スタートアップを始める上で、自分たちがどういうゲームを戦っているのか、を把握するのは大事だと改めて感じています。
より具体的には、
- どういった種類の戦い・勝負をしているのか
- どういった条件を満たせば勝つのか
- どういった時間軸でその勝利条件を満たせばいいのか
を理解した上で戦うことを述べています。
これは「自分たちの戦っているゲームのルールは何か」を考えることとも言えるでしょう。
たとえば、スタートアップと通常のビジネス起業は、違う種類の戦いをしていると言えます。目的としている売上の大きさなどが異なるからです。
さらにスタートアップの中でもゲームの種類は異なります。たとえばネットワーク効果が効くビジネスであれば、先に自社のユーザーを最大化して、先に閾値を超えれば勝ちのゲームです。であれば、自社の製品や競合の動き等も見た上で、いつまでにその閾値を超えるべきかを見定め、どのタイミングでアクセルを踏むかを考えて、資源を投下していく必要があります。時にはメルカリやUberなどのように、赤字を掘ってでも、その閾値に辿り着こうとすることもあるでしょう(その後、独占できればその赤字を回収できるため)。
このようなゲームのルールを把握しておくことはとても重要なので、先日公開したピッチスライドテンプレートにも該当するページを追加しています。
Climate Tech の場合
こうしたゲームの種類について、気候テック (Climate Tech) の分野では、EUのVCがClimate Brick という資料をまとめています。
この資料では、以下のような分類が行われています。
- 規模拡大(によるコスト低減)の勝負
- 展開力の勝負
- サービスの勝負
- 製品力の勝負
- 破壊的技術の勝負
- ゲームチェンジする科学技術の勝負
- ソフトウェアを活用したハードウェアの勝負
さらに、それぞれの種類の戦いをするスタートアップが、どのような資金調達のパターンを経てきたのか、というのをまとめています。どういうゲームの種類であるかを整理している例と言えるでしょう。
どの仮説が正しければ勝てるか
この話を別の見方から言えば、「どういった仮説が正しければ、このゲームに勝てるのか」を把握しておくこと、とも言えます。
自分たちの製品や事業は仮説の塊です。冒頭に述べた勝利条件に辿り着くための戦略や戦術も仮説ですし、何なら定めた勝利条件も仮説です。そしてこれらの仮説が正しければ大成功する、というゲームをするのがスタートアップだと言えます。
逆に言えばこうした仮説がないまま進めることは、何の目標もないまま闇雲に活動をしている、とも言えます。
なので、事業アイデアという大きな仮説を分解し、ツリー構造のように捉えたうえで、「そのツリーの中にあるどの仮説が正しければ、このアイデアが成り立つのか」を見定め、その仮説を検証したり、仮説を正解にするために資金を使ったり調達することを意識しながら進めていけば良いのではないでしょうか。
そうした仮説を考え、整理していくことについては、『仮説行動』の中にまとめていますが、こうした仮説や勝利条件を早期からある程度意識しながら進めていくことが、スタートアップをしていくうえでこれまで以上に求められているように思います。
なのでときどき、「自分たちはどういうゲームを戦っているのか」や「自分たちの戦っているゲームのルールは何か」「どの仮説が正しければ勝てるか」を振り返っていただくと良いのではと思います。
補足
ゲームのルール自体が「フェアではない」ということもあります。そのときはゲームのルールに対して準じるのではなく、ルール自体を変えていく取り組みが必要であると思います。本記事はあくまで事業、特にスタートアップの事業を考える上での話と捉えていただければと思います。