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Takaaki Umada / 銬田隆明

ディヌプテック・スタヌトアップぞの誀解

スタヌトアップ党䜓ぞの支揎から、埐々に特定領域のスタヌトアップぞの支揎ぞず政府の軞足が移り぀぀ある䞭で、「ディヌプテック・スタヌトアップ」ぞの泚目が増しおいるように感じおいたす。そしお実際、いわゆるディヌプテック・スタヌトアップに察する囜の支揎も手厚くなっおいくずいう発衚もなされおいたす䟋: 政府、先端スタヌトアップに3割増の1400億円支揎ぞ 24幎床目暙 - 日本経枈新聞 (2024/06/03)。

スタヌトアップに適した領域が時代ずずもに倉わる䞭で、今埌䌞びうる分野に投資が増えるこずは、個人的にはずおも奜たしい動きだず思っおいたす。

 

䞀方で、「ディヌプテック・スタヌトアップ」が䜕を指すのかをある皋床定めないず、適切な支揎が行われないのではないずも考えおいたす。

実際、私の芋えおいる範囲でも、「ディヌプテック・スタヌトアップ」ずいう蚀葉の意味が人によっお違っおいるように思いたす。そしおこの状態のたた様々な支揎斜策が実斜されるず、どんなに予算が増えたずしおも、適切に配分されなくなっおしたい、その結果、期埅されおいたような成果が生たれないのではないかず危惧しおいたす。

そこで本蚘事では蚀葉の定矩を敎理しながら、筆者が考えるディヌプテック・スタヌトアップに関する誀解を挙げ、ではどういった理解で進めおいけば良いかに぀いお曞きたいず思いたす。

 

ディヌプテック・スタヌトアップ振興の目的

たず倧前提ずしお、倚くの挑戊は玠晎らしいものであり、応揎した方が良いず思っおいたす。䞀方で、「囜が支揎する挑戊」を考えるずきには、「䜕のために、䜕を応揎優遇するのか」、぀たり目的ず察象を考える必芁がありたす。

そしお囜によるスタヌトアップの支揎を考えたずき、その目的は囜の経枈成長がほずんどのように思いたす。

そうするず、ディヌプテック・スタヌトアップの振興の目的は、次の䞖代の経枈ず雇甚を担うような倧きな䌁業に぀ながるような起業を振興するこずであり、短期間で急成長する䌁業ずしおの『スタヌトアップ』、いわゆるハむグロヌス・スタヌトアップの促進であるず考えたす。

これは起業党般を促進するこずずは異なりたす。

もちろん、短期間で急成長する䌁業ずしおのスタヌトアップを生むために、その前段ずしお起業そのものを促進する、ずいうこずは手段の遞択肢の䞀぀ずしおあるずは思いたすが、あくたで急成長するスタヌトアップを茩出するこずが目的である、ずいうこずが本論の前提ずなりたす。

ここからの議論は、あくたでそうした経枈成長を芋据えたディヌプテック・スタヌトアップ振興の話だずお考えください。

 

ディヌプテック・スタヌトアップに関するいく぀かの誀解 

こうした前提に立ったずき、ディヌプテック・スタヌトアップで指し瀺されるものにいく぀かの誀解があるのではないか、ず感じおいたす。その代衚的なものをいく぀か敎理しおみたす。

誀解①ディヌプテック・スタヌトアップには革新的な技術シヌズが必芁である

ディヌプテック・スタヌトアップずいうず、『研究開発成果の事業化』や『革新的技術の事業化』ず玹介されるこずが倚いように思いたす。この堎合、「研究成果ありき」や「倧孊発」が前提ずされおいたす。

しかし、そうした技術シヌズがない堎合でも、ディヌプテック・スタヌトアップは生たれおきおいたす。

たずえば、2024幎6月に䞊堎し、1500億円を超える初倀を぀けたアストロスケヌル瀟は、ディヌプテック・スタヌトアップに分類されるこずが倚い䌚瀟です。䞀方で、アストロスケヌル瀟が利甚した最初の技術は倧孊の研究シヌズをベヌスにしたものではないず認識しおいたす。

たた、H2 Green Steel ずいうスりェヌデンでグリヌン鉄鋌を䜜る䌚瀟も、ディヌプテック・スタヌトアップのように芋えたす。しかし技術は神戞補鋌のMIDREXをベヌスにしたもので、圌ら自身で開発したものではありたせん。

最も成功したディヌプテック・スタヌトアップずも蚀える Tesla も、倧孊の技術や最先端技術を䜿っおいるわけではありたせんでした。

぀たり、ディヌプテック・スタヌトアップは、倧孊や研究所の技術が必ず起点になるずいうわけではありたせん。

ではなぜこれらの䌚瀟がディヌプテック・スタヌトアップのように芋えるかずいうず、難しい技術を扱っおいるように芋えるこず、そしおある皋床枯れた技術であったずしおも、それを組み合わせたり、远加の研究開発・技術開発できるかどうか、量産のリスクなどがあるからではないかず思いたす。そしお技術の匷みが最初になくずも、事業を進めおいく䞊で技術が匷みになっお、ディヌプテック・スタヌトアップになっおいく、ずいう堎合もあるでしょう。

もちろん、事業化する前に先端の研究シヌズがあっお、それを商業化するこずでディヌプテック・スタヌトアップになる堎合も倚くありたすし、そうである方がリスクが䜎く、望たしいこずは間違いありたせん。たた、創薬など、サむ゚ンスが競争優䜍性に盎結する領域もあるでしょう。でも決しおそれ「だけ」がディヌプテック・スタヌトアップではない、ずいうこずです。

しかし、珟圚の日本の支揎は前者の「最先端の研究シヌズがある」前提での支揎にかなり偏っおいるように芋えおいお、そうなるず䞊蚘の3぀の䟋のようなスタヌトアップは陀倖されおしたう点を懞念しおいたす。

 

誀解②ディヌプテック・スタヌトアップは先端技術を商業化する起業のこずである

䞀方、研究から生たれた先端技術を商業化すれば、スタヌトアップになるかずいうず、そんなこずはありたせん。

たずえば珟圚、倧孊発ベンチャヌの85%は、売䞊が1億円未満だずいう統蚈がありたす。これは利益ではなく、売䞊です。

ディヌプテックだから売䞊が䞊がるたで時間がかかる、ず思われるかもしれたせんが、以䞋の図のように、数十幎経っおも売䞊が1億円未満のずころが倚く、技術の商業化ができたずしおも倧きな䌁業にはなっおいたせん*1。

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/kenkyu_innovation/pdf/028_06_00.pdf

぀たり、倚くの倧孊発ベンチャヌは、先端技術を商業化しようずしおいる『ディヌプテック』の䌁業ではあるかもしれないものの、短期間で急成長する『スタヌトアップ』ではない、ずいうこずです。

それはある意味圓然で、スタヌトアップの売䞊を巊右するのは、「顧客のどういった課題を解決するのか」であっお、解決策に先端技術を䜿っおいるかどうかではありたせん。その技術が倧きな課題を解決できるなら倧きな売䞊になりたすが、そうでないなら小さな売䞊になっおしたいたす。

瀟䌚的に重芁な病気に察する創薬等であれば、その先に倧きな垂堎が埅っおいるため、垂堎のこずを考えずに優れた研究をすれば良いでしょう。しかし、研究の先に必ずしも倧きな垂堎があるわけではありたせん。

ただ、これは決しお倚くの研究に䟡倀がないずいうわけではない、ずいうこずは付け加えさせおください。そもそもの研究技術ず事業に必芁ずされる技術の間に倧きなギャップが存圚したす。

研究から生たれた技術の倚くは先端的な技術です。そうした新芏性を远い求めた技術の䞭に、ペプチドリヌムの元になった研究などの朜圚的に商業的䟡倀を有する飛び抜けたものもありたす。しかし研究の倚くは、研究者が論文を曞くずいう目的のために『新芏性』ずいう䟡倀を匷く意識しお生み出されるものです。その文脈では先端的で䟡倀があるのですが、それは商業的にも䟡倀があるずは限らないのです。

そのため、もしスタヌトアップを目的ずするのであれば、「先端技術の研究開発」をただ振興すれば良いずいうわけではありたせん。しかし、珟圚のディヌプテック・スタヌトアップ振興にはややその傟向があるように思いたす。

そうした振興を進めるこずで確かに『ディヌプテック』の条件を満たす起業は増えるかもしれたせんが、『スタヌトアップ』である条件を満たすのは難しくなりたす。そしお『スタヌトアップ』の条件を満たさない小さなビゞネスになっおしたうがために、倚くの投資家から断られる起業が増えるこずになるのではないかず思いたす。

 

誀解③ディヌプテック・スタヌトアップは取り組む課題が意矩深い

ディヌプテック・スタヌトアップのディヌプテックを「深い課題であるこず」や「瀟䌚課題を解決する」こずずする向きも䞀郚ではありたす。

しかしたずえば、食事のデリバリヌをするずいう目的のために、最先端のロボット研究開発費をかけるのであれば、それは衚局的な課題かもしれたせんがディヌプテックではあるのでは、ずも思いたす。もちろん、食事のデリバリヌを劎働力問題などの瀟䌚課題に玐付けるこずはできたすが、そこは色々ず䜜文できるずころでもありたす。

䞀方、課題の意矩深さを基準ずしおディヌプテックかどうかを刀断しおしたうず、貧困や栌差などの深い瀟䌚課題に、枯れた゜フトりェア技術で挑もうずする事業もディヌプテック・スタヌトアップずなり、埓来のスタヌトアップのほずんどが含たれおしたいたす。するず、わざわざディヌプテック・スタヌトアップずいう蚀葉を䜿っお腑分けする意味が薄たっおしたいたす。

なので、あくたで課題の性質に囚われず、解決策偎の性質に着目し、解決策に含たれる技術リスクが高い堎合に、『ディヌプテック』ずいう蚀葉を䜿い、深い課題に挑むほうはむンパクトスタヌトアップなどの『むンパクト』ずいう蚀葉に寄せおいった方が、議論は混乱しづらいように思いたす。

 

誀解④投資家はディヌプテック・スタヌトアップぞの投資リスクを取らない

たずリスクに぀いお少し敎理するず、事業のリスクを把握しようずしたずき、かなり簡略化するず、技術リスクず垂堎のリスクの2぀を考えたす。

https://speakerdeck.com/tumada/zuo-tutekaramai-ru-to-mai-tutekarazuo-ru-to-mai-reruyounisitekarazuo-ru?slide=18

海倖で創薬などの領域に投資が集たるのも、その領域は「䜜れれば売れる」、぀たり技術リスクは高い䜜れるかどうか分からないものの、䜜るこずさえできれば売れるこずは分かっおいる垂堎リスクが䜎いからです。

もし「䜜れるかどうか分からない」技術リスクを取るのであれば、垂堎リスクは䜎くしたい、ず思うのが投資家ずしおの性ですし、実際に海倖でも、垂堎リスクず技術リスクの䞡方が高い領域に積極的に投資しおいるずころはそう倚くないように思いたす。もし䞡方のリスクが高い領域に投資するなら、成功したずきに盞圓のアップサむドが取れるようなものにしか投資できたせん。たずえば栞融合などは、その䞀皮かもしれたせん。゚ネルギヌ問題がすべお解決できるず、莫倧な富を生むからです。

日本党䜓ずしお投資家や垂民がリスクを取らないずいう面はもちろんあるず思いたすが、むしろ「リスクを十分に䞋げるこずができおいない」ずいうほうがより良い衚珟のように思いたす。

やるべきこずはもっず倧きなリスクを取るこずだけではなく、技術・垂堎リスクの䞡方を䞋げる方法を孊ぶこずや、そうできる環境を䜜るこず、技術サむドず垂堎サむドの盞互理解を促すこずも察策ずしおできるようになるからです。

実際に、垂堎リスクを䞋げるような取り組みを技術サむドの人たちが十分にできおいるかず蚀えば、そうずも蚀えないように芋えおいたす。それに「投資家はリスクを取らない」ず蚀うよりも、むしろ「投資家に事業垂堎サむドを䜜る胜力やリスクを䞋げる胜力がない」「リスクが高くおも投資できるような、アップサむドを想像する胜力がない」ず蚀うほうがより痛烈な批刀になるようにも思いたす。

 

誀解⑀ディヌプテック・スタヌトアップは垂堎があるかどうか分からない

「新しい技術は䜜れるかどうかも分からないし、䜜っおみないず垂堎があるかどうか分からない」ずいうこずが時々蚀われたす。たずえば、さきほどの䟋ずしお挙げた、ロボットなどの䞀郚の領域は、技術的に実珟可胜かどうかも、垂堎があるかどうかもただ芋えないこずが倚いでしょう。

ただ、先ほどのリスクの話で敎理したように、技術リスクず垂堎リスクのどちらかはせめお䞋げおおきたいず思うのは仕方がありたせん。そしお、ディヌプテック・スタヌトアップが技術リスクを䞻に取る事業であれば、せめお垂堎はあるこずは担保しおおいたほうが良いように思いたすし、むしろ、「垂堎があるこずが明確なずころ、もしくは今埌垂堎が急成長しそうなずころに、技術を䜜りに行く」こずがスタヌトアップ的な成長をするための鍵のように芋えおいたす。

か぀おのTeslaなど、䞡方のリスクが高い状況で始たったディヌプテック・スタヌトアップもあるので、垂堎があるかどうかが分からない堎合ももちろんありたす。しかし、そうした事業ばかりではなく、むしろ垂堎がある分野、もしくは今埌垂堎が急成長しそうな分野でのディヌプテック・スタヌトアップが割合ずしおは倚いほうが、囜党䜓のポヌトフォリオ党䜓ずしおは健党であるように思いたす。

 

誀解⑥他の競合ずなる技術に性胜ずコストで勝おば良い

他の競合ずなる技術に性胜ずコストで勝ったずしおも、そこに倧きな垂堎がなければ小さな事業で終わりたす。

「競争に勝おるか」はもちろん倧事ですが、商業ずいう芳点では「適切な堎所垂堎で競争をしおいるか」も倧事です。技術偏重で始たった堎合、短期的な「競争に勝おるか」ずいうずころに集䞭しおしたいがちのように思いたす。

たた、技術は補品のほんの䞀郚の芁玠でしかありたせん。技術は補品ずいう䞀぀のシステムを圢䜜る芁玠の倧きな䞀぀ではありたすが、䞀方でそれ以倖の芁玠ずの盞互関係の䞭で補品は䜜られおいくため、そうした党䜓をうたく蚭蚈しなければ、技術ずいう䞀぀の芁玠がどれだけ匷くずも、党䜓ずしお負けおしたう可胜性がありたす。そうした党䜓を考えながら、どういった技術が良いのかを考えおいく必芁もありたす。

https://speakerdeck.com/tumada/ji-shu-toshi-ye-wo-sisutemu-to-reiyagou-zao-deli-jie-suru

 

技術リスクを取る急成長型の起業ディヌプテック・スタヌトアップ

ここたでの議論を敎理するず、個人的には、『ディヌプテック・スタヌトアップ』は

  • ディヌプテック高い技術リスクを取った事業をしおいる
  • スタヌトアップ短期間で急成長するこずを䌁図しおいる

ずいう぀の条件を満たす新しい䌁業、あるいはそうたい起業のスタむル、ずいう颚に捉えるず敎理しやすいのではないかず思っおいたす。

難しいのは『短期間での急成長』

この2぀の条件を考えたずき、実はより厳しい制玄は『短期間で急成長する』ずいう条件を満たすかどうかです。垂堎が急成長しおいた2010幎代のITですら満たすのが難しかった条件なのだから、圓然ず蚀えば圓然です。

その条件を満たすためには、すでに垂堎が倧きい、もしくは急激な成長を遂げそうな垂堎を遞ぶこずを最初に行っお、その䞊で技術リスクを取る、ずいったような、垂堎から逆算した䞊で技術リスクを取る、ずいう発想が匷く必芁のように思いたす。決しお、技術シヌズ起点だけで考えるものではありたせん。

仮にもし技術シヌズ起点で考えるのであれば、かなり事業サむドのこずをきっちりず知る人経営者や投資家ず、その技術シヌズを事業に䜵せお柔軟に远加開発できる人が必芁のように思いたす。

「そんな䌚瀟少なすぎる」ずいう反論に察する反論

こうしお曞くず、「珟実的に考えお、そんな䌁業は少なすぎる」「理想䞻矩的すぎる」ずいった反応をされる堎合もありたす。

でもだからずいっお、どちらかの条件を抜いた起業の振興を行ったり、別の皮類の起業を振興しお圓座をしのごうずするず、そもそも䜕の目的のためにディヌプテック・スタヌトアップを振興しようずしたのかが分からなくなっおしたいたす。さらに悪いこずに、人やお金や時間ずいった資源も分散しおしたい、むしろ本来の目的達成を阻むこずにすらなっおしたうかもしれたせん。

珟実がどうあれ、その先が難しい道であれ、意矩のある目的地に蟿り着くための手段を考えるこずが創造性を発揮する堎所であるはずです。もちろん達成するのは難しい道ですが、それでも目的はぶらさず、ゎヌルから始めお最善の道を考えおいくこずが重芁だず思っおいたす。

 

これからのディヌプテック・スタヌトアップの支揎を考えおいくために

(1) 名前を切り分ける

日本では、2000幎代から起業党般の意味で䜿われおいる「ベンチャヌ䌁業」ず、2010幎代から新たに䜿われ始めた、急成長を志向する起業の「スタヌトアップ」ずいう2぀の蚀葉があり、ずきには峻別されお、ずきには䞀緒くたにされお䜿われおいたす。

そこで、かなり日本の文脈ず慣甚に䟝拠した蚀葉の䜿い方ではあるのですが、技術の商業化を目的したスモヌルビゞネスやむンディヌビゞネスでの起業を埓来の「ベンチャヌ䌁業」ずいう蚀葉を甚いお『ディヌプテック・ベンチャヌ』ず呌び、倧きく跳ねうる起業を『ディヌプテック・スタヌトアップ』ず呌んで、それぞれ切り分けお、異なる蚀葉や抂念ずしお議論するべきではないかず思いたす。

それぞれの起業の圢態に、それぞれ異なる䟡倀がありたす。起業が䜜る瀟䌚的䟡倀は、経枈的䟡倀以倖にもあるからです。倧孊で培われた研究を瀟䌚に実装しおいくこずや、倧孊発の䌁業が地域の産業に貢献しおいくこずは、生たれた䌁業の時䟡総額などだけでは枬れない䟡倀を持っおいたす。

ただ、囜ずしおの経枈成長や倚くの雇甚を生むずいう芳点だず、あくたで短期間で急成長するディヌプテック・スタヌトアップを䞻に支揎しおいくべきだずは思いたす。

なので『ディヌプテック・ベンチャヌ』や『ディヌプテック・スタヌトアップ』ずいった違う名前を぀けお、それぞれの抂念を䞁寧に分けおいくこずで、より適切な資源配分がなされるず思っおいたす。

(2) 補助金での評䟡の方法を、次の投資フェヌズずアラむンさせる

ディヌプテック・スタヌトアップの倚くは、最初期にお金がかかるこずが倚く、どうしおも補助金に頌るこずになりたす。

しかし埓来の研究開発の事業化の支揎の補助金においおは、「倱敗しないかどうか」、぀たりヒット率が重芖しお芋られおいるように思いたす。皎金を䜿う以䞊、倱敗するこずを避けるむンセンティブが働くこずや、審査員が倧孊や倧手䌁業の研究者が䞭心だったためのように思いたす。

しかし、スタヌトアップの投資家の䞖界では、ヒット率よりもホヌムランの倧きさが倧事だず蚀われおいたす。そしお補助金は実は、投資家よりも早い段階でお金を出すこずになるため、スタヌトアップの投資家よりも「ヒット率よりもホヌムランの倧きさ」を重芖しお遞ばなければ、次のスタヌトアップの投資家に぀なげるこずができたせん。぀たり珟圚、「成功率を重芖するシヌド投資前の段階補助金」ず「ホヌムランを重芖するシヌド投資の段階」に倧きなギャップがあるずいうこずです。

この結果、補助金事業ずしおは「倱敗が少なかったので、事業ずしお成功」なのかもしれたせんが、投資家サむドからすれば「党郚小さな粒でしかないので、投資できない」ずいうこずが頻発したす。これは評䟡の方法が異なるために起こる悲劇であり、この是正をしおいく必芁があるように思いたす。

(3) もっず退出させる

倱敗しないこずに重きを眮くこずが、䌁業の存続率の高さにも぀ながっおいるように思いたす。以䞋の調査では、倧孊発ベンチャヌの起業埌5幎の存続率は米囜で5.5%、日本で 108.7% ずいう数字になっおいたす。

存続率も高いばかりが良いわけではありたせん。

なぜなら、䌁業が長い間存続しおしたうず、別の商業化であれば技術や特蚱が、長期間にわたり特定の䌁業に占有されおしたうからです。知財は20幎経おばその効力を倱いたす。もし1぀の䌁業が1぀の知財を10幎有しおしたうず、知財の寿呜は残り10幎ずなり、その知財を䜿った起業は行われなくなっおしたうでしょう。

公立倧孊から生たれた知財は、発明者ぞの垰属もあるものの、公共財の面も持ちたす。倱敗しお䌚瀟を閉じれば再利甚されたはずの公共財を、特定の䌁業が持ち続けるこずはあたり良いこずずは蚀えないように思いたす。

これも前述ず同じく、評䟡の問題であるように思いたす。どのように評䟡するかをきちんず考えなければ、ディヌプテック・スタヌトアップは生たれおきづらいように思いたす。

(4) 事業から逆算しお技術を集める研究開発費を出す

日本の倧孊においお広がっおいるギャップファンドや、NEDO の NEP 開拓コヌスなどはあくたで技術起点のものずなっおいたす。「技術ありきで事業を考える」のももちろん倧事ですが、䞀方で「事業ありきで技術を考える」こずも重芁で、こうした取り組みぞの支揎は珟圚ほずんどありたせん。

しかし、米囜ではARPA-EやDARPAなどの研究機関がこうした逆算匏の研究開発を掚進しおいたすし、Breakthrough EnergyもFellowsなどの仕組みで、事業領域を指定した研究開発に補助金を぀けおいるように芋えたす。こうした取り組みが日本でも必芁かもしれたせん。

぀たり、埓来ずは方向が逆である「垂堎起点のギャップを埋めおいく」ための「リバヌスギャップファンド」ずいった仕組みを䜜り、垂堎から逆算リバヌスする圢で、研究にお金を぀けおいく仕組みなどがあるず良いのかもしれたせん。

ただ、通垞のギャップファンドが「研究成果」ずいう長幎の具䜓的な成果物に察しおお金を぀けるのず違い、こちらのリバヌスギャップファンドは垂堎遞定や事業蚈画などをたず具䜓的な成果ずしお考える必芁があるでしょう。そのためには、事業開発をする人が必芁で、ここは課題ずしお残りたす。

たた特定の倧孊だけでやるのは難しいので、共同研究などの圢で他倧孊を巻き蟌む、ずいったこずが必芁かもしれたせん。

(5) 「倧きくなる事業化」の支揎の方法論を磚く

研究成果を単に商業化するのではなく、倧きくなるような支揎をしおいく必芁があるように思いたす。それをかなり匷く意図しお初期から蚭蚈しないず、倧きな事業にはなかなかなりたせん。「倧きくなればいいな」ず願っお倩呜を埅぀のではなく、「うたくいけば倧きくなる」ように最初からせめお少しは蚭蚈しおおくこずが倧事です。

もちろん、医療や創薬等の垂堎ではこれらの領域ではが倧きなこずが倚いため、あずは垂堎の芁求するスペックに到達できるか競合に察しお優䜍かどうかどうかが勝負です。こうした領域は『研究開発成果の事業化』ずいう研究成果ありきの事業化の動きで良い領域のように思いたす。

䞀方、そうでない領域の堎合は、いく぀かの工倫が必芁のように思いたす。

たずえば䞀぀はカンパニヌクリ゚ヌションやベンチャヌクリ゚ヌションなどの方法です。事業や垂堎を知る偎の人間が、投資ずいうよりも自ら䜜っおいく手法の䞭で、倧きくなるであろう事業を䜜っおいく方法が遞択肢ずしおあるように思いたす。

たた、闇雲に研究開発費を぀ける前に、倧きくなる事業蚈画を描く支揎をしたり、開発するべきスペックを決めに行くこずを支揎したり、技術経枈性分析やLCAの費甚負担をする、ずいった「垂堎リスクのデリスキング」の支揎を行っお、「䜜れれば売れる」ずいう段階に早期に持っおいき、そうした段階で研究開発費を぀ける、ずいった流れを䜜るこずも有効ではないかず思いたす。

たたギャップファンドに぀いおも、どうしおも研究者から芋るず「研究資金」ずしお捉えられおしたう傟向があるように思いたす。そこで「ハむグロヌス・ギャップファンド」などの名称を぀けお、「研究の延長線䞊のお金」ずは別の仕組みであるこずを明瀺しおいく、ずいった努力が必芁かもしれたせん。

(6) 資源配分を考え盎す

これたでは「ヒットを狙い぀぀、どれかが圓たれば良いな」ずいう、シリコンバレヌのような確率的な圓たり狙いの方法が暡倣されおきたように思いたすが、その際にヒット率高めでアップサむド䜎めのものに察しおの資源分配が倚かったように思いたす。これを買えおいかなければならないように思いたす。

たずえばバヌベル戊略のようにです。すでにスタヌトアップ投資ずいう段階でバヌベル戊略の9:1のうちの1のハむリスクな偎ぞの投資になっおいたすが、その1の䞭の0.8は「リスクは倧きいけれど、たずもにやれば倧圓たりが狙える領域」に充お、残りの0.2を「確率的に圓たるかもしれない超ハむリタヌンなもの」に投資するなど、資源配分の方法ず評䟡の方法を考えなければならないようにも思いたす。

この20幎で日本のスタヌトアップ゚コシステムにおける経営者やノりハりの局の厚みが増しおきたのは事実ですが、今以䞊に倧きく跳ねる䌁業を䜜ろうずするなら、戊略の倧きな芁玠の䞀぀である「資源配分」を考え盎す必芁があるように思いたす。

 

たずめ

ここたで曞いおきたこずは、䞻に短期から䞭期にかけお、ディヌプテック・スタヌトアップを生み出しおいく考え方です。長期的には、科孊研究に予算を぀けお、研究をきちんず進めおいくこずが、将来的なディヌプテック・スタヌトアップにも぀ながっおいくであろうこずは最埌に付蚘させおください。

たたこの蚘事は私個人の意芋であり、珟圚の私の芖点から芋たずきの『誀解』ず今埌の改善案です。今埌様々な掻動を進めおいく䞭で意芋も倉わっおいくず思いたす。

ただ、支揎が増えようずしおいる珟圚、せめおその方向性に察しお、数幎間この領域に関わっおきた䞭で孊んできたこずを掻かしおいただけるのであればず思い、文章ずしおたずめたした。

䜕かの参考になれば幞いです。

*1:経産省の定矩する「倧孊発ベンチャヌ」はすべおがディヌプテックの起業ではないのですが、䞀方で、ディヌプテックの起業も倚く含たれおいたす。