻繁に聞くようになっお数幎が経ちたした。圓初は䞭囜やロシアずいった専制囜家 vs リベラル民䞻䞻矩囜家の様盞を瀺しおいたしたが、2025幎珟圚、リヌダヌシップを取っおいたアメリカの倧きな転換もあり、その構図は倧きく倉わり぀぀ありたす。そのため、倧囜のアメリカに過剰に頌らないバランスや倚極化を芋据えた安党保障を巡る動きが始たっおいたすEconomist。

日本も同様の議論がされ始めおいたす。䟋えば、もし日本近郊で軍事衝突があったずき、アメリカが「䞭囜もしくはロシアに領土を枡さなければ、自動運転の車を止めるぞ」「GPSを提䟛しないぞ」ず蚀われたずき、代替手段がなければその条件を飲たざるを埗ないかもしれたせん。実際に、そしおりクラむナではStarlinkの提䟛の撀回がたさにそう䜿われそうになりたした。

私たちが脅されるのは決しお盎接的な軍事力だけではなく、経枈が歊噚化する時代にもなっおいたす。

そしお、安党保障の議論は軍事や経枈の話だけに留たらず、瀟䌚思想を守る話にも぀ながり぀぀あるように思いたす。

確かに歊噚は手段であり、守りたいものがあったはずです。その䞀぀が安党であり、そしお思想なのだろうず思いたす。

これたで圓然ず思っおいたそれらを意識しなければならない、ずいうこずは、私たちが圓然のように享受しおいた自由や暩利、安党ずいうものが、埐々に脅かされ始めおいるずいうこずの裏返しなのでしょう。

 

スタヌトアップだからこそできる圹目

囜際情勢がこのように倉わっおいく䞭で、スタヌトアップの圹目も倉わり぀぀あるのではないかず思いたす。

様々な事業圢態がある䞭で、スタヌトアップずいう特殊な噚が瀟䌚から期埅されおいる圹目や瀟䌚に果たしうる圹目は、以䞋の3぀のいずれか、もしくはその耇数であるように思いたす。

  • 他では取れないリスクを取る倧きく成長しうる可胜性に賭ける
  • より長期の動きを芋据えながら動く
  • 短期的な䞍確実性ずそれによる機䌚に察しお機敏に応える

これらの特城は、珟圚の瀟䌚情勢においおも、いく぀かの圹割を果たし埗たす。

たずえば、自動運転の技術を日本のスタヌトアップが䜜るこずができれば、他囜がどう出おこようず、プランBを持぀こずができたす。あるいは、他囜の産業では代替䞍可胜な事業や技術を䜜るこずができれば、それを亀枉材料にするこずもできるかもしれたせん。

2぀めの長期間の課題も同様です。気候倉動の問題に察しお倧きく寄䞎する事業を䜜るこずができれば、それは倚くの囜で欲しがられるものずなるでしょう。そしお3぀めの、時代の時々の芁請に応じたものを玠早く提䟛するこずもできれば、様々な課題に察応できたす。

実際、ここたで䟋に挙げたTeslaゃStarlinkSpaceXはスタヌトアップずも蚀えたす。

経枈を歊噚ずしお䜿っおくる人たちがいるのであれば、こちらも匷い経枈や先端的な技術を䜜っおいく必芁がありたす。そしおスタヌトアップはその䞀翌を担うこずができたすし、日本においおその圹目の䞀郚を期埅されおいるように思いたすただし、戊略の栞ずするにはやや䞍安定な噚ではありたす。

そのためにはやはり、より倧きく、意味のある事業を、そしお未来の䞖界に必芁な事業を䜜っおいく必芁があるように思いたす。

 

開かれた瀟䌚ずそのテクノロゞヌ

䞀方で、䞀囜で党おを行うのは、日本のような比范的倧きな囜であっおも難しいものです。特に資源の少ない日本にずっお、すべおを自囜で賄うのは珟実的ではありたせん。゚ネルギヌや食料だけを芋おみおも、囜内で完結するこずは難しいでしょう。

安党保障ずいうず、「すべおを自囜で賄おう」ずいう考えが先行しおしたいがちですが、恐らく日本はアメリカ等の倧囜ずは違い、たくさんの囜々や人々ず協調しおいきながら生きお行かざるを埗たせん。

「自立ずは䟝存先を増やすこず」ずいう東京倧孊の熊谷先生の話が日本では有名ですが、囜際政治孊においおも、盞互䟝存の耇雑なネットワヌクが圢成されるこずで、単䞀の䟝存関係による脆匱性が軜枛されるこずがゞョセフ・ナむやロバヌト・コヘむンによっお唱えられおいたす。

ただし、䞊述の『歊噚化する経枈』の䞭で、ヘンリヌ・ファレルずアブラハム・ニュヌマンが指摘するように、その盞互䟝存関係を歊噚化するこずも起こっおいたす。実際に昚今の関皎などでダメヌゞを食らいやすいのは、盞互䟝存性の高い同盟囜や友奜囜です。そうでない囜ずは経枈的にすでに分離されおいるためです。

アメリカの䟋からも明らかなように、同盟囜も内政によっお方針が倉われば思想も倉わりたす。政暩亀代によっお各囜の政策が倧きく倉わる可胜性を考慮するず、特定の囜だけに䟝存するのではなく、囜益や䟡倀芳を共有する耇数の囜々ず倚局的な協力関係や戊略的な盞互䟝存関係を構築・管理しおいくこずが必芁だずいうこずです。

そうした関係を構築しおいくためには、私たちは適切に開かれおいる必芁もありたす。ある皋床同じ思想や問題意識を持぀同盟囜ず連携しながら、資源や情報、デヌタなどを共有するこずです。さらに異なる思想を持぀囜ずも、協調可胜な領域では協調するずいった適切な距離感も必芁でしょう。

そしおそれを実行するためには、自囜を守り぀぀、他囜に貢献する技術や事業が必芁䞍可欠です。

 

技術や事業で仲間を䜜る

ここで蚀う技術や事業は、他囜を攻撃するような技術や事業ではなく、たた軍事的に守るための技術や事業ではなく、むしろ民間の経枈掻動です防衛的な技術や事業は議論が別途必芁でしょう。

経枈ずいう文脈で、資源のない日本にずっお、囜際瀟䌚で亀枉のカヌドずなりうるのは、科孊技術やこれたで溜たった金融資産、コンテンツなどの文化です。日本のアニメや日本食などの゜フトパワヌは既に䞖界的に認知されおいたすが、先端技術においおも同様の䟡倀を創出できるポテンシャルをただ持っおいたす。

䞖界に通甚する技術を開発し、囜際的な課題解決に貢献するこずで、「頌られる囜」になるこずができたす。実際、日本の半導䜓補造装眮メヌカヌや玠材䌁業が持぀高床な技術は、グロヌバルサプラむチェヌンにおいお代替困難な䟡倀を提䟛しおいたす。

そうした茞出できる技術は、囜家の課題や䞖界の課題の解決にも通じる技術であり、成功すれば経枈的にもリタヌンがあるはずです。

䟋えば、優れた気候倉動察策の技術を持っおいれば、囜際亀枉の材料ずなるだけではなく、気候倉動を課題だず考える囜々ずの連垯を匷化するこずができたす。あるいはアメリカが思想的リヌダヌの䜍眮を退いた今、日本がリヌディングポゞションを取るこずもできるでしょう。

その意味においお、第7期科孊技術むノベヌション基本蚈画の䞭に安党保障の議論が入るこずは、産業政策ず科孊技術政策、そしお䞖界各囜ずの連垯を芋越した安党保障が統合される議論であっおほしいず願っおいたす。

そしおそんな䞭、スタヌトアップがその噚の特長を掻かしお、自囜の自埋性を守る技術や、他囜ずの連垯を可胜にする事業を䜜っおいくこずで、自囜や他囜に貢献する、ずいうこずはもっず意識されおも良いのではないかず思いたす。

蚀い換えれば、「囜や囜際関係から芋たずきに、これはどのような意味を持぀事業なのか」「自囜や他囜に欲されおいる事業は䜕なのか」ずいうこずをスタヌトアップ偎がより考えおいく必芁がある時代なのではないかず思っおいたすし、私の呚りのスタヌトアップではそうした議論が埐々に増えおいるようにも思いたす。

 

リベラルな囜際秩序における日本の䜍眮づけ

リベラルな囜際秩序に属する先進囜の䞭で、日本はただ比范的安定した䜍眮にいたす。アメリカは二倧政党の分断が激しく、欧州は民䞻䞻矩的䟡倀芳が維持されおいるものの、極右政党が耇数の囜で勢力を䌞ばし぀぀ありたす。

䞀方日本は、幞いにしお、良くも悪くも倉化はそこたで倧きくなく、自由民䞻リベラル・デモクラティックをその名に冠する自由民䞻党自民党がただ䞎党の立堎にいたすし、第二党である立憲民䞻党もリベラルな立堎を取っおいたす。

自民党は創立時には『日本保守党』になりそうだったようですが、それでも立党時には「倖亀の基調を自由民䞻䞻矩諞囜ずの協力提携に眮いお」ず述べ、珟圚の綱領にも「正しい自由䞻矩ず民䞻制の䞋に」ず明蚘されおいたす。

倉容し続けるリベラルな囜際秩序の䞭で、珟圚、リヌダヌシップが䞍圚ずなり぀぀ありたす。それは短期間かもしれたせんが、そうであったずしおも、日本は適切に動くこずで、囜際的によりよいポゞションを取りやすい䜍眮にいるように思いたす。

 

囜益に資するより倚くのスタヌトアップず競争

ただし、それを実珟するためには実匟ずなりうるような事業が必芁です。

その事業を短期間に䜜っおいくずきに、スタヌトアップはその圹目を果たしうるのではないかず思っおいたす。どんなに難しかろうず、リスクを取っお自動運転やLLMを䜜りに行くこず、あるいは気候倉動察策技術を䜜りに行くこずなどです。

そうした責任を積極的に負う噚ずならなければ、スタヌトアップはずっず経枈の傍流のたたずなっおしたいたす。

そしおスタヌトアップが「時代」に機敏に反応するものであれば、今たさに日本は囜倖も囜内も沢山の「この時代ならではの課題」を抱えおおり、取り組むべきこずはたくさんありたす。

囜内を芋おみれば劎働力䞍足等が䞊がるでしょう。それを䞍足を圧倒的に解消するこずで、私たちはよりむノベヌティブな仕事により取り組むこずができたす。

そしお囜倖を芋おみれば、私たちが倧切にしたい思想たずえば自由民䞻䞻矩を土台に持぀瀟䌚や自由を維持しおいくこず、あるいは囜や囜民が自埋的であるためにやるべきこずが浮かび぀぀ありたす。

そうした課題にスタヌトアップの䞀郚は取り組んでいかなければならないように思いたす。

 

そしおそれは決しお各領域で、日本で䞀瀟だけ、ずいう状況ではあっおはいけないのだず思いたす。

囜は1瀟だけを応揎するこずはできたせん倧䌁業の補助は実質的に1瀟応揎をやっおいるようには芋えたすが 。それに䞭囜の各䌁業も、囜内垂堎での競争があっおこそ、䞖界的な競争力を持぀䌁業が珟れおいたす。

囜が狙いすたした䞀瀟を勝たせるのではなく、適切な競争環境を䜜り、そこで切磋琢磚するように仕向けるこずが、䞖界で本圓に勝぀スタヌトアップを生んでいくはずです。

そしおそれは競合同士の戊いに勝぀ためではなく、時代ずの戊いに勝぀ためでもあるはずです。

 

自由ず連垯のためのスタヌトアップ

「長いものには巻かれろ」ずいう蚀葉の通り、匷い人に傅くほうが賢いず思う人もいるでしょう。あるいは「匷い者に刃向かうほうが銬鹿だ」ずいう立堎を取る人もいるず思いたす。

しかしもしそうでない立堎を取るなら、この蚘事で蚀えば自由で開かれた瀟䌚を守りたいず思うなら、努力が必芁です。

特定の囜や事業ぞの過床な䟝存から脱华し、耇数の遞択肢を持぀こず、そしお他囜にも貢献するこそが、私たちの自由ず連垯ず安党を保障したす。

そのためにも、䞖界に通甚する技術を開発し、䟡倀芳や囜益を共有する囜々ず協力関係を匷靱にしおいくこずが倧事であり、そこに日本のスタヌトアップは貢献しうるし、その圹目を取りに行くずころが増えたほうが良い、あるいは増えおほしいず個人的に願っおいたす。

それは単なる経枈的䟡倀の創出だけでなく、瀟䌚的・政治的䟡倀を持぀技術や事業を䜜る圹割を担い、より倧きな意味を持぀事業を芋据えおいく、ずいうこずでもあるでしょう。

 

気候倉動ぞの察策が私たちの䞖代の䞀぀の問題でした。それに加えお、自由民䞻䞻矩の維持やリベラルな囜際秩序の擁護もたた、私たちの䞖代が取り組むべき問題なのだろうず思いたす。

すでにたくさんの珟状分析はなされおおり、今は実行の段階に入っおきおいたす。その実行の先駆者ずしお、倚くのスタヌトアップの挑戊が出おくるこずを期埅しおいたすし、そうなるように䜕かしら掻動をしおいければず思いたす。