🐴 (馬)

Takaaki Umada / 馬田隆明

コンテストでは評価軸を読み込む

僭越ながら審査側に立つことが多くなってきました*1。

補助金やピッチコンテストなどでこれから登壇される方に、審査員としてぜひ伝えたいことは、「審査の評価軸が事前に公開されているなら、それをきちんと読み込んで挑んでください」ということです。

 

どんなに良いアイデアやどんなに良い事業であっても、評価軸がちょっと違うと評価は異なり、評点もまったく異なってきます。個人的に凄く好きな事業をしている会社であったとしても、評価軸の設定次第では点数が相対的に低くなってしまうときもあります。

たとえば、その会社の技術的な取り組みを評価するコンテストで、以下のような評価軸が用意されて、それぞれ5点満点で評点を付けることが求められたとします。

  • 課題の大きさ
  • 解決策の良さ
  • 事業の実現性
  • 組織の運営方法

さらに違うコンテストでは、以下のような評価軸で5点満点だったとします。

  • 課題の大きさ
  • 解決策の良さ
  • 事業の可能性
  • 経営陣のリーダーシップ

それぞれの評価軸は似ていますが、微妙に違います。2つのコンテストに同じプレゼンで挑んだら、評点が変わってきて、順位も変わってくるでしょう。

つまり、そのコンテストにおける発表者の「良さ」や「価値」とは、審査の評価軸という「ものさし」によって変わってくるのです。

逆に言えば、どういう評価軸が設定されているかによって、プレゼンの内容をきちんと変えていくべきということです。

 

似たようなことは資金調達においても起こります。たとえば、

  • VCに見せるべき資料(エクイティファイナンス)
  • 銀行に見せるべき資料(デットファイナンス)

はそれぞれ異なります。VCは成長性を評価しますが、銀行は確実性を評価します。それぞれ評価軸が異なるため、もしVCに見せる資料を銀行に見せてもお金を貸してくれることはあまりないでしょう。

 

出場者がコンテストや審査の評価軸をきちんと読み込んでそれにアラインするのは、試験対策のようなものです。試験ではどういった出題範囲でどういった問題が出るのかを知って対策するように、コンテストで用意されている特定の評価軸で高く評価されるように合わせに行く、という戦術的な動きを取ることで、自分たちの事業はそのコンテストの中ではきちんと評価されるようになるはずです。

これはある意味でのコンテストのハックでもあります。ただもし勝ちたいのであれば、きっちりと評価軸を把握しておくほうが良いでしょう。学校の試験だとそうするのに、こうしたビジネス系のコンテストだと意外と皆さんそれをされていないように思います。

 

とはいえ、コンテストで勝つことと、事業で勝つことは違います。コンテストはコンテストだけの評価軸が用意されていますが、事業は売上や利益という別の評価軸で評価されます。そしてもしコンテストで負けたとしても、事業で勝てば全く問題ないのではと思います。

 

一方で、コンテストや審査の設計側の方に言いたいのは、「本当に評価軸は重要なので気を付けて選んで下さい」ということです。スタートアップの審査なのに、実現性に関わる評価軸が複数あり、可能性を評価する軸が1個しかないと、相対的に実現性に評点の重みが置かれてしまいます。

そうならないように、そもそもこのコンテストや審査では「何に価値を置くのか」をきちんと考える必要があります。またそれに応じて、評価軸をきちんと用意したり、特定の評価軸には重みを置いたりする工夫も必要になってくるでしょう。

あるいは以下の記事で書いたように、選び方に工夫を設けるのも一つです。

blog.takaumada.com

特定の書類審査については以下のような記事にもまとめていますので、参考にしてみてください。

blog.takaumada.com

 

良い評価システムは被評価者を良い方向に導いてくれます。一方で悪い評価システムを作ってしまうと、被評価者はどんどんと悪い方向に最適化されていきます。教育における評価システムもそうですが、評価はとてもセンシティブなものです。コンテストを行うときにも、主催者側はぜひ気を付けて行っていただければと思います。

 

トップの画像は以下のスライドからです。 

speakerdeck.com

*1:ただ審査員はお断りすることの方が多いので、あまり依頼されないようにお願いします……。